10月26日、衆議院国土交通委員会で、JR東海・リニアへ財政投融資3兆円投入のための仕組みをつくる法案(鉄道運輸機構法改定案)の質疑、反対討論を行いました。
実質審議は、この日が初めて。
安全性、採算性、技術面、自然環境、生活環境など問題が山積しているのに、午前中の参考人、午後の法案審議で採決してしまいました(採決の様子は写真でご覧ください)。
法案は、国が財投債という国債を発行して資金を調達し、その財政投融資の資金をいったん鉄道運輸機構に貸し、そのあとJR東海に貸す仕組みをつくるために鉄道運輸機構の業務にJR東海・リニアへの貸し付け業務を加えるという内容です。
建設費9兆円以上の今世紀最大の事業であるリニアの問題が初めて国会の議題になった法案審議、しかも問題が多い法案の審議をたった一日で終わらせてしまったことに強く抗議します。
朝から傍聴にきてくださった方々の監視によって、緊張感ある委員会となりました(寝ていた与党議員も複数いましたが)。
やはり、国民・住民の皆様の国会への監視が大事だと痛感しました。
来てくださった皆様に心からの敬意と感謝を申し上げます。
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【参考人質疑】
午前中の参考人質疑では清水忠史衆議院議員が質問しました。
橋山禮次郎アラバマ大学名誉教授も指摘されたように、今までリニアは、国会での採決や閣議決定もなく進められてきた決定過程に瑕疵がある計画です。
橋山先生は、リニアは採算性にも問題があり、需要予測も問題があることを指摘。リニア本格工事着手直前の現段階でいったん中断し、JR北海道やJR四国などのもともと採算がとれないように国鉄分割民営化させられた問題を直視し、国会で1~2年かけて日本の鉄道の長期的あり方を検討するべきだという言葉は、本当にその通りだと思いました。
リニア推進で交通政策審議会鉄道部会中央新幹線小委員会のメンバーでもあった竹内健蔵東京女子大学教授が、建設費用の増減や需要の増減のチェックが必要だと認めたこと、JR東海に情報公開を求めたことも印象に残りました。
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【もとむら質問①鉄道運輸機構にJR東海の償還確実性など厳格な審査はできない】
私の質問は、安倍首相が、志位和夫委員長の本会議質問にたいし、「今般の貸し付けに際しては、貸付主体となる鉄道・運輸機構において、償還確実性に関する審査を行うとともに、貸し付け後も定期的に会社の財務状況の確認等をしてまいります」と答えたことに関連し、そもそも鉄道運輸機構はJR東海の償還確実性を厳格に審査することができるのか問いました。
鉄道運輸機構からJR東海に、JR東海から鉄道運輸機構に出向などの人事交流がある問題を追及。
鉄道局長答弁でも、鉄道運輸機構とJR東海は人事交流し、ずぶずぶの関係であることがはっきりしました。
(国交省提出資料では、直近5年間で、JR東海→鉄道運輸機構17名 鉄道運輸機構→JR東海中央新幹線建設部副長が歴代ポストとしてあてがわれ6名)
今回の法案の仕組みは初めてやることで、「とってつけたスキームで、3兆円貸し付けるのにいい加減すぎる」と批判しました。
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【もとむら質問②南アルプスの自然を守れ!労働者保護をないがしろにするな!公共工事品質確保法の適用を】
静岡県側からあがった、実際に見た南アルプスは、写真や言葉では語りつくせないほどの壮大な自然で、この南アルプスの壮大な自然を壊して、トンネルでぶち抜くなんていう発想がなぜできるのか、そもそも国やJR東海の見識・倫理観を疑いました。
おごりの象徴であると思いました。
静岡県内のこの南アルプスの区域には、700人の労働者が働くことになるそうです。
その宿舎の予定地は、土砂崩れがあり、深層崩壊したような地形で、今にも土砂災害が発生しそうなところでした。
あまりにも人命軽視ではないか、リニアは働く人が犠牲になるのではないかということも大変心配になりました。
質問ではそのことを述べ、鉄道運輸機構の事前の審査やモニタリングの際、リニア工事について、◆ダンピングがないように、◆下請たたきがないように、◆実際に仕事をした人がまともな労働条件が確保されないことがないように、労働者が社会保険に入ることなど公共工事質確保品法の適用があるのかと質問しました。
鉄道局長から、すぐに答えられないので、あとで回答する旨答弁がありました(今のところ回答は来ていません 10月26日21:28現在)。
労災ゼロ、過労死ゼロも当然であること、◆リニアはトンネルが86%、じん肺にならないような労働安全衛生がしっかりとなされること、◆足場を組む場合は、公共事業なみに安全にすること、宿舎の安全確保、◆ダンプも過積載など法令違反を元請けなどによって強要されることがないようにすることなど求めました。
JR東海がコストを抑えようと働く人たちや下請け中小業者が犠牲になることは絶対に防がなければなりません!!!
