9月19日、「設楽ダム建設中止愛知県民会議」結成集会に参加し、発言させていただきました。
「環境破壊・財政破綻を引き起こす“ムダで無理”な公共事業中止の圧倒的世論をつくり、負の財産を次世代に残さぬため、幅広い県民の連帯と共同をめざす」声明を採択しました。
「設楽ダムの建設中止!名古屋の会」の丸山悦子共同代表が、主催者を代表し「あらゆる権利を行使して世論を形成し、ダム反対の運動を前進させよう」と呼びかけました。
「設楽ダムの建設中止を求める会」の市野和夫代表が基調報告。
▽東三河地域の水供給態勢はすでに整っている
▽洪水被害はダム以外の対策が有効
▽設楽ダムは豊川から三河湾までの環境を壊す▽必要のない事業に建設費2070億円と周辺対策費約1000億円をつぎ込み、次世代に巨額の借金を残す
などを明らかにしました。
「設楽町の『いま』そして『未来』のトークも行われ、「ダムに反対するためにも、環境保全、農業振興など持続可能な地域づくりが大切だ」などの意見が出されました。
当日の発言内容(概要)
私の発言は、以下の通りです。
皆さん、こんにちは。お話しする機会をあたえていただき、本当にありがとうございます。日本共産党のもとむら伸子と申します。よろしくお願いいたします。
設楽ダムの問題では、日ごろから皆様にさまざま教えていただき、本当にありがとうございます。
ダムを含めて公共事業と環境というテーマをいただきました、2点、お話したいと思います。
1つ目、設楽ダムの問題です。私は、設楽ダムをどうしてもやめさせたいとこだわって取り組んでおります。
私が、最初に設楽ダムの問題に携わるようになったのは、当時参議院議員だった八田ひろ子の秘書だったときに、設楽ダム建設反対の立場から国会ではじめて質問をしたんですが、その質問準備に携わったことからスタートしました。中心は2002年でしたが、2001年も国会質問で取り上げています。
設楽ダム建設予定地には何度もうかがっております。私にとって、設楽の自然は愛知の宝物です。だからどうしても守りたいと思っています。私が1歳のときに設楽町へ申し入れがあった設楽ダム計画。私が子どもの頃から先輩方が反対の声をあげ、がんばってこられました。(設楽ダムを中止させるために運動してこられ)亡くなった方もみえます。そういう方々の思いに応えるためにも、今、絶対につくらせてはいけない、と思っています。
設楽ダムの環境問題ですが、先ほども先生からお話がありましたが、あの不十分な環境影響評価書でも設楽ダム建設予定地のまわりには、5782種の動植物(動物4028種、植物1754種)が生息していることが確認されています。菌などいれればもっとたくさんの種類。
重要だと人間が勝手に言っている動植物だけでも181種あり、そのなかで設楽ダムの建設によって、「生息地の消失、改変に伴い、生息環境の多くが生息に適さなくなる」あるいは「生息が確認された個体の多くが消失する」動植物が30種あることが指摘されています。そのなかにネコギギがいるわけです。
今年の10月には、愛知県でCOP10が開催されます。こういう地域を大規模に開発する、世界でもこの地域にしかいない、近い将来、絶滅の危険性が高いネコギギもダムサイトの地域が最大の生息地、そこを壊して設楽ダムを建設することは、生物多様性の保全に逆行し、ホスト国にふさわしい政策をとるべきです。
三河湾への環境影響も重大です。
愛知県漁連、三谷漁協、野間漁協など漁業に携わる組合長さんたちとも懇談を重ねてきました。設楽ダムができると愛知の漁業の生命線である六条潟が破壊されるんじゃないか、愛知県内の漁業関係者の皆さんは本当に心配されています。愛知県内の漁業の経営は大変になっていますが、アサリは後継者がいる分野です。奇跡の干潟、六条潟を守るためにも愛知の漁業を守るやめにもがんばりたいと思っています。
今年4月20日には、日本共産党の市田忠義書記局長が参議院環境委員会で設楽ダムの問題を取り上げました。環境大臣にたいして、設楽ダムの目的はことごとく崩れている、環境破壊が明らかな設楽ダムは中止せよと国土交通大臣に言うべきだと質問しました。
環境大臣は「市田委員のご指摘というようなことであれば、検討させていただきたい」との答弁をしました。また、ネコギギの保全対策についても「検討したい」と答弁させました。
環境大臣もかわり、新内閣になって、三井建設出身の方が国土交通大臣になりましたけれども、新内閣のもとで、新たなアクションを起さなければならないと思っています。
設楽ダム中止をさせるために引き続き党として役割を果たせるようにがんばりたいと思っています。
今、設楽ダムは再検証のダムということになっています。
7月16日に有識者会議の中間取りまとめ案が出され、どういう風にダムを見直していくのかという基準の案がだされています。
先生方もご指摘のように、中間取りまとめ案では、検証を行うのは、中部整備局が主体となってやるんだ、となっています。これで本当に科学的、客観的な見直し、再検証が行われるのか、大変疑問に思っています。
現在の利水計画、治水計画を見直すのかも不透明です。
パブリックコメントも私も提出させていただきましたが、この見直しにもがんばりたいと思います。
もうひとつは、設楽ダムは、「生活再建工事」の段階で「転流工」の段階にはいかないんだ、と政府は言っていますが、前原大臣がそういった(09年10月9日、12月25日)以降も、設楽ダム工事事務所の入札、契約状況をみてみると、ダムをつくることを前提とした付替え道路の設計や用地調査、測量などが次々と契約し続けています。ダムをやめればムダになる予算執行や入札契約はやめるべきです。
大きな2つ目、公共事業と環境の問題ですが、私たちは、私たち自身の生存基盤、生態系を守るために、環境破壊を引き起こすような大規模開発をやめるべきだと考えています。
そのためにも環境アセスメントの制度の改善が必要です。設楽ダムなら国土交通省が環境影響評価を行いますが、本来は、事業者から独立した第三者による環境アセスに変えていかなければいけない、そして住民参加、情報公開がしっかりと保障され、環境、生態系を守るための代替案も検討することを義務付ける。原発なども例外にしないで評価の対象とすべきだと考えています。
今は、設楽ダムなら環境アセスをダムの事業者である国土交通省がやっています。そういうなかで、ネコギギでいえば、「いであ」という民間環境ビジネス会社が調査・研究をおこなっています。
この「いであ」という会社は、沖縄でも辺野古の海のジュゴンの調査をおこなっています。そこでは、辺野古の海にいるジュゴンをヘリコプターでおいまわして、辺野古の海から追い出す。ジュゴンを辺野古の海から追い出しておいて、辺野古にジュゴンは生息していないから、米軍基地を埋め立ててつくってもいいんだという結論を導き出すような調査をおこなっている会社です。
こんなやり方は改めるべきです。
来年の愛知県知事選挙、県会議員選挙があります。
今、愛知県議会には、設楽ダム反対の立場で質問する人がひとりもおりません。こういう県議会を変えていくためにも全力をあげていきたいと思っています。
設楽ダム中止をさせるためにご一緒にがんばりましょう。ありがとうございました。