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選択的夫婦別姓実現を「他者の人権侵害せず」 2025.6.11
議事録
本村伸子
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
昨日、選択的夫婦別姓を求める当事者の方のお声を紹介させていただきました。共感のお声が届くと同時に、SNSのコメントなどでは、同棲すればいいのではというコメントもございました。当事者の方々の痛みが伝わっていないのではないかということを痛感しております。
今の日本の法制度では、法律婚をしなければ法的な保護がなかったり、制度が使えなかったり、かなりの不利益がございます。例えば、法テラスの犯罪被害者支援の点でも、これは法改正をしたわけですけれども、犯罪の被害直後から公費で法テラスの弁護士の支援を受けられるということです。殺人の被害に遭われた御遺族の方や犯罪によって心身に重大な被害がある場合にその家族が利用できるということになっているんですけれども、法律婚の配偶者、そして直系の親族若しくは兄弟姉妹のみということになっております。
大切な人の命を失ったり、重大な被害に遭ったときに、法律婚だと被害直後から公費で弁護士の皆さんの支援を受けられるのに事実婚だと受けられない、事実婚も認めるべきだということを私は論戦をしてまいりましたけれども、しかしそれは駄目だ、実態が分からないということで拒否を政府によってされたわけでございます。
もちろんこれだけではございません。一般社団法人「あすには」の皆さんが慶応大学の阪井裕一郎先生と一緒に調査をされたわけですけれども、そこの中では、税の控除が受けられないですとか、配偶者として医療行為への同意ができない可能性があるですとか、相続権がない、遺言書があっても相続税がかかるですとか、あるいは配偶者の居住権がないですとか、子供を持つことにちゅうちょがあるということや、介護施設などに夫婦として入居できないですとか、生命保険の受取人、代理人の指定ができない可能性があるとか、そういうかなりの不利益があるわけです。
やはり、こういう法律婚ではアイデンティティーの喪失を感じる、自分が自分でなくなると感じる不利益がありますし、事実婚では法的保護が受けられず制度も受けられないものがある、様々な不利益があると。やはり生まれ持った氏名で生きたいと願うお二人の場合、選択的夫婦別姓制度をつくることがやはり必要だということを痛感しております。
そこで、この三法案が当事者の思いに寄り添った法案になっているかという点、改めてお伺いをしたいというふうに思っております。
先ほどの一般社団法人「あすには」の皆さん、阪井先生が事実婚当事者の方々に調査をされました。そこでは、選択的夫婦別姓制度が実現しないために推計五十八・七万人が事実婚を選択せざるを得ないという結果が出ております。いわゆる結婚待機人数ということになります。この人数は、東北大学の吉田浩教授のチェックも入ったしっかりとした人数だというふうに思っておりますけれども、生まれ持った氏名で生き、結婚もしたいという当事者の思いをどのように受け止めておられるのかという点、まずお伺いをしたいと思います。
米山議員
それでは、お答えいたします。
いろいろな思いの方がおられると思いますので、私の個人的経験、そして意見を申し上げさせていただきたいと思います。
私は五十歳を過ぎて結婚いたしましたが、妻はそもそも作家としてのペンネームの方が世の中に通用しておりましたので、改姓後もそのペンネームを使う以上事実上の夫婦別姓になるので特段問題ないということで、妻の方が姓を変えてくれました。仮に妻が姓を変えてくれずに私が姓を変えるということになりましたら、仕事上ある程度確立した名前が変わることで大きな不利益を被ることになったと思いますし、五十年間培ってきた自分のアイデンティティーも傷つきますので、私も事実婚を選択したのかもしれません。
また、今ほども委員から御指摘があったように、事実婚でもよいのではないかという御意見もあるでしょうし、実は、妻なども最初は事実婚でもいいと言っていたのですが、私が法律婚のメリットは大きいと説得して法律婚をすることになりました。
その結果、先般、無事結婚五年を迎えたんですけれども、妻は、結婚して、法律婚という意味ですが、結婚してよかったよ、何かのたびにみんな祝福してくれるし、どこにでも夫婦で行けるもんねというふうに言っているところでございます。
