「米国防総省のラパン副報道官は16日、福島第1原子力発電所の半径80キロ圏内への米軍の立ち入りを禁止したと発表した」と時事通信が、本日、報道しました。
日本政府の要請があった場合、禁止措置を適用外とすることも検討するとしていていますが、「思いやり予算」まで出して、アメリカ軍を支援してきたのに・・・見捨てるのだろうか。やっぱり日本に住む一人ひとりを守る装備も持っていないのだろうか。
福島第1原発の1号機は、アメリカのGE(ゼネラルエレクトリック)という会社がつくったものです。
福島第一原発の主な受注会社は、1号機―GE、2号機―GE・東芝、3号機―東芝、4号機―日立、5号機―東芝、6号機―GE・東芝です。
アメリカ軍が、半径80キロ圏内の立ち入りの禁止するほど危険な状況なのだと私たちは認識しなければなりません。
日本共産党は、地元の福島県委員会でも国会でも再三、原発の危険性、福島第一原発の危険性を指摘してきました。
「安全だ」といって、原発を推進、拡大してきた自公政権、民主党政権(民主党政権にいたっては、海外にトップセールスで閣僚が原発を売り込んできた)・原子力産業・電力会社を絶対に許すことはできません。
原発の冷却不能におちいる危険性を再三にわたって追及してきた日本共産党吉井英勝衆院議員
今回の原発事故では、菅直人首相が「従来想定された津波の上限をはるかに超える大きな津波が襲ったため」と発言していますが、そうした「想定外」という言い訳も通用しません。
日本共産党の吉井英勝衆院議員が2006年時点で、津波により5メートルの引き波が発生した場合、日本の原発の約8割(43基)が海から取水できなくなり、冷却不能に陥る危険があることを解明。
2010年5月26日には、国内外での事故例を引きながら、「巨大な地震で自家発言や外部電源が喪失し、2次冷却系が機能しなくなって炉心溶融にいたったとき、どれだけの規模の被害が発生するのか」と危険を具体的にあげ、対策を急ぐよう民主党政権に迫っています。
衆議院内閣委員会 日本共産党吉井英勝衆院議員の質問 2006年10月27日
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私、最初に、核開発といいますか、核兵器にかかわる問題から伺っていきたいと思います。
日本の分裂性プルトニウムの保有量、これは文部科学省関係の分で別に四・二トンあるわけですけれども、これを除いて、今の原子力発電所から出てきている分で、ことし一月六日現在で、返還プルトニウムと国内再処理分合わせますと、日本の持っている分裂性プルトニウムの量は二十六・二トンだというふうに資源エネルギー庁から説明を受けておりますが、この量が変わっているのかどうか、これを最初に伺っておきます。
○舟木政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、ことしの九月に原子力委員会へ内閣府、文部科学省、経済産業省の連名で報告をいたしました「我が国のプルトニウム管理状況」では、原子炉施設に保管されています分離プルトニウムは、実用発電炉分が四百十五キログラムでございます。また、海外に保管中の分離プルトニウムは三万七千八百五十二キログラムとなっております。
○吉井委員 何か違う数字を言うてはるの違うかと思うんですが、ことし、ちゃんと電事連の方でまとめた数字でいただいておるんですね。同じ数字を持っておりますので、私、それで確認したんです。
昨日も伝えてありますが、分裂性プルトニウムで海外二十五・六トン、東海の方で〇・六トン、合わせて二十六・二トン、分裂性プルトニウムを持っているということですが、この確認だけなんですよ。
○舟木政府参考人 お答え申し上げます。
私が先ほどお答え申し上げましたのは分離プルトニウム全体の量でございまして、分裂性プルトニウムに限って申し上げれば、先生御指摘のとおりでございます。
○吉井委員 分裂性も非分裂性も合わせた数字でももちろんそれはいいわけなんですけれども、伺ったのはそっちだったんです。
では次に、分裂性プルトニウムの臨界量、これは幾らになりますか。
○青山政府参考人 プルトニウムのいろいろな形状によっても異なるかと思われますので、ただいまちょっと正確な数字を手元に持っておりませんので、大変申しわけございません。数キログラムのオーダーであろうかと思いますけれども、正確なところを今申し上げられません。
○吉井委員 きのうこれ質問するとちゃんと言っておきましたので。ひょっとしたら、原子力安全委員長、私の方がそんなこと知っているからというお顔をしていらっしゃるので聞かせていただいてもいいんですが、これは、原子爆弾の研究というのは、リチャード・ローズという人が、かなり分厚いものですが、アメリカでの開発の歴史を含めてありますが、分裂性プルトニウムの臨界質量というのは、最初の実験のころで五キログラムなんですね、リフレクターの問題とかいろいろ態様がありますが。だから、もちろん、非分裂性も含めた総プルトニウムでいきますと、長崎型であれば七キログラムとかそれぐらいになってくると思うんですが、原子力安全委員長にお聞きした方がいいんだったら、どうぞ答えていただいたら。
○鈴木参考人 先生がおっしゃるとおりが大体正しいところではないかと思いますが、正確には、いろいろな前提を立てて評価しなきゃいけませんのでなかなか難しいところですが、私が理解しておりますのは、先生お尋ねの、核不拡散上といいますか、核兵器との関連では、私の理解しているところでは通常八キログラムを一つの判断の目安にし、その約二分の一、四キログラムぐらいだと、ひょっとするとそれでも十分かもしれない、そういう議論になっているんじゃないかと思います。
ありがとうございました。
○吉井委員 それで、アメリカの開発史について述べたものの中では、最初に実験したのは、リフレクターその他のプルトニウムの密度もかかわってきますから簡単には言えませんが、五キログラムでやったということですね。
つまり、日本の現在持っている分裂性プルトニウム、これは原発から出てくる分だけですが、今持っている分で二十六・二トンですから、これは大体、長崎型原爆に直せば、計算はいろいろありますけれども、五千三百発分ぐらいといいますか、かなりのものになってこようかと思いますが、これは単純計算の話ですから、確認しておきます。いずれでも結構です。
○鈴木参考人 計算上はそういうことになろうかと思います。
