10月19日、日本共産党愛知県委員会として政府交渉を行いました。順次ご報告させていただきたいと思っています。
まず、ご報告させていただくのは、一川保夫防衛大臣あてに、小牧基地に配備されている空中給油輸送機が共同訓練の際にアメリカ軍機に給油できる「覚書」(MOU)締結に抗議し、撤回を求める要請です。
交渉には、佐々木憲昭衆院議員、井上さとし参院議員が同席し、愛知県委員会から私のほかに斎藤啓豊橋市議、黒田二郎元名古屋市議、榑松順子前名古屋市議が参加しました。
この「覚書」は、藤村修官房長官が10月3日の記者会見で昨年10月に締結していることを認めたものです。
「覚書」撤回を
「覚書」の撤回を求める要請について、防衛省運用企画局運用支援課から「本覚書は、日米間の空中給油訓練を行うにあたり必要な手順を定めたもの。訓練を実施する上において必要不可欠のものと考えており、破棄するものではないと考えている。覚書につきましては、当省としては公表させていただきたいということで、今、日米間で調整の最終段階で、協議をうけてお示しできればさせていただきたい」と回答がありました。
「ACSA(物品役務相互提供協定)で(米軍への給油は)できるようになっていたが、しかし、手順は決まっていなかったから今回決めたということか」との井上さとし参院議員の質問に「そうです」と答え、「手順を決まったので、今度は技術的につめていかなければいけない」と回答しました。
覚書は、航空自衛隊と太平洋空軍とが結んだものということも明らかになりました。
地元自治体に説明を
愛知県、名古屋市、春日井市、小牧市、豊山町への説明の要請について防衛省同課は、「現段階において覚書というのは、あくまでも日米共同訓練を行うときの手順を定めたものと考えておりまして、必要に応じて、ご要望に応じながらご説明はさせていただきたい」、「(覚書が)開示できることになりましたら、そこで調整をさせていただいて、どうしても要望があるということであれば検討させていただきたい。現段階で明確にご説明するという計画はもっておりません」と回答しました。
「覚書」の開示の是非は日米で近々決定
日米間の調整が終わるのは、「近々。数カ月も先との思いはございません」、「先週(日本平和委員会などの)ご要望いただいて、開示するべきと動いております。(米軍の)相手方がつかまらない。出張等でいらっしゃらない」と答えました。
周辺事態にも適用されるのか
「日本有事、周辺事態まで適用されるのか」の質問に防衛省は「手順書につきましてはそうしたことを想定したものではない。共同訓練の際にこうしましょうという手順を決めたもの。周辺事態にそういうことをできるとかできないとかそうしたことを制したものではありません。戦術技量の向上のためにやらせていただいている。不必要なものではない」と回答。「小牧基地に配備された空中給油輸送機が周辺事態などに参加しないと断言できるか」について「事態対処につきましては、担当ではありませんので、もちかえって検討させてください」と答えました。
訓練だから基地機能強化でない?なぜ訓練するのか
防衛省は「訓練」だから基地機能強化ではないという立場をとっていますが、何をもって基地機能強化と考えるのかについて、後で回答をする約束をしました。
井上議員の「なぜ米軍に空中給油する訓練が必要なのか。何を想定して、なんのために」との質問に「戦術技量の向上」と答えましたが、詳しい内容については「もちかえらせていただきます」と回答しました。
どの米軍機に給油するか、給油機種の公開は未定
米軍のどの戦闘機等に給油するかについては「訓練の手順を決めたものでありますので、対象機種はまた別途という形になる。これからつめていく」と回答しました。
覚書は撤回すべきだが、もしやるというのであれば、どの米軍の機種に給油したのか情報公開するべきとの要望に「そこはここで断言できませんので、今、ご要望いただいたということで検討させていただきたい」と回答しました。
憲法上許されない
佐々木憲昭衆院議員は、「(海上自衛隊の艦船の補給した油が、イラク作戦につかわれたように)訓練で油を受けとって、その戦闘機がすぐどこかで他国を攻撃した、ということもあり得る。日本の油で攻撃した、手をかしたことになる。憲法上許されないことになる」と指摘しました。
私は、「空中給油輸送機が小牧基地に配備されるときに、春日井市の環境部長は防衛庁(当時)に確認し、現行業務と変わらないと答弁をしている。米軍への給油は現行業務から逸脱するものではないか」と述べました。
斎藤ひろむ豊橋市議は、「明らかに米軍と一体となって軍事行動を行う外堀を埋めるための作業をやっている。日本の憲法を踏み越えているのではないか。何が起こっているかを国民の前に明らかにする最低限の仕事をやっていただかないといけない。日本の国民の主権の問題でそういう認識で対応してほしい」と発言しました。
とにかく“持ち帰ってあとで答える”という回答が多い交渉でした。
防衛省があとで答えると述べたのは、以下の通りです。
(1)覚書の訓練は、なにを想定して、何を目的にして行っているか。憲法上の整理はどう考えているか。
(2)KC767J空中給油輸送機の訓練の実績
(3)前の覚書との変化について
(4)小牧基地の空中給油輸送機が周辺事態などに参加するということはない、と断言できるかについて
(5)基地機能強化とはどういうことだと防衛省は考えているかについて
航空自衛隊の空中給油機が共同訓練の際に米軍機に給油できる「覚書」(MOU)締結に抗議し、撤回を求める要請書
防衛大臣 一川保夫 様
2011年10月19日
日本共産党愛知県委員会
委員長 岩中正巳
航空自衛隊の空中給油機が共同訓練の際に米軍機に給油できる「覚書」(MOU)締結に抗議し、撤回を求める要請書
藤村修官房長官が10月3日の記者会見で、航空自衛隊の空中給油機が共同訓練の際に米軍機に給油できる「覚書」(MOU)を自衛隊と米軍との間で昨年10月に締結していたことを認めました。
この間、航空自衛隊小牧基地の「基地機能強化」がすすんでいます。KC767J空中給油機4機の配備(2010年1月)と部隊の本格的な運用体制がはじまり、アラスカ州で米空軍演習「レッドフラッグ・アラスカ」へも参加しています。また、C130H輸送機に空中給油機能を付加し、2010年度に実用・運用試験を実施し、2011年度から量産改修を行うといわれています。さらに、中部国際空港の開港以来、自衛隊機による訓練は2007年度11120回から、2010年度13090回へと増加しています。
自衛隊小牧基地が共同使用している県営名古屋空港の周辺自治体である春日井市、小牧市、豊山町は、防衛省に対して、「基地機能強化」反対する意思を示す要望書を提出していますが、今回の「覚書」は、これら地元自治体と住民の意思を踏みにじるものです。
「覚書」は、米軍機への空中給油を可能とし、日米共同訓練だけでなく周辺事態や武力攻撃事態など有事の際にも給油を可能としています。「武力の行使」や「集団的自衛権の行使」を禁じている憲法のもと、これらの行為は憲法違反であり許さるものではありません。
日本共産党は、海外派兵への道をつくり憲法九条を破壊する、空中給油機の配備そのものに反対してきており、「覚書」の締結に抗議し、以下のことを強く求めます。
1、昨年10月に締結されたとする、航空自衛隊の空中給油機が共同訓練の際に米軍機に給油できる「覚書」(MOU)を破棄し、撤回すること。
2、「覚書」の内容、締結された経緯について、県営名古屋空港管理者である愛知県をはじめ、周辺自治体である名古屋市、春日井市、小牧市、豊山町に説明することはもちろん、空中給油機を配備している自衛隊小牧基地のある愛知県に対して説明を行うこと。
以上