個性の強い子どもたちを地域で支える会の皆さんが主催する連続講座(3)「豊田市の特別支援教育」に参加
9月29日、個性の強い子どもたちを地域で支える会の皆さんが主催する連続講座の第3回目に参加しました。
テーマは、「豊田市の特別支援教育」で豊田市教育委員会学校教育課の野田靖さんが講義をしてくださいました。
講義のあとには、参加者の皆さんと意見交換の時間もありました。
さまざまなしくみや制度があっても、まだまだ一人ひとりの子どもたちを本当に支援していく体制ではないということが先生のお話やお母さんたちの発言でよくわかりました。
それでも豊田市は、進んでいる方だそうです。
もっと全体をレベルアップさせるためにも国をあげて予算も人もちゃんとつけて真剣に取り組んでいかなければいけないことを痛感しています。
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以下、野田さんの講義の中身です。
特別支援教育の理念は、
障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、そのもてる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は、克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うもの(2007年文部科学省通達)と定められています。
特別な支援を必要とするすべての子どもさんが対象です。
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豊田市の現状(2011年6月に実施した調査)
診断のある児童生徒(発達障がい含むすべての障がい)
1、小学生
○特別支援学級と通常学級で854人
(全体は25390人で3.4%。昨年度は3.7%)
○通常学級のみで552人
(全体は25048人で2.2%。昨年度は2.5%)
(2006年度の調査では、375人。全体は25282人で1.5%)
○総数(特別支援学校含む)996人(3.9%)
2、中学校
○特別支援学級と通常学級で394人
(全体は12497人で3.1%。昨年度は2.7%)
○通常学級のみで238人
(全体は12331人で1.9%。昨年度は1.5%)
(2006年度の調査では、74人。全体は11962人で0.6%)
○総数(特別支援学校含む)481人(3.8%)
豊田市の特別支援学級等の設置状況
(1)特別支援学級数 計148学級(2010年度142学級)
小学校:知的47学級、自閉症・情緒障がい51学級、肢体不自由1学級、 難聴1学級、病弱1学級
在籍児童数342人(2010年度321人)
中学校:知的20学級、自閉症・情緒障がい27学級
在籍生徒数166人(2010年度159人)
(2)通級指導教室(2011年度)(2010年度より2校新設)
小学校6校 55人(2010年度 60人)
(言語障がい1、情緒障がい2、自閉症1、ADHD2)
中学校1校 12人(2010年度 8人)
(情緒障がい1)
※小中とも、自校または巡回方式(7人の通級の先生がいる)
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豊田市のおもな取組み
○特別支援教育連携協議会・・・2007年8月から設置。25人の委員で構成
○特別支援教育コーディネーター・・・学校ごとにいる。「豊田市特別支援教育の手引き」より
○特別支援教育校内委員会・・・校内の支援体制、開催例の提示等
○個別の教育支援計画・・・個別の指導計画
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○特別支援教育連携協議会
小中学校(義務教育期間)の障がいのある子どもたちが関わる団体や関係機関が集まって、「各学校の支援体制の整備」、「地域の協力体制の構築」を推進する。現在、25人の委員で構成。年2回開催(7月、1月)。
※毎年、重点項目を定めて取り組んでいる。
→校内委員会開催例作成(2008年度)
→園と小学校の引継ぎ書様式作成(2009年度)
☆子ども園さんが必要だと思ったら作成する
→「一人一人がいきる特別支援教育I~IV発行」
→「指導教材や指導法の蓄積」
→保護者や地域への特別支援教育の啓発推進
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○特別支援教育コーディネーター
校内委員会の開催、保護者の相談窓口、担任への支援、校内及び関係機関との連絡調整、保護者・地域への啓発
【校内でのコーディネーターの立場】(2011年度)
教務主任31名
教頭21名
校務主任3名
主幹教諭1名
通級担当2名
教育相談主任3名
養護教諭3名
生徒指導主事1名
通常学級副担任1名
(ここまでが担当なしで66名)
通常学級担任8名
特別支援学級担任27名
(担任をしている人が35名)
☆学校だよりなどで、特別支援教育をしています。コーディネーターは、○○先生です。でも誰にでも相談してください、と広報している学校もある。
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○特別支援教育校内委員会(メンバーは学校にまかされている)
対象児童生徒にどのような支援が必要かを協議
・2008年度末発行
「一人一人がいきる特別支援教育II」
「豊田市特別支援教育校内委員会」開催例
・校内の支援を必要とする子の把握と経過観察
・2009年度末発行
「一人一人がいきる特別支援教育III」
「校内委員会の取組み先進校」の配布
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○個別の教育支援計画(各学校がつくる)
・児童・生徒記録(障がいの程度や支援等の累積)
・個別の指導計画(実態に即した目標、方法、手だて、評価等)
・個人カルテ(発達の様子を実態把握する補助資料)
※いずれも、保護者と面談等をしながら、ともに作成することが望ましい(現実はそうなっていないことも少なくないようです)。
※個別の指導計画の書き方については、市教育委員会主催の研修会等で伝達
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豊田市就学相談会
