もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

9月12日、介護現場での労災問題で、当事者のTさんと瀬古ゆき子元衆議院議員が国会に来られ、厚生労働省からの聞き取りと要請を行いました。

カテゴリー:

 

9月12日、介護現場での労災問題で、当事者のTさんと瀬古ゆき子元衆議院議員が国会に来られ、厚生労働省からの聞き取りと要請を行いました。
 当事者のTさんは、おしめなどが入った20キロ以上と思われるごみ袋を
高齢者の方々の朝食前に処理しなければならず、走り回らなければなりませんでした。
そんな中で倒れたほうきが原因で、激しくしりもちをつくような「カエル座り」の形で転倒し、今も痛みなどが残り、その転倒の前までは、元気だったのに、歩くこともつえをつきながら歩かざるを得ず、大変になってしまいました。
それなのに労働災害と認められず、裁判でたたかうことになりました。
 Tさんは、「コンバインにもトラクターにものっていた。55歳の骨と言われていた。それなのにこんな悲しい人生はありません。」と「みなさんにこんな思いをさせないようにしてほしい」と語りました。
以下、項目ごとに聞き取り内容、要請と回答の概略を記します。
🔷① 「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」の徹底
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10178.html 
厚生労働省は、徹底するようにしていきたいとの述べました。
さらに、2026年4月から施行予定の改定労働安全衛生法のなかで、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、作業管理などの必要な措置を講ずることが事業者の努力義務になったことも述べました。
🔷➁ 「若い人が募集しても来ない」問題、高年齢労働者の非正規、低賃金問題
 介護施設の高齢者就労を考える三重県連絡会(代表 瀬古由起子さん)の三重県内の介護施設の調査では、高齢者を採用する理由として
「若い人が募集してもこない」44%
「高齢者を介護するのには高齢者の心がつかみやすい」15%
「非正規で雇用できる」29%
「賃金が安く雇用できる」8%
「その他」3%
の結果になっています。若い人に就職してもらうためには、処遇改善は最重要の課題です。
厚生労働省は、処遇改善をしていく方向性は述べました。
私も今年の予算委員会分科会で厚生労働大臣に、医療、介護、障がい福祉の労働者の賃上げ率が他の産業と比べて一番悪い問題を質問で取り上げましたが、
「骨太方針」2025では、「介護・障害福祉分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善や業務負担軽減等の実現に取り組むとともに、これまでの処遇改善等の実態を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討する。」と書かれたことの回答がありました。
全産業とくらべての介護職員の賃金は、低いわけですから、全産業を上回る賃上げを求めました。
🔷③ 高年齢労働者にたいし事故や病気への配慮など特別な対策
🔷④ 高齢者の体力低下と労災認定。高齢者の重量取り扱いなど労基法の改正が必要ではないか。
 厚生労働省は、“貴重なご意見として持ち帰って共有する”と回答しました。
 重いものを持つ基準として労基法に、18歳以上の場合は、継続した作業は20キログラム、断続する作業は30キログラムとあります。若手と高齢者で同じ基準で本当に良いのでしょうか?
9月8日、「第1回高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会」が開催されているのに、そのことは何も回答のなかにはありませんでした。
🔷⑤ 労災事故当日でなく数日後に痛み出るケースも多くあること、画像所見偏重の改善など専門家も含めて労災認定に新しい知見に基づいた検討を行うべきこと。
 厚生労働省からは、被災状況など個々の事案にたいし個別に判断していくこと、レントゲンなどの画像がなくても判断しているケースも少なくないことなど回答がありました。
🔷⑥ 介護報酬の引き上げで人を増やし、余裕のある介護ができるようにすること、介護ロボ導入支援
 厚生労働省は、上記➁の骨太方針のことを話しました。
また、2024年度補正で介護テクノロジー導入支援事業で200億円計上したことなど述べました。
🔷⑦ 労災認定訴訟まで行わなければならないTさんへの過酷な負担を検討し、高齢者に寄り添った労災認定に立ち返るべきこと。
 厚生労働省は、個別事件に関する回答は避けました。
================
Tさんの大変な負傷が労働災害だと認められるように、そして、安心して働ける環境をつくっていくために、引き続き力を合わせていきたいと思います。
 大変ななか、国会まで、本当にお疲れ様でした)m>)m>

© 2010 - 2025 もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)