8月2日、名古屋南部の大気環境を改善する運動をしている「みなと公害患者と家族の会」事務局長の田中久幸さんや南区で活動している方にお話を聞き、名古屋港の臨港地区など現地に行きました。
武田良介参議院議員、市田忠義議員秘書、山口きよあき名古屋市議、私もとむら伸子が伺いました。
名古屋南部地域(港区、南区、東海市など)に住み、あるいは働いていた公害病被認定患者の皆さんとご遺族の皆さんは、名古屋港のまわりに立地している中部電力、新日本製鉄、東レ、愛知製鋼、大同特殊鋼、三井化学、東邦ガス、東亞合成、ニチハ、中部鋼鈑、矢作製鉄(裁判途中で倒産)と国を相手取り、大気汚染と住民の皆さんの呼吸器疾患との因果関係を認め、公害の差止め、被害にたいする完全な賠償を求めて1989年に裁判を起こしました。
2000年名古屋地裁で、被告らの過失責任、被告会社ら相互の共同不法行為を認めるとともに、大気汚染防止法25条1項の規定に基づき原告らに損害賠償の支配を命じ、国にたいして国道23号の“差止め”を認容する画期的な判決が出されました。
被告会社と国は、不服として控訴、原告の皆さんも原告各人の被害認定がされていないことや、二酸化窒素による被害を認めていないことなどを不服として控訴しました。
その後、名古屋高等裁判所に舞台は移りました。名古屋高等裁判所は、12年という長期間経過し、原告の皆さんが高齢者も多く、亡くなる方も多かったなかで和解を勧告しました。
2001年、和解による解決を図ることで合意しました。
「和解調書」のなかでは、国土交通省と環境省は、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る環境基準の速やかな達成、地域の交通負荷の軽減、大気汚染の軽減を約束しました。
公害病患者会の皆さんの運動の原点は、「お金がほしい」ではありません。一貫して求めてきたのは「こわされた身体を元に戻してほしい=健康回復」であり、「子や孫たち同じような苦しみを味あわせたくない」ということです。
とりわけ今回強調されたのは、工場を誘致してきた名古屋港管理組合の責任です。
名古屋港管理組合が管轄する地域に大気汚染をチェックする測定器が設置されていないことは、工場を誘致してきた責任からしてもおかしいということです。
臨港地区に老人保健施設もあり、人が住んでいます。しかも、レゴランドもでき、人が多く集まる場所になっています。
2014年に新日鐵住金が黒煙事故を起こしましたが、臨港地区でそうした事故も起こるわけですから、大気の監視は、当然必要です。
環境基本法第7条にある地方公共団体のなかに、名古屋港管理組合のような大規模な地域と財政力を備えた地方公共団体は当然含まれるべきです。
また、港湾法にある環境の保全のなかに当然、大気は含まれるべきです。
田中さんのお話は、高齢化がすすみ、このままでは伝える人もいなくなってしまうかもしれないという危機感からの訴えだと思いました。
名古屋市内のぜんそくの子どもたちの割合は減っていません。
命がけでたたかってきた公害患者の方々の声にしっかりと応えていきたいと思います。
お忙しい中、本当にありがとうございましたm(__)mm(__)mm(__)m