5月20日、国土交通委員会で、愛知県設楽町の設楽ダム問題を質問しました。
質疑を通じて痛感したことは、ダムにしがみつく勢力はまだまだ強く、いっそう国民的に包囲して、国会内外で力を合わせて、岩をこじあけなければならないということです。
太田大臣は、青少年期、新城市ですごしたそうですが(高校は時習館高校)、設楽ダム建設予定地にはいったことがないそうです。
国土交通省は、ネコギギの移植実験を行っていますが、資料がある2008年度~2014年度分(2014年度分も一部入っていない部分があります)だけでも約8億7000万円。
ネコギギ移植実験の結果についても現在、
2007年100匹放流→0匹
2008年20匹放流→269日後に3匹→その後は何匹に?という調査報告なし
2009年40匹放流→190日後に0匹
2013年37匹放流→555日後に4匹→その後は何匹に?という調査報告なし
とても成功しているといえない実態です(局長は、成功しつつあるみたいな答弁をしていましたが・・・)。
愛知県で2010年、生物多様性条約締約国会議がありましたが、生物多様性の保全、「生物多様性の現在の損失速度を顕著に減少させる」ということが目標とされているなかで、そのホスト国、ホスト県である、国と愛知県が率先して、生物多様性の象徴である、絶滅危惧?B類であるネコギギの棲息地域に壊滅的な打撃をあたえるということが許されるはずがありません。ネコギギが棲める生態系全体を守るべき!
ネコギギが守られる保障がない中で、現地では工事用道路などどんどんすすめているが、いったん立ち止まって、見直すべきと質問しました。
太田大臣に聞いたのですが、局長が答えるのみでした。
設楽ダムの目的のなかで、一番多い容量を占めるのが正常な機能の維持容量です。
有効貯水容量9200万トンのうち、流水の正常な機能の維持容量は6000万トンで65%を占めています。
豊川上流のダムのない貴重な自然環境を設楽ダム建設で壊して、導水路で、すでにダムなどの構造物で環境が破壊されている宇連川にもってくることを「流水の正常の機能の維持」というのはおかしいとの問いにも、太田大臣は、ダムが必要だと強弁するのみでした。
また、大野頭首工の直下に水を流したいのであればたとえば、毎秒1.3㎥を大野頭首工で取水せずに魚道に流し、牟婁松原頭首工経由で森岡導水路を活用して、豊川用水東部幹線に流せば、設楽ダムと無関係に流水の正常機能の維持流量が確保できる、市民団体の皆さんもこうした提案をしています。
大臣、こうした提案に耳を傾け、縦割りではなく、水利権をもっている関係者、関係省庁で調整しながら、検討するべきではないかと質問しました。
太田大臣は、事業を着実にすすめることが地元の声にこたえることになると述べ、ダム建設を続ける態度をとりました。
引き続き、ネコギギやクマタカ、アサリのわく三河湾の環境問題、「流水の正常な機能の維持」問題、利水問題、治水問題、地盤問題などなど指摘し、設楽ダムを中止に追い込むために全力を尽くします!!!
