6月3日、衆議院国土交通委員会で、川崎市の簡易宿泊所火災事件の問題と省エネ建築物法案の問題を質問しました。
5月17日に10名の方が亡くなり、負傷された方も18名の大惨事となった神奈川県川崎市の簡易宿泊所で起きた火災について質問。
焼失した簡易宿泊所が建築基準法や消防法に違反していた可能性もとりざたされていると指摘し、原因究明と再発防止を求めました。
火災した簡易宿泊所では、1部屋2~3畳でエアコンも扇風機も使用できず、テレビとガスコンロは有料でトイレとお風呂は共同など劣悪な住環境でした。
こうした簡易宿泊所に長期間にわたり定住せざるを得ない高齢者や生活保護受給者がいることを示し、その背景を質問しました。
国土交通省の住宅局長は「低所得であること、不合理な入居選別を受けることなどを理由に、市場において自力では適正な水準の住宅を確保することが困難となる場合が少なくない」と認めました。
日本共産党川崎市会議員団の提案してきた、民間賃貸への転居を支援する事業を川崎市が実施していることを紹介し、「国としてもっと応援すべき」と求めました。
厚生労働省大臣官房審議官は「多くの自治体に、実施するよう努力してまいりたい」と答えました。
最後に、川崎市の簡易宿泊所のような惨事を起こさないためにも、根本的に低所得の方々の公営住宅や福祉施設を抜本的に増やす必要があると指摘。
所得に応じた費用負担の特別養護老人ホームを抜本的に増やすこと、障がいをもった方々のグループホームを増やすこと、生活保護の住宅扶助カットの中止、自主避難含む被災者の皆さんの切り捨ての中止、公営住宅の新規建設・供給をすすめるとともに、UR住宅の戸数削減の中止、所得に応じた家賃に引き下げること、UR住宅の空き家や民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅にすること、家賃補助制度をすすめることなど「地方自治体にまかせるのではなく、国が責任をもって公的な住宅を増やしていく方向に転換するべき、二度と川崎市の大惨事のようなことが起きないように、大臣の決意を」と質問しました。
太田昭宏国土交通大臣は、「公的住宅の整備が大事な問題だ」と答えました。
省エネ建築物の関係では、今回の法案は現行の「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」から、建築物部門を抜き出し建築物の省エネ基準への適合義務化の第一歩を踏み出すものです。
法案提出の背景にはエネルギー消費量が、産業部門や運輸部門などに比べ、建築物部門は依然、増加傾向にあることが挙げられています。
今回の法改正で大きく変わる部分は、2000?以上の非住宅建築物を新築や改修する際の省エネ基準への適合を現行の届出義務から適合義務に強化し、建築基準法に基づく建築確認手続きに連動させ、実効性を確保するものになっています。これ自体は、一歩前進ですが、問題は、この法案を通しても建築物のエネルギー消費が現状水準かあるいは現状の1%程度の削減にしかつながらないことです。
建築物のエネルギー消費量の低減のために、もっと高い水準で削減の数値目標を立てるべきだ求めました。
太田国土交通大臣は、建築物の省エネ数値目標ではなく、政府が6月2日に決めた2013年度に比べて、2030年度に温室効果ガスを26%削減する(2013年度比)目標にむけて推進すると述べました。