○吉井委員 それで、現在そういう状況なんですが、原子炉の中と貯蔵プール、六ケ所中間貯蔵施設にある使用済み核燃料に含まれている分裂性のプルトニウムというのが、これも既に電事連データでいただいておりますが、七十九・九トンですね。ですから、これだけでも単純計算すれば一万六千発のプルトニウム原爆の量に相当してくる。ですから、再処理を済ませたプルトニウムの保有量と合わせますと、日本には、長崎型原爆にすれば二万一千発分を超えるぐらいのプルトニウムを持っている、非常にたくさんのプルトニウムを持っているというのが日本の現実だということをまず見ておく必要があると思います。
日本にはこれだけの核兵器開発の材料であるプルトニウムの保有量があって、六ケ所再処理工場でプルトニウムの大量生産能力が今現実に稼働を始めようとしております。それから、核を扱う高い技術力があります。多くの核技術者も日本には存在しているのが現実です。
そこで、外務省の方に伺っておきたいんですが、一九六九年九月二十五日、「わが国の外交政策大綱」というのを外交政策企画委員会の方でまとめた報告書があり、これは先日届けていただいております。この中で、「当面核兵器は保有しない政策をとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともにこれに対する掣肘をうけないよう配慮する。」これが外務省が当時出しておられた日本の核政策についての考え方だと思うんですが、まず、外務省の検討文書であることは間違いないですね。
○長嶺政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員御指摘になりました文書でございますけれども、これは、外交政策企画立案機能の強化ということを目的として、自由な見地から総合的に重要外交課題に関する審議を行うために設置されました当時の外交政策企画委員会が、昭和四十四年、一九六九年五月から九月まで行った検討作業を取りまとめたもの、「わが国の外交政策大綱」、こういう文書であるというふうに承知しております。
○吉井委員 私、核兵器について、この「当面」という言葉がなかなか意味を持っているのかなと。つまり、当面は核兵器は保有しない政策をとる、しかし将来的には保有するかもしれないという含みがあったのかなと思うんです。
実は先ほどの麻生大臣の本会議答弁を私聞いていまして、我が国が核兵器を直ちに保有することはしないと、外務大臣は、直ちにという言葉をつけているんですね。日本が永久に核兵器を保有しないということじゃなくて、直ちにと。当時から外務省の方で検討していたのは、当面核兵器は保有しない政策をとる、当面というふうに非常に限定的なんですね。
外務省が言っている「核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持する」とした政策、これは、日本が核兵器をつくろうとするのではないかなどと国際的不信を招かない保証は、これは原子力基本法第二条「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り」とし、そこで法律で核兵器開発を否定している。そして、二条の後段で民主、自主、公開の三原則を定めて、原子力の研究開発については国民的監視ができるようにすることで、核兵器開発を秘密裏に行えないようにしているということが法律で明確に核兵器開発を禁止していることだと私は思うんですが、この点は官房長官にちょっと伺っておきたいと思います。
○塩崎国務大臣 今御指摘の原子力基本法でございますけれども、我が国の原子力活動というのは平和目的に限定しているということでありますので、今御指摘の点は正しいというふうに思います。
○吉井委員 だから、法律上、日本は核兵器開発しないということをきちっと決めているわけですね。しかし一方、外務省の文書では、当時、当面核兵器は保有しない政策をとっていく、当面のことですから限定的にですね。将来はわからない。先ほどの麻生大臣の答弁というのは、我が国は核兵器を直ちに保有することはない、直ちにと。だから、当面とか直ちにという限定をつけているんですね。
そこで、大臣、確認しておきたいんですけれども、法律によって日本は核兵器開発を禁止しているわけですから、これは限定つきのものじゃないというのが政府のあるいは日本としての明確な立場ですね。
○塩崎国務大臣 日本は法治国家でありますから、法律にのっとって国家は回っていくということだと思います。
○吉井委員 ここは外務委員会じゃありませんから、外務大臣がいないところでこれ以上外務大臣の発言についてはおいておきますけれども、しかし、外務省はそういう文書を出し、外務大臣は先ほどの答弁でも直ちにと限定つきであるということは、私は、これは日本の核開発の問題について、非常に国民の皆さんからも、場合によっては国際的にもこれは不信を招くことになってしまうということは言わなきゃならぬと思います。
それで、この点では、専守防衛のためであれ、自衛権の行使であれ、侵略のためであれ、小型であれ、戦術核兵器であれ、核兵器開発そのものを日本は禁止しているということは明確だと思うんですが、官房長官、それはもう明確ですね。
○塩崎国務大臣 原子力基本法で核兵器を保有しないということを唱えているということですね。それはそのとおりでございます。
○吉井委員 次に、核防条約第二条により、非核保有国として一切の核兵器は持ってはいけない、したがいまして、もし日本が小型であれ大型であれ核兵器を持てば条約違反になることになって、ひいては憲法九十八条第二項違反になる、これは一九七八年の真田秀夫内閣法制局長官の答弁ですが、非核三原則というのが、政府の方針ということだけじゃなしに、今お答えになられたように、法律と批准した国際条約によってもはっきりしているものだ、こういうことでいいですね。官房長官に確認します。
○塩崎国務大臣 御指摘のとおり、我が国の原子力政策というのは、非核三原則というのは政策としてしっかりあるわけで、これは不変のものだということは安倍総理も何度も確認をしているところでございますが、今御指摘の原子力基本法、これによって平和目的に限定した原子力活動しかできないということがまず書いてあって、法律的に拘束力を持っているわけであります。そして、NPT、核兵器不拡散条約、これは批准をされているわけでありますから、このもとで非核兵器国として核兵器の製造や取得等は行わない義務を負っているということはバインディングであることは明らかでございます。
先ほど外務省の古い文書のお話がありましたけれども、我が国は国会で成立をいたしました法律あるいは批准された条約に拘束をされるということでありますので、外務省の文書でどう表現されようともそれはそのときのことであって、法律と条約が意味がある、こういうことでございます。
