8月9日、ロッテルダム地域を北海の高潮から守るために建設された可動堰であるマエスラント・ケーリングを訪れ、お話を伺いました。
干拓で国土を広げてきたオランダは国土の4分の1が海抜0メートル以下。
江戸時代の治水工事にオランダの技術が生かされてきたそうです。
1953年に大暴風雨に伴う高潮で1800人以上が亡くなり、オランダ政府は、河口部を堰で覆う治水工事「デルタ計画」を進め、1997年に、高さ22メートル、長さ210メートルの2つの扇状の可動式水門であるマエスラント・ケーリングを完成させました。
高潮が想定される場合、コンピュータ制御によって自動的に水門を閉じることで水害を防ぐものとなっています。
通常は開けてあり、これまでに実動したのは2007年11月の1回のみとのこと。
年に1回は機能試験のため可動堰を開閉しているそうです。
可動堰の中に水が入る仕組みになっていて、可動堰が閉じた後に入った水の重みで可動堰全体が下に沈みこみ、強度が増すそうです。可動堰は、閉まるまでに約1時間半、沈みこむのに30分かかるとのこと。
両側の扇状の水門の間には隙間があり、そこから水は漏れますが、治水上の問題はようになっているそうです。
建設費は6億6000万ユーロ、年間の維持費は500万ユーロのようです。
日本には津波があり、この可動堰は、津波の強さにも耐えられるか伺うと、強度と高さを上げれば大丈夫と言われました。費用対効果など検証してみなければわかりませんね。
長良川河口堰は閉めっぱなしですが、この可動堰は普段は開いているので、自然への負荷が少ないと思われます。