もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」のテレビ中継を観て黙祷しました

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2022年8月6日の「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」は、NHKのテレビ中継を観て、黙祷しました。
広島市長の「平和宣言」、こども代表の「平和への誓い」、広島県知事のあいさつは、それぞれ大事な論点がありました。
全部を投稿したいと思います。
 
写真は、広島県のTwitterのものです。
 
特に、昨年もそうでしたが、広島県知事の「核抑止力論」への反論は力強く、広島から世界的論戦に挑んでいると感じました。核兵器禁止条約第一回締約国会議の「ウィーン宣言」も踏まえていました。
広島出身の岸田首相のあいさつは、前の首相、その前の首相のあいさつよりは少しはましかもしれません。
しかし、歴代首相と同じように核兵器禁止条約には一言も触れず、落胆させました。
 
ロシア・プーチン大統領が核兵器の使用を示唆し、「核抑止力論」では核兵器の脅威はなくならないことははっきりしています。
そのことを踏まえ、唯一の戦争被爆国である日本こそ被爆者の方々の魂の訴えでつくられた核兵器禁止条約に批准し、説得力をもって核兵器をなくす先頭にたつべきです。
 
 
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【広島市長 平和宣言】
「母は私の憧れで、優しく大切に育ててくれました。そう語る、当時、16歳の女性は、母の心尽くしのお弁当を持って家を出たあの日の朝が、最後の別れになるとは、思いもしませんでした。77年前の夏、何の前触れもなく、人類に向けて初めての核兵器が投下され、炸裂したのがあの日の朝です。広島駅付近にいた女性は、凄まじい光と共にドーンという爆風に背中から吹き飛ばされ意識を失いました。意識が戻り、まだ火がくすぶる市内を母を捜してさまよい歩く中で目にしたのは、真っ黒に焦げたおびただしい数の遺体。その中には、立ったままで牛の首にしがみついて黒焦げになった遺体や、潮の満ち引きでぷかぷか移動しながら浮いている遺体もあり、あの日の朝に日常が一変した光景を地獄絵図だったと振り返ります。
ロシアによるウクライナ侵攻では、国民の生命と財産を守る為政者が国民を戦争の道具として使い、他国の罪のない市民の命や日常を奪っています。そして、世界中で、核兵器による抑止力なくして平和は維持できないという考えが勢いを増しています。これらは、これまでの戦争体験から、核兵器のない平和な世界の実現を目指すこととした人類の決意に背くことではないでしょうか。武力によらずに平和を維持する理想を追求することを放棄し、現状やむなしとすることは、人類の存続を危うくすることにほかなりません。過ちをこれ以上繰り返してはなりません。とりわけ、為政者に核のボタンを預けるということは、1945年8月6日の地獄絵図の再現を許すことであり、人類を核の脅威にさらし続けるものです。一刻も早く全ての核のボタンを無用のものにしなくてはなりません。
また、他者を威嚇し、その存在をも否定するという行動をしてまで自分中心の考えを貫くことが許されてよいのでしょうか。私たちは、今改めて、『戦争と平和』で知られるロシアの文豪トルストイが残した「他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない。他人の幸福の中にこそ、自分の幸福もあるのだ」という言葉をかみ締めるべきです。
今年初めに、核兵器保有5か国は「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」「NPT(核兵器不拡散条約)の義務を果たしていく」という声明を発表しました。それにもかかわらず、それを着実に履行しようとしないばかりか、核兵器を使う可能性を示唆した国があります。なぜなのでしょうか。今、核保有国がとるべき行動は、核兵器のない世界を夢物語にすることなく、その実現に向け、国家間に信頼の橋を架け、一歩を踏み出すことであるはずです。核保有国の為政者は、こうした行動を決意するためにも、是非とも被爆地を訪れ、核兵器を使用した際の結末を直視すべきです。そして、国民の生命と財産を守るためには、核兵器を無くすこと以外に根本的な解決策は見いだせないことを確信していただきたい。とりわけ、来年、ここ広島で開催されるG7サミットに出席する為政者には、このことを強く期待します。
広島は、被爆者の平和への願いを原点に、また、核兵器廃絶に生涯を捧げられた坪井直氏の「ネバーギブアップ」の精神を受け継ぎ、核兵器廃絶の道のりがどんなに険しいとしても、その実現を目指し続けます。
世界で8,200の平和都市のネットワークへと発展した平和首長会議は、今年、第10回総会を広島で開催します。総会では、市民一人一人が「幸せに暮らすためには、戦争や武力紛争がなく、また、生命を危険にさらす社会的な差別がないことが大切である」という思いを共有する市民社会の実現を目指します。その上で、平和を願う加盟都市との連携を強化し、あらゆる暴力を否定する「平和文化」を振興します。平和首長会議は、為政者が核抑止力に依存することなく、対話を通じた外交政策を目指すことを後押しします。
今年6月に開催された核兵器禁止条約の第1回締約国会議では、ロシアの侵攻がある中、核兵器の脅威を断固として拒否する宣言が行われました。また、核兵器に依存している国がオブザーバー参加する中で、核兵器禁止条約がNPTに貢献し、補完するものであることも強調されました。日本政府には、こうしたことを踏まえ、まずはNPT再検討会議での橋渡し役を果たすとともに、次回の締約国会議に是非とも参加し、一刻も早く締約国となり、核兵器廃絶に向けた動きを後押しすることを強く求めます。
また、平均年齢が84歳を超え、心身に悪影響を及ぼす放射線により、生活面で様々な苦しみを抱える多くの被爆者の苦悩に寄り添い、被爆者支援策を充実することを強く求めます。
本日、被爆77周年の平和記念式典に当たり、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げるとともに、核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、被爆地長崎、そして思いを同じくする世界の人々と共に力を尽くすことを誓います。
令和4年(2022年)8月6日
広島市長 松井 一實」
 