○吉井委員 ところが、中川昭一政調会長や麻生外務大臣らが、憲法でも核保有については禁止されていませんとか核保有の議論は結構だなどという発言がどんどん繰り返されるわけですね。それから官房副長官時代の安倍総理自身も、二〇〇二年五月十三日の早稲田大学での講演では、憲法上は原子爆弾だって問題はないですからね、憲法上は、小型であればですねと発言しているわけですね。だから、一貫して政治家の核開発発言が繰り返されているわけですが、なぜこういう、いわばはっきりしているはずのことが繰り返されるのか。
その背景には、核兵器開発は法律で禁止している、国際条約上も禁止しているんです、日本も批准したわけですが、政府見解で、「自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第九条第二項によっても禁止されておらず、したがって、右の限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは同項の禁ずるところではない」という、これまた一九七八年三月十一日ですが、真田秀夫内閣法制局長官答弁を初めとして、これは五八年ごろでしたか、岸総理の当時の答弁にも類似のものが出てまいりますが、やはり、九条の二項によっても持ち得るんだ、こういうことを言い続けてきたことが繰り返し繰り返しこういう議論が出ている根底にあると思うんですよ。
専守防衛のためであれ、自衛権の行使であれ、侵略のためであれ、小型であれ、戦術核であれ、核兵器開発そのものは日本は法律で禁止しているんだ、そこははっきりしているわけですから、九条二項で言っている、「自衛のための必要最小限度を超えない実力」とする政府見解ですけれども、その実力の中には核兵器は含まれないんだということを政府として明確にしておれば、そもそもこういう議論というのは出てこないと思うんですが、官房長官、これはどうなんですか。
○塩崎国務大臣 先ほど来、憲法九条二項に基づいても、小型であれば持ち得るかどうかという議論が提起されているわけでありますけれども、純粋法理論的にいけばそういうこともあり得るということを一般的に言っているわけであって、繰り返し申し上げますけれども、安倍総理は、非核三原則は守り、そして、政府としてこの核開発の問題については議論はしないということを明確にし、また、党でも正式な場での議論はしないということを言っているわけでございます。
したがって、政府としては、そういう方針を堅持するということを申し上げるのみでありまして、それ以上でも以下でもないということであります。
○吉井委員 私は、なぜこういう議論が出てくるのか、全く政治家でないだれかが言うような話じゃないんですね。
それで、そういう議論が出てくる根底には、法律上も、批准した条約上もそうだし、政府の非核三原則によっても核兵器を禁止しているわけですね。法律上禁止している。そして、憲法九条二項の方で真田さんのような解釈をしたにしても、法律上禁じられているものについては明確に、それは遊びの話じゃなくて、日本の政府の見解としては、その実力の中には核兵器は含まれないんだ、このことをきちんとすれば、大体、政治家の間からこういう議論が繰り返し繰り返し、憲法上は原子爆弾だって問題でないという安倍さんのかつての発言だって出てくるはずがないんですね。
これは、このところをやはり、政府見解、法制局長官答弁、政府答弁のこの部分を、実力の中には核兵器も持っていいかのような部分ですね、そこはきちんとしておくということが私は必要だと思うんです。官房長官にもう一度伺います。
○塩崎国務大臣 安倍内閣として安倍総理が、憲法九条二項による、いわゆる必要最小限度を超えない実力を保有することを認めている条文からどういうことが読み取れるのかということを特に敷衍しているわけではないと思います。
大事なことは、今、我が国が核兵器を持たないという政策と法律とそして条約について、これは堅持するということを内閣総理大臣が言っているわけでありますので、他のいろいろな政治家としての発言は、いろいろなところで聞こえてくることではありますけれども、我が国の政府としてそういうことはやらないということは明確であると思います。
今、憲法九条二項によっても禁止されないものの中に何が入るのかというようなことを政府が今ここで定義をつぶさにするということも、余り意味があることではないと思っております。
それは、いろいろな議論があって、そして今までの解釈からいけば、通常兵器であろうとも核兵器であろうとも、技術的な進歩によって必要最低限ということはあり得るかもわからないけれども、しかし、それよりも大事なのは、我が国の政府として、どういう政策を持ち、どういう法律を持ち、どういう条約を批准しているのかということが大事なんだろうというふうに思っております。
○吉井委員 これは、日本が、長崎型原爆にすれば五千発を超える、現に持っている、まだ未処理分を含めたら二万発分を超えるぐらいの原爆製造能力といいますか、プルトニウムの蓄積をしているわけですね。そういう国が国際的にも不信を招くこともなく、そして進んでいくためには、それは、こういう議論が政治家の間から次々と飛び出すということ自体が大きな問題だったんです。
なぜそういう議論が出てくるかといったら、これは、二〇〇二年のあの早稲田大学での、安倍さんも官房副長官の時代だから、本当は立場としては内閣を代表するはずですが、彼は憲法上は原子爆弾だって問題でないと、そこにあるのは、憲法九条二項の真田さんの解釈とかそういうものの上に立っているわけですよ。今、総理大臣になったから、ちょっとランクアップしたから非核三原則だ、そういう話じゃないと思うんですね。
やはり、そういうことをきちっとやっていくには、私は、きょうあなたがここで約束できないというのであれば、あなたの責任において、この九条二項の必要最小限度の実力には、日本の場合には他の法律その他でもきっちり禁止しているわけですから、核兵器は含まれないんだということを明確にするということを、これは政府としてよく検討した上で、改めてお答えを求めたいというふうに思います。
○塩崎国務大臣 今の憲法第九条第二項を解釈したときに、核兵器が入る、入らないの話は、真田さんの解釈とかいうことではなくて、内閣法制局が長年にわたってとってきたスタンスとして、それは理論的にはあり得るということを言っているだけのことであります。
我が国は、国権の最高機関は国会であって、そこで法律も、そして条約も批准もされ、成立をしているわけでありますから、もし万が一政策を変えるということになれば、法律を変え、条約を破棄しというプロセスを経なきゃいけないわけであって、そのようなことはしないということを明確に安倍内閣総理大臣は言っているわけでありますから、そこのところはもうそれ以上でも以下でもないというふうに思っております。
