もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

リニア問題を質問!

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リニア問題を質問!

①労働者が6カ月以上もまだ入院しているリニア山梨実験線の事故 ――原因究明も再発防止策もできていないのに走行再開はやめるべき!

②静岡県と委員、座長の中立公正ということを合意しておきながら、南アルプストンネル新 設工事や導水路トンネル新設工事など、JR東海から受注をしている大成建設の社外監査役を有識 者会議の委員候補としてあげた国土交通省の不誠実な対応を批判

③今世紀最大の巨大事業リニア――今、立ちどまって、しっかりと事業の検証をするべき

2019年10月、リニア山梨実験線の車両基地で事故が起き、作業員の方々、作業をされておられた方が大けがを負いました。

6カ月以上も入院し続けて、まだ退院もできておらず、いまだその作業をされていた方に聞き取りができず、事故の原因究明も再発防止策もできていないのに、走行を再開しようとしているリニア。本当に異常です!

しかも静岡県の皆様の命の水の問題も何も解決していないのに!

この問題を質問した書き起こしを掲載します。

ご高覧いただければ幸いです。

(大臣がJR東海の社外監査役とあやまって述べたところは、大成建設の社外取締役と訂正してあります。)

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【2020年4月13日 衆議院決算行政監視委員会での質問 書き起こし】

(略)

○もとむら伸子 次に、リニアの問題について伺いたいというふうに思います。 二〇一六年度第二次補正予算、二〇一七年度予 算で、JR東海リニア事業への三兆円もの巨額の 財政投融資が決定をされ、既に三兆円はJR東海 側に行っております。そのリニア事業が今どうなっているかということを議論したいというふうに 思います。 二〇一九年十月、山梨実験線の車両基地で事故が起き、作業員の方々、作業をされておられた方が大けがを負うという事態となりました。心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。まず、事故の状況をお示しをいただきたいと思います。

○水嶋政府参考人(国土交通省)

お答えを申し上げます。 二〇一九年十月七日十六時五分ごろ、山梨県都 留市にあるJR東海山梨リニア実験センターの車 両基地内におきまして、停車中の試験車に搭載されている機器の点検作業中に、その作業を行って いた作業員三名がやけどを負うという事故が発生 をいたしました。 JR東海によりますと、通常、この点検作業を行う前には、断路器と呼ばれる機器により電気回路を遮断し、作業後は電気回路を通電させ、もとの状態に戻すということになっておるのですが、 今回の火災事故は、作業後に電気回路を通電させたところ、何らかの原因により断路器から火花が 発生し、衣服に燃え移ったものと聞いております。 なお、実作業を行っていた一名は現在も入院加療中のため、事故発生当時の状況の詳細な確認がまだ十分に行えておらず、当該作業員の回復を待って、今後更に究明をする予定ということでございます。

○もとむら伸子

改めて確認をしますけれども、事故 の原因究明、検証、再発防止策はできていないということですね。

○水嶋政府参考人(国土交通省)

事故の概要につきましては、 先ほど申し上げたような状況ということでございます。 一番間近で作業をやっておられた方が今まだ入院加療中ということで、詳細の状況の確認がまだできていないということでございますけれども、国土交通省といたしましては、JR東海に引き続き原因究明と再発防止策をしっかりと講じるように指導してまいると考えているところでございます。

○もとむら伸子

事故から六カ月がたっておりますけれども、作業員の方はまだ入院をされております。 それぐらい大けがだということでございます。通常、鉄道事故の場合は運輸安全委員会が調査に入って調べるわけですけれども、今回はしないというふうに言っております。営業線ではないから、実験線だからといいますけれども、しかし、実験線でも人を乗せて走っております。首相も乗っておりますし、外国の要人も乗って走らせているわけでございます。 事故の検証、再発防止策もできていないのに、JR東海は実験線で再び人を乗せてリニアを走行させようというふうにしております。実験線だから第三者の調査はできないというのは理由にならないというふうに思います。事故の原因をJR任せにするのではなく、第三者が調査をする必要があるというふうに思います。 専門家の入った第三者の調査あるいは運輸安全委員会の調査、するべきだというふうに思いますけれども、国土交通大臣、お願いしたいと思いま す。

○赤羽国土交通大臣

まず、申しわけないんですけれども、運輸安全委員会の設置法等で定められた鉄 道事故等に今回のは該当しないということでありまして、運輸安全委員会が調査をすることは行っ ておりませんが、本事故について、現在、JR東 海に対して原因究明を進めるよう国交省として指 示をしていることでありますし、JR東海の調査 結果次第では、必要に応じて技術的な知見を有する第三者による調査を行うことも指示したいと考えております。

