もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

【12・07・06】政府交渉レポート(1)―介護保険制度改善にむけた緊急要請

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介護保険制度改善にむけた緊急要請

 
 昨年6月に介護保険法が改定され、今年度から新たな介護サービスが始まったのを受け、日本共産党愛知県委員会は7月6日、厚生労働省にたいし、介護保険制度の改善を求める要請をおこないました。

 佐々木憲昭衆院議員、河江明美衆院選東海比例予定候補、大野ひろみつ愛知1区予定候補、黒田二郎愛知2区予定候補、石川ひさし愛知3区予定候補、西田とし子愛知4区予定候補、藤井ひろき愛知5区予定候補、柳沢けさみ愛知6区予定候補、郷うこん修愛知7区予定候補、長友ただひろ愛知8区予定候補、松崎省三愛知9区予定候補、いたくら正文愛知10区予定候補、高林誠愛知13区予定候補、根本美春豊田市議とともに参加しました。

 要請に先立ち、県内1600の介護事業所にアンケート調査をおこない、現地調査、懇談などで寄せられた要望をもとに厚労省とやりとりしました。

 要請では、介護保険料など国民負担を軽減のため介護費用の国庫負担割合(25%)を介護保険法施行前(50%)に戻すことや、介護職員の待遇改善、地域包括支援センターの充実のための国の支援強化など8項目を求めました。

 厚生労働省の心無い回答に大変失望しました。

 私は「今、介護保険料などあがり、本当に家計は限界になっています。名古屋市でも大幅な保険料の値上げで、市営住宅に入っているご夫婦もお二人で約5000円の値上げと言っていた。社会保障は、本来、所得の再分配の機能があるはず。にもかかわらず、社会保険が低所得の方を苦しめている。それを是正してほしいと現場の声をもってきているんです」と申し上げました。

 参加者からは「訪問ヘルパーから家事援助時間が60分から45分短縮になり、掃除や食事準備が十分にできないとの声が上がっている。元に戻してほしい」、「多くの介護職員が生涯の仕事として誇りをもって続けたいと思っている。介護職員の処遇改善に積極的に取り組むべきだ」、「愛知県の特別養護老人ホーム待機者が1万人を超えている。特別養護老人ホーム建設のため土地取得や建設費の補助金増額」などを求めました。

 さらに、民主党のマニフェストに介護職賃金を月額4万円アップと掲げたのになぜやらないのかとの指摘に、厚生労働省は「(民主党から)4万円にしなさいと言われなかったことは事実」と答え、民主党政権の不誠実さが浮き彫りになりました。
 
 また、サービス利用の限度額にたいして、全国的にも4割~5割の利用率にとどまり、利用料負担がサービス利用を抑制している実態も浮き彫りになりました。

 八田ひろ子さんの国会秘書をやっていた時代から介護の分野は制度をよくすることに政府はかなり消極的でしたが、政権交代しても、あいかわらずかたくなな対応でした。

介護保険制度改善にむけた緊急要請書

 
厚生労働大臣 小宮山洋子 様
                                      2012年7月6日
                                    日本共産党愛知県委員会
                                       委員長 岩中 正巳
              介護保険制度改善にむけた緊急要請書

 介護保険法が施行され12年が経過しました。昨年6月、介護保険法が改定され、「第5期介護保険事業計画」のもとで新たな介護サービスが提供されています。

 しかし、介護保険制度について国民からは、「介護の社会化」に対する期待の声とともに、保険料・利用料の負担増や介護サービス提供の不十分さに、制度の改善を求める声が多く出されています。

 国民の介護保険料・利用料の負担は限界にきています。他方、介護報酬が連続的に削減され介護事業所の運営が困難を極め、介護労働者の労働条件悪化と人材不足が悪循環化し、さらにあいつぐサービス切り下げで、まさに「保険あって介護なし」という状況です。厚生労働省は、第5期介護報酬の改定率は、全体でプラス1・2%(在宅1・0%、施設1・2%)と説明しています。しかし、介護職員の処遇改善交付金が廃止され、介護職員処遇改善加算として介護報酬に組み込まれたため、多くの事業所では、マイナス改定であると訴えられています。

