超党派のILO活動推進議員連盟の勉強会に、山下よしき副委員長とともに参加をしました。
佐藤暁子弁護士(国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長次長)を講師に、テーマ「ビジネスと人権及び人権デューディリジェンスへの対応」を学び、意見交換を行いました。
国連ビジネスと人権に関する指導原則は、2011年国連人権理事会で全会一致で承認され、企業も世界人権宣言、自由権・社会権規約、ILO中核的労働基準といった国際人権基準を尊重する責任を負うことが明確に明記されています。
自社だけでなく、サプライチェーン・バリューチェーンまで責任範囲は広がっているという認識が必要です。
アメリカでは、「ユニクロ」の綿製シャツが、中国・新疆ウイグル自治区の強制労働をめぐるアメリカ政府の輸入禁止措置に違反したとして輸入を差し止められたケースがありました。
佐藤弁護士は、見るべきは、「人権リスク」であり経営リスクではないことも語られました。
◆人権デューディリジェンス 継続的な取り組みが必要
①責任ある企業行動を企業方針及び経営システムに取り組む
②企業の事業、サプライチェーン及びビジネス上の関係における人権リスクを特定し、評価する
③負の影響を停止、防止及び軽減する
④実施状況及び結果を追跡調査する
⑤影響にどのように対処したかを伝える
⑥是正措置を行う、または是正のために協力する・・・救済
①を中心にして②〜⑥を循環させていくことが必要だと語られました。
「救済」につなげていくことが強調されました。
「人権リスクは、できるだけ早く声をあげてもらうことが深刻化を防ぐために重要」と語られました。
労働組合の存在、活動の重要性についても強調されました。
人権リスクへの取り組みが不十分であることが、結果的に企業価値をも毀損するので、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資も呼び込めなくなるリスクにも直結します。
人権リスクは、
◆業務リスク(ストライキ・人材流出)
◆法務リスク(訴訟・行政罰)
◆レピュテーション(評判・信用)リスク(不買運動)
◆財務リスク(ダイベストメント・株価低下)
にもつながっています。
日本企業はまだまだ遅れている点があり、「人権」について考えたこともなかったと言われる企業幹部の方もおられるそうです・・・。
まずは、実効あるガイドライン策定が急務となっています。
その点では、今、経済産業省の方で「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会」が開かれています。この夏までにガイドライン案を取りまとめることを目指しているそうです。
実効あるものにしていくために私たちも頑張らなければなりません!
佐藤弁護士は、
人権デューディリジェンス推進における日本の課題として、
「人権」に対する理解不足 →→→ 主権者教育の必要性
国別行動計画(NAP)におけるギャップ分析の欠如 →→→ 既存の施策の実効性評価の必要性
国際人権実施の仕組みが不十分 →→→ 未批准ILO条約+個人通報制度導入の必要性
独立して国内における人権問題をモニタリングし、政策提言する機関の不在 →→→ パリ原則に則った国内人権機関の必要性
産業別労働組合の活性化・国外の労働組合との連携強化の必要性
労使対話を含むステークホルダーエンゲージメント(関係者の意思をつかみ、意思決定のプロセスに取り入れていくこと)の活性化の必要性
※パリ原則
法務省:国内機構の地位に関する原則(パリ原則)