以下、会議録を掲載
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。よろしくお願いを申し上げます。
きょうは、愛知県の設楽町に建設が計画をされております国土交通省中部地方整備局の直轄ダム、最大の直轄ダムである設楽ダム事業について質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、資料の一、パネルをこちらに持っておりますけれども、このダムというのは、豊川河口から七十キロの上流の地点につくられようとしております。
この愛知県東三河というのは太田大臣のふるさとでもあるというふうに思いますけれども、太田大臣はこの設楽ダムの建設予定地に行かれたことがございますでしょうか。
○太田国務大臣 私は、予定地そのものに足を運んだことはありません。
しかしながら、私はこの地域で生まれ育ち、新城市というところで生まれたわけですが、ダムがつくられる寒狭川で魚をとったり、あるいはアユをとったり、あるいは湯谷に行ったりとかいうことで、この辺については大変私は詳しいと思います。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。そういう大臣と議論ができるということは大変ありがたいことだというふうに思っております。
資料の二枚目、パネルの方も見ていただきたいんですけれども、大臣もこういう環境を見たことがあるというふうに思いますけれども、大変美しい自然環境が残った地域でございます。この自然環境を壊してダムをつくろうとしているわけですけれども、この設楽ダム事業の総事業費、水源地域の対策事業も含めてお示しいただきたいというふうに思います。
また、水源地域対策事業を含めて、国の負担、愛知県の負担、設楽町の負担、下流の市町村の自治体の負担額をそれぞれお示しいただきたいと思います。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
設楽ダム建設事業の基本計画におきまして、総事業費は約二千七十億円、うち、国の負担額は約一千二百七十三億円となっております。また、愛知県の負担額は、治水及びかんがい分として約五百六十九億円、それから愛知県企業庁の上水道分として約二百二十八億円、合わせますと、愛知県の負担額は約七百九十七億円となっております。
○北村(匡)政府参考人 水源地域整備事業について御説明いたします。
平成二十一年に決定をいたしました水源地域整備計画では、水源地域整備事業の総額は約五百六十億円としております。
国、愛知県、関係自治体の負担額につきましては、この計画を決定するに当たりまして、国の負担額を二百七億円、愛知県の負担額を二百六十五億円、設楽町の負担額を八十七億円と想定をいたした上で、設楽町の負担額の八割、約六十九億円をダム下流の関係自治体が負担するということとされております。
○本村(伸)委員 丸めて言わせていただきますと、大体、総事業費、水源地域対策事業も含めまして約三千億円だと。そして、愛知県民の皆さんの負担は一千四百億円ということに私どもは認識をしております。
二〇一〇年の十一月二十六日からスタートをいたしました、国土交通省中部地方整備局が開催をいたしました検討の場では、もっと予算が膨れるのではないかということも言われておりましたので、総事業費というのはもっと膨れる可能性もあるわけでございます。
物すごい金額で、これから人口減少だ、国、地方、巨額の借金を持っている、これから団塊の世代が高齢期に本格的に入る中で医療や介護や年金やそういったところに予算をもっと振り向けなければならないというときに、四十年以上も前の計画であるこの設楽ダム事業を進めようとしているということに対して、私は大変強い疑問を持っております。
このパネル、皆さんの資料の二になりますけれども、見ていただいてもわかりますように、この設楽ダムの現地というのは、私も何度も訪問をさせていただいております。この間の日曜日と月曜日にも調査に行ってまいりましたけれども、愛知県の一級河川の上流の中で唯一ダムがない地域で、美しい貴重な自然環境が残っている地域でございます。この設楽の自然というのは、私たち愛知県民、私にとっては本当に愛知の宝物だというふうに思っております。
きょうは環境省さんにも来ていただいておりますけれども、この設楽ダムの建設予定地には何種類ぐらいの動植物がいて、何種類ぐらいの重要と言われる生物が、動植物が生息していると環境影響評価書で書かれていますでしょうか。