○もとむら伸子

ぜひ原因究明をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。 安全は何よりも大事にしなければならない問題 でございます。今も入院をされている状況であり、人の命にかかわる問題です。作業をされる労働者の安全や命は、それは結局、乗客の皆様方の命や安全にかかわる問題だというふうに思います。 少なくとも、事故の検証、原因究明、再発防止 策ができるまで、実験線でのリニアの走行はやめるべきだというふうに思いますけれども、大臣、 お答えいただきたいと思います。

○赤羽国土交通大臣

一般論として、リスク管理は、やはりリスクコミュニケーションというか、正しく認識をして、正しい適切な対応をするということが必要だと思います。ですから、今回の場合は、 走行中に発生したものではないというのは先ほど 局長が答弁をしたとおりでございまして、火花が散った断路器を操作するということは、走行中に今回のように断路器を操作するということはないというのもこれは事実でございます。 また、加えまして、本年春に再開されると予定 しております走行試験に投入される新しい試験車両には、今回使われておりました断路器とは異なるタイプの断路器を搭載するということもしておるところでございます。 当然、走行試験や体験乗車のときに、安全というのはもう大前提でございますので、引き続き、点検作業中の作業員の安全確保に万全を期すよう、また、走行試験とか体験乗車の最中に事故が起きないよう、当然のことながら、JR東海にしっかりと指導してまいりたい、こう考えております。

○もとむら伸子

原因究明もできないのに安全だとは言い切れないからこそ申し上げているわけでござ います。 原因究明、再発防止、これができるまで走行はやめさせるべきだと思いますけれども、もう一度、大臣、お願いしたいと思います。

○赤羽国土交通大臣

私どもは、今回のような同種の事故が走行試験中に発生することはないというふうに報告を受けております。ですから、何というか、ちょっと表現はざっくばらん過ぎるかもしれ ませんが、何もかも危ないということが正しいリスク対応かどうかということを私は冒頭申し上げたつもりでございまして、そういう意味で、科学的には、今回の断路器からの火花が散ったこの事案が、走行試験、体験乗車にいきなり安全を脅かすものというふうには認識をしておりません。 ただ、他方で、当然のことながら、この走行試験、体験乗車でも事故を起こさない、安全に行うということは、これは当然のことでありますので、国交省としてJR東海をしっかりと指導していきたい、こう考えております。

○もとむら伸子

走行すれば作業が必要なわけです。原因究明もできないのにリニアを走行させるのはやめるべきだということを強く求めたいと思います。 このリニアの問題では、今、静岡県で大井川の水が減る問題がございまして、静岡県、そして大井川流域の十市町の皆様方が、命の水の問題だということで声を上げ、JR東海の姿勢を批判をしております。水道用水や農業用水、工業用水などに使われている、地域にとっては死活問題ですから、当然のことだと思います。 国土交通省は、静岡県とJR東海の間に立つということで、有識者会議も設置をするというふうに言われておりますけれども、あくまで国土交通 省は中立的な立場ですねということだけ、まず確認をさせていただきたいと思います。

○水嶋政府参考人(国土交通省)

お答えを申し上げます。 まず、このリニア中央新幹線の工事でございますけれども、これは全国新幹線鉄道整備法の規定 に基づきまして、JR東海を建設主体として指名しているところでございまして、JR東海において、地元自治体等との関係機関と協議をしながら進めてきたところでございます。 国土交通省といたしましては、環境影響評価法 や全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、所管省庁として、鉄道局を中心に必要な手続を進めてきたところでございます。 一方、静岡工区につきましては、静岡県が……(もとむら「済みません、中立かどうかだけお願いします」と呼ぶ)はい。 このプロジェクトにおきまして、国土交通省は、 全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、工事実施 計画を認可したという立場でございまして、工事が円滑に行われているかを常に注視し、必要に応じて助言、調整や指導を行う立場にあると認識をしております。 また、環境影響評価法に基づきまして、主務大臣として、河川水の利用への影響の回避、災害の発生防止及び河川環境への影響の回避等を意見として述べたところでもございます。 いずれにいたしましても、国土交通省としましては、リニアの早期実現と、その建設工事に伴う 環境、水資源の影響の回避、軽減という二つの課題を解決していくことが重要であると考えておりまして、JR東海と静岡県との議論の整理を行い、協議の促進に努めたいと考えているところでござ います。

