4月10日、愛知県知事あてに、愛知県地域防災計画「原子力災害対策計画」(素案)の抜本的見直しを求める申し入れを行いました。
県政対策委員の いたくら正文さん、須山初美さんと一緒です。
愛知県の回答は、原発再稼働については態度を明らかにしない、シュミレーションはやらない、委員長の選定については何も言わないという対応でした(>_<)
この計画素案を決めた検討委員会の委員長は、国の原子力規制委員会の外部専門家17人のなかで、一番、原発マネー3000万円以上(寄付金、報酬、委託研究)をもらっている人物で、三菱重工からの委託研究の事業費は黒塗り!で通しています。
しかも、過酷事故対策の基準骨子案をとりまとめる「発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム」の会合のなかで、「過大な要求ではないか」と電力業界の代表のような発言を繰り返しています。本当に県民の命を守る気があるのか疑わしい人物を委員長にすえている大村秀章愛知県知事の見識が問われます。
※詳しくは、こちらの「しんぶん赤旗」記事もごらんください。
→http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-06/2013020601_01_1.html
4月14日まで愛知県はパブリックコメントをやっています。皆さんもぜひご意見の提出をお願いいたします!!→http://www.pref.aichi.jp/0000059254.html
愛知県地域防災計画「原子力災害対策計画」(素案)の抜本的見直しを求めます
愛知県知事 大村秀章 様
2013年4月10日
日本共産党愛知県委員会
委員長 岩中 正巳
原発ゼロ対策部長 もとむら伸子
愛知県地域防災計画「原子力災害対策計画」(素案)の抜本的見直しを求めます
愛知県は、2年前の東日本大震災における東京電力福島第1原子力発電所の事故の経験を踏まえ、原子力発電所から30キロ圏内をめどに自治体の地域防災計画策定がすすめられていることに準じて、愛知県地域防災計画「原子力災害対策計画」(素案)の策定をすすめており、現在4月14日を期限に素案に対するパブリックコメントを求めています。
日本共産党愛知県委員会は、原子力災害から県民の命と健康を守ることは重要と考え、この間も地域での空間放射線量の測定や県に対して放射能汚染に対する対策を求めてきたところですが、2月22日にも、もとむら原発ゼロ対策部長を先頭に、県から計画策定の状況についてヒアリング調査を行い、県民からの意見を聞き、計画に反映させることなどを求めてきました。
党からの申し入れを踏まえてパブリックコメントが行われていることは評価できます。しかし、この素案にはヒアリング調査の時にも申し入れたように、根本的な問題があり、寄せられた県民の声を生かすとともに、素案を抜本的に見直しを行う必要があります。
第1に、素案は、現在、原子力発電所が大飯原発しか稼働していない中で、再稼働されることを前提に、静岡県の浜岡原発、福井県の美浜原発、大飯原発、高浜原発、敦賀原発、高速増殖炉研究開発センター(もんじゅ)、原子炉廃止措置研究開発センター(ふげん)における原子力災害を想定とした防災計画となっているという問題があります。
福島原発事故で明らかになったように、原発事故は他の災害とは異なり、ひとたび放射性物質が放出されると、その被害が空間的にも、時間的にも、社会的にも限定なしで広がり続け、人類はそれを防止する手段をもっていない異質な危険があり、多くの県民が原発再稼働を許さず、原発ゼロの社会をめざすことを求めています。この県民の声にこたえて、原発の再稼働を許さず、原発の廃炉を進める中での原子力災害に備えるという計画の根本姿勢を確立することが必要です。
実際、美里町地域防災計画(原子力災害対策編)案では、「本町は、『脱原発宣言の町』であり、この計画は女川原子力発電所の再稼働を容認するものではなく、今後、女川原子力発電所が完全に廃炉となるまでに発生する可能性のある原子力災害に備えるためのものである」としており、こうした姿勢に愛知県も学ぶべきです。
第2に、素案は原発事故の想定を過小に評価し、対策の中心を風評被害や県外からの避難者の受け入れなどとしており、県民には直接の被害が及ばないとする「安全神話」を想定しています。
しかし、市民団体などが福井県の原発所在地から風船を飛ばし、放射性物質がどのように拡散するかを調査しており、少なくない風船が愛知県に飛来しています。放射性物質の拡散による県民への直接の被害を想定すべきです。
岐阜県が行っているように、愛知県も最悪の事態を想定した放射能拡散の独自のシミュレーションを行い、県民へ直接被害が及ぶことを想定して、県民の命と健康を守ることを最優先に、安定ヨウ素剤の備蓄、愛知県でとれる農作物や魚や消費者が口にする食品の放射能汚染検査の強化、空間線量、土壌などの放射能汚染の検査体制の強化、年間1ミリシーベルト以上になった地域の対応、避難の考え方、被ばくによる健康被害を最小におさえる医療体制の強化など実効性ある計画に見直すべきです。
第3に、素案を検討している検討委員会の責任者は、過去4年間で原発関連企業から3000万円以上の寄付金等を受け取っており、国の原子力規制委員会でも原発推進サイドの発言を繰り返しており、この責任者の推薦のもとで構成された検討委員会が、県民のいのちと健康を守る立場から冷静に計画素案を審議しているかについて懸念がもたれています。そのうえ、検討委員会の審議もわずか2回の検討で3回目には素案を提示し、4回目に確認するなど、拙速した議論に終始しており、慎重な議論がなされているとは考えられません。
計画の立案とともに、計画の推進にあたっても、福島原発事故によって明らかになった原発の危険性について、正確な知見をもち、原発関連企業など原発推進勢力と利害関係をもたず、県民の意見をくみとって、冷静で公平な立場から、十分な審議の下で計画を立案し、推進する体制が求められています。
以上の3点のことからも、素案については、パブリックコメントに寄せられた県民の意見を真摯に受けとめるとともに、検討委員会の構成、審議の仕方を含め抜本的な見直しを行うことを求めるものです。