また、とりわけ、国の天然記念物で、環境省と愛知県のレッドデータブックの中でも絶滅危惧1のB類とされておりますネコギギについてですけれども、ネコギギはこういう魚でございます。これは大きい写真ですけれども、本来は十三センチぐらいのかわいい魚でございます。
この国の天然記念物のネコギギについて、建設予定地がネコギギの生息域にとってどのくらい重要な場所であると認識しているかという点と、ネコギギの生息域が何ふちあって、何ふちが改変されるのか。そして、環境アセスの評価書の中ではどういう対策をとるべきだと書かれているのか、二〇〇七年四月十九日の環境大臣の意見も踏まえてお答えをいただきたいと思います。
○小林政府参考人 設楽ダムの環境影響評価書の内容に基づいてお答えをさせていただきます。
平成十九年二月に国土交通省の中部地方整備局から提出されました設楽ダム建設事業環境影響評価書におきまして、同地方整備局の調査した動植物の分類を足し合わせてまいりますと、事業実施区域、またはその周辺地域も含むのでございますが、調査範囲内に五千七百八十二種の動植物が生息するというように記述されております。
また、そのうち調査予測の対象となった重要な種は百八十一種というようにされているところでございます。
また、ネコギギについてのお尋ねでございました。これも、今申しました環境影響評価書によりますと、調査範囲内でネコギギが確認されたふちは五十三カ所である。そのうち、この対象事業の実施によりまして十八カ所が改変されるというようにされているところでございます。
この平成十九年の環境影響評価に関します環境大臣意見といたしましては、この計画の実施により、豊川上流に生息するネコギギの重要な生息域のうち、事業実施区域における生息域を消失させる影響があるということから、移殖が事業者において検討されております。現段階ではネコギギの移殖に関する知見及び移殖の事例は少なく、措置の効果に係る知見が十分に得られているとは言えないことから、移殖については十分慎重に実施するとともに、事後調査を行い、移殖した個体群が安定して生息していることを専門家の意見を聞くなどにより確認することなどの措置を講じる必要があるということを申し上げたところでございます。
○本村(伸)委員 この設楽ダム事業で、ネコギギの生息地域として把握をされていた五十三ふちの中で、十八カ所が改変されてしまう、すむところを失ってしまうということも指摘をされているわけです。
先ほど移殖実験のお話もありましたけれども、国土交通省さんにお伺いをしたいんですけれども、この間、ネコギギの移殖実験で使った予算についてお示しください。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
ネコギギの生息環境ですとかあるいは飼育環境に関する調査、移殖実験等の費用につきましては、平成二十年度から二十六年度までの間に実施したもののうち、業務が完了しているものの総額は約八・七億円となっております。
○本村(伸)委員 八・七億円、資料があるだけでということですから、それ以外の年もまだあるわけでございます。
もう一問お伺いしますけれども、ネコギギの移殖実験は成功しているのでしょうか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
ネコギギにつきましては、環境影響評価のための調査で把握いたしました生息地五十三カ所のうち、本事業により改変される十八カ所のネコギギを生息適地に移殖することとしております。ネコギギに関する知見が少ないことから、移殖や生息環境の整備のための放流実験に取り組んでいるところでございます。
これまでに、実験放流用に三百八十四個体を飼育繁殖し、二百七十七個体の実験放流を行いました。平成十九年に放流した百個体は、約十カ月後に一個体を確認、平成二十年に二回に分けて放流した百個体は、二回目の放流から約九カ月後に三個体を確認、平成二十一年度に放流した四十個体は、約半年後に一個体を確認という結果を得ております。
これらの実験の結果、出水時に流速が速くならないふちがネコギギにとって適地であることがわかったことから、平成二十五年度には、新たなふちで、環境改善を行った上で放流実験を行いました。
実験放流いたしましたネコギギの確認調査につきましては、ネコギギが夜行性であること、それからネコギギは横穴に隠れている魚であることなどから、全数を確認することは困難です。例えば、天然個体のネコギギをマーキングして約一年半後に確認調査を実施した場合の再確認率は約六%です。