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【こども代表 平和への誓い】
「あなたにとって、大切な人は誰ですか。
家族、友だち、先生。
私たちには、大切な人がたくさんいます。
大切な人と一緒に過ごす。笑い合う。
そんな当たり前の日常はとても幸せです。
昭和20年(1 9 4 5年) 8月6日 午前8時1 5分。
道に転がる死体。
死体で埋め尽くされた川。「水をくれ。」「水をください。」という声。
大切な人を一瞬で亡くし、当たり前の日常や未来が突然奪われました。
あれから7 7年経ちました。
今この瞬間も、日常を奪われている人たちが世界にはいます。
戦争は、昔のことではないのです。
自分が優位に立ち、自分の考えを押し通すこと、それは、強さとは言えません。
本当の強さとは、違いを認め、相手を受け入れること、思いやりの心をもち、相手を理解しようとすることです。
本当の強さをもてば、戦争は起こらないはずです。
過去に起こったことを変えることはできません。
しかし、未来は創ることができます。
悲しみを受け止め、立ち上がった被爆者は、私たちのために、平和な広島を創ってくれました。
今度は私たちの番です。
被爆者の声を聞き、思いを想像すること。
その思いをたくさんの人に伝えること。
そして、自分も周りの人も大切にし、互いに助け合うこと。
世界中の人の目に、平和な景色が映し出される未来を創るため、私たちは、行動していくことを誓います。
令和4年(2022年)8月6日
こども代表
広島市立織町小学校6年 バルバラ・アレックス
広島市立中島小学校6年 山崎 鈴」
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【広島知事 あいさつ】
 「本日、被爆77年を迎えるに当たり、原爆犠牲者の御霊(みたま)に、広島県民を代表して、謹んで哀悼の誠を捧げます。
 そして、今なお、後遺症で苦しんでおられる被爆者や、御遺族の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 あの時、川土手で、真っ赤に燃え盛る空の下、中学生らしい黒い人形の様な人達がたくさんころがっていた。「お母さん」。その声もだんだん小さくなり、やがて息絶えていった。
 生き延びても、孤児となった子どもは、転々と身を寄せた家に居場所もなく、廊下に風呂敷を置いて着替え場所とし、被爆者の病気はうつるなど、差別に苦しんだ。
 被爆者が、人生をかけてまで核兵器の廃絶を訴え続けるのは、人間らしく死ぬことも、人間らしく生きることも許さない、この原爆の、核兵器使用の現実を心と体に刻みつけているからです。
 その思いが原動力となり、今年6月、核兵器禁止条約第1回締約国会議が開催されました。被爆者の切実な思いが、世界をもう一歩前に進めた瞬間でした。
 他方で、東欧では侵略戦争が勃発し、あまつさえその侵略国は、核兵器の使用も辞さないとあからさまな脅しを世界にかけるばかりか、当事者でない国の人々さえ、身を守るためには核兵器が必要だ、と言い始めています。
 我々の多くが、侵略者の脅しが単なる虚勢ではなく、実際に核兵器が使用される危険として認識したのではないでしょうか。
 つまり、核兵器は、現実の、今そこにある危機なのです。
 ウクライナ侵略で世界が突然変わった訳ではありません。世界の長い歴史の中で、理不尽で大量の死を招く暴力は、悪により、しかし、時に正義の衣をかぶりながら、連綿と繰り返されてきました。現在の民主国家と言われる国でさえ完全に無縁とは言いにくいかもしれません。
 人間の合理性には限界があるという保守的な見方をすれば、この歴史の事実を直視し、これからもこの人間の性(さが)から逃れられないことを前提としなければなりません。
 しかしながら、力には力で対抗するしかない、という現実主義者は、なぜか核兵器について、肝心なところは、指導者は合理的な判断のもと「使わないだろう」というフィクションたる抑止論に依拠しています。本当は、核兵器が存在する限り、人類を滅亡させる力を使ってしまう指導者が出てきかねないという現実を直視すべきです。
 今後、再度、誰かがこの人間の逃れられない性に根差す行動を取ろうとするとき、人類全体、さらには地球全体を破滅へと追いやる手段を手放しておくことこそが、現実を直視した上で求められる知恵と行動ではないでしょうか。
 実際、ウクライナはいわばこの核抑止論の犠牲者です。今後繰り返されうる対立の中で、核抑止そのものが破られる前に手を打たなければなりません。
 地球温暖化は200年、パンデミックは2年超かけて、人類の持続可能性に疑義を突き付けました。核兵器は、誰かがボタンを押せば、人類の持続可能性は30分かもしれません。
 核兵器廃絶は、人類の持続可能性のために最も喫緊の課題であることを認識し、最後の核弾頭が解体・破壊され、この地球上から核兵器が完全になくなるまで休むことなく全力を尽くすことを改めてここに誓い、平和へのメッセージといたします。
令和4年8月6日
広島県知事 湯崎英彦」
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