我が家の場合は、妻のペンネームという、非常に名の知れたペンネームということによって事実上の夫婦別姓ができて、私も妻も長年培ってきた姓のままで法律婚ができるという幸いに恵まれたということでございますが、それは今、選択的夫婦別姓制度ができることを心待ちにしている推定六十万人の方々も当然手にすることができるべき幸いだというふうに思っております。
私、そしてまた法案を提出した我々立憲民主党は、是非、今国会でこの法律を成案させて、こういった待っている六十万人の方々にも同様に、それぞれの姓で法律婚をするということを、是非その幸いを受けていただきたいというふうに思っております。
藤田議員
お答え申し上げます。
私たちの維新案が施行されれば、婚姻により氏を改めた方が職業生活や社会生活のあらゆる場面で旧氏を引き続き使用できることになるために、生まれ持った氏名で生き、結婚もしたいという思いは一定程度実現できるものと考えております。
また、結婚した際、女性側が氏を改めることが多数である我が国におきましては、特に女性の職業活動や社会活動における不利益が問題となりますが、これについても維新案の施行によりかなりの程度解消できるものと考えております。
このアンケート結果の中で事実婚を選択されている方がどれぐらい法律婚に移行するかは各々の判断に委ねられることになると思いますけれども、この委員会でも何度も申し上げているように、現実的な不利益とアイデンティティーとかそういう問題というのは非常にリンクしているということは様々な方が言われておりまして、その不利益、不具合というものがほとんどなくなるということにおきましては、それで御納得いただける方も多数いらっしゃると思います。
ただ、何度も申し上げますように、全て一〇〇%、全て一人残さず御納得いただけるかというと、それはどんな制度でも課題が残るという認識でおります。
円議員
御指摘の調査は承知しております。
私どもの党は、選択的夫婦別氏制度について、その導入を我が党の政策として掲げてきたところでありまして、一般社団法人「あすには」を含む様々な積極派、消極派双方の皆様から御意見を伺い、また「あすには」の調査のした方々からも直接お話を伺いました。
そして、五十八・七万人もの方々がこの選択的夫婦別姓を待って法律婚をせず事実婚をしていらっしゃるということで、今、藤田さんからも御答弁がありましたが、その方々全員が、この制度が導入されて事実婚から法律婚になられるかどうかはもちろん分かりませんけれども、多くの人が多分法律婚を選び、そして子供も持ちたいと思っていらっしゃるかもしれない、そういうことを思いますと、昨年七十万人を切った子供の出生数、これがこの選択的夫婦別姓制度が導入されることで子供の数も増えるのかなという期待も持ちまして、是非とも実現させていきたいと思っております。
本村伸子
ありがとうございます。
それで、確認なんですけれども、この選択的夫婦別姓を求める人の願いがかなったとして、そのことがほかの誰かの人権を侵害することになるのかお伺いをしたいと思います、三党の皆さんに。
米山議員
我が党が導入しようとする選択的夫婦別姓は、国民の間における多様な価値観を許容する観点から、あくまでも夫婦別姓、別氏を希望する方々に対してその選択肢を認めるものにすぎず、夫婦が同姓を称することを否定するものでは全くございません。別姓を強制するものでももちろんございません。
したがいまして、制度導入後も、これまでどおり夫婦が同じ姓を名のりたい方々は当然同じ姓を名のることもできますし、夫婦が別の姓を名のることを希望した場合には別々の姓を名のることができることとなりますので、立憲案の施行によって他の方の人権を侵害することは決してないと考えております。
藤田議員
お答え申し上げます。
我が党の案は、選択的夫婦別氏制の導入ではございませんが、立憲案、国民案により同制度が導入されたとしても、それによって直ちに他者の人権を侵害するものではないと考えております。
他方、そうであったとしても、選択的夫婦別氏を導入することにおきましては、国民の間に様々な慎重意見があることは事実でございまして、合意形成、コンセンサスを得るためには議論が必要というのが我々の立場でございます。
円議員
