10月28日、日本共産党のジェンダー平等委員会と党国会議員団ジェンダー平等推進委員会として、政府の「第5次男女共同参画基本計画」策定にあたり、ジェンダー平等社会の実現をめざして実効性ある計画にするよう内閣府に申し入れました。ジェンダー平等委責任者の倉林明子参議院議員、党議員団ジェンダー平等推進委責任者の高橋千鶴子衆議院議員、畑野君枝衆議院議員とともに参加しました。
「男女共同参画基本計画」は、男女共同参画基本法に基づき5年ごとに改定され、5次計画は20年末までに策定予定です。策定に向けては5600件以上のパブリックコメントが寄せられるなど、ジェンダー平等をめざす世論、運動のかつてない高まりがあります。
申し入れ書は、ジェンダー平等が世界水準から立ち遅れた日本の現状、新型コロナ禍で浮き彫りになったジェンダー格差を打開し、必要な法整備等も含め実効性ある計画にするよう要望。
(1)政策・意思決定の場に「男女半々」の目標を掲げ、本気の取り組みを
(2)男女ともに人間らしく働き続けられる労働ルールの確立を
(3)医療、介護、保育などケア労働従事者の待遇改善を
(4)女性に対するあらゆる暴力の根絶と健康支援のために
(5)女性の貧困や困難の解決へ、社会保障の充実と賃上げを
(6)女性差別撤廃条約と憲法の全面実施の立場でジェンダー主流化を―の6項目を求めています。
※テキストは、後日、掲載いたします。
申し入れで倉林さんは、日本共産党は衆議院選挙予定候補は、半分以上が女性でることを述べ、「男女共同参画社会の実現にむけて共同していきたい」と語られました。
高橋さんは、超党派で女性政治家が集う国際会議を成功させたことにも触れ、女性活躍の土台となる計画の策定を求めました。
畑野さんは、政治分野における女性の割合を高めていく必要性を語られました。
私は、現行のハラスメント法では、就活生やフリーランスが保護の対象となっておらず、ILO条約にそったハラスメント禁止法をつくることや、性暴力被がい者の方々に寄り添った刑法改正を行うよう強く求めました。
内閣府の林伴子男女共同参画局長が応対し、申し入れ書を受け取りました。
林伴子局長は、旧経済企画庁や大臣官房政策立案総括審議官などを務めた方で、経済分野、景気対策などに携わってきた方とのこと。
ジェンダー平等の社会こそ成長・発展につながることを日本の経済界にも理解をしてもらえるようにしてほしいです。
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コロナ危機で明らかになった格差と遅れを打開し、ジェンダー平等社会の実現めざす実効性ある計画に
――「第5次男女共同参画基本計画」の策定に当たっての申し入れ
2020年10月28日
日本共産党中央委員会ジェンダー平等委員会
日本共産党国会議員団ジェンダー平等推進委員会
今年は、国連の女性差別撤廃条約を日本が批准してから35年、戦後75年の節目の年です。日本はジェンダーギャップ指数で121位と世界の水準から大きく遅れています。第5次計画は、遅れの原因を深く分析し、女性差別撤廃条約等の国際基準と、両性の平等を定めた日本国憲法を政策の土台に据え、女性たちの切実な声と願いに正面からこたえた内容にすること、LGBTに関する差別の撤廃と権利擁護を含むものにすること、必要な法整備、予算と権限をもつ推進体制の整備を盛り込んだ実効性ある計画にすることが不可欠です。
新型コロナウイルスの感染拡大は、日本社会の深刻なジェンダー格差を改めて浮きぼりにしました。第5次計画では、コロナ後の社会を展望し、人権、国民の命と暮らしを守ることを最優先に、社会のあらゆる面でジェンダー平等を推進する方針をうちだすことが求められます。
10月に示された「基本的な考え方」は、5600件以上にのぼったパブリックコメントをはじめ女性、国民の世論と運動を反映し、女性に対する暴力の根絶や健康支援などをめぐり大幅に加筆されたことは前進です。計画策定に当たってさらなる充実を求め、以下、申し入れを行います。
一、政策・意思決定の場に「男女半々」の目標を掲げ、本気の取り組みを(第1分野)
第5次計画案が「2020年までに指導的地位に女性が占める割合」30%という従来の目標の達成を断念し、「2020年代の可能な限り早期」に先送りしたことは重大です。国連をはじめ世界では、2030年までに男女の完全な平等=50%50%を掲げ、すでに前倒しで達成した国・組織も生まれるなど努力が進んでいます。
――日本でも「2030年までに男女半々」の目標を掲げ、積極的差別是正措置を活用した実効性ある本気の取り組みを進めること。
――政治分野での男女平等を前進させるために、両立支援、セクシュアル・ハラスメント防止、議会や選挙制度の民主的改革などの条件整備を行うこと。