○吉井委員 つくらないということは、もう政策的に方針がきっちりしていると言いながら、しかし、直ちに保有することはしないということは、言外には、直ちにという一定期間が過ぎたらあり得るわけですから、そういう発言が繰り返し繰り返し出てくるということ自体は、やはり発言者に対してきちんとした対処を求めるということは当然のことだと思います。
しかし、その根底にある、これまで続いてきた法制局長官の答弁とか、あるいは岸さん以来の閣僚の答弁の中に流れているその考え方をきちんと整理しないと、私はこれは続いていくだろうと思います。
そこをまず正すということを、これは、きょうはもうこれ以上答弁を求めませんが、あなたの方で責任を持って、政府としてきちんとした対応をするように議論をしてもらいたいと改めて伺うようにします。
時間が大分迫ってまいりましたので、私、政府参考人に聞く予定をしておった話は、確認する質問は先においておいて、原子力安全委員長の方に直接いきます。
例えば志賀一号で、地すべりで高圧送電線の鉄塔が倒壊した、外部電源の負荷がなくなったから原発がとまったというのがありますね。原発がとまっても機器冷却系が働かなきゃいけませんが、外部電源からとれればそれからも行けるんですが、それも大規模地震のときはとれないわけですね。
では、内部電源の方はどうなっているかというと、こちらの方は、実際には九九年の志賀一号だとか、八八年の志賀二号とか、九九年二月や九八年十一月の敦賀の事故とか、実際に、バックアップ電源であるディーゼル発電機自身が事故をやって働かなくなった、あるいは、危ないところで見つけはしたけれども、もし大規模地震と遭遇しておれば働かなかったというふうに、配管の切断とか軸がだめになっていたものとかあるわけです。そういう中で、スウェーデンのフォルスマルク原発一号では、バックアップ電源が四系列あるんだけれども、同時に二系列だめになった、こういう事故があったことは御存じのとおりです。
それで、日本の原発の約六割は、バックアップ電源は三系列、四系列じゃなくて二系列なんですね、六割は。そうすると、大規模地震等によって原発事故が起こったときに、本体が何とかもったとしても機器冷却系に、津波の方は何とかクリアできて、津波の話はことしの春やりましたけれどもクリアできたとしても、送電鉄塔の倒壊、あるいは外部電源が得られない中で内部電源も、海外で見られるように、事故に遭遇した場合、ディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなったときに機器冷却系などが働かなくなるという問題が出てきますね。このときに原子炉はどういうことになっていくのか、この点についての原子力安全委員長の予測というものをお聞きしておきたいと思うんです。
それが一点と、もう一点は、機器冷却系が働かないと当然、崩壊熱の除去ができませんから、崩壊熱除去ができないことになったときに、核燃料棒のバーンアウトの問題、これは海外でそういう例もありますけれども、こちらの方はどうなっていくのかという原子炉の安全にかかわる問題について、この場合、どのように想定して、そして審査を進めておられるか、これを伺います。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
最初の点でございますが、いろいろな事態がもちろんあり得ると思っていまして、ただ、そういう事態になったとしてもできるだけ、先生が御心配のように、炉心が深刻な事態にならないようにというのが我々がとっている方針でありまして、そういう意味では、例えば非常用ディーゼルが万一動かなくなったという場合には、さらに直流のバッテリーを用意するとか……(吉井委員「いや、フォルスの方はそれもだめでしたからね、二系列」と呼ぶ)フォルスマルクの場合は四系列の二系列がさらにだめになったということですね。(吉井委員「バッテリーもだめでしたから」と呼ぶ)はい、二系列ですね。
したがって、同じバックアップを多重に持つということと、多様に持つ、つまり、ディーゼルだけじゃなくて直流も持つとか、それからそれぞれを複数持つとか、そういう考え方をまず審査の段階で、設計の段階で確認しております。
地震等においてさらにそういうものが使えなくなるという事態に対しては、もう一つは、私どもとしては、アクシデントマネジメント、非常事態における管理ということで、日本の場合は同じサイトに複数のプラントがあることが多いので、ほかのプラントと融通するとか、そういうような非常に多角的な対応を今事業者に求めているところでございます。
それで、先生お尋ねの、そういう事態になったときにバーンアウト等で燃料が破損する、放射能が外部に放出されるというような事態に対してどう考えているかというお話でございますが、これにつきましては、まず、そういう事態になったときに大きな事故に至らないかどうかを設計の段階、最初の基本設計段階で安全評価をして、安全評価の結果、そういう事態に至らないようにまず確認するというのが一番の基本でございます。
と同時に、しかし、さらに非常に、通常はあり得なくても理論的にはあり得るという事態に対してどう考えるかでございますが、これについては私ども、最近、耐震安全に係る指針を改定いたしました。そういうことで、さらに耐震設計を基本的には厳しくしていきたい、こう考えておりますが、そういう中でも、さらに、残余のリスクと称しておりますけれども、そういうような基準をさらに超えるような大変大きな地震が来たときには、では、どうなのかということも、これは事業者に、そういうことも評価してください、評価した結果、そういうことがまず起こらないことを数字で確認するか何らかの方法で確認してください、そういう方針で今考えております。
ありがとうございました。
○吉井委員 時間になりましたから終わりますけれども、私が言いましたのは、要するに、フォルスマルク原発の場合も、ディーゼルとそれからバッテリーと両方一系列なんですよ。これは四系列あるうちの二系列がだめになったんです。外部電源もだめですから、ほかのところから引っ張ってくるというのも、もともとだめなんです。ですから、そういう場合にどういうふうに事故は発展していくものかということをやはり想定したことを考えておかないと、それは想定していらっしゃらないということが今のお話ではわかりましたので。
あわせて、バーンアウトという問題は非常に深刻です、燃料棒自体が溶けてしまうわけですから。これについては海外でチェルノブイリその他にも例があるわけですから、バーンアウトというのは深刻な問題だということで、原子力安全審査というのはまだ発展途上といいますか、この例を言ったら、事務方の方はそれはまだ想定していませんというお話でしたから、きちんとこういうことを想定したものをやらない限り、原子力の安全というのは大丈夫とは言えないものだ、それが現実だということを指摘して、時間が参りましたので、また次の機会に質問したいと思います。