私ども国民民主党や、また立憲民主党が導入しようとしております選択的夫婦別氏制度は、婚姻によって氏を改めることによる社会生活上の不利益をなくし、併せて、個人のアイデンティティーの重要な要素である氏を保持する人格的利益をも保護するということを、本村先生もよく分かっていらっしゃると思いますが、ですから、あくまでも夫婦別氏を希望する方々に対して、その選択肢を認めるものにすぎませんで、夫婦が同氏を称することを否定するものでもなければ、別氏を強制するものでもございません。
したがいまして、制度導入後も、これまでどおり夫婦が同じ氏を名のりたい方々にとっては当然同じ氏を名のることもできますし、そして、別々の氏を名のることを希望した御夫婦の場合は別々の氏を名のることができることとなりますため、国民案の施行により、他者の人権を侵害することは決してないと考えております。
本村伸子
選択的夫婦別姓制度の実現によって、藤田先生も、ほかの誰かの人権を侵害するものではないということはお認めいただいたというふうに思います。
やはり生まれ持った氏名で生きたいと願うお二人の場合、パートナーと幸せに生きることを応援する、その制度だというふうに思いますので、やはり早急に実現することが本当に喫緊の課題であるというふうに思っております。
もう一つ、日本維新の会の藤田先生にお伺いしたいんですけれども、お互いに生まれ持った氏名で生きたいと願うお二人が結婚を望む場合、どちらか一方のみが名字を変え、アイデンティティーを喪失することは、個人の尊厳と本質的平等に立脚した制度と言えるのかという点、お伺いをしたいと思います。
藤田議員
お答え申し上げます。
委員御指摘のアイデンティティーに関しましては、維新案提出者としてももちろん大切な要素であると認識しております。そして、現行の夫婦同氏制度においては、女性の側の婚姻による改姓が圧倒的であるといった男女の実質的不平等の問題や、改姓によるアイデンティティーの喪失といった問題が存在することも承知をしております。
この点、維新案が施行されれば、婚姻によって氏を改めた者が社会生活、職業生活のあらゆる場面で旧氏を使い続けることが可能になるために、アイデンティティーの喪失問題もかなりの程度解消されるものと考えております。
本村伸子
ただ、名字を変えたくないという方にとっては、アイデンティティーの喪失ということになってしまうというふうに思います。
もう一つ、日本維新の会の方にお伺いをしたいんですけれども、先日、六月四日の答弁で、最高裁判決でも認められているように、氏には、そのような個人の呼称としての意義のほか、社会の構成要素である家族の呼称としての意義も存在します、したがいまして、この場合の戸籍氏にも、夫婦から子に受け継がれ、家族全体のアイデンティティーの基礎となる家族の呼称としての意義がなお確実に存在すると言えまして、実際上も、親族の集まりなどの私的な場面においては、これをいわゆるファミリーネームとして使用することも当然に可能であります、維新案は、このような家族としての呼称の意義、つまり、ファミリーネームはあった方がいいんじゃないか、そういう考えを極めて重く見て立案したものでございますというふうに答弁をいただきました。
そこでお伺いをいたしますけれども、家族全体のアイデンティティーとは何かという点、御説明をいただきたいと思います。
藤田議員
先日も御答弁させていただきましたとおり、氏には社会の自然かつ基礎的な集団単位である家族の呼称としての意義があると考えます。そして、家族を構成するお一人お一人が、このような家族の呼称としての同一の氏、いわゆるファミリーネームを称することによって、家族という一つの集団を構成する一員であることを実感するということには、一定の意義があると考えます。
先日、家族全体のアイデンティティーという言葉で述べようとしたのは、以上のような趣旨の事柄でありまして、これは平成二十七年最高裁判決でも認められているところかと思います。
本村伸子
家族全体のアイデンティティーの御説明にはなっていないというふうに思うんですけれども、いま一度、家族全体のアイデンティティーという点、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
藤田議員
お答え申し上げます。
ちょっと繰り返しになりますけれども、家族という社会の自然かつ基礎的な集団単位である家族、その呼称としてファミリーネームの意義という説明をさせていただきましたが、その集団を構成する一員であることを実感するということについては一定の意義があるということを、この最高裁の判決を引きながら、御説明を申し上げたということでございます。
