4月19日、衆議院国土交通委員会で水防法改正案にかかわって、介護、障がい者施設などの「1人夜勤」問題などを取り上げました。
今回の水防法改正案では、洪水や土砂災害のリスクが高い地域にある社会福祉施設、学校、医療施設などの要配慮者利用施設にたいし、避難確保計画の作成と避難訓練の実施を義務づける改正が盛り込まれています。
昨年の台風10号によって、岩手県岩泉町の小本(おもと)川ぞいの高齢者福祉施設(グループホーム)において、入所者9名の方が逃げ遅れ、亡くなられました。
亡くなられた方々に心からの哀悼の意を申し上げたいと思います。
そして、被害にあわれた方々に心からのお見舞いを申し上げます。
岩泉町の被災してしまったグループホームの被災当時、職員体制はどうなっていたかと問うと、厚生労働省の坂本卓大臣官房審議官は、管理者の一人のみだったと答えました。
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「1人夜勤」を許さない基準と予算の確保を!
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日本医療労働組合連合会の皆さんの2016年の介護施設夜勤実態調査結果をみてみますと、グループホーム、小規模多機能型施設、看護小規模多機能型施設では、すべての事業所で「一人夜勤」となっていました。
特別養護老人ホームや老人保健施設、短期入所でも「一人夜勤」が散見され、回答のあった職場の2割弱という結果でした。
具体的に、紹介したのは、秋田県の介護職員の方の声です。
「定員16名のショートステイで、夜勤は職員1人。16時半から9時の16時間30分の勤務です。19時半から翌朝7時までは、本当に1人!早番の職員の顔を見ると、本当に安心します。認知症のない方はまずいません。休憩2時間が設定されていても1人夜勤でどう取れというのでしょう。コールや排せつ介助、徘徊の利用者さん対応、転倒しないように走り回っているのが現実で、体も気持ちも休まる時間がありません。」
さらに東京都の特別養護老人ホームでも、朝日新聞に紹介されたように、20時半~翌朝7時の間は、47人を2人の職員でケアをしている現状で、夜間の呼び出しコールは90回を超えるなど必死に働いています。
愛知の医療や介護の現場の方からは、「災害など何かあったら、一緒に死ぬしかない」と言っているという声もあります。
「一人夜勤」という状況は、防災の上でも防犯の上でも、何より日常の安全・安心のためにも改善しなければならず、避難確保計画作成、避難訓練実施を義務付けるというのであれば、夜間であっても確実に避難できる、逃げ遅れゼロを保障する職員体制がどうしても必要です。
厚生労働省に、避難確保計画・避難訓練が義務化される新たな段階であり、夜間の職員を増やすなど体制の強化、そのための予算を増やすこと、介護や障がい者福祉など社会福祉施設で一人夜勤は許さない基準にすることを求めました。
厚生労働省の坂口卓大臣官房審議官は、「高齢者のみならず、障がい者、児童等の入所、入居系のサービス等におきましては最低基準といたしまして、利用人数に応じて一定数以上の夜間に勤務する職員等の配置を行うということを規定しております。サービス、施設の種類によっては夜間の手厚い人員配置をの報酬、措置費で評価する加算での夜勤体制の強化ということも図っているところでございます。実際の各サービス等の夜勤の体制につきましては、利用者の状況、地域との連携状況も考慮した上で対応されているものと承知しておりまして、非常時の災害対策計画を策定して、避難訓練等を実施することも求めているところでございます。福祉サービス等における夜勤体制につきましては、今回の水防法改正の内容を正しく理解していただくのはもちろんのこと、こうした取り組みを含めまして、災害が起こった際の利用者の安全が確保されるように対応を図るということが重要であると考えております。」と答弁しました。
石井啓一国土交通大臣には、国交省、国交大臣の責任として、避難確保計画・避難訓練が義務化をするわけであるから、厚生労働大臣と連携して、医療の現場、介護の現場、障がい者福祉の現場、児童福祉の現場、生活保護の方々で必要ある方々が入所者されてている施設の現場で、防災上も本当に必要な体制、職員数を夜間もとれるように要請してくださいと質問しました。
石井啓一国土交通大臣は、「厚生労働省とも連携し、要配慮者利用施設における必要な防災体制の確保を支援していく」と述べました。
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そもそも洪水や土砂災害のリスクが高い地域に
要配慮者利用施設を建てない規制を!
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国交省が出している「新たなステージに対応した防災・減災の在り方」のなかで、「自然災害から命を守るためには、災害の発生の危険性が高い区域にできるだけ人が住まないようにすることが重要である」と書いているわけですから、とりわけ、高齢者、障がい者、子どもたち、病気の方々がすごす福祉施設、医療施設、学校などは、洪水や土砂災害のリスクが高い地域に要配慮者利用施設をつくらせない規制が必要です。
災害弱者の方々には、そもそもリスクの少ないところに住んでいただく誘導策、そのための規制が必要ですと質しました。
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避難確保計画の作成と避難訓練の実施を義務づけるのであれば、国土交通省も責任をもって支援を!
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国交省の資料でも、現在、水防法上の要配慮者利用施設は、全国で31208施設ありますが、避難確保計画をもっているのは、2.3%しかありません。
◆愛知県内の要配慮者利用施設は、1345施設で、避難確保計画を作成しているのは、21施設です。
◆静岡県内の要配慮者利用施設は、791施設で、避難確保計画を作成しているのは、6施設です。
◆岐阜県内の要配慮者利用施設は、1306施設で、避難確保計画を作成しているのは、21施設です。
◆三重県内の要配慮者利用施設は、412施設で、避難確保計画を作成しているのは、0施設です。
避難確保計画の策定や避難訓練を法律で義務化する以上、国交省は、市町村まかせにせず、各施設の実態を把握したうえで避難確保計画の作成、避難訓練実施のために、人が足りなければ派遣することや、財政的支援が必要であれば応じること、体制も強化して支援すべきと質問しました。
石井国土交通大臣は、「防災安全交付金により市町村への支援をしていく」と答弁しました。
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国管理河川の堤防の維持管理予算の確保、地方自治体管理河川の堤防の維持管理にも支援を!
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堤防の草刈りは、軽視されがちですが、大事な作業です。
堤防の草刈りをると怠ると、結局、その土地が豊かになり、ミミズがすむようになり、モグラが発生し、堤防が穴だらけ、空洞化になり、堤防が弱くなるのだと現場の職員の方が強調されていました。
日常的な草刈りなどのメンテナンスの基本的な予算を増やすこと、地方自治体管理の河川堤防の維持管理についてもしっかりと支援をすることを最後に要望しました。
引き続き、洪水や土砂災害で人が亡くなることがないように頑張ります!!!