もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
政策

【政策】子どもの成長が喜びあえる、だれもが安心して子育てできる社会をつくります

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子どもの成長が喜びあえる、だれもが安心して子育てできる社会をつくります

2012年11月

 東日本大震災・原発事故による放射能汚染と被害が拡大し、放射能の子どもへの影響に不安が高まるもと、子どもたちの命と健康、希望ある未来を守ろうと、多くの人びとが手をつなぎ、“放射能から子どもを守れ”“原発再稼動反対”とたちあがっています。原発に固執し原発再稼動をすすめる民主党や自民党、公明党などの原発推進勢力には、子どもたちの未来を託すことはできません。政治による「即時原発ゼロ」の決断で、子どものかけがえのない命と健康を守ります。

 貧困と格差の広がり、過度に競争的な学校教育、いじめ問題と子どもの自殺、増加する児童虐待など、旧自公政権がもたらした社会のゆがみ、子育てに冷たい政治が、子どもたちと子育てに多くの不安と困難をもたらしています。“子育て支援”をかかげて誕生した民主党政権も、目玉施策の子ども手当も大幅に減額、消費税増税などあいつぐ増税・負担増でいっそう子育て世代を苦しめています。

 理想の子ども数をもたない理由のトップは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」、30歳未満の妻の8割以上がそう答えています(国立社会保障・人口問題研究所調査)。フランスやドイツなどヨーロッパ諸国では、非常に手厚い子育て支援のための施策がおこなわれており、経済的な心配なしに子育てすることができます。また、子どもの貧困率をひきさげる具体的な目標と施策を明確にしたとりくみをすすめています。

 だれもが安心して子育てできる社会をめざします。人間らしい働き方とくらしをつくり、子育ての経済的負担の軽減をはかるなど、社会全体で子育てを支える総合的な子育て支援をつよめます。最も困っている子どもと家族への支援を充実させ、子どもの貧困をなくします。

1、即時原発ゼロへ、放射能汚染から子どもたちを守ります

 わが子を放射能汚染から守りたいとたちあがった多くの人びとが、子どもたちの未来のためには「もう原発はいらない」と考えるようになっています。子どもの命と健康が放射能に脅かされることのない社会にするために、「即時原発ゼロ」を決断するときです。しかし、民主党、自民党、公明党などは、再稼動を容認し、原発建設や輸出を推進するなど原発にしがみついています。

 日本共産党は多くの人々と力をあわせ「即時原発ゼロ」を求めていきます。福島の子どもたちの命と健康を守る検診・医療制度、教育条件の整備、食の安全確保、学校や保育所等の施設、子どもの通学路や遊び場などの放射線量測定と除染について、国の責任を明確にして取り組みをつよめます。子どもの健康を心配し自主避難した人なども含めて、すべての原発被災者・被害者を支援します。

 

2、深刻化する「いじめ」問題を学校と社会の努力で解決します

 あいつぐ子どもたちの自殺に、多くの人々が心を痛めています。「いじめ」問題を解決するためにみなさんと力をあわせて奮闘します。

  「いじめ」を解決できる学校と体制をつくります。学校のどんな都合より子どもの命が優先されることを明確にします。子どもたちに対等な人間関係を築く力を育てます。教職員の「多忙化」解消など、「いじめ」を解決する体制をつよめます。子どもたちに過度のストレスを与えている競争と管理教育から、人間を大切にする教育と社会へ変えていきます。

  

くわしくは、「『いじめ』のない学校と社会を――日本共産党の提案」(2012年11月28日)をご覧ください。

3、男女がともに安心して子育てできる社会的条件整備をすすめます

人間らしい働き方、賃金・労働時間を保障します

 安心して子どもを生み、育てるためには、安定した雇用と人間らしい働き方、経済的な安定が不可欠です。雇用は正規が当たり前の社会、労働時間や賃金、休日などでゆとりある働き方ができる社会にします。

 30代の男性で週60時間以上働く人が5分の1にのぼります。サービス残業の根絶とともに、残業時間の上限規制で長時間労働を改善し、男性も女性も子育てにかかわるゆとりをとりもどします。子育て中の変則勤務、夜間・休日出勤、単身赴任などを制限します。