本村伸子
ただ、その最高裁の判決というのは、氏と名前を別々に論じているもので、氏名はセットで個人を他者から識別、特定する機能がより高まりますし、個人から見れば、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の尊重であって、人格権の一内容を構成するものということで、氏と名前を分けてしまっている、最高裁でかなり問題がある判決だというふうに思っております。
個人の尊重、個人の尊厳、個人のアイデンティティー、これが一番重要な価値であるというふうには、そういう観点には立っていないということなんでしょうか。
藤田議員
お答え申し上げます。
御党やまた立憲さん、国民さんが考えておられる、そういう氏とか、又はアイデンティティーの価値観を全く否定するつもりもありませんし、そういう考えもあるし、私たちのように、制度設計において、家族単位の呼称というものについて、制度設計上それを軸に、これまで踏襲されてきた原則を変えずに制度をつくっていこうという考え方も、またこれは制度論の中であり得る話だと思います。
それから、もう一つ付言すれば、たくさんの方が先ほどもおっしゃられていたように、このアイデンティティーの問題から、切り口からこの選択的夫婦別姓を求めておられる。それは、旧姓使用の拡大や法制化によっては一〇〇%は解消されないということは私も何度も答弁で申し上げていますが、それに加えて、先ほどの御質問の中に、それがすなわち、すぐに他者の人権を侵害するかというと、それはそうではないと思います。
ただ、御本人が希望し、そして他者の人権を侵
害していないからといって、すなわちそのまま直ちに社会制度全般を変更すべきかどうかというのは、これはまた違う視点、総合的な議論が必要だ、そういう立場であります。
ですから、立憲さんや国民さんの案はそれはそれで筋の通った案だと思いますが、制度設計上の思想が違い、そしてそれがどう違うかということを明らかにしながら、合意形成、どこが得られるかということをするのがこの委員会でありますから、決して個人のアイデンティティーを軽く見たり、否定しているものではございません。
本村伸子
ありがとうございます。
選択的夫婦別姓を求める方々の中には、例えば、歴史ある老舗の一人っ子同士で結婚をしたいというふうに思っているケースがございます。どちらも生まれ持った氏名で生きたい、歴史ある名字を残したいと願っている場合、選択的夫婦別姓の方がそれぞれのアイデンティティー、ファミリーネームを維持できるのではないかというふうに考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
三党にお願いをしたいと思います。
米山議員
お答えいたします。
まさにおっしゃるとおりだと思います。昨日の参考人質疑で竹田参考人が、このような場合を引いて、何家か分からなくなる、若しくは祭祀ができなくなるというようなことをおっしゃられましたけれども、例えば、佐藤旅館の御令嬢の佐藤花子さんと割烹田中の御曹子の田中一郎さんが結婚した場合は、夫婦力を合わせて佐藤旅館を佐藤家として運営し、割烹田中は夫婦力合わせて田中家として運営すればいいのであり、何も困ることはないというふうに考えております。
祭祀についても全く同様で、佐藤家の祭祀として行うべきは夫婦そろって佐藤家として行えばいいし、田中家の祭祀として行うべきは夫婦そろって田中家として行えばよく、そしてまた、どちらでもないものに関してはどちらでも、都合のよい方でやればよいということかと思います。
再三我が家のことを話して恐縮ですが、我が家も、妻が友達を招いてホームパーティーするときは室井さんの家と呼ばれ、私が知人を招いて宴会するときは米山さんの家と呼ばれておりますが、何の不都合もございません。
藤田議員
お答え申し上げます。
歴史ある老舗、歴史ある名字とは、単に同一の名前が続いているということだけでなく、その店や家族の在り方、実態と結びついた価値観だと考えております。
維新案では、そのような社会生活において旧氏の単独使用が広く認められることになるために、アイデンティティーの保持と家族の一体感の維持とを両立することができるものと考えております。
