もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

「しんぶん赤旗」さんが、個人の尊厳を踏みにじる性暴力・ハラスメントの問題のインタビュー記事を2日にわたって載せてくださいました。

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「しんぶん赤旗」さんが、個人の尊厳を踏みにじる性暴力・ハラスメントの問題のインタビュー記事を2日にわたって載せてくださいました。

もっとインタビューを受けるのにふさわしい方がいると思いますが・・・ご高覧いただければ幸いですm(__)mm(__)mm(__)m

中祖寅一さん、日隈広志さん、どうもありがとうございましたm(__)mm(__)mm(__)m

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シリーズ党国会議員に聞く 本村伸子衆院議員
セクハラ・性暴力根絶へ(上)

尊厳重視の社会ともに 明確な禁止が第一歩

 セクシュアルハラスメントや性暴力根絶に向けた日本共産党の見解や運動について、党国会議員団男女平等推進委員会セクハラ・DV・性暴力担当の一人である本村伸子衆院議員に聞きました。(聞き手 中祖寅一、日隈広志)

 ―2017年にジャーナリストの伊藤詩織さんが性暴力被害で声をあげ、昨年、財務省事務次官のセクハラを女性記者が告発しましたね。

 被害者を一人にしてはならない、女性の尊厳、個人の尊厳が踏みにじられている社会、その根底にある根深い性差別の構造を変えたいと、多くの人々が声をあげており、これは大きな希望です。

 詩織さんは事件後、命を絶つ選択をしようとしたことが何度もあったそうです。しかし、「死ぬなら、変えなければいけないと感じている問題点と死ぬ気で向き合って、すべてやり切って、自分の命を使い切ってからでも遅くはない」と語っています。私も、一人の女性としてまた国会議員として、その声を受け止め、状況を変えるための努力をし続けたいと思います。

世界から遅れた

 ただ、全米で何百万の人たちが行動したウィメンズ・マーチや韓国のキャンドル革命に比べると、まだまだ日本の運動は広がっていません。声をあげられない人たちも、たくさんおられます。被害者保護・支援が不十分であると同時に、性暴力では抗議・告発に対するバッシングがひどいのです。

 日本はジェンダー・ギャップ指数で世界149カ国中110位です。これは社会的文化的につくられた性的役割分担がなお残り、政治・経済分野でとりわけ不平等になっている状況を示す指数です。日本は非常に遅れています。

 結婚定年や出産定年など労働条件をめぐる差別では、戦後の先輩たちの先駆的努力による重要な達成もありますが、現在も、男女の賃金格差は大きく、第1子出産で正規の女性の3割が離職せざるを得ず、非正規では75%が離職する状況です。セクハラや女性の政治社会参加の面でもまだまだ遅れています。それが本当に悔しい。

 ―今年はILO(国際労働機関)創立100周年で、6月に開催予定の総会では包括的なハラスメント禁止条約が採択されようとしていますね。

 世界の動きの中で、日本でも政府の「女性活躍推進法案」が国会で審議されていますが、セクハラをはじめ何がハラスメントなのかの「定義」も、ハラスメント「禁止」も入っておらず、国際水準からとても遅れた内容です。だから日本共産党は法案に反対し、ILO条約案に沿った内容の修正案を提出し、論戦しています。

 2006年の雇用機会均等法改定で、事業主に対しセクハラ防止の「措置義務」が規定されました。しかし禁止規定がないもとでは違法行為が認定されず、加害者に対して実効性のある「措置」が取れないことが当事者や専門家、労働団体から指摘されています。

 救済の仕組みとして、裁判では時間やお金がかかるうえ、名前が明らかになるなどのハードルの高さがあります。使用者から独立した、迅速に救済できる機関が必要です。救済対象も就活中の学生やボランティア、インターンに広げるとともに、顧客や取引先からのセクハラも含めるべきです。

 弁護士の角田由紀子さんの指摘にもありますが、不法行為による損害賠償等の金銭解決だけでは本当の救済になりません。ハラスメントが起きた職場環境の改善と被害者の職場復帰など、権利回復、真の救済をはかる仕組みも必要になります。

 法律で明確に禁止することは重要な第一歩です。しかし、禁止規定ができれば、セクハラがなくなるというわけではありません。個人の尊厳が何より重視される政治と市民社会がなければ女性に対する差別と暴力はなくなりません。

共闘で乗り越え

 ―「女性活躍推進法案」の内容に見るように安倍政権の対応は本当に後ろ向きです。

 1月29日の参院本会議で、吉良よし子議員がILO条約の批准とセクハラ禁止規定の創設を求めたのに対し安倍首相は、「慎重な検討が必要」などとして事実上否定しました。

 財務事務次官のセクハラに対し、麻生太郎財務相が「セクハラ罪という罪はない」と発言して被害を拡大する。安倍首相もそれを問題にしない。人権が侵害されたら救済を考えるのが当たり前なのに、この政権は逆のことをやっています。

 自民党は、党の改憲案(2012年)で、天賦人権説を否定しています。個人の尊厳を否定するところから憲法を「再構築」しようとしています。個人より国家に重きを置き、個人は国家のためにあるという思想です。

 だからこそ個人の尊厳に一番価値を置いた市民と野党の共闘で、自民党政治を乗り越えていくことがいまとても大事だと思います。(つづく)

(2019・5・10 「しんぶん赤旗」)

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シリーズ党国会議員に聞く 本村伸子衆院議員
セクハラ・性暴力根絶へ(下)

専門的サポート体制を

 ―性犯罪被害者支援・性暴力の問題では、2020年の刑法の再改正に向け、強制性交等罪の要件から「暴行・脅迫」を外すことが喫緊の課題ですね。

 私たちは、同意のない性交等はあってはならないという原則へ進んでいくべきだと考えています。

 また党国会議員団は、性暴力被害を相談できるワンストップ支援センターの拡充に取り組んできました。現在は全都道府県に最低1カ所はできていますが、支援の内容にも差があり、箇所数も「女性20万人に1カ所」に到底及びません。

 私の地元の愛知の状況では、たとえば日赤なごやの「なごみ」でいうと、被害を受け止め、相談、緊急医療措置、産婦人科・精神科医療支援、心理的支援、証拠の採取、同行支援などもしています。その運営費・人件費はほとんど病院の持ち出しです。被害者救援は、本来、国が責任を持つべきです。そこも自己責任になっている。有償ボランティアも多く、支援者の専門性と数を確保するためにも、安定雇用、所得保障が必要です。

 支援センターが「足りない」ということは、被害を受けた人が安心して相談し、告発する環境が整っていないということです。また被害を告発できなければ、加害者を特定できず処罰されないため、また被害者が生まれる土壌にもなっています。

 愛知では最初、一宮に支援センターが1カ所ありました。その後、名古屋にできました。一宮での申し出件数が減ったかといえば減っておらず、名古屋にできた分、相談件数の総数が増えたのです。つまり、身近に支援センターがあることが、被害を受けた人にとって相談しやすくなり、事件の顕在化につながることが愛知の事例でもはっきりしました。

 ―行政が支援センターの存在を知らせていくことが必要ですね。

 岐阜では中高生全員にリーフレットを配ったところ相談件数が増えました。

 支援センターの役割としては、被害を受けた人の人権を回復していくことも重要です。性暴力や性犯罪では二次被害を受けやすく、その後の人生を大きく左右するものでもあり、しっかりとした専門的サポート体制が必要です。

 (おわり)

(2019・5・11 「しんぶん赤旗」)

 
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