
\すべての労働者の大幅賃上げを!トヨタ本社に要請/
2月3日、すべての労働者の大幅賃上げを実現するため、第46回トヨタ総行動実行委員会の皆様とトヨタ自動車本社に要請に行きました。
西尾美沙子実行委員長から下記の要請の趣旨が語られ、全労連の九後健治副議長、西三河労連の櫻井善行議長、東京公害患者と家族の会の増田重美事務局長、日本共産党の私もとむらからお話しました。
私は、以下のようなことを申し上げました。
中小企業庁の資料によれば、原材料費、エネルギー価格、労務費が上がっているもとで、コスト増の部分でさえ、自動車・自動車部品の受注側中小企業は、51・9%しか補償されていません。
中小企業庁の調査では、トヨタ自動車の受注側中小企業へのコスト増分の価格転嫁は、4割〜6割台しか補償していないことも資料として明らかになっています。
本来、トヨタさんのような最上位の企業が、受注側中小企業に100%コスト増分を含んだ単価の設定をし、受注側中小企業でも大幅賃上げができる環境を作らなければなりません。
さらに、イスラエルでトヨタ自動車の正規代理店のウェブサイトでは、得意先にイスラエル国防省と書かれていた問題が報道されていたこと、イスラエルがガザでの停戦合意をしたが、ヨルダン川西岸部での殺戮や国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)活動禁止法の施行で人道支援の危機に晒していることなど述べ、ビジネスと人権に関する指導原則の「人権を尊重する企業の責任」を果たす立場から深刻な人権侵害への加担を回避することを強く求めました 。
要請団の話は、関係部署にも伝えるとの回答でした。
トヨタ自動車幹部の皆様には、ぜひ真剣に受け止め、改善を図っていただきたいです。
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2025年2月3日
トヨタ自動車株式会社
代表取締役社長 佐藤恒治 様
第46回トヨタ総行動実行委員会
実行委員長 西尾美沙子
事務局:愛知県労働組合総連合
さらなる下請単価改善で中小企業の経営を守り
トヨタ車づくりに関わる全労働者の大幅賃上げを実現するため
トヨタ自動車が社会的責任を果たすことを求める要請書
貴社におかれましては、自動車産業の健全な発展にご尽力されていることと存じます。
歴史的な物価高騰が労働者・国民の生活を襲い続けています。昨年の春闘では、33年ぶりとなる平均妥結額1万7415円・5.33%(厚生労働省:民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況)の賃上げが行われましたが、実質賃金は前年比マイナスとなる月が多くとても生活を改善できる水準にはなっていません。こうしたもとで消費支出(総務省)は4カ月連続マイナス 消費動向調査(内閣府)も家計の消費への意欲が弱まったとみて、基調判断を「足踏みがみられる」に下方修正しています。日本の平均賃金はG7で最低、OECD加盟国内でも24位で加盟国平均を大きく下回り、国際的な競争力低下のリスクも高まっており、すべての労働者の大幅賃上げは待ったなしの課題です。
昨年に続き、政府・財界・マスコミがこぞって賃上げの必要性を強調し、経団連の十倉会長は「昨年以上の熱量と決意を持って物価上昇に負けない賃金引き上げを目指すことが経団連・企業の社会的責務」 「賃金引き上げの定着には中小の引き上げが不可欠。価格転嫁を社会的規範として浸透させる」としています。しかし、中小企業庁の価格交渉促進月間(2024年9月)フォローアップ調査結果によれば、発注企業の業種毎集計で「自動車・自動車部品」の労務費増に対する価格転嫁率は48.9%しかありません。日本経済をけん引する自動車産業が全体をリードすべく、業界をあげてさらなる「人への投資」を推進することが求められるのではないでしょうか。
貴社は昨年の春闘期に国内の1次下請約400社に、部品の仕入れ価格の算定に労務費上昇分を組み入れて価格改定すると発表しました。そしてこの方針を2次、3次下請を含めた全体に浸透させたい意向であることも表明されました。これは、私たちが長年にわたって求めてきたことであり、トヨタ自動車の新たな決断を歓迎するものです。しかし、現実は2次下請でさえも発注元に価格改定を求められない実態が愛労連加盟組合の交渉でも経営側から表明されています。
貴社の業績は いわゆる「認証不正」事件を起こしたもとでも 、「トヨタ世界販売台数、5年連続で世界一」との報道のとおりで、内部留保を36兆7379億円(2024年3月期決算)を積み上げ、今期営業利益も4兆3000億円を見込んでいます。
豊田章男会長は、コロナ禍で「クルマを走らせる550万人」の団結を度々呼びかけてき ました。 まさに今、トヨタ自動車が業界をけん引するリーディングカンパニーとして、自社だけでなく下請中小企業の正規・非正規雇用労働者、外国人労働者、技能実習生も含めた、ネジ1本からトヨタ車づくりに関わるすべての労働者の大幅賃上げに責任を果たすべ きではないでしょうか。
つきましては、日本を代表する企業として社会的責任を果たされるよう、以下の項目について要請します。
記
1 . トヨタ車づくりに関わるすべての労働者に 、物価高騰を上回る大幅賃上げと職場環境改 善を保障するため、労務費上昇分の価格転嫁を含む抜本的な下請単価改善を行うこと。
末端の下請企業まで下請単価改善が行き渡るようトヨタグループあげてとりくむこと。
2 . トヨタ車づくりに関わる非正規雇用労働者の正規化をすすめ、雇用の安定を図ること。
「均等待遇・均衡待遇」を図り、賃金や処遇の格差をなくすこと。
3 . トヨタ車づくりに関わるすべての職場において、過労死や過労自死を2度と起こさせないこと。労働災害隠しを一掃し、労働災害がおきた場合に速やかな対処と労働基準監督署への届け出を徹底すること 。
4 . トヨタ車づくりに関わるすべての職場において、あらゆるハラスメントの一掃、ジェンダー平等を実現すること。
5 . 下請二法をはじめ、コンプライアンス遵守をトヨタグループ全体に徹底すること 。
6 . ビジネスと人権に関する指導原則の「人権を尊重する企業の責任」を果たすこと。子どもたちをはじめ多くの人を殺戮し、国際法違反を繰り返すイスラエルや占領・入植に関係するイスラエル企業などとの取引による深刻な人権侵害への加担を回避すること 。
7.トヨタ自動車は、車の排気ガスによる大気汚染が多くのぜん息等の患者を生み出してきたことへの責任を取ること。具体的には医療費の助成制度を国とともに作ること。EV化などの技術開発で未来への責任を果そうとも、過去に起こしたことの責任が消えるわけでは ありません 。
以上