7月6日、2011年の学校基本調査で明らかになった行方不明の小中学生1191人、愛知はワースト1の272人の問題で、実態調査と救援・支援を求める要請を行いました(要請文は下記参照)。
文部科学省の回答は、“現在、7月9日を締め切りにして、市町村に対する児童生徒の実態把握を調査している。その結果をもとに今後について検討することとなる。教員が対応するのは困難。学校の責任でもない。関係機関の連携の在り方も検討することとなる”というものでした。
連携するためにも体制の強化を求めたところ、「今年度、少人数学級の推進などで、1万人を超える教員を増員した。来年度に向けてもさらに増員の検討をしている。スクールソーシャルワーカーについては、1113人を配置している」(文科省)、「平成12年度に虐待防止法が制定されたが、対象児童は4.8倍に急増している。この間、地方交付金交付税措置を充実させて児童相談センターの職員を増員させてきた。平成11年度1230人が、平成20年度は2000人に至っている。職員の資質向上にも平成24年度までは基金活用して研修などをおこない強化してきた」(厚労省)と回答。
現状で足りず、現場や専門家の皆さんの体制強化を求める声があがり、死亡虐待事件もおき、体制強化が死亡虐待事件の検証委員会でも指摘されているので、要求しているのです。もっとスピードアップさせなければなりません。
乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)や養育支援訪問事業については、碧南市で困難を抱えている家庭への継続的な訪問・支援活動のなかで、確実に死亡虐待事件が減っている効果をあげているという専門家の方の声をお伝えし、効果があるこうした施策をメニュー事業ではなく、質を担保したうえで、全国で行ってほしい、と申しあげました。
厚生労働省からは、“「乳児家庭全戸訪問事業」等は重要な事業である。目標値を設定して、その実施を促している。現在はメニュー事業であるが、恒常的な事業になるよう要望していきたい”という趣旨の回答がありました。
突然、行方不明になったり、多くの困難を抱えている子どもを一人でも減らしていきたいです。
一人ひとりの子どもたちが、社会全体に大切にされ、すくすくと成長できるように一層がんばりたいと思います!!
居所不明の小中学生の実態調査と救援・支援を求める要請書
文部科学大臣 殿
厚生労働大臣 殿
2012年7月6日
日本共産党愛知県委員会
委員長 岩中正巳
居所不明の小中学生の実態調査と救援・支援を求める
2011年の学校基本調査では、従来よりも大幅に調査の正確性が期されたこともあり、1年以上居所不明の小中学生が全国で、1191人(前回比3倍以上)もいることが判明しました。
名古屋市教育委員会の調査では、居所不明の小中学生に2種類があるといわれます。
(1)入学後に突然一家そろっていなくなるもので、学校現場からは、DVや借金で逃げているとか、日本国籍はあるが親が外国人で母国へ帰ってしまったとされるケース。
(2)入学する段階からの行方不明のケースで、訪問しても学校がつかむのはなかなか難しく、民生・児童委員にも協力を求めている。
この名古屋市の調査でも、原因や背景となる子どもの親の働き方や家庭状況などまで把握、分析がされているわけではありません。その後、行方が判明したケースもあります。
いずれにしても文部科学省の通知(「義務教育諸学校における居所不明の児童生徒への対応について」2011年4月)のような連携でさえ、ほとんどできていないのが現状です。そして、「居所不明」の小中学生の多くが、さまざまな困難を抱え、支援を必要としているのではないかと思われます。最悪の場合、人知れず亡くなっていることさえ危惧されます。
国は、こうした問題の根底ともなっている貧困格差の解消や、すべての国民の人権が尊重され、暴力を許さない社会づくりに確固とした姿勢と具体的な裏づけを確立するとともに、子どもの行方不明問題に真剣に取り組み、すべての子ども命と健全な成長を保障する取り組みを強めるよう以下の内容を要請します。
記
1、今後も居所不明の小中学生のより正確な把握をし、原因や背景の分析、解明などに力を入れ、解決の方途を検討すること。【文部科学省】
2、学校、保育園(無認可含む)、幼稚園、児童相談所、DV相談支援センター、警察、市町村役場、民生・児童委員、医療機関、保健機関など関係機関と専門家がしっかりと連携をとり、行方不明になることを未然に防ぐ取り組みを強化してください。
また、すべての子どもが大切に育てられ、健全な成長がとげられるよう、小中学校の教職員の増員やスクールソーシャルワーカーの設置、保育園のソーシャルワーカーの設置、児童相談センターの児童福祉司、児童心理士など大幅増員を行ってください。
【文部科学省】【厚生労働省】
3、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)や養育支援訪問事業などで、困難を抱えている家庭への親身な援助を行うことは、不幸な虐待死亡事件の防止などにも有効です。こうした取り組みをすべての自治体で行うよう制度を拡充改善してください。
【厚生労働省】
以上