二、男女ともに人間らしく働き続けられる労働ルールの確立を(第2分野)
――家族的責任を持つ労働者の時間外労働や深夜労働、転勤などを制限し、男女ともに生活時間が保障される労働ルールを確立すること。特に時間外労働については1日当たりの時間規制に踏み出すこと。
――「多様で柔軟な働き方」の名の下に非正規や雇用によらない働き方を際限なく拡大することは、コロナ禍で多くの女性労働者が生活困窮に追い込まれたことから明らかなようにジェンダー平等に逆行します。非正規は一時的・臨時的な仕事に限定し、雇用は正規を原則とすること。
――男女間の賃金格差の解消に向け、目標・期限を明確にして取り組むとともに、女性活躍推進法に基づく企業の情報公表義務の対象に「男女別の賃金」を入れること。
――均等待遇原則、同一価値労働同一賃金、ハラスメント禁止などを、ILO条約をはじめとする国際基準で法制化すること。
三、医療、介護、保育などケア労働従事者の待遇改善を(第2分野)
自粛・休業要請のもとでも仕事を休まず、社会の基盤を支え、命を守ってきた分野は女性労働者が多い分野でもあります。ケアを大切にする社会をつくることを基本計画の柱に据えるべきです。
――医療、介護、障害福祉の分野では、抜本的な増員と賃上げを公的責任で行うこと。労働者の夜勤回数や妊婦の勤務を制限し、患者・利用者へのケアを十分に行える職員配置とすること。
――保育・学童保育の分野では、職員の抜本的な処遇改善を進めること。感染症対策の観点からも、低すぎる職員配置基準・面積基準を抜本的に引き上げること。
四、女性に対するあらゆる暴力の根絶と健康支援のために(第5分野、第7分野)
――刑法性犯罪規定について、暴行脅迫要件の撤廃、同意要件の新設、地位関係利用型の犯罪化、公訴時効の廃止、性交同意年齢の引き上げなど、性被害の実態に見合った改正を早急に進めること。
――ワンストップ支援センターに対する予算の抜本的な拡充など、性暴力、DV・虐待被害者支援を緊急に強めること。
――婦人保護施設、児童相談所や一時保護施設などの公的支援サービス、民間の被害者支援団体への予算を拡充し、安定した継続的支援を可能にするための条件を整備すること。
――性暴力・DV被害者に対する警察の対応を改善するため、性犯罪専門部署・担当官の設置と研修プログラムの充実を図ること。
――科学的な根拠にもとづき、子どもの年齢・発達に即した包括的性教育を、公教育に導入すること。
――リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康・権利)を保障するため、安全な妊娠・出産のための周産期医療体制の充実とともに、避妊薬と緊急避妊薬を安価で入手しやすくすること。中絶薬を早期に認可し、中絶医療を国際水準まで高めること。
五、女性の貧困や困難の解決へ、社会保障の充実と賃上げを(第6、第9分野)
――ひとり親など経済的困難を抱える家庭に対し、児童手当・児童扶養手当の増額、教育の無償化、生活保護制度の拡充など、総合的な支援を強化すること。
――中小企業支援と一体に全国一律最低賃金を1500円に引き上げること。
――非正規雇用労働者の正規との均等待遇を進め、女性の賃金を抜本的に引き上げること。
――「自助、共助」の名で福祉・年金・社会保障制度の改悪・負担増を進めるのではなく、ジェンダーの視点に立って最低生活制度を構築し、どのような生き方を選んでも安心して暮らせる制度を目指すこと。
――税と社会保障は、応能負担の原則に立ち、無収入や低収入の人への軽減措置、課税最低限の引き上げ、最低保障年金制度の確立、生活保護の拡充など、総合的・段階的な制度設計で、労働者・国民負担とならないよう制度構築を進めること。
六、女性差別撤廃条約と憲法の全面実施の立場でジェンダー主流化を(全体)
諸外国はジェンダー平等に向けた取り組みを着実に進めており、このままでは日本はますます世界の流れから取り残されてしまいます。女性差別撤廃条約と憲法を全面実施する立場で、あらゆる法制度・慣行をジェンダーの視点で見直す必要があります。
――女性差別撤廃条約選択議定書を早期に批准すること。
――選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間や堕胎罪の廃止など法律に残されたすべての差別的条項を改正すること。未批准のILO条約の早期批准を進めること。
――「特別定額給付金」支給で大きな矛盾と混乱をもたらし、憲法の両性の平等の見地とも反する「世帯主規定」を廃止すること。
――同性婚を認める民法改正を行うこと。LGBT差別解消法を制定し、社会のあらゆる場面で権利保障と理解促進を図ること。
以上