 青年と女性の半数以上がパートや派遣などの非正規雇用です。30代前半で結婚している正規労働者は59%、一方、非正規雇用では28%です。低賃金と不安定な働き方が結婚も子育ても困難にしています。安定した雇用を保障します。非正規雇用の拡大の流れを転換し、正規雇用、「期間の定めのない働き方」が当たり前の社会をつくります。製造業への派遣の禁止、登録型派遣も真に専門的なもの以外きびしく制限すること、違法行為があった場合に直接雇用したものとみなす規定の導入、均等待遇などを内容とする抜本的な派遣法改正を行い、派遣労働は一時的臨時的なものに限定し、正規化と均等待遇、労働条件の改善をすすめます。パート労働者への差別禁止、均等待遇を明記したパート労働法改正をすすめます。時給1000円以上への最低賃金の引き上げと全国一律最低賃金制の確立で、非正規労働者の賃金を底上げします。

妊娠、出産による解雇を許さず、育児休業制度の改善、男性の取得促進などをすすめます

 働く女性のうち6割が第1子出産を前後して仕事をやめています。20年来ほとんど改善されていません。厚労省の雇用均等室には、妊娠・出産による解雇や嫌がらせなど不利益取り扱いにかかわる相談が年間3429件(2011年度)も寄せられています。違反企業への指導の徹底、罰則の強化などで妊娠・出産、育休取得などにともなう解雇・不利益取り扱いを根絶します。妊娠・出産で昇給や昇進・昇格等が不利にならないようにします。

 非正規雇用労働者が育児休業を取得して働き続けることは依然として困難です。雇用状況の悪化のもとで、不利益取り扱いも増加しています。男性の育児休業取得率は2・63%です。

 男女ともに安心して利用できる制度にします。休業中の所得保障を6割に増額するとともに、休業期間の延長、中小企業への助成や代替要員の確保、ヨーロッパ諸国の「パパ・クオータ制度」なども参考にした男性の取得促進策の改善をすすめます。取得すると昇進・昇格にひびくといった不利益取り扱いをなくします。派遣やパートなど有期雇用労働者の取得条件をひろげます。子どもが病気のときの「子どもの看護休暇」は、学校行事への参加などにも使える「家族休暇」制度に拡充し労働者1人10日に増やします。短時間勤務制度や残業免除制度は子の対象年齢の拡大など拡充します。

「子ども・子育て新システム」による保育制度改悪は中止し、国の責任で認可保育所をつくります

 認可保育所に入れない待機児童数は4月時点で約2万5千人、10月時点で5万人近くにのぼり、潜在的希望者を含めれば数十万人といわれています。旧自公政権も民主党政権も、必要な認可保育所をつくらず、定員以上の詰め込みなどの安上がりの「待機児童対策」をすすめてきたからです。保育所での子どもの死亡事故も急増しています。「規制緩和」路線を転換し、国の責任で当面1年に10万人分、3年間で30万人分の認可保育所を新・増設し、待機児童を解消します。定員超過の改善、非正規保育士の正規化と専門職にふさわしい労働条件の改善をすすめます。諸外国と比べても低すぎる保育室面積や保育士の配置などの最低基準を改善します。無認可保育所への国の助成制度をつくり、認可化の促進、保育条件の改善をはかります。

 自公民3党が、父母、保育関係者の反対をおしきって強行した「子ども・子育て新システム(子ども・子育て関連法)」は、国と自治体の保育に対する責任を後退させ、保育を営利企業にゆだねるものです。「新システム」では、待機児童の解消も、保育条件の改善もできません。しかも主な財源は消費税増税です。子育てに二重に困難をおしつける「新システム」の実施を許しません。

 幼稚園と保育所のあり方は、就学前の子どもの教育・保育はどうあるべきかという専門家、国民による議論をすすめます。幼稚園でも保育所でも、どの子も手あつい教育、保育を受けられるよう保育条件を高めます。

学童保育の拡充、環境整備と指導員の待遇改善をすすめます

 子どもたちが放課後を安全に安心して過ごせる学童保育の充実は切実な願いです。学童保育数は、この1年間でも441カ所増え、2万843カ所になりました。しかし「潜在的な待機児童」が約50万人と推測されており、まだまだ不足しています。学童保育の増設、大規模化の解消と施設・設備の改善、指導員の正規化・労働条件の改善、複数配置、利用料の軽減などをすすめます。国の学童保育予算を大幅に増やします。

