もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

党PFAS問題対策委員会

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党PFAS問題対策委員会の会合で、長年、PFAS問題の調査研究をされてこ小泉昭夫京都大学名誉教授からお話を伺いました。
 
米国科学・工学・医学アカデミーなどによって、PFASとの関連性を示す十分な証拠のある健康影響として、
①抗体反応の低下(成人および小児)ジフテリアと破傷風のワクチン接種後の抗体価の低下
②脂質異常症(成人及び小児)
③幼児及び胎児の成長の低下
④肝臓がんのリスクの増加(成人)
が示され、担当した専門家が「メカニズムはまだ不明だが、重大な疾患と高い関連性が一貫して見つかっている。PFASにより病気を発症した人たちはいる、と言えます。市民の健康を守るアプローチをするべきだ」と提言していることも紹介されました。
 
米国科学アカデミー臨床医へのガイドラインでは、
◆PFASの血清濃度が2ナノグラム/mL以上20ナノグラム/mL未満
・暴露源が特定されている場合、特に妊婦ではPFAS暴露の削減を奨励する。
・脂質異常症のスクリーニングを優先的に行う。
・すべての出生前診断において、妊娠高血圧症候群のスクリーニングを行う。
◆PFASの血清濃度が20ナノグラム/mL以上
・PFAS被ばく源が特定された場合、特に妊娠中の人については被ばく低減を図る
・脂質異常症のスクリーニング(2歳以上)
・精巣がん、潰瘍性大腸炎の評価(15歳以上)
・甲状腺機能検査として甲状腺刺激ホルモンTSH検査(18歳以上)
・腎臓がんの評価(45歳以上)
と書かれています。健康を守るために予防原則で、日本政府も動くべきです。
また、小泉名誉教授は、低出生体重児との関係を、なぜ政府は「子どもの健康と環境に関する全国調査」(エコチル調査・環境省)で検証しないのかと疑問を呈していました。
さらに、米国では、腎がん、免疫毒性、低出生体重などへの影響、定量下限を考慮して、
最終的な水道水の規制値をPFOA<4ナノグラム/L、PFOS<4ナノグラム/L
となったこととお話くださいました。
 
 
質疑応答で、私は、現在、内閣府食品安全委員会の有機フッ素化合物(PFAS)ワーキンググループが、経口摂取した場合の量と影響について世界の論文・調査結果を集めて検討しているとのことだが、このワーキンググループについてどうお感じになっているか、と質問しました。
 
小泉名誉教授は、「すでに米国科学・工学・医学アカデミーは5000本以上の論文を分析し『ガイドライン』としてまとめている。日本により必要なことは一次データを集め、分析し、日本国内でどのような状態になっているのか、明らかにすること」と明快に答えてくださいました。
 
さらに、市民の皆様が血中濃度、土壌、食品で不安に思ったときに調査ができる環境をつくるために、公の調査研究機関において何か機器の整備などが必要なのか、質問しました。
 
すでに、特に東京都や大阪府などは地方自治体(衛生研究所など含む)で高い能力を持っていること(東海エリアは東京都や大阪府までの体制になっていないようです)、とくに土壌や食品については、全国どこの自治体でも調査することができるのではないか、そうした調査を進めてほしいと述べられました。
 
有意義な学習会でした。小泉先生、本当にありがとうございました。
 
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