介護問題で名古屋市西区の実態調査―特養ホーム「平田豊生苑」、西区「いきいき支援センター」、ヘルパーさんなど働く人や介護されているご家族との懇談
5月18日、介護問題について名古屋市西区で実態調査を行いました。
特別養護老人ホーム「平田豊生苑」、「西区南部いきいき支援センター」に伺い、その後、ヘルパーさんや介護が必要な方のご家族の皆さんとの懇談を行いました。
河江明美衆院比例予定候補、大野ひろみつ衆院愛知1区予定候補、わしの恵子名古屋市議、岡田ゆき子名古屋市議、八田ひろ子元参院議員と一緒に参加しました。
特別養護老人ホーム「平田豊生苑」は、「住人さん」お一人お一人の人権を大事にしようと実践されているところです。
「平田豊生苑」の玄関に到着すると、ご近所の方が、「私もここに入りたいわ。とてもいいところ。苑長さん、大好きなの」と声をかけてくださいました。 保育園が併設されており、玄関に入るとすぐに子どもたちの声がたくさん聞こえます。
児玉克己苑長が応対してくださいました。
「平田豊生苑」では、収入の75.1%を人件費に使っています。 こうした施設は稀なようで、他の施設から「そんなのでやっていけるのか」と心配の声があがるほどだそうです。
理事長などが高い報酬を受け取るようなことはせずに必要なところにお金を回しています。国基準では34人の人員配置を46人と手厚くしています。
また、2012年4月から介護報酬が改定され、これまで介護報酬以外の形で介護職員の皆さんの処遇を改善する交付金が出されていましたが(利用料などに跳ね返らないのでよかった)、この交付金をなくし介護職員処遇改善加算として介護報酬に組み込むことになりました。
利用料がその分高くなる問題や、各施設で本当に介護職員の皆さんの処遇改善に使われるのかわからない部分が問題と語ってくださいました。
さらに、「住人さん」の基本的人権を守り、同性介護で、カギもかけないし、車椅子での買い物も自由にしているとのことでした。
地域とのつながり、地域で貢献することに徹底して努力をされていると感じました。 地域でヘルパーさんを利用されている方に、お正月でヘルパーさんが来なくなるのでショートステイなどをお勧めしてもご本人が断られたそうです。しかし、心配だからと児玉苑長さんは、おせち料理をもって毎日通われたそうです。お酒が好きな方だったそうですが、飲みすぎずにヘルパーさんが来ない時期も健康を維持することができたそうです。
こうした経験からも食の大切さを実感し、配食サービスも行うことになったそうです。 温かい食事を届けるための専用のお弁当箱も用意して、現在100軒にお届けしながら、安否確認も行っています。
「平田豊生苑」さんに入りたいと待っている待機者は、200人とのことです。ご家族や可能な場合はご本人、お一人お一人に来てもらってお話を聞いて希望を聞かれるそうです。
ショートステイについては、なかなか利用することが難しい施設もありますが、平田豊生苑さんは、なるべく地域の皆さんのニーズに応えたいと断らないように努力されているそうです。
児玉苑長は、「本来は、本人がどこで老後を過ごしたいか、という視点が大事にされなくちゃいけない。本当に特別養護老人ホームでいいのかと思う人もいる」ともおっしゃっていました。
自宅で老後を過ごしたいと思う方々を支える介護・医療基盤の充実も必要です。
西区のある方は、「別の施設のときは、一点だけを見つめているような身寄りのない高齢の方が、平田豊生苑に住まわれるようになってからは、表情が明るくなり、元気になった」と教えてくださいました。実際にその方にもお会いしましたが、以前は一点だけを見つめていた方とは思われないくらい、いきいきと過ごし、私たちにも笑顔でお話してくださいました。
平田豊生苑さんのように、お一人お一人を大事にする取り組みが、どこでもできるように、私たちも学び、国や自治体に求めていきたいと思います。
お忙しいなか、本当にありがとうございました。
次にいったのは、「西区南部いきいき支援センター」(旧「地域包括支援センター」)です。
●要支援、要介護状態になるおそれのある方への支援や要支援1・2と認定された方への支援、
●高齢者虐待・権利擁護、消費者被害の相談、
●健康・福祉・介護などの総合的な相談、
●認知症高齢者を介護するご家族への支援などを行っています。
こうした業務を主任介護支援専門員3人、保健師等4人(現在2人産休・育休中)、社会福祉士4人などの職員体制で行っています。
全体の相談件数は、約1500件とのことです。委託している居宅支援事業所などでも相談業務は行っているそうです。2012年度には、すべての区で「いきいき支援センター分室」もできるそうです。
名古屋市では、65歳、70歳、75歳・・・と5年ごとに25項目のチェックリスト(運動、口腔、認知症、うつ症状、生活全般など)を全員に送ります。そして、介護予防の支援が必要な方を把握されます。