 公的責任を後退させ、学童保育を市町村事業にとどめる「新システム」では、地域格差が拡大し、安心して利用できる学童保育の充実もできません。国と自治体の責任を明確にした制度をつくり、国の設置・運営基準を定め、地域格差の改善をすすめます。学童保育を、すべての子どもを対象とした「放課後子ども教室」などと一体化する動きがありますが、学童保育の事実上の廃止につながるもので、反対です。目的や役割、内容が違う学童保育と「放課後子ども教室」などは、それぞれ拡充することが必要です。

医療、教育をはじめ、子育ての経済的負担を軽減します

 安心して妊娠・出産できる制度をつくります。安全な出産に欠かせない妊婦健診は、世論と運動の力で14回以上が無料化されましたが、あくまで時限措置で、回数や検診内容にも地域格差があります。恒久化をはかり、国の責任で自治体負担のない妊婦健診費用の軽減、無料化をめざします。現在42万円の出産育児一時金を大幅に増額します。非正規雇用や業者、農業などを問わず、安心して産前産後休暇がとれるように、国保の出産手当金制度を「強制給付」にするなど休業中の所得保障、社会保険料免除などをすすめます。

 若い世代が結婚・出産にふみだすうえでの負担を軽減するために、公共住宅の建設や「借り上げ」公営住宅制度、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの支援を特別につよめます。

 子どもが病気のときに、どこに住んでいても、安心して必要な医療が受けられるように、全都道府県・市区町村がおこなっている子どもの医療費助成制度を、所得制限なしの国の制度として確立します。

 高すぎる幼稚園授業料、保育所の保育料を引き下げます。私立幼稚園に通う子どもの親に対する国の助成制度を拡充します。保育所の保育料は、高すぎる国の保育料基準額を改善し、国の負担で引き下げます。一定の基準を満たした無認可保育所に通わせている家庭への保育料助成制度をつくります。

 大学の授業料が有料で、返済義務のない給付制奨学金がないのは、OECD加盟国(34カ国)中、日本だけです。2012年9月、政府が、高校・大学までの段階的無償化を定めた国際人権規約13条の留保を撤回しました。日本共産党が要求してきたものであり、一歩前進です。私学を含めた高校、大学等の無償化を段階的にすすめます。国の奨学金をすべて無利子に戻し、返済条件緩和を拡大します。とくに就学が困難な生徒・学生のため、欧米では主流の「給付制奨学金制度」を創設します。

 高校授業料は「無償化」の措置がとられましたが、公立でも制服代などの負担はひきつづき重く、私立授業料の負担軽減は一部です。私立の授業料無償化をめざすとともに、公立に通う低所得世帯に対する制服代、交通費、修学旅行費への支援制度をつくります。

 生活困窮世帯の子どもに給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する「就学援助」の受給者が急増しており、就学援助制度の役割はますます重要になっています。しかし政府が2005年に国庫補助を廃止したことから、支給額や基準を切り下げる自治体も増えています。国庫補助を復活し、拡充します。

 民主党の目玉政策だった子ども手当は、満額支給(2万6千円)できなかったばかりか、児童手当への変更と支給額の削減、年少扶養控除廃止による増税によって、差引きでは手取りがほとんど増えなかったり、逆にマイナスになったりする世帯が多く生まれました。児童手当は、子育て支援の重要な柱として拡充をはかり、18歳まで支給期間の延長をめざします。

 ひとり親家庭を対象とした児童扶養手当制度の支給額引き上げ、所得制限の緩和による支給対象の拡大などをすすめます。小泉自公政権時代に行われた、支給から5年後に支給額を半額にする児童扶養手当制度の改悪を中止します。2011年度からの物価スライドを適用した手当の削減の中止も求めます。ひとり親家庭の就業支援をさらに強めます。安価で良質な公共住宅を供給します。

4、子どもの命と健康を守り、子育ての不安にこたえます

小児科、救急医療体制の確立をはかります

 地方でも都市でも、「医療崩壊」ともいえる医師不足による小児科病棟の休止、病院の閉院、救急医療施設の減少がすすみ、国民のあいだに深刻な不安をひろげています。出産できる病院・診療所も激減したままです。公的病院の産科、小児科切り捨てをやめ、早期復活をはかります。国の責任で医師の養成・確保、診療報酬の改善、予算の増額をすすめ、安心して医療を受けられる体制の整備、小児救急医療体制の確立をすすめます。

