3月19日、衆議院の総務委員会で、NHKの報道の自由が脅かされた問題を質問しました。
かんぽ生命不正販売を行っていた日本郵政グループからの圧力に屈し、NHKクローズアップ現代プラスのかんぽ不正を告発する続編番組の放映を異常なまでに先送りをし、経営委員会も、日本郵政の話をうのみにし、議事録非公開でNHK会長への厳重注意を行っていた問題です。
今回は、この問題の質問の部分のみレポートします。
他にも
◆NHKの内部通報制度、ハラスメント相談対応
◆視覚障がい者もNHKテレビを活用していることを認識し、放送バリアフリー推進を
◆NHKの営業センターで発生した新型コロナウイルス感染症対策
◆インターネット活用業務
も質問しましたが、別に投稿したいと思います。
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スクープがなければ、何もなかったことにされていた
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この一連の問題は、そもそも毎日新聞が、2019年9月26日にスクープしなければ明らかにならなかったのです。
経営委員会は放送法で原則議事録を公開しなければならないのに、いっさい事実を明らかにしようとしませんでした。何を議論したかさえも秘密にされていたのです。
本当に重大な問題です。
スクープ・報道があり、国会の野党合同ヒアリング、国会質問、総務委員会理事会・理事懇談会でのやり取り、その後の資料提出のなかで、いろいろわかってきました。
その柱をあげると、
①かんぽ不正販売の問題を報じたクローズアップ現代プラスは、
最初の放送2018年4月のあと、2018年8月に放送されようとしていたけれども、ずっと遅れて2019年7月に放送されたこと。続編を放送するのに異常に長い空白期間があったこと。
この長い空白期間の間に、日本郵政がもっているかんぽ生命株を売って4170億円の売却総額を日本郵政が手にしています。
(その後、金融庁、総務省の指導があって、かんぽ不正が大規模に明らかになり、株価は下落)
②この背景には日本郵政グループが、不正販売報道に関わってNHKに対して圧力をかけたこと
③経営委員会の議事録は、原則公開が放送法41条の規定にあるが、非公開となったこと
④経営委員会が、かんぽ不正を報道した番組に関連して、NHK会長に厳重注意したこと
⑤スクープの後、昨年秋に野党は合同ヒアリングを重ねました。
当時「経営委員長代行」だった森下経営委員長は、厳重注意をした経営委員会で、放送の中身は話していない、と私たちに言っていたのに、実際は、経営委員会で、放送の中身、取材方法まで話し、批判もしていました。
そのことは、この3月12日木曜日にNHK経営委員会が国会議員に出した資料で「オープン・ジャーナリズムというが、インターネットの情報は偏っているので、作り方に問題があるのではないか」など番組の作り方まで批判し、放送法3条、32条(※)に反する事態に経営委員会がなっていたこと。
⑥国会・国会議員にたいし、欺くような回答をNHK経営委員会がしていたということ。
(※)放送法
◆「(放送番組編集の自由)
第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」
◆「第三十二条 (経営)委員は、この法律又はこの法律に基づく命令に別段の定めがある場合を除き、個別の放送番組の編集その他の協会の業務を執行することができない。
2 (経営)委員は、個別の放送番組の編集について、第三条の規定に抵触する行為をしてはならない。」
◆「(議事録の公表)
第四十一条 委員長は、経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表しなければならない。」
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再度のスクープ――番組内容、作り方まで経営委員会が議論していたことが明らかに
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2020年3月2日の毎日新聞の再度のスクープがありました。
2018年10月23日の当時の上田NHK会長を厳重注意した経営委員会で、委員長代行だった森下氏が、「番組の作り方に問題があった」と発言していたことが報じられました。この報道を受けて、改めて野党が国会質問で会議録の公開を求めました。
これを受けてやっと、ついこの間、2020年3月12日に「郵政3社からの申し入れに関する経営委員会での対応の経緯について(案)」が経営委員会から国会議員に提出されました。
そこには、誰が発言したかは書いていませんが、「オープン・ジャーナリズムというが、インターネットの情報は偏っているので、作り方に問題があるのではないか」と書いてあります。この発言は、森下氏の発言と報道されており、確認の質問をしましたが、森下経営委員長は、「非公表を前提とした意見交換でございますので、誰が何を発言したのか、具体的なやりとりを公表することは差し控えさせていただきます」と答弁。
私は、「法令違反もあったかんぽ不正の問題を報道した、その報道の自由が脅かされた重大事態。NHK会長への厳重注意という重大な決定をしている、その議論の経過を明らかにするのは当たり前。少なくとも森下経営委員長が当時の経営委員会で何を発言したのか明らかにするのは当然」と質問。
森下経営委員長は、「非公表を前提とした意見交換での個別の発言につきましては、自由な意見交換に支障が出るので公表はしないことを経営委員会で申し合わせておりますので、先ほどお答えさせていただきましたように、具体的なやりとりを公表することは差し控えさせていただきます。」とあくまで非公表の答弁でした(怒)。
さらに、森下氏は、経緯を確認するために番組について議論したと答弁していますが、「つくり方に問題があるのではないか」との発言は、経緯を議論したというものではなく、評価ではないか、と質問。
森下経営委員長は、「一八年十月の経営委員会では、ガバナンスの議論の前提といたしまして、郵政三社からの書状に記載されている経緯、文書には公式ツイッターの動画が書かれておりますが、それにあわせて十月の番組、それから公式ツイッターの動画について意見交換や感想を述べ合ったものでございます。 ただ、放送法三十二条の規定のとおり、経営委員会は個別の番組の編集に関与できないことは十分認識しておりますが、その意見交換の中で四月の番組、公式ツイッターの動画についていろいろ出た意見に対しまして、経営委員が番組編集に介入したのではないかと疑念を持たれてしまったことにつきましては反省しております。」と答弁しました。
実質的に「評価」をしているのに、「感想」などと言葉をすり替えて、法違反じゃないと言い張っている答弁でした。
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経営委員会で番組内容は話していないとウソをいい、議事概要にも記載なし
あくまで議事録公表を拒否するNHK経営委員長
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放送内容や放送の作り方を批判していた資料をずっと隠していたのはなぜか。
森下氏は、番組については話していない、とずっと野党合同ヒアリングでも話していました。
番組のことを話していたことが明らかになるのを恐れて、資料に出さず、隠してきたのではないかと質問。
森下氏は、「番組の編集の自由を損なうような話はしていないという趣旨でお話をいたしました。説明不足だった点についてはおわびをいたします。」と答弁。
私は、「なぜ隠していたのか、何で話していないとうそをついたのか、なぜ資料も出さなかったのか、ずっと隠していたのか。隠さなければいけないという事実があったと疑うのは当然。 経営委員会が番組の評価なども行って、放送法に違反するような議論をしていた、そのことが明らかになるのが不都合だったんじゃないか」と質し、本論はガバナンスというなら議事録を出すように求めました。
森下経営委員長は、「非公表を前提とした議論でございますので、議事録の公表については控えさせていただきますということを経営委員会の総意として決めております。
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議事録も公開しないNHK会長への厳重注意は白紙撤回を!
経営委員長辞任を求める声を重く受け止めよ!
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加えて、「議事録も公開できないようなNHK会長への厳重注意に正当性はない。2018年10月23日に行われたNHK会長への厳重注意は白紙撤回するべき」「森下経営委員長の辞任を求める声が、市民の皆様、市民団体の皆様から出ております。重く受けとめるべきだ」と述べました。