なお、子供の氏に関しましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、立憲案、国民案のいずれであっても、兄弟姉妹の氏は父母のいずれかの氏に基本的に統一されるということでありますので、両案が導入されたとしても、父母両方の名字を必ずしも後世に残していけるというわけではないというふうな形で理解をしております。
円議員
委員御指摘のとおり、歴史ある老舗だけではなく、由緒ある家柄でもなく、ごく普通の御家庭でも最近一人っ子が増えております。そうした方々がやはりこの選択的夫婦別姓をとても待ち望んでおられます。
そして、私どもの党のヒアリングの中でも、個人のアイデンティティーの重要な要素である姓を保持することがいかに大事かについて、随分、当事者や経験者の方々から切実な思いを伺いました。
委員御指摘のような、どちらも生まれ持った氏名で生きたい、歴史ある名字を残したいとの願いにも応えられるように、選択的夫婦別氏制度について今回の法案を取りまとめて提出することといたしたことでございます。
本村伸子
ファミリーネームも大切にされている方々の思いも尊重され、生まれ持った氏名で生きたいという方々の思いも尊重されるのが選択的夫婦別姓ではないかというふうに思いますけれども、三党の御見解を伺いたいと思います。
米山議員
これもまさにおっしゃるとおりだと思います。
家族に一つの姓としてのファミリーネームを持ちたい御夫婦はもちろん夫婦同姓を選択して、夫と妻がそれぞれ選択していただき、そして夫と妻がそれぞれ生まれ育った氏名で生きたい方は夫婦別姓を選択できるのが選択的夫婦別姓制度でございます。
先日の参考人質疑で、これまた竹田参考人が磯野家の例というのをおっしゃっておられましたが、そもそも磯野家は、磯野家とフグ田家が同居しておりまして、波平さんとフネさんとサザエさんは
親子別姓、サザエさんとカツオ君とワカメちゃんは兄弟別姓でございます。
選択的夫婦別姓法案が成立して、サザエさんとマスオさんが話合いの結果、磯野サザエとフグ田マスオということになったとしても何ほどの違いがあるわけでもございませんし、それによって、フグ田マスオと磯野サザエの別姓夫婦の家族と磯野波平と磯野フネの同姓夫婦の家族が同居する状態になったとしても、それによって仲が悪くなるとか、どちらかの姓でどちらかが不幸になるというようなことは全く起こらない、それぞれの家族がそれぞれのアイデンティティーとライフスタイルに従って幸福に生きられるものと考えております。
なお、ここまでの話は夫婦別姓を選んだ夫婦はファミリーネームがない前提で話をしておりますが、これはもはや、もう一回例を出すと怒られますので言いませんけれども、二つの姓があるというときには、ファミリーネームがないのではなくて、両方の姓をファミリーネームと認識するということであろうと思います。
最後に、更に磯野家の話に戻りますけれども、あの漫画のタイトルは、磯野家の物語でもフグ田家の物語でもございませんで、「サザエさん」でございます。場合によっては、磯野家の方々もフグ田家の方々も、さらには周囲の中島君や花沢君や伊佐坂先生に至るまで、あの御家庭はサザエさんの家と認識していた可能性がございまして、家族のアイデンティティーというものはそのように非常に多様につくられるものだというふうに認識しております。
藤田議員
米山先生の答弁書の御準備に敬意を表したいと思います。
維新案におきましては、子供を含めた家族の名前としてのファミリーネームを最大限に尊重し、いわゆる社会制度として最大限に尊重し、夫婦同氏制を維持することとする一方で、生まれ持った氏名のままで生活したいという方々が社会生活上のあらゆる場面で旧氏を使用できるようにすることで、その不便や不利益を解消しようとするものでございます。
したがって、委員御指摘のようなファミリーネームを大切にしている方々の思い、生まれ持った氏名で生きたい方々の思い、それぞれを同時に実現できるものが維新案だと考えております。
円議員
お答えいたします。
サザエさんの話で話すととても説得力があっていいなと思いながら、私はごく普通にお話しさせていただきます。
個人のアイデンティティーの重要な要素である姓を保持することがいかに大事か、また、婚姻時に姓を変えることの不便、不利益がいかに大きいか、これまで本当に当事者、経験者の方々から伺った実際の経験に基づく切実な思いに応えるとともに、選択的であることから従来の夫婦同氏制度も選ぶことができるように、我々の、私どもの選択的夫婦別氏制度を今回の法案の形でまとめて提出することにした次第でございます。
