2月12日、衆議院本会議で、安倍首相の「施政方針に関する演説」、岸田外務大臣の 「外交に関する演説」、麻生財務大臣の「財政に関する演説」、甘利国務大臣の「経済に関する演説」がありました。
とりわけ安倍首相の演説の際の自民党議員の熱狂ぶりに恐ろしくなりました。
安倍首相は、小選挙区制度という民意をゆがめる選挙制度のもとでの与党の多数にもかかわらず、「『安定した政治のもとで、この道を更に力強く、前進せよ。』これが総選挙で示された国民の意思であります」と強弁しました。
TPPについては、「最終局面のTPP交渉は、いよいよ出口が見えてまいりました。米国と共に交渉をリードし、早期の交渉妥結を目指します」と述べました。TPPに参加するな!との世論と運動を一層広げていかなければいけないと痛感しました。
「原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原発は、・・・(中略)・・・再稼働を進めます」と原発推進の立場で、福島原発事故で被害を与えたことに何の反省もありません。
「消費税率10%への引上げ」については、2017年4月から「実施します」と述べる一方で、「法人実効税率を2.5%引き下げます。35%近い現行税率を数年で20%台まで引き下げ、国際的に遜色ない水準へと法人税改革を進めてまいります」と述べ、庶民から吸い上げ大企業にまわす姿勢です。
派遣法改悪、残業代をゼロにする労働法制の改悪についても進めることを明言しました。これも法案を出すなと運動を強めなければなりません。
安倍首相は、「私は、女性の力を、強く信じています。家庭で、地域社会で、職場で、それぞれの場で活躍している全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会を創り上げてまいります」と述べました。
愛知県には、自民党の女性の国会議員は一人もいません。比例東海ブロックの女性議員は私ひとりです。言行不一致だと思いました。
また、安倍首相は、「子どもたちの未来が、家庭の経済事業によって左右されるようなことがあってはなりません。子どもの貧困は、頑張れば報われるという真っ当な社会の根幹に関わる深刻な問題です」と述べました。世界一高い大学の学費にしてきたのは、歴代自民党政権とそれを支えてきた安倍晋三氏自身です。本当に腹立たしく思いました。
さらに安倍首相は、「平和国家としての歩みは、これからも決して変わることはありません」とのいつものフレーズを述べ、「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進めてまいります」と集団的自衛権行使容認の閣議決定を具体化する戦争する国づくりを進めようとしています。
加えて、沖縄の皆さんが選挙で繰り返し示した民意を無視して、「名護市辺野古沖への移設を進めてまいります」と強弁しました。
「多くの観光客に東北を訪れていただきたい」と言いながら、国土交通省観光庁の来年度予算案では、東北地域観光復興対策事業の予算案は、今年度比で61%に減らされています。
安倍首相は、憲法についても「憲法改正に向けた国民的な議論を深めていこうではありませんか」と述べ、「『戦後以来の大改革』を、この国会で必ずや成し遂げよう」と呼びかけました。この時、自民党議員の熱を帯びた声と拍手がわき起きました。
主権者が望んでいないことを熱狂で進めようとしていることにものすごい危惧と違和感を覚えた施政方針演説でした。
2月17日には、日本共産党の志位和夫委員長が、衆議院本会議で、この4演説に対する代表質問を行います。テレビでも放映されますので、ぜひご覧ください。