終わります。
衆議院経済産業委員会 日本共産党吉井英勝衆院議員の質問―2010年5月26日
174-衆-経済産業委員会-14号 平成22年05月26日
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私は、最初にきょうは、電力会社の鉄塔倒壊事故の最近の状況、これが一体どうなっているのかということから伺っておきたいと思います。
○寺坂政府参考人 お答え申し上げます。
最近ということでございますので、平成十二年度から二十一年度までの鉄塔倒壊の事故、電気事業法に基づきます電気事故報告を受けているものでございますけれども、全部で六件ございまして、一番最近におきましては、関西電力、二〇〇八年の九月十五日に美浜におきまして鉄塔の上部折損、そういった事故が起こってございます。
○吉井委員 鉄塔事故というと、普通の人は何か鉄塔がぶっ倒れただけの感じでとどまると思うんです。しかし問題は、例えば今おっしゃった美浜にしても、原発の送電鉄塔なんですね。これは、発電した電力を送る方と、原発が事故をやったときに、二次冷却系のポンプを回す電源として、外部電源が断たれてしまう、内部もアウトになりますと、自然崩壊熱を除去する二次系の冷却ポンプは動かなくなるんですね。これは単なる鉄塔事故にとどまらない深刻な問題を抱えているんだということを、普通の人はなかなかわかりにくい話なので、単なる事故かと思いますから、そういうことをやはりきちんとつかんでおく必要があると思うんです。
二次冷却系ポンプを回す外部からの電源が失われることと、そのとき、大体今、日本では三系列の、自家発とバッテリーの、ディーゼルとバッテリーの系列で三系列ありますが、これは、中越沖地震のような巨大地震に直面したとき、自家発の電源も切断されて原発停止となった場合には、最悪で見ますとどういう事態が起こるとお考えなのかを伺います。
○寺坂政府参考人 原子力発電所の安全確保のために、今委員御指摘のような、外部電源の喪失、そういったことに伴います安全の確保というのは大変重要な課題でございまして、原子力発電所の場合、発電所のトラブルその他におきまして、発電がまず停止をするということが重要でございますけれども、停止した後、その崩壊熱と呼んでおります、引き続き熱エネルギーを発生してございますので、これを冷却していくということが大切なことでございます。
そういったことで、電源が確保されることによりまして崩壊熱の冷却機能というものが確保されるということが大事でございまして、各発電所におきましては、非常用の電源装置、そういったものを複数用意することによりまして、あるいはそれ以外の要素もございますけれども、そういったことによりまして冷却機能というものが継続的に動くことが大切なポイントであるというふうに理解をしてございます。
○吉井委員 ですから、まず鉄塔が倒れたら、これはもう完全に、さっきもおっしゃった事故の中には、二〇〇五年の石川県羽咋市で地すべりによる鉄塔倒壊、これは、地震等によれば当然地すべりどころの話じゃなくなるんですが、外部電源がまず断たれる。内部電源はどうかという点では、これは以前取り上げたこともありますが、二〇〇六年の七月に、スウェーデンのフォルスマルク原発一号機では、安全系の内部電源四系列のうちの二系列の事故で、四系列すべて電源喪失につながる事故がありました。
つまり、内外の例から見ると、やはり最悪の場合を想定しなきゃいけないんですね。ですから、自然崩壊熱が除去できなくなる、それは炉心溶融にも至り得る大変深刻な事態を考えておかなきゃならないということだと思うんですが、どうですか。
○寺坂政府参考人 まず、先ほど委員御指摘になられました北陸電力の、羽咋市での鉄塔の倒壊事故でございますけれども、平成十七年の四月一日に発生してございます。
それで、この鉄塔自身の復旧と建て直しまでには約十四カ月を要したものでございますけれども、同時に、並行して作業をしてございました別の幹線がございまして、これは約三週間後の四月二十二日に運用を開始してございます。
それ以前に、倒壊した直後、これは原子力発電所が安全に停止をしたところでございまして、それで、御案内のとおり、電力といいますか、送電線、いろいろなところでつながっているわけでございますので、そういった意味で、北陸電力の場合におきましても、外部電源の喪失、そういう事態にはならなかったということでございます。
ただ、いずれにいたしましても、これは今の事例でございますけれども、原子力施設を設計する場合に、放射性物質の閉じ込めのために、多重性それから独立性を有します非常用の所内電源を備える、そういったことなどの多重防護の考え方というものは極めて重要でございまして、日本の原子力発電所におきましては、今申し上げましたような多重防護の考え方に基づいた設計がなされまして、それによって安全性を確保しているというところでございます。(吉井委員「最悪の場合は炉心溶融ですね、最悪のとき」と呼ぶ)
最悪といいますか、そもそもそういった事態が起こらないように工学上の設計、ほとんどもうそういったことはあり得ないだろうというぐらいまでの安全設計をしているところでございますけれども、ゼロじゃないという意味の論理的な世界におきまして、外部電源がすべて喪失されて、今、非常用の所内電源、ディーゼル発電機の話を申し上げましたけれども、隣の発電所からの電源融通もできないとか、いろいろな悪い事態というものが、非常に小さい確率ながらも一つ一つ、その小さい確率のものが全部実現をして、それで外部電源が全部喪失されて冷却機能が失われるということになりますと、もちろんその時間によるわけでございますけれども、長時間にわたりますと炉心溶融とかそういったことにつながるというのは、論理的には考え得る、そういうものでございます。
○吉井委員 これは、論理的な、頭の体操の話じゃなしに、現実に、志賀原発の場合には送電鉄塔の倒壊で、これは地震じゃなくて地すべりだけだったんですね、しかし、たまたまここは、おっしゃったように二系列目を建設中だったから送れたけれどもということですが、それにしても、一基倒壊、五基損壊で、他の電源で停電を解決するまでに十万九千二百世帯が八分間停電。原発そのものについては、原発で起こした電力を供給できるようになるまでは、皆さんの方からいただいた資料で四十二日間かかった、今、十四カ月というお話でしたけれども、これは最短の回復の方の話ですが、かかったということも、あらかじめ資料をいただいております。
