2010年12月20日
厚生労働・年金改革担当大臣 細川律夫 様
日本共産党愛知県委員会
委員長 岩中正巳
保育にかかわる緊急要請書
今、民主党政権は「子ども・子育て新システム」を来年の通常国会に法案提出しようとしていますが、「新システム」は、保育のあり方を根本からくつがえそうとするねらいがあります。公的保育制度の根幹である自治体の保育実施責任をなくして保育を親の「自己責任」とする、自公政権から引き継いだ方向をすすめようとしています。
幼稚園と保育所を一体化した「子ども園」の入所については、現在の市町村に申し込む保育所の仕組みを変え、保護者が自分で探して契約する「直接契約」にし、利用料も収入に応じたものから利用時間に応じた応益負担にして、認定時間を超えた分は全額自己負担も検討しているといいます。親の収入にかかわらずどの子も平等に良い保育が受けられ、父母が安心して働き続けられるという保育の根本を揺るがすものです。親の収入による選別と格差を乳幼児期の子どもたちにひろげることは絶対に許すわけにはいきません。
また、国が決めていた施設等の基準を自治体まかせにする方向も検討されています。全国知事会は、施設面積や保育士配置を市町村の自由にすること、3歳未満児の給食の外部搬入容認など、「規制緩和」を先取りする「特区」を提案しました。国の基準がなくなれば、自治体ごとの格差が広がり、現在でも低すぎる保育所基準がさらに引き下げられ、保育の質の低下が危惧されます。
安心して預けられる保育の拡充は、国と自治体の責任が明確な現行保育制度の根幹があってこそ可能です。幼稚園団体や日本保育協会などの保育団体もそれぞれ、「幼児教育の質低下をきたさないよう国・都道府県の責任を明確に」「児童福祉法第24条にもとづく公的保育制度の堅持・拡充を」と意見表明しています。
子どもたちが大切にされ、誰もが安心して子育てできるようするために以下のことを求めます。
記
1、保育に対する国と自治体の責任を後退させ、格差拡大と保育水準の引き下げ、子どもと親に負担をおしつける「新システム」の検討は中止すること。
2、国の保育・子育て予算を大幅に増額して、国の責任で認可保育所を大幅に増設すること。
3、認可保育所の自治体での増設を促進するために、保育所運営費の一般財源化を見直し、補助金を増額すること。
4、保育料の国の基準を引き下げ、子育て家庭への保育料負担を軽減すること。一定の基準を満たした無認可保育所に通わせている家庭への保育料助成制度をつくること。
5、希望者が全員入所できるように、国と自治体の責任で学童保育所を増設、大規模化を解消すること。保育料の父母負担の軽減、指導員の労働条件の改善がはかれるように、関係予算の増額など国として対応すること。
以上