4月10日、衆議院決算行政監視委員会第3分科会で、
◆自動車部品工場への「無許可派遣」?有期雇用契約の女性労働者の妊娠・出産・育児にかかわる問題
◆国立病院の院内保育所の全国一括委託をうけていたピジョン株式会社の来年3月末撤退問題
を質問しました。
【有期雇用契約の女性の妊娠・出産・育児などの問題】
愛知県内に住む女性労働者Aさんは、妊娠されました。大変喜ばしいことです。しかし、妊娠したことを会社に告げると、2カ月の有期雇用契約で、産前産後の休暇や育児休暇もない、出産手当金もないから、やめてもらうしかないと言われたというお話でした。
契約は2カ月ごとの有期雇用ですが、女性労働者Aさんは、自動車部品を製造する東海理機製作所相生工場(愛知県東浦町)内アーバンアート事業所を就業場所として約3年働き続けています。
就業場所は変わりませんが、2ヵ月の有期雇用契約で1回更新して約4か月ごとに(有)アイシーエス、(株)東海オーエス、(株)アーバンアートと順繰りに雇用契約先がかわっているのです。
雇用契約先の会社が変わっても、指揮命令系統はずっとかわらなかったそうです。
この(有)アイシーエス、(株)東海オーエス、(株)アーバンアートの3社の代表取締役は、同一人物で、この3社は、労働者派遣事業の許可はありませんでした。
派遣会社ではないということは、違法な無許可派遣の可能性があるわけです。
塩崎厚生労働大臣に、この3社にはいって調査に入ることを求めました。
塩崎厚生労働大臣は、一般論としてですが、「労働者派遣事業を無許可でやっているおそれのある事案を把握した場合は、都道府県労働局において必要な調査を行ったうえで、指導して是正を図る」と答弁しました。
また、厚生労働省派遣・有期労働対策部長から無許可派遣を受け入れた場合は、「当該違法派遣を受け入れた時点で、派遣先が派遣労働者にたいして労働契約の申し込みがなされたとみなす」(みなし雇用)との答弁もありました。
社会保険については、厚生労働省年金管理審議官からは、「従業員の方から資格の確認請求がなされれば、該当する事業所に適切に調査を行うことになる」と答弁しました。
このAさんの事例は、職業安定局、保険局、年金局、雇用均等・児童家庭局、労働基準局にまたがる話です。
無許可派遣、みなし雇用の問題、年金、健康保険の加入の問題、出産手当金、産休、育休、育休給付金、年次有給休暇が取れるように、この3社のことを総合的に調査して、Aさんが労働者としての当然の権利を保障されるように、そしてAさん以外の皆さんも当然の権利が保障されるように是正してくださいと質問しました。
塩崎厚生労働大臣は、「一般論として、法の適用を逃れることを目的として、実態と異なる雇用形態、請負形態を偽装するというケースにたいしては当然しっかりと指導監督しなければならない」と答弁しました。
女性はとりわけ非正規雇用が多く、有期契約が多いのです。同じ工場で3年も働いているのに、2カ月の有期契約で、雇用契約先が4か月ごとに変わって、3社に順次雇用されるというような働かせ方で、産前産後の休暇、出産手当金、育児休業、育児休業給付金、社会保険、年次有給休暇もとれないというようなことを絶対に認めさせてはならない!
女性が安心して働き続け、子どもを産みたいという方が安心して出産、育児ができる、仕事と家庭の両立ができる、そうした労働環境を一刻も早くつくることを強く求めました。
【国立病院の院内保育所の問題】
国立病院で働く皆さんの子どもさんが通う院内保育所は2004年度から、ピジョン株式会社に保育を全面的に民間委託してきました。
昨年11月、そのピジョンが2017年度末で、国立病院の院内保育所から全面撤退すると発表しました。
まず、厚生労働省に、全国115園をピジョンが受けていたと聞くが、この撤退で全国で何人の子どもさん、何人の看護師の皆さん、医師の皆さん、職員の皆さん、保育士の皆さんに影響あるのかと質問。
厚生労働省医政局長は、「(2017年3月1日現在)院内保育所における預かり児童数3634人、保育士等職員1238名」と答弁しました。
国立病院の院内保育所を2004年、ピジョンが委託をうけたわけですが、その時も大混乱をもたらしました。
その時、もともと国立病院の院内保育所で働いていた保育士さん・賃金職員の方は、なくなく退職して、賃金など労働条件が下がっても、そこの保育を維持しようとピジョンで働いて、子どもたちの保育と病院の体制を守ってきました。
それで、また今回の大混乱を起こしていることは許されないと塩崎厚生労働大臣に質しました。
塩崎厚生労働大臣は、「各病院において引き続き児童の預かり体制が確保され、翌年度においても職員が安心して子どもさんを預けることができる体制をしっかり確保しなければならないと思っております。国立病院機構については関係者の意向も丁寧に把握をしながら、事業者から次の事業者へどうスムーズに引き継ぎが行われるのか、ということをみるとともに、今後とも各病院の院内保育所の運営がしっかりと行われ続けていくように厚生労働省としても注視をしなければならないと考えております。現在、院内保育所に勤務されている保育士さんにつきましては、現在の事業者からまずは次の事業者に雇用を継承することによって、引き続き同じ職場で勤務が継続できるようにすることを第一として、仮にそれができない場合は現在の事業者が自身のグループ会社を紹介することによって対応する意向であるというふうに私どもは聞いているわけで、万全を尽くして子どもさんのためにも保育士さんのためにもスムーズな移行ができるようにしてまいりたいと思っております」と答弁しました。
「 国立病院の院内保育所で働いている保育士の皆さんが、そこで働き続けたいと希望される方は全員、しっかりと労働条件をたもって、その保育園で働き続けられるようにするべきです。
保育士の皆さんの声、病院職員の皆さんの声をしっかりと聴いて対応してください。
一方的にやらないように大臣、お願いいたします」と最後に迫りました。
塩崎厚生労働大臣は、「一番大事なことは、保育士さんについても引き続き同じ職場で勤務が続けられるということが第一であります。そうくことをよくみながら、病院機構が対応を一義的にやるわけですから、そういう点をよくみて、何よりも子どもさんが困らないように、お母さん方が困らないように、そういう対応を機構がするように私どもみてまいりたいと思います」と答弁しました。