そのような中で、平成二十五年三月に実験放流いたしました三十七個体につきましては、約一年半後の調査で四個体につきまして生息を目視で確認、すなわち再確認率約一〇%となっておりまして、出水期二シーズンを超えたことも確認いたしました。
国土交通省といたしましては、これまでの移殖実験の結果につきまして、ネコギギの移殖が保全措置として有効である可能性を示していると考えております。
今後とも、専門家の指導助言を得ながら移殖実験に取り組み、ネコギギに与える影響をできる限り回避、低減するよう努めてまいります。
○本村(伸)委員 先ほどもありましたように、七年間で八億七千万円以上使ったわけですけれども、きょう資料三というものをお示ししております。
その資料を見ていただきますと、二〇〇七年に百匹放流をした、三百十九日後にはゼロ匹になった。二〇〇八年、二十匹放流して、二百六十九日後に三匹になっている。その後、その三匹はどうなったかは何も調査をしていない。二〇〇九年、四十匹放流をしまして、百九十日後にゼロ匹になった。二〇一三年、三十七匹放流をしまして、昨年の九月、五百五十五日後に四匹確認をしたけれども、その後、その四匹はどうなったのかということについては何も調査をしていないということだというふうに思います。
この結果を見てみましても、どう見ても成功しているということは言えないというふうに思います。ネコギギが生息し続けることができる生態系が守られる保証がどこにもないというふうに思います。
愛知県は、二〇一〇年に生物多様性条約締約国会議というものが開かれました。この生物多様性条約というものは、生物多様性の保全、そして生物多様性の現在の損失速度を顕著に減少させるということが目標とされております。そのホスト国、ホスト県である国と愛知県が率先して、生物多様性の象徴である、絶滅危惧1のB類であるネコギギの生息地域に壊滅的に打撃を与えるということが許されるはずがないというふうに思います。ネコギギがすむことができる生態系全体を守るべきだというふうに思います。
この貴重なネコギギが守られる、国土交通省のパンフレットの中にも、世代をわたってネコギギがすめるような環境をと書いてございます。そういう保証がない中で、設楽ダム事業をどんどん進めるというのは、今、工事用の道路など現地では進んでおりますけれども、どんどん工事を進めるというのはやはりおかしいというふうに思います。一旦立ちどまって見直すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
豊川流域におきましては、水害がしばしば発生するとともに、渇水が頻発している状況にありまして、設楽ダム建設事業は愛知県東部地域にとって治水上、利水上非常に重要な事業です。
ネコギギを含む環境影響評価につきましては、水質や魚類等の分野の七名の学識者から成る委員会を計八回開催し、御意見を伺いながら、平成十九年六月に環境影響評価法に基づく必要な手続を経て評価書を取りまとめました。
この評価書におきまして、ネコギギについては、改変区域内に生息する個体を採集し、生息適地に移殖する等の環境保全措置を実施することとしております。そして、ネコギギも含めまして、動物に係る環境影響が事業者の実行可能な範囲内でできる限り回避、低減されていると判断するとの評価となっております。また、事後調査につきましては、専門家の指導助言を得ながら実施し、その結果は事後調査報告書として公表することとしております。
今後とも、設楽ダム建設事業を進めるに当たりましては、専門家の指導助言を得ながら移殖実験に取り組み、ネコギギに与える影響をできる限り回避、低減するよう努めてまいります。
○本村(伸)委員 環境を破壊するという点で、ネコギギだけではないということも指摘をしておきたいというふうに思います。
一九四一年に設立をされました日本海洋学会海洋環境問題委員会という歴史あるところがあるわけですけれども、そこが二〇〇七年に次のような意見を出しております。
設楽ダムの建設というのは、一つ目に、取水によって内湾の環境形成に本格的なエスチュアリー循環、これは河口部の循環のことですけれども、このエスチュアリー循環の減少をもたらすという点、そして二つ目に、停滞したダム湖の汚濁した底層水と底泥が洪水時に流出することで海に多大な負荷がかかる点、三つ目が、ダム湖の堆砂に伴って海岸侵食を加速し、干潟、浅瀬を消失させる点に関して、三河湾への影響が強く懸念されるというふうに指摘をされ、海までの環境アセスを行うべきだという意見も行っているわけでございます。三河湾までも甚大な影響があるわけです。