東京電力の方も、茨城県の潮来、鹿嶋の送電鉄塔が倒壊しましたが、これは、回復するまで、修復するまで何日かかっていますか。
○寺坂政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘の東京電力の鉄塔の倒壊事故は平成十四年十月のものだというふうに理解してございますけれども、これは台風による暴風雨でございます。
それで、十月の一日にその倒壊事故が発生いたしまして、本復旧をいたしましたのは、平成十五年、翌年の六月二十一日、あるいは二十五日でございます。その前に仮復旧をしてございまして、仮復旧したのが、平成十四年、事故の発生した年の十一月二十五日でございますから、二カ月弱で仮復旧して送電ができるようになったということでございます。
○吉井委員 今お話ありましたように、要するに、東京電力の復旧までには八カ月と三週間かかっておるんです。
それで、単なる外部電源が失われた場合を頭の体操で考えるだけじゃなしに、現実に起こっているということをまず考えなきゃいけない。それから、内部電源が失われたという例はフォルスマルク原発の例など現実にあるんだということを想定して考えていかなきゃいけないというのが、まず、これは頭の体操じゃなくて、現実の問題だということを踏まえておく必要があると思うんです。
巨大な地震が起こりますと、今のようなことが同時に発生することが起こり得るわけですね。それで、地震や地すべりや落雷により、送電線が故障して原発の電力が供給できなくなった例の方もまたあるわけですね。供給側がうまくいかない。逆に、二次冷却水ポンプ用の外部電源が給電できなかった例もあるわけですが、具体の事例、おわかりだったらお聞かせいただきたいと思います。
○寺坂政府参考人 まず、原子力発電所の供給ができなくなったといいますか、正確に言うと、送電線が使えなくなったということでございますけれども、先ほどの北陸電力のケースは、一号機でございますけれども、発電所そのものが停止いたしましたので、それ自身が供給が、送電ができなくなったということはないと思います。
一番最初に申し上げました美浜のケース、これは美浜の原子力発電所からつながっているものでございますので、これはある種、瞬間的にといいますか、原子力発電所の電力が送電はできなくなったということだと理解してございます。
○吉井委員 これは例えば、かつてありましたが、京都市内のような需要地で、落雷等で比較的大規模に停電が起こる。そうすると、需要地がとまってしまうために供給できなくなって、原子炉をとめる、そういう問題が出てきたりとか、そういう例は随分ありますから、やはり巨大な地震で停止したときに、自家発電や外部電源の喪失で二次冷却系が機能しなくなって炉心溶融に至ったときにはどれだけの規模の被害が発生するのか、こういうことを検討しておくことが必要だと思うんです。
この点では、一九五九年には原子力産業会議が、国の委託調査で、東海村の原発で炉心溶融のような深刻な事態を想定して、チェルノブイリ事故の三分の一の放射線の放出量を見て損害の試算をやっています。当時の国家予算の金額にして二倍、死者は七百二十人を超え、五千人が障害を起こし、四百万人が被曝手帳をもらうことになるだろうというふうに試算をしておりますが、大臣はこの当時の国の委託調査のことを御存じでしょうか、伺っておきます。
○直嶋国務大臣 いろいろな調査があることは聞いていますが、今御指摘の調査については、私はまだ確認をしておりません。
○吉井委員 これは、国が一九五九年に委託して、原子力産業会議、原子力産業会議は名前が最近ではちょっと変わっていますけれども、いずれにしても、経済界、原発メーカーの方たちが中心になってやっているところへ委託調査をして、そしてそういう報告を出していて、この試算の手法というのは今日でも非常に有効だと。これは、もう数年前になりますが、有馬科学技術庁長官も、今で言う文部科学大臣ですね、あの人が評価をしておられた試算です。
さて、次に伺っておきたいのは、中国の四川省で二〇〇八年五月十二日に大規模な地震がありましたが、あれから二年たちました。仮に、中国、韓国、北朝鮮や東南アジアなどの原発で炉心溶融のような事故が発生した場合に日本への影響はどうなるのかということについては、これは現実的な検討というものをやはりやっておかなきゃいけないと思うんです。
日本学術会議は、ことし二月二十五日に、黄砂・越境大気汚染物質の地球規模循環の解明とその影響対策についてという報告書をまとめています。どこで発生し、日本にどういう経過でやってきて、どういう影響が出るのかということについて、この内容を簡潔に伺っておきたいと思います。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘の日本学術会議の報告書につきましては、黄砂あるいは越境大気汚染物質の地球規模循環の解明、その影響対策ということで、こういったものが、黄砂やあるいは大気汚染物質が地球規模で輸送、拡散することを認識する必要があり、中国、モンゴルの発生源からの黄砂は、偏西風に乗って、日本、太平洋等を越えて大気の大循環として地球規模で回遊するというようなことを念頭に置いて、そういった事例があるというふうなことを報告している内容というふうに承知しているところであります。
○吉井委員 これは、アメリカ、ヨーロッパを越えて、さらに中央アジアを経て、中国、日本へまた戻ってくる、それが大気循環だということで、季節によって偏西風というのは変わるわけですね。中央アジアを通るときもあれば、季節によっては、中央アジアのあたりはもう少し北の方へ寄ったところを偏西風が流れるとか、そういうことも報告としてあるわけです。
ここで伺っておきますが、核関連動態監視のためのSAR画像解析判断技術の調査研究を初めとして情報収集衛星に随分予算を投じてきているわけですが、地上におけるCTBTの放射性核種の監視観測所のデータと突き合わせて、衛星からの放射性同位元素の分析により、国内はもとより外国の原発事故の状況や、本当は、事故が起こってからの話よりも、事故が起こる前の予兆を測定して対応するということは、これは衛星を使っている時代ですから非常に意味があることだと思うんです。
もちろん、その中には、宇宙からの放射線の分を取るとか、データについてはその分の較正、補正をしなければなりませんが、そういう測定、評価をするということは、衛星が非常に大事な役割を果たし得るところだと私は考えているんです。
現状はどの程度、原発事故やあるいはその予兆に当たるものを把握しているのか、伺います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