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【もとむら質問③公的資金を入れるのに情報は非開示】
また、JR東海発注のリニア工事の契約金額が非公表とされているのは、「情報公開の徹底」を強調する政府方針にも反すると批判した上で、審査に必要な情報が、JR東海から提出されるのかと重ねて追及しました。
鉄道局長は、「必要があれば判断する」などと述べ、審査の仕組みが定まっていない内実が浮き彫りになりました。
さらに、リニアへの公的資金投入の背景に、自民党が参院選で「超低金利活用型財政投融資」を今後5年間30兆円規模で行うとした公約を紹介。
「1990年代後半、『第2の予算』と呼ばれた大型開発事業への財投資金投入を復活させる、リニアをその先駆けにするのではないか」と質しました。
石井啓一国土交通大臣は、「財投全体の在り方は財務省に」と答弁を避けました。
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【もとむら質問④リニア用地取得・工事進まず】
品川―名古屋のリニア沿線1都6県の用地手六の進捗状況について質問。
鉄道局長は「今後実施する測量によって決まっていく」と答弁。
さらに名古屋市と瑞浪市の党地方議員団の報告を示し、名古屋市では用地取得はゼロ進捗で、現在測量段階であること、岐阜県瑞浪市でも区分地上権の数が不明で交渉は未着手であることを示し、報道では工事が進んでいるかのように宣伝していますが、実際はほとんど進んでいないことを明らかにしました。
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【もとむら質問⑤山梨県南アルプス市など沿線住民の皆さんの悲痛な声】
山梨県南アルプス市では、集落の真ん中をリニアがぶった切ります。
頭上35メートルの高架橋がかかり、一日上下20本のリニアが走行する予定です。JR東海は、そこに住む方々に相談もなく、勝手に線を引くというやり方です。
南アルプス市の宮沢地区では、意見書を添えた署名を地域の95%の方から集め、JR東海に提出し、隣の戸田地区ともにJR東海の説明ややり方に納得いかないと、事業説明会を拒否しています。
住民の皆さんからは、
「突然線を引かれずっと悩んでいる。騒音、振動、電磁波など本当に大丈夫か」
「狭い地域で、肩寄せ合って暮らしてきた大好きな所。そんな思いをまったく無視して本当に許せない」など悲痛な声を紹介。
日本国憲法の生存権、人格権、幸福追求権を一方的に侵害していると厳しく批判し、石井啓一国土交通大臣に直接現地にいって、住民の皆さんの声を聞くべきだと迫りました。
石井国土交通大臣は、「地域の近いと協力が不可欠。丁寧に説明するよう指導監督していく」と答弁しました。
私は1時間の質問時間をもらいましたが、時間が足りず、準備していた内容を残してしまいました。それだけリニアの問題は多岐にわたるのです。
法案は、衆議院本会議の採決にかかり、その後、参議院でのたたかいになります。
引き続き、リニアの問題を追及していきたいと思います。