西区では、2011年度の実績で、5132人に送って、3107人から回答があり、そのうち介護予防の支援が必要な方が西区全体で808人だったそうです。そのうちの420人が「西区南部いきいき支援センター」管轄の方で、111人が実際に支援を受けたそうです。
よくなって支援が必要なくなる方もみえるそうです。
認知症高齢者を介護するご家族への支援については、家族教室、家族サロン、医師の専門相談、認知症サポーター養成講座(2011年までに600名が受講)などを行っています。「医師会の皆さんの積極的な協力があり助かっている」と言われました。
主任介護支援専門員、保健師等、社会福祉士など専門職員の確保が難しくなっている現状も教えていただきました。
西区は、介護が必要な方の出現率が名古屋市内で一番低いそうです。 「家族と同居する率が多いことも関係しているのはないか」とも言われていました。 いずれにしても、より身近に介護の問題で気軽に相談できる場所があると安心です。こうした点も充実させていきたいです。
お忙しいところ、本当にありがとうございました。
場所を移して、ヘルパーさんや介護が必要な方のご家族の皆さんに集まっていただき、懇談させていただきました。さまざまな声を寄せていただきました。
●夫の両親と自分の両親と4人の介護をされている方は、実家のお母様と義理のお父様は病院、実家のお父様と義理のお母様はデイサービスを利用されています。金銭的にも精神的にも本当に大変そうでした。「経済的なことをなんとかしてほしい。自分を平静に保つことを今は大事にしています。義理の両親は、まだ年金が結構あるからいいけれど、自分の年金はほとんどない。自分の老後も心配。野たれ死にだと言っています」と語られました。
●97歳と87歳のご両親を持つ方は、「うちの実家は田舎だからみんなが声をかけてくれる。それが長生きの秘訣だと思う。年金が少ないから、ショートステイを利用すると費用が捻出できない。月5000円でも介護する人の手当があれば、利用もできるのに・・・。」と語られました。
●「ボランティアに行っても職員さんが忙しそうで、声もかけられない雰囲気。ぜひ職員さんの待遇をよくして、認知症の方でも安心して声をかけられるようなデイサービスにしてほしい」とお話されました。
●88歳の親御さんを介護されている方は、「デイサービスを週2回利用されています。2年半前までは、病院で出されたものすごい量の薬が原因か幻聴などあったが、減らしたら落ち着いてきた。デイサービスは楽しみにしている。介護保険料が4万1000円から5万5000円に上がって困っている。年金は減らされ、介護保険料は上がり、そのうえ消費税増税・・・。周りを見渡しても、大変な人ばかり。死んでいけということか」との怒りの声も出されました。
●「年間で介護保険料が夫婦2人で3万5000円も値上がりになった」
●「父は認知症で亡くなった。母も高齢者うつになってしまった。夫がヘルパーの資格をとって支援している」
●「施設にハーモニカのボランティアに行っている。どこでも喜ばれ、みんなで歌う。認知症の方もその時は、認知症の症状はなくなってしまう。文化にはこういう力があると実感している」
●「デイサービスは喜んでいかれるけど、ショートステイは嫌がるお年寄りが多い」
●「生活援助のヘルパーさんの時間が介護報酬の関係で60分から45分にカットされてしまった。今後、45分以上になるとオプションでお金が取られることになるのではないか心配」
●「介護報酬の関係か、デイサービスの時間が長くなった。利用者さんが疲れないか心配。家族の方は、助かるかもしれません。冬になるとおひとり暮らしの方は暗い部屋に帰ることになるけれど、それでいいのだろうか」 などなど。
日本共産党は、「消費税増税ストップ!社会保障充実、財政危機打開の提言」を出し、介護の充実の方向と財源についても提案させていただいております。
やっぱり抜本的に社会保障の予算を増やさなければ、さまざま解決できない問題ばかりです。
国の予算の使い方(無駄の一掃)、集め方(富裕層や大企業への応分の負担)を変えて、一人ひとりが大事にされ、安心して暮らせる持続可能な社会の実現に全力でがんばります。 参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
西区の住宅で2ヵ所まちかど演説会
介護の実態調査のあいだの時間で、まちかど演説会を2ヵ所で行いました。
かわえ明美衆院比例予定候補、大野ひろみつ愛知1区予定候補と私が訴え、わしの恵子市議が司会を勤めました。八田ひろ子元参院議員も参加。
何人もの方が応援に来てくださいました。
子どもさんと一緒に若いママも参加。「保育園に入れないことを改善してほしい」とのご要望もお伺いしました。
「がんばってね」、「消費税増税でない道があると思っていたのよ。がんばってね」、「大野さん、イケメンだね」などなど温かい声を寄せていただきました。
皆さん、本当にありがとうございました。