10月1日、三重県松阪市飯高地域から多気郡大台町にかけて計画されている国内最大規模の巨大風力発電所計画の現地調査に久松倫生松阪市議、殿村峰代松阪市議とともに行きました。
(仮称)三重松阪蓮(はちす)ウィンドファーム発電所計画は、事業実施想定区域は約7434ヘクタール、発電所総出力は最大25万1000キロワットにも及びます。最大60機ですが、1機の大きさも大変大きなものが計画されているようです。青山高原風力発電所が高さ75メートルだとすると、松阪蓮ウィンドファームは183メートルにもなることが想定されます。
事業者は、合同会社三重松阪蓮ウィンドファーム(代表社員は、東京都港区の リニューアブル・ジャパン(株))です。
突然ふってわいてきた巨大開発の計画で住民の皆様方は、情報を収集するために、地域の声を集めるために大変なご苦労をされておられます。
環境影響評価法に基づく「配慮書」が7月30日に出され、8月30日までが意見書の提出期限でした。
「みんなの飯高」の皆様は、地域を分断しないように、一人一人の意見を丁寧に集められ、分析し、結果を発表されておられます。
県内外から737件が託され、計画に「反対」「反対の趣旨」のものの合計は667件で90.5%、質問、要望、中立的な意見が69件で9.4%で、「賛成」は1件。
事業者が公表した「配慮書」もコピーも貸し出しもできず閲覧期間中に閲覧できるだけ。そんな中で、三重県に情報公開請求を行って、自分たちのお金を使って印刷して情報共有をはかる努力をされています。
事業者に色々質問しても、「上に伝えます」というだけで、実質的な回答がない状況です。
ある地区の方は、「「配慮書」は支所にたった1セットきただけ。支所にいけない人だっているのに。期間も限られているし、コピーも貸し出しもない。まずこのあり方がおかしい」と語られましたが、本当にその通りです。情報公開は、国民主権、住民自治、民主主義の基本中の基本です。
また、地権者の方にたいし、いい加減な説明で、事業計画認定申請に必要な【賃貸/譲渡】証明書にサインと押印をさせ、事情を知った地権者の方は後から撤回する事態も出ています。
(↑地権者さんにとって不利益になることも含めて説明する重要事項説明も十分行わないまま、サイン・押印させた【賃貸/譲渡】証明書で経済産業省が認可するのであれば本当におかしいと思います。)
どのくらいの建設残土が出るのか、その残土はどこに埋めるのかもわかっていません。「オオクズレ」という地名があるくらい崩れやすい地盤で、実際に崩れているところがいくつもありました。土砂災害の危険な地域もあります。
本当に地域の住民の皆様の安全は守られるのか、さまざまな疑問が湧いてきます。
低周波、騒音、工事車両による排ガスなどの問題もあります。
「ホットスポットみえ」で示された希少野生動植物主要生育生息地が含まれる地域で、自然環境への甚大な被害をもたらします。
「生物が多様な地域だから引っ越してきた」という方もいらっしゃいました。それが、1キロ先の近いところに巨大風力発電所ができるのです。
9月28日、三重県知事が「事業計画を中止するか、事業実施想定区域の抜本的見直しが必要」という異例の「配慮書」に対する意見を公表しました。
経済産業省資源エネルギー庁は、「配慮書」の次の段階の「方法書」が出された時点で、事業計画認定申請は出せると述べています。
まだ、これから「配慮書」に対する環境大臣意見や経済産業大臣意見が出されることになると思います。
事業者だけでなく、環境大臣や経済産業大臣には、徹底した情報公開と住民の皆様の意見をよく聞くことを求めます。合意と納得がない限り進めてはなりません。
そして、自然環境、生活環境を壊す大規模開発ではない形にするべきです。
お忙しい中、お時間をとっていただき、本当にありがとうございました。
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日本共産党「気候危機を打開する2030戦略」より抜粋
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/09/post-882.html
「■再エネ導入の最大の障害=乱開発をなくすための規制を
再生可能エネルギーの普及の大きな障害になっているのが、メガソーラーや大型風力発電のための乱開発が、森林破壊や土砂崩れ、住環境の悪化や健康被害の危険を広げていることです。目先の利益追求での乱開発・環境破壊を放置するなら、再生可能エネルギーへの大胆な転換を阻害し、気候危機も打開できなくなってしまいます。
二つの方向での解決が必要です。
①環境を守る規制を強化し、乱開発をなくす。
森林法などの現行法は、森林を伐採してメガソーラー発電所をつくるなどの事態を想定していません。環境保全のための森林法改正、土砂崩れの危険性も評価事項に加えるなどアセスメントの改善が必要です。発電開始後も点検を行い、環境破壊や人体への悪影響がある場合には必要な是正措置をとらせます。
環境保全地区と建設可能地区を明確にしたゾーニングを、自治体が住民の参加・合意のもとで行うことも必要です。域外・外国の資本による乱開発を防止することは、利益の地域外への流出を防ぎ、地域のエネルギーであり資源である再生可能エネルギーを、地域の産業として開発し、地域の雇用や需要の創出につなげることにもなります。
②「新たな開発」ではなく、既存の施設・建築物・未利用地などの活用を推進する。
工場の屋根に太陽光パネルを設置して、エネルギー転換とコスト削減を実現した企業も生まれています。欧州では、ほとんどの住宅や建築物に太陽光パネルが設置されている町も多くあります。固定価格買取制度の改善をはじめ、開発の必要がない再生可能エネルギー導入を推進することが必要です。」