10月18日、愛知県刈谷市にある愛知教育大学を訪問し、松田正久学長、岩崎公弥理事・副学長、折出健二理事・副学長、松村常司理事・副学長と懇談させていただきました。
八田ひろ子元参院議員、かわえ明美さん、山本シモ子刈谷市議、中村吉男青年学生部長と一緒です。
懇談の中心的な問題は、大学運営費交付金の削減問題です。
2003年の国会で、国立大学を独立行政法人とする法案が国会を延長して通されてしまいました。その審議の際の附帯決議には、“法人前の公費投入額を十分に確保する”と明記されました。しかし、2004年から大学運営費交付金はマイナス6・7%、830億円も減らされています。
その上に、今、さらに削られる危機に直面しています。
愛知教育大学では、松田学長名で2011年度の概算要求基準で国立大学法人運営費交付金を削減対象としないことを求める緊急声明を発表。
松田学長はこの内容にふれ「2004年から毎年1%減額されています。基盤的経費である一般運営費交付金は04年度47・1億円あったのに、10年度では44・4億円に減っています。この間、教員20人、職員15人を削減せざるを得ず、教職員の補充ができず教育環境が悪化している」と厳しい状況を訴えました。
来年度予算案での一律1割削減が機械的に適用されれば、同大学の場合、影響額は約5億円にのぼります。
5億円削減というのは、「人件費を除くすべての経費16・4億円の約4カ月分」、「学生授業料930人分に相当、学部学生授業料の14.3万円の値上げに相当」などの試算も紹介されました。
松田学長は、「5億円この削減額では、大学を運営する余地がなくなる。憲法26条には、『すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する』とある。これを保障するために国立大学があるのに」と話されました。
とりわけ、教員養成が中心の大学は、企業からの外部資金を得ることも困難で、国の「評価」も教育系が下位を占めるような「評価」方法がとられています。
愛教大でも、不況のなかで、学生の家庭の収入も減っている中で、授業料の減免制度の申込みや奨学金の申込みが増えているそうです。
しかし、その授業料の減免制度の予算も減額される危機にあります。
「奨学金や授業料減免を求める学生のニーズもかなりある。教員を目指して入ってくる学生がきちんと学ぶ環境をつくるためにも削るわけにはいかない」と述べられました。
愛教大では、教職員、学生、保護者に呼びかけて学内で集会を開き、国へパブリックコメントを寄せるよう呼びかけてきたことも紹介されました。
民主党政権が、さらに大学運営費交付金を削減するのであれば、それは本当に亡国の政治だといわざるを得ません。
本来は、もっと教育予算は、増やすことが求められています。
そして、国連の経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第13条2(b)及び(c)【高等教育の段階的無償化】条項の留保を撤回すべきです。留保しているのは、マダガスカルと日本だけ…。本当に情けない姿ではないでしょうか。
これを変えることができるのは、私たち国民一人ひとりの力と幅広い共同の運動だと思います。
有意義な懇談をさせていただきました。