情報収集衛星のレーダー衛星におきまして、今お話ございましたSARという技術を活用しております。これは、衛星の方から電磁波を地上に向けてぶつけまして、その電磁波のはね返った波を計測するという形で運用するのがレーダー衛星の手法でございます。
これは、あくまでも地表面の変化というものを見るものでございまして、大気につきましては透過してしまうということでございますので、今御指摘のような放射能等につきまして検知するということはできないというふうに御理解いただきたいと思います。
○吉井委員 内閣官房でも文科省でもいいんですけれども、要するに、いっぱい人工衛星を打ち上げているわけですよ、観測衛星や情報衛星を。その中で、日本はもとより世界各地の原発の事故も、はっきりした事故になれば航空写真でも簡単な話なんですが、放射線の漏れ出しているものを早期に確認して、その波長を合わすとか、それで同位体の検出が理論的には可能な話なんですが、そういう手法をとって、原発事故なり予兆なりを衛星を使って測定しているのかどうか、それを伺います。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のような、放射線の漏れ等を検知して、衛星からそれを事前に調査することによりましてその状況を把握するといったことにつきましては、少なくとも国内ではそういった試験なり研究なりはされておりません。
諸外国においてそういう研究開発がなされているかどうかについては、詳細を承知しておりませんけれども、一九八六年のチェルノブイリの事故のときには、あれは火災が検知されて、その火災自体は衛星からの情報であったというふうには承知しております。
○吉井委員 この機会に伺っておきますが、国から民間にH2Aの移管をした後、情報収集衛星光学三号として打ち上げたH2A十六号機の経費は九十四億二千万円というふうに内閣官房から示されております。
文科省に伺っておきますが、同じ民間に移管された後、十七号機、十八号機の打ち上げ費用は幾らであったのかを伺います。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまH2Aロケットの製造等に関する契約価格ということでお尋ねがございました。
H2Aロケットにつきましては、平成十九年三月以降の打ち上げに関しましては、技術移転を受けた企業が、その製造、打ち上げ受注等を行うという体制になってございます。
このため、御案内と思いますけれども、世界には大変多くの打ち上げ用ロケットがございますし、それらが激しい国際競争のもとで打ち上げ受注を競っているという状況でございますので、そういった契約価格に関する情報というのが公表された場合には、そういった受注にかかわる交渉、日本のロケットが実際使われるかどうかという交渉に影響を及ぼすということがございまして、外国ロケットとの間の国際競争力に悪影響が及ぶというおそれがあるために公表させていただいておりません。
なお、ロケット製造等に関する契約価格については、諸外国においてもこれは公表されていないというふうに承知しておりますので、その点御理解賜ればと思います。よろしくお願いいたします。
○吉井委員 内閣府の方は移管後も公表しているんです。文部省の方は秘密扱い。しかし、これは国の技術の移転したものなんです。もともと国のものなんです。それが非公開扱いで国民には何もわからないというのは、一つ一つ、仕様が全部、注文が違うわけですから、違って当たり前なので、しかしそれもわからない。とんでもない話ですから、これは委員長にお願いしておきますが、やはりこういうものは公開させるようにしていただきたいと思います。
○東委員長 理事会で検討いたします。
○吉井委員 情報収集衛星など多額の経費を使って開発してきた衛星で、先ほど来のお話ですと、原発事故はもとより、原発事故の予兆となる放射性排気ガスの分析や掌握もできていないと。
しかし、原発のトップセールスは今やっておるわけですよね。セールスをやるからには、過酷事故が発生した場合の日本への影響評価、これをやっておくのが私は当たり前だというふうに思うわけなんです。
この機会に、そうしたら、チェルノブイリ事故の影響範囲、改めてその影響範囲と被害を伺っておきたいと思います。これは簡潔で結構です。
○泉政府参考人 当時、チェルノブイリ事故は一九八六年の四月に発生した事故でございますけれども、その後、一九八六年、昭和六十一年の六月六日に政府の放射能対策本部が発表いたしました、チェルノブイリ原発事故に起因する放射能の我が国への影響についてということで、ここにこの放射能対策本部の発表の資料がございますけれども、その時点までに行われた国内の放射能調査の結果からすると、我が国における放射能レベルは、高空浮遊じん、大気浮遊じん、雨水、水道水、牛乳、野菜等のすべての試料について漸減し、現時点ではソ連原発事故による放射能レベルは十分低い状況になっているというふうな記載がございます。
○吉井委員 それは大分遠いところの話のことなんですね。
一九八六年八月にIAEAで非公開会議が開かれて、四万人を超える死者という推定値もあったんですが、IAEAの公式見解としては四千人の死者とされ、チェルノブイリから一千百キロ離れたスウェーデンのフォルスマルク原発のところで、これはこの原発とは違う放射性核種が確認されているんですね。つまり千百キロ離れたところでも影響は出ている。それで、二〇〇〇年の追悼集会での発表では、事故処理に当たった人たちで五万五千人の死者が出たということも公表されております。
そこで、先日審議したJOGMEC法でも、カザフスタンのウラン鉱開発、製錬から原発まで取り組むということにしているんですが、もともとあの地域はプレートのぶつかり合う中でヒマラヤ山脈ができていったところですし、地震もよくあるのが中央アジアなんですが、カザフで原発事故があったとき、黄砂のように、あるいは黄砂に付着して、偏西風に乗って日本へ放射性物質が飛んでくることは想定し得ることなんですが、放射性物質が付着した黄砂が家や車や畑の野菜に積もっても人体には大丈夫なんだと検証するものをきちんとやっておられるのかどうかを伺っておきます。
○泉政府参考人 例えば、諸外国で原子力発電所の事故等が生じた場合の放射性物質の我が国への影響といったようなことにつきましては、もとより、国民の安全、安心を確保する観点から、文部科学省では、都道府県と協力いたしまして、日本全国の環境放射能のモニタリングを行っているところでございまして、この際、例えば偏西風等の影響も含めた形での全国の放射能水準が把握されるということになりますので、万一、放射能の異常値が出た場合には、関係省庁と連携しながら、その原因あるいは異常値の人体への影響の程度把握、対応等を検討することにしておるということでございます。