きょうは、農水省さんにもこちらに来ていただいておりますけれども、豊川の河口には日本一アサリの稚貝が湧く六条干潟というものがございます。愛知県の漁業にとって、日本の漁業にとって六条干潟が果たしている役割は大変大きいと思いますけれども、農水省さんの認識をお伺いしたいと思います。
○長谷政府参考人 お答えします。
愛知県は平成二十六年で一万六百トンのアサリの漁獲量がありますけれども、これは全国のアサリの漁獲量一万九千三百トンの約五五%を占めて、国内で第一位のアサリ生産県となっております。
三河湾の奥に位置する六条潟では、アサリの稚貝が多く発生することから、愛知県においては、六条潟の稚貝を県内のアサリ漁場に移殖、放流する取り組みが継続的に行われておりまして、平成二十六年には三千八百二十八トンの稚貝が放流されたと承知しております。
○本村(伸)委員 設楽ダムができれば、この六条干潟もだめになってしまう。愛知県の漁業者の皆さんも大変心配しております。愛知の漁業の中で、このアサリというのは愛知の漁業の生命線だとも言われております。そういう意味で、漁業者の皆さんも大変心配をされております。
そもそも、このダムの目的についても少し議論をしたいんですけれども、この設楽ダムの有効貯水量は九千二百万トンでございます。その中で、流水の正常な機能の維持容量は何万トンありますでしょうか。それは有効貯水量の何%に当たるか、お示しいただきたいと思います。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
設楽ダム建設事業の目的は、洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい、上水でございます。
具体的には、洪水調節につきましては、豊川流域の豊橋市、豊川市、新城市の洪水被害の軽減。流水の正常な機能の維持につきましては、下流の既得用水の補給や河川環境の保全。かんがいにつきましては、愛知県東三河地域の農地約一万七千二百ヘクタールに対するかんがい用水の補給。水道につきましては、愛知県東三河地域の水道用水の補給を図ることとしております。
そのうち、流水の正常な機能の維持のための容量、いわゆる不特定容量と申しておりますが、これは六千万立方メートル、有効貯水容量は九千二百万立方メートルでございまして、有効貯水容量に占める不特定容量の割合は約六五%となっております。
○本村(伸)委員 資料の四をごらんいただきたいというふうに思いますけれども、この資料を見ていただいてもわかるように、この設楽ダム事業というのは、流水の正常機能の維持の容量が一番多い目的になっているわけでございます。
国土交通省にお伺いしたいんですけれども、流水の正常機能の維持容量がこんなにも多いダムというのは、全国でどこかありますでしょうか。
○池内政府参考人 まず、先ほど御説明いたしましたように、設楽ダムにおける有効貯水容量に対する不特定容量の割合は約六五%となっておりますが、信濃川水系の三国川の三国川ダムにおきましては、非洪水期において、有効貯水容量に対する不特定容量の割合が約七七%となっておりまして、設楽ダムの割合よりも大きくなっております。
○本村(伸)委員 全国的にもやはり、設楽ダムというのは、ほかに一カ所あるのみということで、大変多い異常なダムだというふうに私は思っております。
国土交通大臣、太田大臣にお伺いをしたいんですけれども、そもそも流水の正常機能というのは、本来、自然の川が流れている、これが一番の流水の正常機能の維持ではないかというふうに思いますけれども、大臣の認識をお伺いいたします。
○池内政府参考人 まず、今委員の方から一カ所というお話がございましたが、一カ所ではございませんで、有効貯水容量に対する不特定容量の割合が設楽ダムより多いダムは、三国川ダム以外にございます。
ただし、ちょっと施設の運用の仕方が、通年において発電のみのために不特定容量の一部を活用することが可能ということで、三国川ダムとは異なった形態でございますが、物理的には不特定容量の割合が設楽ダムより高いダムはございます。
それから、今御指摘の、流水の正常な機能の維持についてお答え申し上げます。
流水の正常な機能を維持するために必要な流量というのは、水利流量、すなわち既得用水の安定的な確保のために必要な流量と、それから、動植物の保護、漁業、景観、流水の清潔の保持、塩害の防止等を考慮して定める維持流量から成る流量でございまして、低水管理上の目標として定める流量でございます。
