11月16日、愛知県委員会の会議のあとすぐに八田ひろ子元参院議員と豊橋市に向かい、日本の農業と地域経済に壊滅的な打撃を与えるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題の学習会に参加しました。斎藤ひろむ豊橋市議予定候補、鈴木みさこ豊橋市議予定候補も参加していました。
講師は、農民運動全国連合会・新聞「農民」編集長の赤間守さんです。赤間さんには、国会秘書時代から大変お世話になっています。農林水産問題のスペシャリストです。
愛知の中でも、とりわけ東三河は、農業がさかんな地域です。田原市は、農業生産額全国1位、豊橋市は全国6位で、この2市だけでも岐阜県全体の農業生産額に匹敵するそうです。もし、TPPに日本が参加するとなれば、大きな影響が出る地域でもあります。
愛知県は、11月15日にTPPに参加すれば、愛知県内の農業生産が824億円減ってしまうという試算を発表しました。
赤間さんは、そんなことも紹介してくれました。
例外品目のあるFTA(2国間あるいは地域間の自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)にくらべ、TPPは、例外なき自由化を原則としています。
そのことにアメリカが目をつけ、2011年秋の妥結をめざしています。
TPPの参加国は、ブルネイ、ニュージーランド、チリ、シンガポール。交渉中なのは、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、マレーシアです。
菅内閣は11月9日、TPPについて「関係国との協議を開始」と閣議決定しました。もともと日本の動きも、アメリカの要請から始まりました。
赤間さんは、「菅政権になって、アメリカ・大企業との一体化はますます深まっている」と指摘しました。
民主党政権が6月18日に決定した「新成長戦略―『元気な日本』復活のシナリオ」と6月15日に日本経団連が発表した「アジア太平洋地域の持続的成長を目指して」という提言は、そっくり同じものであり、日本多国籍企業のアジア・世界進出と農産物輸入自由化をすすめようとしていると話されました。
TPP拡大交渉の主導権を握っているアメリカは、日本にたいして農業分野や日本郵政事業を含めた貿易障壁の撤廃を要求しています(2010年10月28日付「産経新聞」)。それに応じようという動きを見せているのが菅政権です。
前原外務大臣は、「日本の国内総生産(GDP)の割合で1.5%の第一次産業を守るため98.5%犠牲になっている」と2010年10月20日発言しましたが、とんでもない認識で本当に罰当たりだと思います。私たちは、農林水産業で働く皆さんに命を支えられているのです。
TPPに参加すれば、お米は、生産量は90%減ってしまいます。小麦は99%減って、牛肉は75%減少し、豚肉も70%減少してしまうという試算が出ています。
食料自給率14%の国にして本当にいいのかが問われています。
菅直人首相が言っているようにTPP参加と農林水産業の振興を両立しようと思えば、農家への補償だけで4兆8000億円ものお金が必要だと篠原孝農水副大臣も言っています。民主党政権にその財源をつくることが果たしてできるのでしょうか。
世界的な食料危機も確実にくると言われているなかで、輸入に頼るだけでいいのか、ひとたび食料危機がやってきたとき、日本はお金で食料を買えるかもしれません。しかし、一方で貧困な発展途上国に住む人は高くて買えない、食料がまわってこない、ということにはならないか、そんなことも心配になってきます。そして、いくらお金をだしても食糧を買えないときがくると言われています。
赤間さんは、日本は豊かな国土で水も豊富。農業をできなくすることは世界的にみてもあってはならないことで、輸出に頼ることは、相手国の水も奪うことになる。フードマイレージという観点からも日本で農作物をつくる必要性があるとお話されました。
日本で食料をつくることは、国際貢献につながると私も思います。
TPPに参加すれば、人件費の安い国で安く車をつくって、関税ゼロで日本に輸入することになるのではないか、日本のモノ作りはますます空洞化し、働く場所も減少するのではないか、賃金がますます下がり、ますます失業する人も増えるのではないか、そんなことも心配です。
学習会に参加しながら、ますますTPP参加は許さない運動を広げなくては、と強く思いました。
赤間さん、ありがとうございました。