○吉井委員 さっきも言いましたように、仮にカザフであれ中国であれ韓国であれ北朝鮮であれ、原発の炉心溶融が起こったときに、偏西風に乗って、例えば黄砂などに付着してやってきた場合は、黄砂の被害で車に随分積もったりした日があったのは我々経験済みなんですが、やはりきちんとアセスメントをやらないことには、簡単に原発をあっちゃこっちゃ売りに行ったらいいという話じゃないと思うんですよね。
軽水炉による核兵器拡散の議論はこの間やりました。一方、アセスメント抜きに、トップセールスだということで簡単にやったら、売った先で事故があったときに日本にはね返ってくる話なんです。
これは大臣に伺っておきたいんですが、売り込んだ先の技術水準のいかんにかかわらず、原発というものには基本的に、炉心溶融にも至る危険が伴うんです。これは、スリーマイルの事故であれチェルノブイリであれ、アメリカでも旧ソ連でもそういう事故をやっているわけですが、その危険を伴う中で、日本への影響を、やはりきちんとアセスメントをやって、考えて臨むというふうにしなかったら、それを考えないでトップセールスをやるというのは、私はこれは大分問題があると思うんですが、大臣はそういう検討をした上でトップセールスをやられたのかどうかを伺います。
○直嶋国務大臣 吉井先生御指摘の点は、問題提起としてお伺いはしておきたいと思いますが、現在我が国が原子力発電施設を輸出する相手方の国で事故が起こった際の影響については、経済産業省としてそういったアセスメントは行っておりません。
一方で、諸外国において原子力発電を利用する場合には、各国が、それぞれの国がみずから安全の確保に万全を期するということは大前提になっております。
したがいまして、我が国としても、原発の新規導入国と二国間の原子力協力協定を締結する際には、安全確保の取り組みを相手国に求めているところであります。例えば、御指摘のカザフスタンとの原子力協力協定の交渉に当たっても、我が国から原子力安全条約等の原子力安全四条約の締結を求め、カザフスタンはこれら四条約を締結した、そういう経緯もございます。
また、同時に、原子力協力の一環として、さまざまな国に対して、人材育成や法制度整備に向けた原子力専門家の派遣や受け入れ、安全に関する情報提供などの協力を行っているところでありまして、さらに、諸外国が活用可能な原子力発電に係るIAEAの国際安全基準の策定活動等に我が国としても積極的に貢献をいたしているところでございます。
したがいまして、基本的に今の枠組みは、それぞれが責任を持ってやる、そして間違いなくやれるように我々も協力支援をさせていただいているということでございます。
学術レベルの研究はいろいろなものがあろうかと思うんですが、現状は、国際的にこういう形で行っているということでございます。
○吉井委員 協定があれば安全が保たれるという話じゃないんです。技術の水準が問題になってくるんです。それから、原子力という技術そのものに、非常に危ない、もともと本質的な危険があるわけなんです。
そのことを踏まえるならば、簡単に、アセスメントもやることなくどんどん売り込みに行くというやり方は、これはやはり改めなきゃいけないし、逆に、日本の持っているすぐれた技術の中の一つである再生可能エネルギー、この分野は随分たくさんあるわけですね。これは国際的にも爆発的普及を進めるということが大事ですから、そういう方面でこそ輸出等を考えていくべきである、このことを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。
地元の日本共産党福島県委員会も津波の被害を東京電力に指摘していた
この申し入れの中身を真摯に受け止めなかった東京電力の責任も本当に大きいと思います。
福島原発10基の耐震安全性の総点検等を求める申し入れ
東京電力株式会社取締役社長 勝俣 恒久 様
2007年7月24日
日本共産党福島県委員会委員長 最上 清治
東電柏崎刈羽原発の中越沖地震への対応は、福島県民に大きな衝撃をもたらしたばかりか、多くの国民にも疑問と不安をもたらしている。東電がこれまでどんな地震にも大丈夫という趣旨の主張を繰り返してきたことと裏腹に、消火活動が出来なかったり、放射能を含む水が海に流出したり、放射性物質が3日間も主排気筒から放出されたり、原子炉建屋などの地震の波形データが大量に失われている。
そもそも、1995年に阪神淡路大震災をもたらした兵庫県南部地震の岩盤上の地震動の記録は、日本の原発のなかでもっとも大きい地震に備えるとされる中部電力浜岡原発の設計値を越えていた。このことは1981年に原子力安全委員会が決定した原発の耐震指針の基礎が崩壊したことを示したものであった。
以来、私たちは、国と電力会社に対して、耐震指針の抜本的見直しと原発の耐震新指針の確立を求めてきた。
2006年、原子力安全委員会は「新耐震指針」を決定したが、原子炉を岩盤でなくとも建設できるとか、活断層がない場合の規定が曖昧など大きな後退や問題をもつものであった。
今回発生の中越沖地震で柏崎刈羽原発を襲った揺れは、設計時の想定を最大3.6倍と大きく上回った。これまで兵庫県南部地震の事実を突きつけられても、原発の耐震性は大丈夫としてきた政府と電力会社の説明は完全に覆されていることを率直に認め、以下の対応を早急に取るよう求める。
1、中越沖地震から教訓として何を取り入れて対応したのか、また対応しようとしているのか。その上に立って、福島原発10基の耐震安全性を総点検すること。
2、東電は、柏崎刈羽原発の設置許可申請時におこなった海底調査で、今回発生した中越沖地震を引き起こした断層があることをつかんでいたことが判明している。
これまで福島原発立地周辺の断層調査の全容と安全審査の対象にしたのはどの断層で、対象からはずしたのは何かを明らかにすること。
3、発電所内の自衛消防隊の消火体制の確立・強化をはかり万全をはかること。
4、福島原発はチリ級津波が発生した際には機器冷却海水の取水が出来なくなることが、
すでに明らかになっている。
これは原子炉が停止されても炉心に蓄積された核分裂生成物質による崩壊熱を
除去する必要があり、この機器冷却系が働かなければ、
最悪の場合、冷却材喪失による苛酷事故に至る危険がある。
そのため私たちは、その対策を講じるように求めてきたが、東電はこれを拒否してきた。
柏崎刈羽原発での深刻な事態から真摯に教訓を引き出し、
津波による引き潮時の冷却水取水問題に抜本的対策をとるよう強く求める。
5、危機管理体制の再点検を行い、その結果を速やかに公表すること。