子育ての不安にこたえる体制をつくり、児童虐待の防止対策を強化します

 初めての出産による不安、貧困などさまざまな問題を抱えた家族へのきめ細かな相談体制、個別の訪問活動などの支援の拡充、保育所への入所や一時保育、子育て支援事業など、子育て不安を軽減する取り組みを地域全体ですすめます。

 格差と貧困のひろがりを背景に、全国206か所の児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数は、2011年度も過去最高を更新し、5万9862件にのぼりました。児童虐待の防止、早期発見、子どもと親への専門的な支援などの独自の施策をつよめます。早期発見で子どもを守るために、保育所や学校、病院、児童相談所、保健所、子育て支援センター、児童養護施設など、子どもにかかわる専門機関の連携をはかるとともに、職員の専門的な研修をつよめます。相談支援体制を充実させるために、児童相談所の増設、職員の抜本的な増員と専門性向上のための研修の充実、一時保護施設や児童福祉施設の整備増設、設備や職員配置の改善をはかります。虐待を受けた子どもへの専門的なケア、親にたいする経済的、心理・医療的、福祉的な支援をつよめます。

児童養護施設、里親制度などの整備・拡充をすすめます

 経済的、社会的事情をもった親が子育てできない状況におちいったり、予期せぬ妊娠に悩んだ時に、身近に相談できる体制を整備します。

 児童福祉行政の中核的役割を担う児童相談所は全国で200カ所余、乳児院は129カ所しかありません。児童相談所や児童福祉施設、小児病院や保健所、子育て支援センターなどが連携して、親が育てられるための支援をつよめるとともに、困難な場合の受け入れ施設の拡充をすすめます。

児童養護施設などの国の最低基準を民主党政権が廃止し、自治体まかせにしてしまいました。国の責任で職員配置や施設整備の改善を急ぎます。施設に暮らす子どもたちの教育、進学への支援をつよめます。里親制度は子どもたちを家庭的環境で育てるために重要な制度です。いっそうの拡充をはかり、里親への支援や研修の充実、制度の周知をすすめます。

 民法の婚外子差別の条項の是正、無戸籍児の解決など、親の事情で子どもが差別されない社会をめざします。

子どもの豊かな成長をはぐくむ地域づくりをすすめます

 子どもたちの成長、発達にとって、生きいきとした遊びや豊かな文化・スポーツにふれることが大切です。子どもたちの生活圏内に安全で安心して遊べる公園や児童館、プレイパーク、青少年がスケートボード、フットサルなどを楽しめる広場の確保をすすめ、自主的な活動を支援します。演劇や映画、音楽などさまざまな芸術・文化に親しめるように、文化団体、地域の活動を応援します。学校公演(鑑賞教室)の支援を充実します。

子どもの通学途中での交通事故が多発しており、7万カ所のうち6万カ所で安全対策が必要ということが国土交通省の調査であきらかになっています。問題は、車優先社会の日本では、歩行者よりドライバー優先の交通政策がとられており、通学路の安全対策もきわめて不十分です。登校時の通学路は、できるだけ自動車の侵入を制限すべきです。速度を時速30km以下に抑制したり、車道の幅を狭めたり、イメージハンプ(自動車の走行速度を抑えるための車道舗装や凹凸の設置等)なども活用し、子どもの安全を守ります。

5、子どもの権利条約の立場を政治と社会につらぬきます

 日本は子どもの権利条約批准国であるにもかかわらず、子どもたちの権利を守る施策があまりにも不十分です。歴代政権がすすめた全国いっせい学力テストのような過度の競争をあおり管理をつよめる教育をただちに改善するとともに、人間らしい安定した雇用、社会保障や福祉の充実など、社会全体のあり方を変えて、子どもたちがストレスを抱えて自己肯定感も将来への希望も持てないような事態をなくしていかなければなりません。

 いまほど、子どもの命と健康をまもりぬき、一人ひとりの子どもが真に大切にされる社会へ、子どもの権利条約の立場で、子どもと子育てをめぐる問題を見直すことが求められているときはありません。政府と社会が、「子どもの最善の利益」のために、福祉、教育、文化、子育て支援の充実を最優先にはかることは、国際的には当たり前のことになっています。子どもの権利条約を社会のすみずみに実現するための国民の共同をひろげます。

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