4月9日の衆院総務委員会で、一連の統計不正問題をめぐる検証や再発防止について、西村清彦統計委員長に質問しました。
2016年の繊維流通統計調査不正を受けての2017年の総務省の一斉点検で、毎月勤労統計や賃金構造基本統計の不正が見抜けなかったと指摘し、その反省の上に、現在進行している統計委員会の点検検証部会の検証では
(1)十分な人材育成、統計の職員体制
(2)管理者による統計の重要性の深い認識に基づくチェック
(3)十分な遵法意識、適切な行政文書の管理
(4)踏み込んだ外部からのチェック
などについて「詳細なチェックをする体制が必要だ」と主張。
西村委員長は「2017年でああいうことが起こったにもかかわらず、それが全くその後にプラスの影響を持ってこなかったというのは非常に遺憾でありますし、私としてもじくじたる思いであります。」と述べ、今回の点検検証部会では、「性悪説に立った検査、つまり、我々が検察官のようになるということもあるんですが、そのためには、人員と時間というのが恐ろしくかかりますので、それはやはり、ちょっと基本的には無理だろう。我々がやれるのは、我々のこの範囲の中で最善のことをやっていくという形になる」と答弁しました。
また、経済統計学会が声明で、
「今回の労働統計を中心とする統計不正は、単なる調査技術上の問題にとどまるような性格のものではない。それは、統計の真実性の確保という、統計再建にあたって掲げた所期の目的を達成すべく設計された法制度の仕組みそれ自体の存立基盤を覆すものであり、わが国の公的統計、ひいては日本という国の有り方そのものを根底から揺るがしかねない問題に他ならない」と深い懸念を表明しています。
あわせて、「今回の統計不正が、2000年代初頭のいわゆる『三位一体改革』以来の統計職員並びに統計予算の削減をその一因としていることは想像に難くない。また、調査の企画・実施者内の制度的な意思疎通の齟齬も影響しているのではないかと考える。これらの問題を含めて、文字通りの第三者の立場が確保された組織による、徹底した原因究明が行われることを求める次第である」と指摘していることを紹介し、毎月勤労統計不正の原因としてあげられている「統計職員並びに統計予算の削減」「調査の企画・実施者内の制度的な意思疎通の齟齬(そご)」について、「どう究明するのか」と質問。
西村委員長は「経済統計学会の声明は重い」として「統計委員会のやれる範囲を広げやっていきたい」と答えました。