院内集会「海外の取り組みから学ぶ 子どもへの性暴力防止の動き」に参加しました。
Be Brave Japan、一般社団法人spring、日本キリスト教婦人矯風会の皆様はじめ性暴力被害当事者の方々、支援者の方々、性暴力根絶、被害者支援に取りくむ7団体の皆様が共催で、アメリカ、英国・スコットランド、フランスから4人の方々を呼んでくださり、超党派の議員も参加しての非常に重要な集会を開いてくださいました。
性犯罪の公訴時効撤廃の動き
性暴力を受けた子どもの回復支援の仕組み
当事者の声を政策に反映させる“サバイバー評議会”
などのお話がありました。
叔父から定期的に性的虐待をされたマシュー・マクバリッシュさん(英国・スコットランド)は、性的搾取や性的虐待からの子どもの保護に関する条約の締約国委員会である欧州評議会「ランソローテ委員会」のメンバーです。
マシューさんは、子ども期に受けた性暴力、性虐待の公訴時効を撤廃することは、次の性暴力被害者を生まないためにも重要であると強調されました。
そして、男性サバイバーは、自分が経験した虐待を話すことができるようになるまで50歳すぎまでかかるとのアメリカとドイツの調査について話され、加害者が70代、80代になったとしても子どもたちと接触しているのであれば、依然として脅威であり、ジャニー喜多川氏の性暴力に対する国連人権理事会の調査では、70代になっても少年たちに性的虐待を続けていたことが明らかにされました。
公訴時効によって、加害者が一度も罪に問われたことがない場合、子どもへの性犯罪者の多くは、性暴力を止めることが難しい問題についてもお話されました。
マシューさんは、性犯罪の公訴時効撤廃のためにロンドンから徒歩で出発し、EU各国の首都まで歩き、2年がかりで話をしてまわりました。実際に撤廃する国々が出てきました。
そして、欧州評議会は今年6月、全ての被害者が司法にアクセスできるようにするための最も直接的な行動として、公訴時効の撤廃を強調する決定的な文書を公表しました。
ダイアナ・スムートさん(アメリカ)は、テキサス州ダラスでの子ども支援センターの最高教育訓練責任者で、センターについてお話くださいました。
センターは、性虐待被害を受けた子どもたちの聞き取り、診察、心のケア、さまざまな支援をワンストップで対応しています。個別のニーズに応える施設として機能し、家族もケアするそうです。
被害を受けた子どもさんが、何度も同じことを聞かれることなく、各専門分野のチームを代表した専門性のある中立的な第三者の面接官による司法面接も行っていることが話されました。
ダラスの子ども支援センターが被害を受けた子どものメンタルヘルスや身体の健康に関わる機会を増やすことで、薬物使用や自傷行為にはしる子どもの割合が減っているといった実例が紹介されました。
120人のスタッフと300人のパートナーがおり、23億円の予算で運営。サービスは無料で行われているそうです。
(ダラスは150万人とのこと。)ダラスのセンターは最大級とのですが、大小合わせて1000カ所くらいアメリカには子ども支援センターがあるそうです。
日本には2カ所・・・。
ミエ・コヒヤマさん(フランス)は、幼少期の性的暴力のサバイバーで、2013年、時効期間内に加害者を訴えることができない抑圧された記憶を認めるよう、フランス最高裁に上告。性犯罪の公訴時効撤廃、子どもへの性暴力の終焉などを求めて活動されている方です。世界各国で「サバイバー評議会」をつくり、被害当事者であるサバイバーの経験、深く理解していることを生かして、効果をあげていくことの必要性を語られました。
被害当事者の声を政策に反映させる「サバイバー評議会」を世界で唯一設置しているドイツの取り組みについて話されました。
ファシリテーターは、幼少期の性的虐待のサバイバー(苦しみを生き延びた人)グループ「ブレイブ・ムーブメント」の共同設立者、ボブ・シリングさん(アメリカ)でした。国際刑事警察機構(インターポール)で、子どもに対する犯罪の問題に責任ある部署で活躍してきた方です。
ボブ・シリングさんは、性暴力は個人の感情を深く傷つけ、「被害者の多くはさまざまな理由で被害届を出していない」と指摘。「法律をつくる立場の人たちは、言葉にできない犯罪被害に苦しんでいる人々の声に耳を傾けるときだ」と述べました。
貴重な学ぶ場を準備、企画してくださった皆様に心からの敬意と感謝を申し上げます。