 ここには、現在の介護保険は、利用が増えたり、労働条件を改善すれば、ただちに低所得者までふくめて保険料・利用料が連動して値上げされるという根本矛盾があり、それにくわえ、介護保険制度がはじまったときには介護費用の50%だった国庫負担割合が25%とされ、その後も負担割合が削減されてきた問題があります。

 本年4月から実施された介護サービス提供体制について、日本共産党愛知県委員会は、愛知県内の介護事業所に対し、実状をよく伺い、制度改善を国に求めるアンケート調査を5月に実施しました。結果、60を超える事業所から積極的なご意見をいただきました。いただいた意見を踏まえて、以下のことを緊急に要請します。

1、国民負担軽減

(1)介護保険料は、支払い能力に応じた応能負担としてください。また、保険料の減免制度を国の全額負担制度としてつくってください。
(2)利用料は、将来は無料をめざし、減免制度を抜本的に充実して下さい。また、施設での食費・居住費の全額自己負担をやめ、介護保険の給付対象にしてください。
(3)介護報酬の引き上げや保険料・利用料の減免措置が利用者の負担増とならないように国庫負担割合を高め、介護保険法施行時の50%に戻してください。

2、介護職員の待遇改善
(1)介護職員処遇改善加算は2015年3月末までの「例外的・経過的」扱いになっています。加算では、条件・書類が複雑で申請しない事業所もあるようです。利用者負担につながる介護報酬の加算ではなく、別枠で国費を投入して、介護職員の処遇改善を対応してください。
(2)介護職員の処遇改善の一環として、退職金や年金について、独自の支援制度を検討してください。

3、サービス利用の改善

(1)生活援助時間単位の変更や介護報酬の変更など、改定内容の利用者への徹底について、事業者の努力に任せている現状があります。周知徹底をはかるための具体的な手立て、責任を国が果たしてください。
(2)訪問介護の生活援助時間の単位が「30分以上60分未満」「60分以上」から「20分以上45分未満」「45分以上」に改定され、多くの事業所では、利用者の援助時間が短くなっていること、併せて事業所の財政的負担が増えています。生活援助時間の単位を「30分以上60分未満」「60分以上~90分未満」「90分以上」に戻し、適正な介護報酬を設定してください。
(3)通所介護事業における送迎について、厚生労働省は「送迎に係る費用は介護報酬に含まれている」「送迎に要する時間はサービス提供時間に含まない」との見解です。しかし、送迎は通所介護事業には欠かせない業務であり、事業所には大きな責任(負担)があります。送迎時間の事業所負担を介護報酬に反映する別枠で手当てする措置をしてください。
(4)在宅生活を制限する要介護認定制度を廃止し、利用者、家族、ケアマネージャーや主治医など現場の専門家、事業者などによる適正な介護が提供できるようにしてください。
(5)愛知県でも1万人を超える特別養護老人ホームの待機者がいます。特別養護老人ホームの整備に対する国の補助金は、介護保険法施行前の制度に戻してください。また、都市部での用地取得への支援を国の制度として新設してください。
(6)65歳以上の障害者が、介護が必要であると認定されると、1割の利用料負担が求められます。障害者自立支援法のもとでは、非課税の人はサービスの利用料は無料です。介護認定された65歳以上の障害者で非課税の人の介護保険利用料を無料にしてください。

4、地域包括支援センター
センターを自治体が各地域に設立するとともに、予防プランの作成はケアマネージャーの仕事に戻し、地域包括支援センターが介護予防事業など地域の福祉向上に求められている事業をすすめるにふさわしい人員配置ができるように、国の支援を強化してください。

                                             以上

 

 

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