12月3日、DV法改正を考える市民の会の皆様の「DV被害者とこどもたちの安心安全をどう守るか」という院内集会に畑野君枝衆議院議員、山添拓参議院議員とともに参加しました。
まず、日弁連の皆様の「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の改正を求める意見書」のお話を名古屋からリモートで弁護士の可児康則さんがしてくださいました。
被害者の安全を守り、生活を守るために非常に重要な提言だと思います。
(意見書の柱は、最後に掲載します。)
井上匡子神奈川大学教授からは、欧米諸国からも、アジア諸国からも大きく引き離され、総合的、包括的なDV対策、被害者支援が遅れた日本の現状が語られました。
よだかれん新宿区議からは、子どもの命、安全を守ることを最優先にした親権のあり方へのお話がありました。
斉藤秀樹弁護士を介して被害当事者の方からは、元夫から人格否定の実態、「言ったとおりにしない限り話し合いは終わらない」支配の実態、司法制度を利用したハラスメント、フラッシュバックなど精神的ダメージ、子どもの安全を最優先にした親権問題などのお話がありました。
アメリカに住む武藤かおりさんからは、アメリカ国内の司法判断が、将来のポジティブなことを言うことが優先されて、DV・虐待などネガティブなことを言うと親権を認定されなくなる問題を抱えており、結局、DV・虐待をしていた加害者に子どもさんが殺されるケース(765人の子どもさんが殺害されてしまったとのお話も)が後をたたないとのお話がありました。日本の親権問題を考える際にアメリカの事例を考えて判断してほしいとのお話がありました。
戒能民江御茶ノ水女子大学名誉教授からは、現在、逃げるしかないDV対策となっているが、逃げてもその先のことが何もなければ逃げることもできないし、逃げるだけではないあり方も考えなければならないこと、DV法改正と女性支援の新たな枠組み(女性支援法制定)構築を同時並行でやらなければならない、とのお話がありました。
全国シェルターネットの共同代表である北仲千里さんは、広島から駆けつけてくださり、DV法の改正とともに、総合的・包括的な相談支援体制の導入が必要だと強調されました。明確な支援基準の導入や要望にあった運営、多様な選択肢、積極的な一時保護、支援対象拡大、相談員を専門職として位置づけること、各種専門職も配置すること、一つのケースを中長期支援できるようにすること、ワンストップの窓口、十分な予算、民間シェルターへの財政支援、対等な協働関係、安全な離婚や面会交流などお話くださいました。
全国フェミニスト議員連盟の前田佳子 代表 (東京都八王子市議)からもお話がありました。
大変有意義な集会でした。準備くださった皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。
皆様とともにDV防止法改正と中長期にわたる支援ができる支援法を実現するために全力をあげていきたいと思います。本当にありがとうございました!!!
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日弁連の皆様の「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の改正を求める意見書」の柱は、以下の通りです。
本文はこちら→https://www.nichibenren.or.jp/…/2020/opinion_201020.pdf
1 DV防止法に法の目的を定める条文を新設し、次の事項を明記すること。
(1) DVが社会における性差別に由来する力の格差の下で生じるという構造的な問題であること。
(2) 何人も婚姻・家族との生活において、暴力の恐怖にさらされることなく安全で平穏に生きる権利、その権利が侵害された場合の被害から回復する権利を有すること、及び被害者の保護や支援に際しては、被害者の意思が尊重されるべきこと。
(3) 国及び地方自治体が、DVの防止、被害者の保護及び支援のために講じる措置は、上記被害者の権利に対応する責務であること。
2 DV防止法1条1項の「これ(身体に対する暴力)に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」の類型を具体的に例示し、心理的(精神的)暴力、性的暴力のほか、経済的な暴力や、社会的隔離がこれに該当することを明示すること。
3 身体的暴力と非身体的暴力の区別的な扱いを廃し、DV防止法第三章の暴力を同法1条1項で定義する暴力と同義とすること。
4 DV防止法1条2項に規定する「被害者」を「配偶者からの暴力を受けた者及びその者と同居していた当該配偶者以外の者」と定義すること。
5 保護命令制度(DV防止法10条)に関し、次のように改正すること。
(1) 保護命令の申立権者を同法1条1項の暴力を受けた者に拡大すること。
(2) 保護命令の発令要件中、同法10条1項本文が規定する「身体に対する暴力」により、「その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき」との文言を、「暴力」により、「その生命又は身体に危害を受けるおそれが大きいとき」と修正すること。
(3) 現行の退去命令制度とは別に、被害者が従前の住居での生活を保持できる制度を別途構築すること。
(4) 保護命令(接近禁止命令)の発令期間を、ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」という。)の禁止命令(同法5条)と同一の期間(1年)とし、期間の延長の制度を設けること。
(5) 多様な被害の実情に応じ、新たな種類の保護命令の創設などを検討すること。
(6) 保護命令違反に対する罰則をストーカー規制法における禁止命令違反の罰則と同一(2年以下の懲役又は200万円以下の罰金)とすること。
6 国及び地方自治体による被害者への保護及び支援に関し、DV防止法に次の規定を設けること。
(1) 一時保護については、婦人相談所の措置という枠組みにとらわれず、被害者の意思を尊重するとともに、市町村や民間の支援団体の判断で柔軟に保護できるように明記すること。
(2) 被害者の自立支援が国の責務であることを更に具体化し、被害者の支援についての地域間格差を是正するため、国が、地方自治体における支援コーディネーター(婦人相談員)の配置基準や研修制度、待遇等を含め、支援の最低基準を定め、そのための財政的措置を保障する義務を明記すること。
7 同性間におけるDVにもDV防止法の規定が準用されるように、同法28条の2に規定する「生活の本拠を共にする交際をする関係にある相手」の後に「(暴力を受けた者と相手の性別が同一の場合も含む。)」との文言を設けること。
8 義務教育課程及び高等学校等において、DV防止教育を行い、授業時間が必ず確保されるようカリキュラムが組まれるべきことをDV防止法中に明記すること。