昨年12月25日に閣議決定された2010年度予算案は、雇用や社会保障など国民生活関連は国民要求からみれば不十分なものです。
一方で、大型公共事業と軍事費は、「聖域」化されています。予算案に組み込まれた愛知県関連事業は、県民から批判のでている大型開発が自公政権時代と同様に多数あります。
設楽ダム予算増
設楽ダム(総事業額2070億円)の工事費として概算要求20億円に対し、8億円近く上積みされ27億6600万円が盛り込まれました。
同ダム建設予定地は、天然記念物のネコギギが生息し環境破壊が懸念されるとともに、過大な水需要予測や投資効果の過大評価など建設の必要性が疑問視されています。
大企業の港づくり
港湾関係費全体は約25%減となりましたが、自民党政権時代から推進してきた大企業のための名古屋港など全国3カ所「スーパー中枢港」整備費は増額されます。
名古屋港ではスーパー中枢港湾のモデル事業として08年から名古屋港飛島埠頭第2水深バース(岸壁)の建設が始まっています。完成後は隣接するトヨタ飛島センターから自動車部品を積んだコンテナ船が出港します。
中部空港需要調査も
中部国際空港(2005年開港)の2本目の滑走路建設に向けた需要調査費が計上されました。
旅客数、貨物取扱量ともに開港した05年度をピークに年々低下しているなか第2滑走路の建設計画には批判が高まっています。
導水路減額も5億円
徳山ダム(2008年運用開始)の水を引く導水路(総事業費890億円)は09年度より減額されましたが、調査費などに5億円を計上しています。
水需要減で水余りとなっている木曽川に水を注ぐ導水路は必要ありません。
本丸御殿3億円か
本丸御殿復元として国は都市公園費の型で09年度1億3千万円を計上。2010年度は自治体に使い方を任せる「社会資本整備総合交付金」(仮称)として3億円を予定しています。
市の担当者は「本丸御殿は重要な事業」と述べ、交付金の大半を本丸御殿建設費に使う模様です。
経済不況で市民の暮らしが厳しいなか、本丸御殿を急いで建設する必要があるのか市民から疑問が出されています。
事業推進の民主党
設楽ダムについて政府は本体工事に着工していないため「再検討ダム」としています。しかし、民主党の愛知14区の衆院議員は、マスコミ取材に「予算増額が朗報。予算を上積みして廃止はない」と事業推進を言明しています。
民主党県議団も設楽ダムや自動車輸送に対応する整備促進などの事業予算を政府に求めています。