もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

浜松市に行き、自治体リストラ問題についての現地調査と市議団との懇談、浜松市財政当局からの聞き取り

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12月25日、静岡県の浜松市に行き、自治体リストラ問題についての現地調査と市議団との懇談、浜松市財政当局からの聞き取りを行いました。
小黒啓子浜松市議、落合勝二浜松市議、北島定浜松市議、酒井豊実浜松市議、渡辺真弓浜松市議の5人の議員団全員が参加してくださり、とても心強かったです。

浜松市は、「持続可能な行財政改革日本一を目指す」として、市職員や公共施設などの大幅な削減、民間委託化、サービスの切り捨てを進めています。
 職員定数や人件費を2004年~2017年(4月1日の数字)で1190人削減し、
公共施設も2015年度までの7年間に439施設も削減しています。
国が地方に行革を押し付け、交付税の総額を減らそうとしていると言われていますが、乱暴な行革によって市民の皆さんや働く皆さんに痛みが押し付けられることがあってはなりません。

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「浜松市営住宅初生団地集約建替事業」
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最初に行ったのは、中心街近くにある5つの市営住宅(松城、鹿谷亀山、鹿谷真向坂、富塚向平、富塚CB)を廃止し、郊外の市営住宅1つに集約し(初生団地)、戸数も減らす建て替え事業の現場です。
5つの市営住宅は、市が解体し、土地は、民間に売却され、分譲マンションや戸建て住宅、民間賃貸共同住宅が建てられる予定になっています。
この「浜松市営住宅初生団地集約建替事業」は、民間事業者が施設等を建設し、事業終了後に公共施設等の管理者党に施設所有権を移転するPFI事業によるBT方式というやり方で行われます。
こうした方式で行うと、国土交通省の社会資本整備交付金もより多くつくとのことでした。
事業費が安くなるといいますが、重層的な下請け構造のもとで、一番下の下請けで働く皆さんの労務費や安全健康経費がしっかりと支払われているか、質や労働条件低下などのしわ寄せがいっていないかが気になります。

住んでいた方々にとっては、住み慣れた住宅を追い出されることへの不安、コミュニティが壊され、バラバラになってしまったことなどの問題もあったと思います。
住民の皆様には、十分な説明や納得、合意が必要です。

最近の街づくりで気になるのは、低所得の方々が、街の中心部からどんどん追い出されているという問題です。

イギリスのロンドンに行った際、驚いたことは、開発行為を行う事業者に、ある一定の割合は、所得が低い方々も住むことができる住宅を確保することを義務づけていたことです。また、自治体がお金持ちには高く分譲住宅を売って、そのお金を同じ集合住宅内に低所得者用住宅(面積などは同じで資材などの質は別のもの)をつくることにあてるなど直接的な所得の再分配をおこなっていたことでした。
 日本でもこうした考えから学ぶ点があると思っています。

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市の職員削減と「官から民へ」の弊害
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 市の職員が削減されるなかで、職員の皆さんの長時間労働や病休などの問題も出ています。

 市の職員を減らすことと一体で、浜松市は、「官から民へ」のかけ声の下、市民の皆さんの大切な飲み水を供給する水道事業に、全国の先陣を切って、官民連携によるコンセッション方式(※)を導入し、営利企業の金儲けの対象にしようとしています。

※「コンセッション」
自治体が施設の所有権を持ち、民間事業者が水道料金を徴収し、自由に施設を運営できる仕組み。

 浜松市議団では、今でも浜松市の水道会計は、毎年10億円前後の黒字(純利益)を出すほどの健全な状態であること、1990年代以降に世界各国で水道事業の民営化が進んだが、再公営化した事例が2000年~2015年で235件もあり、「民営化のお手本」と言われたフランスのパリ市でも、水道料金の高騰などに市民の皆さんの批判が高まり、再び公営化しているなどの事例を紹介。コンセッション導入は、水質の悪化や水道料金の高騰を招き、市民生活に重大な影響を及ぼすことは必至と警告をならしています。

浜松市では、学校給食調理業務委託を契約した民間業者が、新学期開始直前の2015年3月30日に、予定していた調理員が年度末に急きょやめるなど人員が確保できないことから突然契約を解除した事件が起こり、1学期間の給食が提供できず、外注のお弁当で対応したことがありました。
 安全・安心の給食のためにも直営の給食に戻してほしいとの声があがっています。

また、民間委託などを前提にしたトップランナー方式で、1億4000万円、基準財政需要額を抑えることができたと推計しているそうです。

 しかし、それは、結局、地方交付税で措置される額が減らされ、地域に循環するお金が減ってしまうことにつながり、民間委託で結局、働く人が不安定、低賃金化することにつながり、地域活性化と逆行する方向に自らの首を絞めていることになるのではないかと疑問を持ちました。

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「行財政改革日本一」で住民サービスはカット
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さらに浜松市では、
2017年10月から下水道料金の12.9%の引き上げ、
2017年4月から学校給食費の11.3%の引き上げ、
2017年4月から高齢者へのバス・タクシー券の廃止
などなど市民サービスも次々にカットしています。
 一方で、自動車会社のスズキ(株)と関連会社には、今後、推定50億円も補助金を出そうとしています。

 地方自治体の役割の基本は、地方自治法にあるように「住民の福祉の増進を図ること」です。
 浜松市の今のやり方は、「住民の福祉の増進を図ること」からどんどん離れていっていると痛感しました。
その背景には、それを誘導している国の責任があります。
総務委員会で、しっかりと働かなければと痛感した調査でした。

浜松市の皆様、本当にありがとうございました<(_ _)><(_ _)><(_ _)>

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