8月8日、イギリスの地域社会・自治省(国の機関)の職員の方から住宅問題、とりわけ低所得者住宅関係のお話を伺いました。
調査に来る前に、ぜひ住宅問題を調査したい!と希望し、セットしていただきました。深く感謝いたします。
イギリスでは、住宅政策をかなり重視しています。
日本でも住環境を重視し、とりわけ低所得の方の地震でつぶれてしまいそうな劣悪な住環境の改善を一刻早く取り組まなければならないと痛感します。
イギリスの2~3年前の世論調査で67%の人が家を所有したいと答え、現在、64%が持ち家になっているそうです。
供給が追いついておらず、2020年までに100万軒の新住宅を供給する計画のようです。
所有よりも社会住宅に目を向けるべきとの声もあるとのこと。
持ち家については Right to Buy (買う権利)を保障するために、公共住宅を個人に売ったり、値引き制度や共同所有制度(自治体と個人など?)があるようです。
そのための支出計画220億ポンド(1ポンド=130円で換算すると約2兆8600億円)を計画しているようです。
入手可能な初めての住宅を40万引き渡すために80億ポンド(1ポンド=130円で換算すると約1兆400億円)を計画。
支援して引き渡すために120億ポンド(1ポンド=130円で換算すると約1兆5600億円)の住宅投資を計画。
日本では、住宅ローン減税ありますが、そういったものはないそうです。ただし、全体の金利を下げる政策のもとでの恩恵はあるとのこと。
(別のところで聞いたのですが、固定資産税もそもそもないそうです。ある方は、固定資産税がないのは貴族のためだと語りました。)
さらに、予算のなかには、ホームレスから卒業するために安い賃貸住宅の予算が1億ポンド(1ポンド=130円で換算すると130億円)、また、野宿を予防したり、減らすために1500万ポンド(1ポンド=130円で換算すると29億5000万円)計上しているそうです。
初めて購入する持ち家(の支援制度)、(地方自治体などとの)共有で購入する持ち家(の支援制度)の案内書を発刊しているそうです。
ロンドンでは、1世帯3万1000ポンド(1ポンド=130円で換算すると約403万円)で低所得と考えるとの説明もありました。
社会住宅には、124万人の待機者がおり、どう優先させるかは地方自治体に権限があるとのこと(こういう点は日本と同じです・・・)。
イギリスでも新自由主義的な社会保障の切り捨てはあり、低所得の方が住む賃貸の社会住宅も2年の期限できって、更新は10年までとなってしまったようです。
イギリスでは、外資系企業も積極的に受け入れ、EU区域内の移民の方が安い労働力として使われている場合が多いようですが、移民、難民の方の住宅はどうなっているのか聞きました。
移民・難民でも自国民でも住宅に差別はないこと、シリア難民の方で社会住宅に入った例もあると話していました。
ただし、社会住宅は、2年間(今後、4年にしようという議論もある)そこに住んでいたということが条件なっているそうで、臨時的な措置だと考えられます。
家賃を補助する住宅給付はあり、日本の国立国会図書館の齋藤順子氏(2013年12月「レファレンス」)によれば、16%をカバーし、対GDP比で1.10%の支出をしているそうです。
ちなみに、今回訪問したイギリスもオランダもドイツも家賃補助があります。
日本でも家賃補助制度をぜひとも実現させたいです!