もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
環境

【11・02・15】過大な水需要予測は見直さないひどすぎる再検証―「第2回設楽ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」を傍聴

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 2月15日、豊橋市民センター(カリオンビル)で行われた「第2回設楽ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」を田中くにとし設楽町議といっしょに傍聴しました。
 
 傍聴しての感想は、本当にひどい再検証会議だということです。

 事務所に戻り、「この怒りを一体誰にぶつけたらいいの!」と皆さんに内容を聞いていただき、怒りを共感していただきました。それほどひどい内容だったのです。

 参加した傍聴者の皆さんは、ひどすぎてあきれ果てていました。

 田中くにとし設楽町議は、「設楽町民は、どうなってもいいというのか」と設楽町にすむ皆さんにだけ犠牲を押し付けておけばいいと聞こえるような発言に怒っていました。

 こんな反国民的なことをやらされて、きっと参加をしていた公務員の皆さんも辛かったのではないかと思いました。

 私が1番ひどいと思ったのは、過大な水需要見込みをいっさい見直さずに、「検証」と言ってすすめることがはっきりしたことです。

 肝心要の前提を見直さずにいくつもの代替案を出して、“検証をやった”と言うつもりでしょうか?

 名古屋地裁の判決のなかでも、設楽ダムは過大な水需要を見込んだ計画であると認めています。

 2010年6月30日の名古屋地方裁判所の「設楽ダム公金支出差止請求事件」判決では、「豊川水系フルプランの基礎となった愛知県受給想定調査の水道用水及び工業用水の需要想定には、平成27年度における実際の需要量がその需要想定値に達しない可能性が相当高いという問題があることは確かである」と過大な水需要を見込んでいることをきちんと認めています。

 しかし、愛知県が、“必要だ”と言った水の量は、ほとんどノーチェックで確保するというのです。
 公的な統計データが用いられているからいいんだ、とか、裁判で実績と需要見込みが乖離していることが指摘されているのに、「実績データを元に一般的な統計学手法である回帰式等が用いられていることを確認」したのだからいいんだ、と中部地方整備局は言っています。

 なぜ、あと4年後の2015年に急激に水需要が増えるのでしょうか?

 そんなことは誰も聞かない、検証もされない「検証の場」という名前の会議でした。

 この会議にいったい皆さんの税金がいくらかかっているのでしょうか・・・。

 そして治水対策についても、150年に1度の大規模な洪水は、設楽ダムでは防げないことには、だんまり。

 会議の出席者は、愛知県豊川水系対策本部副本部長(副知事代理)、豊橋副市長(市長代理)、豊川市長、蒲郡市長、新城市企画部長(市長代理)、田原市長、設楽町長、国土交通省中部地方整備局長、国土交通省中部地方整備局河川部長でした。

 住民や有識者を参加させ、発言の機会、質疑応答の機会を設けるべきです。

 本来は、設楽ダムを推進している中部地方整備局や愛知県から独立した住民参加型の第三者機関で客観的、科学的な検証が行われるべきです。

 その他、2070億円と言われていた総事業費が2093.7億円に点検後なったこと、工事が遅れると1年ごとに6.1億円ずつ増えるということなども報告されました。

 以前、設楽ダム工事事務所に行ったとき、“総事業費2070億円で全部やります”と言っていました。その言葉に反して、やっぱり事業費は膨れ上がっていっています。

 設楽ダム建設予定地は、地盤がもろく、弱いという問題も抱えています。総事業費はいったいいくらまで膨れ上がるのでしょうか。
 ちなみに徳山ダムは、当初総事業費2540億円といわれていましたが、結局、約3350億円と膨れ上がりました。
 奈良県の大滝ダムは、当初の230億円と言われていましたが、地すべりもあり、3640億円へ大膨張しています。

 この日は、新知事の初登庁の日でしたが、愛知県副知事代理の方は、新知事は設楽ダムについて幅広く意見を聞くと言っている、と言いながら、会議の最後のほうでは、早々に設楽ダムの再検証を終わって、早く予算に反映してほしいという主旨の発言もありました。
 本当に幅広く意見を聞こうと思えば、時間はもっとかかり、1つ1つまじめに検証していかなければならないはずです。
 

 このままでいいはずがありません。
 国会議員団にもこのいい加減な状況を報告し、設楽ダム中止のために一層がんばる決意です。

 
 写真は、「検討の場」がはじまる少し前の状況です。

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