もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

衆議院憲法審査会で改憲手続き国民投票法改定案が可決されてしまいました

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 5月6日、衆議院憲法審査会で改憲手続き国民投票法改定案が可決されてしまいました。
 日本共産党は、与党などの提案の原案にも、立憲民主党の修正案にも反対しました。その理由については、以下、赤嶺政賢衆議院議員の反対討論の大要を掲載いたします。
 改憲手続き国民投票法改定案が提出されて3年近く、市民と野党の皆様と安倍・菅政権の改憲の動きは許さないと国会内外で運動をひろげてきました。その運動自体、すごいことです。
 「採決反対」などたくさんのFAXも届いていました。
 本当に悔しい思いです。
 コロナ禍で、深刻な地元を抱えている国会議員。新型コロナ対策に集中するべきときなのに・・・。
 現行法の根本的欠陥を脇において何故、今、採決を強行しなければならなかったのか。

 議論は、11日の衆議院本会議、参議院に続きます。
 嘆いてばかりはいられません。
 自民党などは、この改憲手続き国民投票法改定案が採決されたのだから、今度は、憲法本体の議論、緊急事態条項の議論だ、と主張しています。
 自民党の改憲4項目を絶対に許すわけにはいきません。
 自民党の改憲4項目の危険性を多くの人に知らせ、署名運動など改憲ストップと大きな運動を繰り広げなければなりません。
 次の総選挙で、市民+野党の共闘で、改憲勢力3分の2を絶対に阻止し、各地で勝利して、政権交代でまずは憲法を守る政治(立憲主義)、そして、個人の尊厳を何よりも大事にする政治を実現していく決意です。
 多くの皆様がいっそう力を合わせてくださることを心からお願いいたします。

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【赤嶺政賢衆議院議員の改憲手続き国民投票改定案に対する反対討論】
 私は日本共産党を代表して、与党提出の国民投票法改定案及び修正案に反対の討論を行います。
 与党案に反対する第一の理由は、安倍前首相が2020年と期限を区切って改憲を主張する下で、改憲議論に進む「呼び水」とするために提出されたものだからです。
自民党は、4年前の安倍前首相の号令の下、「改憲4項目」を策定し、これを審査会に提示し、改憲原案のすり合わせをしようと画策しました。野党が「安倍改憲」に反対するもとで、自民党は審査会を動かそうと、突如与党案を持ち出してきたのです。
しかしこの3年間、安倍政権が改憲を叫べば叫ぶほど、「安倍改憲」に反対する国民世論は大きくなりました。安倍氏自身が退陣にあたって「国民世論が十分盛り上がらなかった」と認めた通りです。
 にもかかわらず、菅首相がまた、国民投票法改定案の成立を「改憲4項目」の議論を進める一歩とすると述べていることは看過できません。
国民はいま、憲法改正を政治の優先課題とは考えていません。いま政治がすべきは新型コロナ対策に全力を挙げることであり、改憲を優先する必要は全くありません。
 第二に、与党案は国民投票法がもつ根本的な欠陥を放置していることです。
 現行の国民投票法は最低投票率の問題や、公務員の運動を不当に制限している問題、資金力の多寡によって広告の量が左右される問題など、民意を酌み尽くし、正確に反映させるという点で、重大な欠陥があります。これらの問題は、2007年の法制定時や2014年の改定時にも国会の附帯決議で指摘され、与党も賛成したものです。この根本問題にこそ真摯に向き合うべきであり、これをわきに置いたまま、7項目のみ採決することは許されません。
 さらに、この間の審議で、公選法並びで本当に民意を酌み尽くすことができるのかという問題が浮き彫りになりました。公選法も含め、いまの選挙制度に問題があるということに他なりません。国民の意思を正確に反映する制度のあり方へと抜本的に見直すべきです。
 なお、修正案については、有料広告のあり方などの問題について3年間検討するというものですが、それをもって欠陥を放置したままの与党案を採決してよいということにはなりません。審議は続行すべきです。
 ましてや、この問題を済んだこととして、「改憲4項目」の議論に入ることなど断じて認められません。安倍・菅政権による改憲策動を断固として阻止する決意を申し上げて、反対討論とします。

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私は、採決の前の法案への質疑を行いました。
「現行の改憲手続き国民投票法は、最低投票率もなく、有権者の1割台、2割台の賛成でも改憲案が通ってしまう問題や、公務員、教員の自由な意見表明や国民投票運動を不当に制限していること、資金力によって広告の量が左右される問題など民意を汲みつくすうえで重大な欠陥を持っています。2007年の法成立以来、指摘されてきたこうした根本的欠陥を脇において、法案を採決することは許されません。」と強調しました。
その上で、今回の法案は、公職選挙法改定並びの「投票環境の向上のため」と答弁していますが、本当に投票環境の向上になるのか質しました。
公職選挙法改定と横並びで、投票環境の向上のための法整備と言いますが、本当に向上するのかが問われます。
赤嶺議員が指摘していますが、
2016年、公職選挙法改定がありました。その公職選挙法のもとで、
衆議院選挙では、
◆投票所数 2000年 5万3434か所→ 2017年 4万7741か所
と1割以上減っています。
◆閉鎖時刻を繰上げた投票所数
2000年 4644か所→ 2017年 1万6747か所へと増加。
明らかに投票環境を悪化させ、投票機会を低下させています。
また、提案者は共通投票所をいれることで投票環境が向上すると言いましたが、
共通投票所の実態をみますと、ある町では、7箇所あった投票所を削減し、3つの共通投票所に集約しています。これによって、投票所が遠くなる有権者が生まれるなど、むしろ投票環境を悪化させています。共通投票所の設置を理由に投票所を削減・集約することは、逆に投票環境の悪化にもつながりかねない状況となっています。
提案者の答弁は、結局、自治体まかせ。
予算削減で自治体まかせのもと、投票環境の向上に反する事態が起きていることは大問題です。
また、外資規制についても質しました。
国民投票法のなかで政党は、無料で憲法改定案に対する賛成又は反対の意見を放送、新聞広告できるなど、国民投票運動において特別な位置づけがなされています。そうした政党が、株式の50%以上を外資が占める企業から政治献金を受領し、外国の影響を受けることは問題です。
前回も質問し、提案者は、上場会社の「上場審査基準」があることを一つの理由として、株式の50%以上を外資が占める企業からの政治献金を受領しても、外国の勢力から影響を受けて国益をそこねることはないものと判断したと答弁しました。
しかし、「上場審査基準」は、市場の公正な運営の問題であって、外国の経営支配を直接受けていない証明にはなりません。 
こうした質問をし、あらためて、「公職選挙法ならびだからいいとは言えません。しかも根本的な欠陥は放置されたままです。にもかかわらず、改憲手続き国民投票法案について、菅首相は、改憲議論の『最初の一歩』と言われました。その認識は、まったく思慮を欠いたものと言わざるを得ません。まだまだ審議は尽くされていません。審議を続行すべき」と主張しました。

 

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