全国霊感商法対策弁護士連絡会 紀藤正樹弁護士からお話伺う
日本共産党旧統一協会追及チーム会合
日本共産党「旧統一協会問題追及チーム」の第2回会合が開かれ、旧統一協会による被害の問題で全国の消費者センターからも頼りにされている全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士からお話を伺いました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会がまとめた資料によると、全国にある弁護団のもとに寄せられた霊感商法に関する相談件数は1987~2021年で2万8236件。被害額は約1181億円です。これに消費者センターが18年まで集計した相談件数・被害額を合わせると、相談件数が3万4537件、被害額が1237億円で、巨大な被害の実態が浮き彫りとなりました。
紀藤さんは「1237億円という被害額は、被害の一部だ」と指摘。「一般的に消費者相談の窓口が十分に機能していれば10分の1くらいが統計に表れる。機能していなければ100分の1と言われる。仮に10分の1だとしても、1兆円を超える被害が過去に起きているとなれば、霊感商法の被害は憲政史上最大の消費者被害と言える」と強調しました。
その上で紀藤さんは、安倍晋三元首相の事件を考える際には、相談件数の量も重要だと指摘。「金額も巨額だが相談件数も3万4537件で、10倍とみたら34万の被害がある。その周りに家族もいることから、さらに3~4倍と考えればゆうに100万人以上の被害者が過去に綿々と見えない形で埋まっている。その救済が精神的にも経済的にもできていないことが事件の一端にあるのではないか」と述べました。
※全国霊感商法対策弁護士連絡会の皆様は、これまで全国の消費者センターからの聞き取りで、消費者センターの相談件数、被害額を算出していましたが、とりわけ2019年ごろから全国の消費者センターが数字を出さなくなったそうです。
※前の投稿に資料を載せましたが、この追及チームの第2回の会合後、消費者庁から霊感商法に関する相談件数が5年分(2017〜2021年度分)届きました。やはり数はもっと増えることは明らかです。
また、カルト宗教が引き起こす社会問題は(1)対社会妨害型(2)経済被害型(3)信者収奪型(4)家族破壊型―という4分類で現れると指摘。霊感商法は経済被害型になると述べました。
紀藤さんは「組織的にこの四つすべてを行っている大規模な団体は、日本では基本的にオウムと統一協会ぐらいしかない。それをなぜ放置してきたのか。大きな謎だ。政治とカルト宗教の問題をきちんと決別できていない日本社会の問題として考えなければならない」と語りました。
紀藤さんは霊感商法などの被害の問題について「国会内できちんと調査していただきたい」と要望しました。紀藤さんは、オウム真理教事件をあげ、なぜ国会の中で調査委員会が開かれなかったのかと指摘。「この時に調査委員会が開かれていれば、カルト問題に対して、どう法的に対応できたのか、改善策などにつながったはずだ。オウム事件が解決できていれば、いまの統一協会はなかったかもしれない。事件に対してきちんと総括していないことが日本の現状としてあるのではないか」と問題提起しました。
紀藤さんは、警察の捜査だけに任せておくと、さまざまな証拠があっても、警察が焦点を当てている部分の証拠は残るが、埋もれていってしまう真実が多くあり、真相究明に対する国会の役割の重要性を強調されました。
(過去の別の団体の事件では、中心人物は毎日、別の女性との性交を繰り返していたそうですが、それは警察の焦点ではなく歴史としても残らず埋もれてしまったそうです。)
また、紀藤さんは「1987年に旧統一協会の販売会社だったハッピーワールドは、霊感商法をやめると宣言し、警察の捜査が止まった。その後、たった5年で文鮮明が日本へ入国する。また、2000年代から旧統一協会の霊感商法の摘発が続いていたが、09年にコンプライアンス宣言をすることで、また捜査が止まってしまう。その後、名称変更がなされてしまう。歴史的に見ても、そんなことが起きてしまうのは異常ではないか。こうした問題は政治の力でがんばっていただきたい」と呼びかけました。
紀藤さんは、カルト集団の反社会的行動への規制を強化する必要があることも強調されました。世界各国では、反社会的行動への規制がポイントになっていることも述べられました。
追及チーム責任者の小池晃書記局長は「カルト集団による被害者救済の問題は、党派を超えて力を合わせていかなければならない。国会調査機関も必要だ。他党とも相談して進めていきたい」と応じました。
最後に紀藤さんは「(旧統一協会の問題を)他のメディアが取り上げてくれないときに『赤旗』は報じてくれた。それを知らない人がいることは正直言ってびっくりする。現場で苦労してきた人間からすると感謝の気持ちがある。私は私の立場でがんばるが、共産党は共産党の立場でぜひがんばっていただきたい」と語られました。
大変有意義なお話を本当にありがとうございました
(2022年7月27日「しんぶん赤旗」記事をベースに加筆しました。)