本村伸子
ありがとうございます。
次に、戸籍の筆頭に記載するべき者についてお伺いをしたいというふうに思います。
国民民主党の法案では、子は戸籍の筆頭に記載すべき者の氏を称することとなっておりますけれども、五月三十日の記者会見で国民民主党の榛葉幹事長がそのことに関し、その家のチームリーダーというか責任者、かつては家長と言いましたが、その方の氏を子供はしっかり名のるとおっしゃいました。
提出者の円より子さんの意図とは恐らく違うのではないかというふうに思いますけれども、家父長的な考えが見え隠れしている説明が公になされております。これは、法案への誤解を生むというふうに思います。法案によって家父長的な考えを植え付けることにはならないですねということを確認をさせていただきたいと思います。
円議員
そういうものが流布されていれば、本当にそれは誤解でございます。私どもの案では、別氏夫婦の子は夫婦が婚姻時に定めた戸籍の筆頭に記載すべき者の氏を称することになります。
何度も議論がされたんです。それは戸籍筆頭者ですかと言われました。戸籍筆頭者というと、今の民法でもちゃんと言われているんですけれども、戸籍法でも。ただ、どうしても旧制の戸主というイメージを持ってしまう方々もおられる。そこで、苦肉の策と言ってはおかしいですが、戸籍の筆頭に記載する者としたことでございまして、この戸籍の筆頭に記載すべき者は、立憲案やそのベースとなった平成八年の法制審案においても用いられていた子が称すべき氏と、民法上の効果は、何度も申し上げておりますように、全く同じであり、
これに旧民法の戸主のような法的効果を持たせるものでは全くございません。
したがいまして、国民案によって家父長的な考え方を示したり、国民に植え付けるといったことになるとは全く想定しておりません。
本村伸子
榛葉幹事長もおっしゃったんですけれども、実は玉木さんもチームリーダーということを言いまして、党内でも誤解があるのではないかというふうに思いますので、是非その点、党内でも徹底をしていただきたいというふうに思っております。
円議員
今、党内でも決定してほしいというふうにおっしゃいましたので、決定したからこそ……(本村委員「徹底」と呼ぶ)あっ、徹底、ごめんなさい。でも、徹底したからこそこの法案を出しましたので、申し添えます。(発言する者あり)
西村委員長
御静粛にお願いします。
本村伸子
是非、本当に円さんの内容を徹底をしていただきたいというふうに思っております。
日本国憲法の下で、家父長的な家制度は否定をされました。個人の尊重、個人の尊厳と本質的平等が重視されることとなりました。それぞれの法案は個人の尊重、個人の尊厳、本質的平等に合致していると考えるのかという点を三党に伺いたいと思います。
米山議員
時間が迫っているので、一言で申し上げますが、全く合致している、我が党の出している法案こそが個人の尊厳と本質的平等に合致していると申し上げさせていただきます。
藤田議員
維新案は、日本国憲法制定の際、家父長的家制度が否定された結果改められた民法においてなお夫婦同氏制度が抱えていた課題に対し、現実的な解決策をお示しするものであり、個人の尊重、個人の尊厳と両性の本質的平等といった憲法の理念にも合致するものと考えております。
円議員
私どもの案は、婚姻によって氏を改めることによる社会生活上の不利益の防止が必要であること、また、氏は個人のアイデンティティーの重要な要素であり、これを保持する人格的利益を保護すべきこと、他方で、戸籍制度は国民の親族的身分関係を登録、公証する唯一の制度であること、これら三つの点を踏まえまして、現行の戸籍制度を維持しつつ、婚姻前の氏を婚姻後も氏としてそのまま使い続けられるようにすべきと考え、提案したものであります。このように、旧民法の家父長制を否定して整理された現行戸籍制度の原則を基本的に維持しつつ、個人のアイデンティティーの重要な要素たる氏を保持する人格的利益を保護するため、選択的夫婦別氏制を導入することを内容としておりますため、個人の尊重、個人の尊厳と両性の本質的平等の実現といった憲法の要請に完全に合致しているものと考えております。
本村伸子
ありがとうございました。終わります。