豊川水系におきましては、過去二十年間に十五回の取水制限が実施されておりまして、全国的に見ても、本当に水不足が頻発しておる地域でございます。
例えば宇連川では、寒狭川からの導水を含めましても、大野頭首工におきまして農業用水などの既得用水の取水にたびたび支障を来すとともに、大野頭首工下流では年間の大半が水がれの状態となっております。
設楽ダム建設事業は、こうした現状に対して、豊川や宇連川におきまして安定した取水を可能にするとともに、河川環境の保全を図るための重要な事業というふうに考えております。
○本村(伸)委員 今も少しお話がありましたように、設楽ダムというのは、豊川、豊川というのは、河口から登っていきますと、東側の宇連川と、西側の寒狭川、豊川の本流ですけれども、寒狭川に分かれるわけでございます。
この寒狭川側は、今は上流というのはダムがないわけですから、自然が残った、生きた川が残っているわけでございます。この川にダムをつくって、そして寒狭川導水路というものがございまして、東側の宇連川に持ってきて水を流すという計画でございます。
本来の川の流水の正常機能というものを壊して、生きている川を壊して、もう既に環境が壊滅的な打撃を受けている、豊川総合用水事業で壊滅的な打撃を受けている宇連川側に水を持ってくるためにダムをつくるという発想自体がおかしいのではないかと思いますけれども、大臣、お願いいたします。
○太田国務大臣 子供のころから豊川というのは、豊かという字とは違って洪水にも随分遭っている地域です。最近も、この二十三年九月にもそういうものがあって、その支流の、私の通っていた中学校の手前の川も氾濫をしたりということもありました。
特に、渇水がずっとここは多いところなんですけれども、二年前は、日本の中で三カ所です。利根川、そしてこの豊川、そして四国の吉野川、早明浦ダムです。随分ここが渇水だ、渇水だということで、何とかならないかということを私は常に思ったのが二年前のことです。
そうしたことの中からこの設楽ダムというのが建設事業が計画されて、そして再度ここを検証作業も行って、これはやるのが適当であるという結論をいただいて、そして、愛知県知事も、関係する市長、町長さん、東栄町であれ、あるいは豊根村という北のところにありますけれども、あるいはこの設楽町、新城市、豊川市、田原町、今は田原市です、蒲郡、豊橋、そして関係するところでは静岡県の湖西市、こういうところからも、早くこれをぜひともやってくれという要望をかなり受けて、そして検証作業を受けて、そしてこれを実施しようということにまとまったというのがこの設楽ダムということの最近までの経過だと私は思います。
この本事業は、治水、利水上重要であるとともに、地元自治体からの推進要望も踏まえて、引き続き着実に事業を進めてまいるということが地元の意見に応えることだと私は思っています。
○本村(伸)委員 治水、利水については、また機会をつくっていただきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。そして、検証の場も、第三者性のない検証の場であったということも申し述べておきたいというふうに思います。
そして、大野頭首工の直下にそんなに水を流したいのであれば、毎秒一・三立方メートルを大野頭首工から取水せずに魚道に流して、牟呂松原頭首工経由で森岡導水路を活用して豊川用水の東部幹線に流せば、設楽ダムと無関係に、国交省の言う流水の正常機能の維持流量が確保できるということを市民団体の皆さんも提案しております。
ぜひこうした提案に耳を傾けていただいて、水利権を持っている方々や関係省庁を調整しながら、建設ありきではなく、本来の流水の正常な機能の維持ができるようにということで検討するべきだと思いますけれども、最後にこの質問に対して答えていただきたいと思います。
○池内政府参考人 このダム、流水の正常な機能の維持というのは、あくまでも既得水利の確保とそれから環境の保全、この二つが目的です。
この地域につきましては、しばしば本当に渇水も頻発しているということでございます。
設楽ダムの不特定容量は、大野頭首工下流の流況を改善するだけでなく、豊川水系における全体の安定した取水を可能にするために必要でございまして、御指摘の方法だけでは安定取水に必要な水を確保できないため、代替案とはならないというふうに考えております。
○本村(伸)委員 貴重な自然環境を残していただきたいということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。