障がいのある(あるいは疑いのある)子ども一人一人に応じた就学支援を進めるために、就学前の子どもと保護者を対象にした相談会。年2回(6月、9月)に実施している。
相談員:学識経験者、特別支援学校教員
豊田市就学支援担当者会
小中学校の就学支援担当者を対象に、就学支援にかかわる研修と、就学にかかわる手続き、特別支援学級新設・増設等の連絡調整を行っている。
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教員等の研修
特別支援教育にかかわる研修を行い、教員等の資質や力量の向上を図っている。
・特別支援学級担当教員等初心者研修会
・特別支援学級担当教員等研修会
・管理運営研修会(教頭先生などに研修)
・特別支援教育コーディネーター研修会(今年で4回やっている)
・ブロック別特別支援教育コーディネーター研修会(102項を地域ごとに14ブロックにし、ブロックごとに先生が集まってコーディネーターが学びあう研修)
・学級運営補助指導員研修会
・パルクとよた現職研修(臨床心理士、大学の先生など呼んで行う。今年度多かったのは発達障がいの研修。虐待の問題の研修を行う学校もある)
・パルクとよた月例セミナー(ホームページで情報提供。今度は、定員80名で子どもへの接し方というセミナーをやる)
・その他(県教育委員会関連研修等)
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学級運営補助指導員
・特別支援教育支援員
国の予算措置 1校あたり1名 約360億円
・豊田市の配置人数
※豊田市は、国の予算の交付対象ではない。豊田市独自の予算でやっている。102校のうち複数配置の学校もある。
2006年度末 77人
2007年度末 87人
2008年度末 124人
2009年度末 133人
2010年度末 145人
2011年度9月現在147人
※学級運営補助指導員は、たとえば車いすの子どもさんを支援したり、学級で外に出て行ってしまう子の対応などしている。
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豊田市巡回相談訪問
・小中学校の要請に基づき、三好養護、豊田養護、こども発達センター、パルクとよたの教員や臨床心理士等の専門家で構成した相談チームが支援を行う。
2010年度の数字
豊田市巡回 35校 37回の実施
愛知県巡回 39校 42回の実施
巡回相談訪問を利用した学校 小学校48校/75校 中学校19校/26校
2010年度から、豊田養護学校と連携して、肢体不自由児童生徒への巡回相談も実施。(小学校16校、中学校4校)
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教育介護ボランティアの派遣
肢体不自由等の障がいのある児童生徒の校外の学校行事(修学旅行、宿泊学習、社会見学等)に、中京大学、愛知みずほ大学と連携し、介護や支援のための学生ボランティアを派遣。
豊田市社会福祉協議会、豊田市教育センター学生ボランティア事業とも連携
2010年度
小学校14校 中学校10校 のべ31名を派遣
おもな派遣行事
修学旅行、六所山キャンプ、遠足、自然教室(スキー、海)、職場体験学習
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特別支援学校間交流タクシー利用事業
豊田市内の特別支援学級間で交流を図るために、その移動手段としてタクシーの利用代金を補助する。
各校1回の利用が原則であるが、予算内なら複数回利用もできる。
平成22年度 45校 47回実施
おもな交流内容
トヨタの森、昭和の森で交流や自然観察
校内探検、うどん作り、お楽しみ会、クリスマス会
お茶つみ体験、ホテルのレストランでバイキングマナー体験
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豊田市教育研究会特別教育支援部会の取組み
・ふれあいキャンプ 7月6日~7日 24校158名が参加
・豊田市内中学校の特別支援学級の生徒が、六所山で1泊2日のキャンプを行い交流を深める。カートインドッグ、キャンドルサービス、仲間作りゲーム等
・なかよし運動会 9月15日 小学校57校327名
中学校25校159名
元城小学校3、5年生73名
豊田養護学校小学部児童
豊田市内の小中学校の特別支援学級の児童生徒と豊田養護小学部の児童、元城小学校通常学級の児童が参加し、競技を通じて交流を図る。
・実践集「豊田の特別支援教育」の発行・・・ブロック別のコーディネーター研修会のまとめ
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特別支援教育の今後の課題
・特別支援教育の理念の浸透
・校内での支援体制の強化
・保護者との連携
名古屋港・南・瑞穂地区委員会で貧困ビジネス問題で相談会
豊田市での講座が終わってすぐに高速道路で港区に行きました。名古屋港・南・瑞穂地区委員会で貧困ビジネス問題で相談会です。
狭い部屋にもかかわらず、家賃は、生活保護基準の限度いっぱいの家賃。ご飯は食べても食べなくても食費が取られます。光熱費は使っても使わなくても1律に取られます。入居者の皆さんの手元にのこるお金はごくわずか。これでは、人間らしい暮らしとは言えません。役所に入居を誘導した方々も少なくありません。
お一人お一人の希望にそって支援をしていくことになりました。
こうした貧困ビジネスをなくしていくためもがんばりたいと思います。
長久手町、瀬戸市で活動
相談会が終わるとすぐに長久手町へ行き、原田秀俊長久手町議と活動させていただきました。訪問した方は、野田新政権の原発を再稼動させようという動きや社会保障の改悪の動きに「どうして!」と怒ってみえました。
原田町議は、日本共産党ができた当時から関東大震災などで救援復興にがんばってきた89年の歴史などを語り、私も野田新政権が原発再稼動などに動く背景などお話しました。
「やっぱり日本共産党が大きくならないとだめね。何ができるかわかりませんが、がんばってみます」と心よく入党してくださいました。とっても素敵な方でとてもうれしいです。私たちも元気をいただきました。
瀬戸市へ移動して、Tさんと活動しました。原発ゼロの署名をやっていただいたり、生活相談をしたりしました。「瀬戸市に引っ越してきてから難しい手続きばかりで困っています」という方を支援していくことになりました。