もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2024年 5月 17日 第213国会 法務委員会

入管法改定案が可決

議事録

〇本村伸子

私は、日本共産党を代表し、入管法、技能実習法改定案等に反対の討論を行います。
人権に関わる重要な法案を、重要広範議案にもかかわらず、十九時間半の対政府質疑で採決を強行していることに断固抗議します。
以下、反対の理由を述べます。
現行の技能実習制度は、大企業が下請単価、取引価格の引下げ、抑制をする下で、外国人を非熟練、低賃金の労働力として使い、強制労働や性的搾取など深刻な人権侵害の温床となってきました。国連自由権規約委員会などからも人権侵害を指摘されています。法案は問題を根本的に改善するものになっていません。
育成就労制度は、転籍の自由を保障する制度とは言いがたく、監理団体と同じような監理支援機関に関与させ、多額の借金問題の解決の見通しもない、技能実習の看板のかけ替えにすぎません。
現行の技能実習制度は、原則、転籍の自由がなく、労基法違反や暴力など、やむを得ない事情がある場合に限って転籍を認めていました。入管庁は、失踪が多発する原因を本気で改善せず、技能実習生の命と安全を軽視しています。
本法案は、新たに本人の意向による転籍を規定していますが、分野ごとに一年から二年は転籍を認めず、しかも日本語、技能要件などの制限を求め、主務省令に白紙委任しています。今のままでは転籍の自由を事実上認めないものと言わざるを得ません。転籍の白紙期間の生活保障や手厚い転籍支援も確実に行うべきです。
外国人労働者の地方での定着のためには、個人を尊重することとともに、中小・小規模事業者の皆さんを本気になって応援して、全国一律最低賃金制度千五百円を実現することこそ必要な対策です。大企業の内部留保に適正に課税をして財源を生み出せばできます。
農業と漁業など季節性のある分野に派遣労働の仕組みを導入することは、中間搾取で手取り、労働条件が悪くなり、使い捨て、短期間での帰国など機械的な扱いになってしまう懸念があります。
多額の借金を背負う問題について、育成就労では、原則として、新たに二国間取決めを作成した国からのみ受け入れ、手数料負担の軽減を図るとしていますが、法務大臣の答弁も、育成就労労働者から費用徴収が前提であり、実効性が担保されていません。公的機関が介入し、不当な手数料等を根絶して、悪質なブローカーを排除する施策が必要です。
重大なことは、永住許可制度の適正化と称して、税金や社会保険料などが未納の場合などに永住許可を取り消すことができる制度を新設することです。入管庁が答弁した一部の永住者の方々の公租公課納入率も、全体の納付率よりもよいことが明らかになりました。
この法案で、永住者の大学生を始め、眠れない、しんどい、つらいという声が届いています。永住許可取消しに反対する署名は四万筆を超えて賛同が集まりました。入管庁に人生を握られ、署名したくてもできない悲痛な叫びがあることを知るべきです。有識者懇談会報告書でも、「外国人やその関係者等各方面から幅広く意見を聴くとともに、諸外国の永住許可制度の例も参考にするなどして、丁寧な議論を行っていく必要がある。」と書いてあるのに、乱暴に採決を強行することは、余りにも暴力的であり、人権軽視を恥ずべきです。
外国国籍の方は、社会に様々なハードルがあり、脆弱性を持っています。
税金や社会保険料を滞納してしまう場合は、まず生活困窮のSOSと捉え、支援につなげ、そうでないケースは、日本国籍者と同じように、督促、差押え、行政処分、刑事罰などで対応すればいいのではありませんか。差別的、懲罰的なやり方は憲法違反のおそれがあると指摘されています。永住者だけではなく、永住許可を申請しようとする全ての外国人の地位を著しく不安定にします。

○武部委員長

本村君、まとめてください。

○本村伸子

永住しようとする外国人労働者と家族に対して、終始、厳しい管理、監視を続け、やむを得ない事情を考慮せず、永住許可を取り消し、日本で培った十分な生活基盤を失わせることは、人道に反しています。
立法事実がないことが審議で明らかになりました。永住許可取消し制度は撤回するべきです。
そもそも、法律に違反をした自民党議員の裏金問題、脱税疑惑こそ、真相を明らかにし、責任を取るべきです。
特定……

○武部委員長

本村君、まとめてください。約束の時間を過ぎています。

○本村伸子

マイナンバー制度がそもそも持つ問題があり、マイナンバーカードとの一体化は、自己情報コントロール権、個人情報保護の観点から反対です。
なお、立憲民主党案については、転籍制限を求めている点で、賛成することはできません。
家族の帯同を含め、外国人を尊厳ある人間として受け入れる制度、共に生きる制度をつくることを強く求め、反対討論とさせていただきます。

○武部委員長

これにて討論は終局いたしました。

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