日本共産党の志位和夫委員長は3月21日、記者会見し、政府・経済産業省がすすめている原発大増設計画、核燃料サイクル政策を中止し、自然エネルギーの本格的利用への政策転換をおこなうことを、強く求めました。志位氏の発言は、次の通りです。
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原発大増設
旧政権をも上回る無謀な計画
報道によると、経済産業省は、近く改定される「エネルギー基本計画」で、地球温暖化への対応を口実に、原発を「低炭素エネルギーの中核」とし、2030年度までに少なくとも14基を新増設するとともに、現在60%台の稼働率を90%に引き上げることを盛り込もうとしている。
自公政権が08年5月に発表した「長期エネルギー需給見通し」では、「約9基の新設、利用率は80%程度」としていたが、今回の動きはそれをも上回るものであり、電力業界が現在計画している14基の新増設を、すべて認めるというものとなっている。
原発は技術的に未確立で安全性が確保されておらず、放射能汚染という深刻な環境破壊をもたらす。放射性廃棄物の処理・処分方法も未確立であり、わが国が有数の地震国であることにてらしても、原発大増設の計画は無謀で危険極まりないものである。また稼働率の引き上げは、原発の定期検査間隔を大幅に延長し、老朽化した原発を酷使し、事故につながる危険なものである。わが党は、この計画にきびしく反対する。
核燃料サイクル
破たんした危険な政策から撤退を
一方で、政府は、すでに破たんが明瞭(めいりょう)となった核燃料サイクル政策に固執している。高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転再開を強行しようとし、2015年度までにプルサーマル運転を、16~18基の原発で実施する計画をすすめ、すでに一部の原発ではプルサーマル運転が開始されている。
欧米各国では、技術的困難、危険性から、高速増殖炉開発を中止している。日本も、この危険な計画から撤退すべきである。危険なプルサーマル計画はすみやかに中止すべきである。
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「地球環境」を口実にしてはならない
原発を「温暖化対策の中核」とする日本政府の主張は、世界でも突出したものである。IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)第4次報告では、原発について「安全性、核兵器拡散、核廃棄物の問題」があると指摘している。欧州8カ国環境相が07年10月に発表した共同声明は、「原発は持続可能な発展と両立せず、気候変動とのたたかいにおいて有効な選択肢とならない」としている。
地球温暖化への対応で大切なことは、企業との間での削減協定締結など実効ある削減措置をとることと一体に、原発頼みから脱却し、自然エネルギーの利用拡大に本格的に取り組む方向に、エネルギー政策の抜本的転換を図ることである。
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プルサーマル計画
使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを含むMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料を既存の原発(軽水炉)で燃やすこと。制御棒の効きが悪くなるなど、危険性の増大が指摘されています。