○もとむら伸子

国土交通省は静岡県と、委員の中立 公正、座長の中立公正ということを合意しておきながら、リニアの受注企業の利害関係者を委員に しようとしておりました。南アルプストンネル新 設工事や静岡県の中の静岡県内導水路トンネル新 設工事など、JR東海から受注をしているJR東 海と利害関係にある大成建設の社外監査役を有識 者会議の委員候補として挙げてきたわけでござい ます。これは、中立公正ではなく、おかしいという声を静岡県が上げたのは当然だというふうに思います。この大成建設の社外監査役というのは、年間一人平均一千四百万円もの多額の報酬を受け取っているわけです。JR東海と大成建設の利害関係者だということでございます。 国土交通省が言っている、別の立場から有識者 会議に参加するということも認められないというふうに静岡県は拒否をしております。静岡県からは、大井川流域の水循環、生態系に詳しい専門家が不足しているということで公募をされ、四月十日に有識者会議の委員候補案が出ております。また、生物多様性の議論をする場所の座長、構成委員案の全員を構成委員名簿として明記することも静岡県は求めております。 加えて、中下流域の水資源への影響が出たときの補償の件は大変重要な案件であるため、影響評価の方法や評価期間等について有識者会議において議論をすることも求めております。また、静岡県以外のほかの地域でもリニア工事等により水資 源に影響が出る可能性があることから、リニア沿線のほかの地域に対しても本県と同一の補償方針を適用することを国土交通省からJR東海に指導していただきたいということも静岡県は言われております。 静岡県は、リニアの駅はできなくて、被害だけを受ける県でございます。被害を受ける静岡県、大井川流域の十市町の皆様方の意見を聞くのは当然だと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

○赤羽国土交通大臣

まず、今回、そもそも、このリニア中央新幹線の静岡工区につきまして、JR東海と静岡県という当事者同士が議論をされていて、 なかなかかみ合っていない状況が見受けられたことから、昨年の秋ごろから国交省としても本格的に調整を開始するという段取りになりました。 そして、ちょっといろいろあったんですけれども、一月十七日に国交省から、専門家等の有識者 から成る会議の設置を提案させていただきました。 この提案に対して、一月三十日に静岡県から、五つの事項の確保を前提として受け入れるとの回答 が示されたわけでございます。 それからも少しいろいろあったんですが、最終的には、静岡県知事から、委員の最終決定権は国交省にある、こういうふうに言われております。 そうしたことから、国交省としても責任を持ちながら、静岡県の御意見も伺いながら、しっかりとメンバーを決めて、早期にこの審議会の立ち上げを進めていかなければいけない、こう考えております。 先ほど、冒頭も言われました大成建設の社外監査役のことなんですけれども、この方は、当初我 々は、この超電導磁気浮上式、このリニア技術の 評価委員長としてこれまでも長年審議にかかわってこられた方であるとか、大変な見識を持たれる立派な専門家であるということで、候補者として選定をさせていただいたわけでございます。 大成建設の社外監査役であって、社外監査役は、法令上、当該会社の違法又は著しく不当な職 務執行を監視するという立場ということから、こうした中立性は損なわないというふうに考えて候 補者にいたしましたが、静岡県からはそこについては異論も言われておりますので、それはしっかりと聞きながら、速やかに委員を決定して、しっかり議論ができるように審議会を立ち上げたい、こう考えておるところでございます。 もちろん、中立性を損なうようなことは考えておりません。

○もとむら伸子

このリニアは今世紀最大の巨大事業 でございます。今立ちどまって、しっかりと事業の検証をするべきだというふうに思いますけれども、大臣、最後に答弁をお願いしたいと思います。

○赤羽国土交通大臣

これは本村さんは一貫して長年、太田大臣のときから質問されていたのを、私も国交委員会の委員として聞いておりました。そうした、皆さんの、関心を持たれている、懸念も持たれているということは承知しながら、太田大臣が当時、環境保全への適切な配慮を求める旨の意見を述べられて、本事業の工事実施計画の認可の際には、一つは地域の理解と協力の獲得、 また二つ目には環境の保全の措置、三つ目には安 全かつ確実な施工を国土交通大臣として求めたところでございますので、こうしたことにたがわないように、しっかりと地元の皆さんの懸念を払拭できるような丁寧なことをしながら、事業としては前に進めさせていただけるように、最大の努力をしていく決意でございます。

○もとむら伸子 リニア事業は立ちどまって検証するべきだということを強く求め、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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