守山商工会の皆様とTPP問題で懇談
11月18日、黒田二郎衆議院愛知2区予定候補、くれまつ順子前名古屋市議と一緒に守山商工会の佐藤和利会長とお会いし、TPP問題で懇談をさせていただきました。
TPP参加への立場は、違いましたが、丁寧に対応していただき、「TPP問題のメリットとデメリットをしっかりと議論しなければいけない」ということについては、意見が一致しました。
守山商工会では、リーマンショック以降、商売を辞めるために脱会する会員さんが増えているそうです。すべての業種でそうした傾向が出ており、銀行の貸し渋りの問題もあることなど実態をお話してくださいました。
各家庭の太陽光パネル設置をすすめて地元業者の仕事を増やすことなど中小企業の仕事を増やす取組みへのご要望が出されました。
中小企業は、日本経済の根幹です。予算も増額し、技術力や地域での連携で社会的ニーズにこたえた製品開発・販路開拓を支援するなど中小企業の成長・発展のために政党として役割を果たせるようにがんばりたいと思います。
守山商工会の皆さん、お忙しいところ、本当にありがとうございました。
田代洋一先生を迎えてのTPPにとどめを刺す講演会~TPPと国民生活・農業食料~
11月18日、田代洋一先生を迎えてのTPPにとどめを刺す講演会~TPPと国民生活・農業食料~(TPP問題講演会実行委員会主催)に参加しました。
田代先生は、農水省、横浜国立大学経済学部等を経て、2008年より大妻女子大学教授という方です。
11月11日、野田総理は、TPPについて「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」ことを表明しました。そのことを踏まえた学習会でした。
田代先生のお話の概要は、以下の通りです。
●アメリカのオバマ大統領は、失業率が改善せず、若者がデモを行い、支持率低迷する中、輸出を倍増して200万人雇用拡大しなければ再選ができない事情があり、雇用拡大可能な日本市場に参入しようとしている事情がある。
●アジア太平洋における米中対立時代の中国封じ込め作戦の経済基盤をつくろうとしている。
●政権交代は、農村保守党から都市保守党への政権交代であった。
●野田首相は、1987年の県議時代に牛肉・オレンジの自由化反対決議に一人反対(11月12日読売)した筋金いりの自由貿易推進派である。
●TPPのたたかいはこれから。これから、アメリカ政府との事前協議に3ヵ月、アメリカの議会承認に3ヵ月、実際に交渉参加となるのは2012年、政府がTPPに署名することになるのは2013年、実際に国会でTPP参加を批准することになるのは2014年になるだろう。
●APEC前後から医療、米、公的保険が争点で、アメリカ通商代表部は、牛肉、郵政、自動車。
●2012年中に事前協議の段階で葬り去るような運動が必要。
●ショック・ドクトリンと呼ばれる手法。クーデター、襲撃、災害で更地にしてアメリカ流新自由主義を注入し、多国籍企業がもうける。東日本大震災で更地になってしまったところに大規模経営と株式会社をつくる方向。
●TPPも自給率13%で日本農業を更地化して、輸入農作物、大規模経営、株式会社が農地を所有するような方向へ誘導している。
●WTOは、153カ国で、先進国と新興国の対立でまとまらない。
●FTAは、二国間で90%以上を10年以内で関税撤廃。例外は(米韓のお米)、完全自由化にはならない。アメリカは、NAFTAで牛乳、乳製品を、米濠で砂糖を例外。
●TPP-FTAの一種だが、例外をみとめない「究極のFTA」、「丸裸のFTA」。
●各国の経済主権、規制の緩和・撤廃でアメリカ資本が各国で自由な行動をできるようにするねらい。21の作業部会にアメリカの要請で金融・電子商取引・投資の3分野を追加。
●ISD条項といって、投資家が、投資先の国と「トラブル」があった場合には、投資家が、国を国際仲裁機関に提訴でき、非公開で、上訴もない。あらゆる投資規制、資金移動規制、金融規制の権限が喪失する。
●中国は、自分の市場経済体制、農業を守りたいとTPPには参加しない。
●ASEAN諸国は、アジアでまとまりたいということでTPPには参加しない。
●韓国は、米韓FTAでお米を例外にできたので、TPPには入らない。
●TPP9カ国に日本を加えた10カ国のGDPに占める日米の割合は9割。
TPP≒日米FTA。
●TPPは、アジア太平洋における日米の貿易戦争の場になるだけ。
●日本の経済・社会がアメリカのルールに従わされるだけ、なのになぜ?
●日本の財界は、先行してルール作りに参加できるとかアジアの成長を取り込めるとかいうが、結局、ルールをつくるのは、アメリカで、アジアはそっぽを向いている。財界にとっては、TPPの外圧を利用して国内の規制改革を徹底できるというメリットがある。
●関税率(加重平均) 日本 農業12.5%、工業1.2%
アメリカ 農業4.1%、工業1.9%
「工業の1.9を0にしてもらうかわりに農業の12.5%を0にする」
工業関係の1.9%などアメリカが1.9%以上、ドル安円高誘導したらパアになってしまう
●経済産業省の試算で自動車、電気電子、機械の3部門だけ取り上げて試算→TPPは、自動車、電気、機械のグローバル(輸出)企業(産業)の利益→トヨタTPPとの言える。
●グローバル輸出競争で低賃金国に対抗→非正規化で賃金引き下げ・内部留保260兆円
グローバル企業は、輸出の稼ぎを内部留保→国内還元しない→内需冷え込み→不況
●日本の貿易の5割以上はアメリカ→アジアにシフト。アジアがそっぽを向くTPP(アメリカ市場)ではなく、興隆するアジア市場こそ大切
●農林水産業4.5兆円、関連産業含め8.4兆円、多面的機能3.7兆円、計12兆円の損失。
●お米90%、豚肉70%、牛乳乳製品56%、牛肉75%、鶏肉20%、鶏卵18%、甘味資源作物100%→食料自給率13%に。
●食品産業は、GDPの全国9.6%、地方での大消費地でも最大産業。
●日本乳業協会会長・森永乳業、日清製粉の慎重発言。
●野菜の関税は5%で影響は小さいといわれているが、他産地の野菜・園芸シフトで過剰生産になる可能性もある。
●牛乳・乳製品もニュージーランド→アメリカ→日本の玉突き現象。
●洪水防止機能67%減、河川流況安定90%減、地下水涵養90%減、土壌保全59%減、とくに中山間地域の国土保全機能が崩壊→国土荒れ放題。
●地域から全階層的なTPP反対の2正面運動を盛り上げる。
●日本農業再生の道筋を明確にする。
●食料問題としてのTPPを訴える。
●世界の穀物在庫率は21世紀に入り基準値18%すれすれにおちる→過剰から不足に転換。新興国の需要増、バイオエタノール原料化の基調に加えて投機マネーの周期的乱入。
●国民一人当たり食料消費支出は長期低落傾向、若い世帯主世帯ほど減り方が激しい。
●牛肉…20代世帯主世帯1人あたり年1.2kg、100g213円。
⇔60代、2.6kg、345円。
●正規から非正規への置き換え、労働分配率の低下→格差社会化
→食の二極化、低価格志向と安全、安心志向、日本型食生活の崩壊。
●若い層から食料消費が減るのを食い止めるためには
人間の食の好みは5~13歳、10代に形成→こどもの舌と胃から
学校給食、食育、地産地消、直売所、アンテナショップの戦力的意義