もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

【2010年参院選公約】“アメリカ・財界いいなり”から「国民が主人公」の政治への転換を――そうしてこそ「政治を変えたい」という願いが生かせます

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                         2010年6月18日 日本共産党

あいつぐ政権投げ出しの根本――そこを転換してこそ新しい政治が生まれます

 また政権投げ出しが起こりました。自民党から民主党に政権が交代したものの、鳩山前政権は、わずか8カ月で退陣に追い込まれました。沖縄・普天間基地問題では、「国外、最低でも県外」という公約さえ裏切って、「移設先」をあちこち探したあげく、名護市辺野古に米海兵隊の新基地をつくるという最悪の案になりました。「政治とカネ」の問題でも、「秘書がやった」「私は知らない」などと言い続け、国民への説明責任をいっさい果たしませんでした。後期高齢者医療制度は「すぐ撤廃」の公約を裏切り、労働者派遣法の政府改正案は「抜け穴」だらけの「ザル法」となりました。

 なぜ、鳩山前政権は、国民の期待を裏切り、公約を守れなかったのでしょうか。普天間問題での迷走と裏切りの根本には、沖縄県民、日本国民よりアメリカの要求を優先するという、“アメリカいいなり”の政治があります。暮らしの問題でのあいつぐ公約違反の根本には、労働コストの削減、社会保障コストの削減を求める日本経団連の圧力に屈した“財界いいなり”の政治があります。「政治を変えたい」という国民の願いを実現しようとすれば、こうした“アメリカ・財界いいなり”政治から抜け出すことがどうしても必要だということを、鳩山政権の8カ月は示したのではないでしょうか。

 それでは菅新政権は、どうでしょうか。鳩山前政権の裏切りの政治は、民主党政権の共同責任であり、わけても副総理だった菅首相には、重い責任があるはずです。ところが菅首相には、そのことへの自覚もなければ反省の言葉もなく、普天間と「政治とカネ」という「二つの重荷を総理自らが辞めることで取り除いていただいた」とのべるなど、鳩山、小沢両氏の辞任で重大な共同責任を過去のものと水に流し、「一件落着」にしようとしています。しかし、反省なくして、新しい政治はけっしてうまれません。

 とりわけ鳩山前政権の失政の根本にあった“アメリカ・財界いいなり”政治にたいして、菅首相はどんな態度をとっているでしょうか。首相が、普天間問題で一番にやったのは、オバマ米大統領との電話会談で、「県内移設」の「日米合意」に「しっかりとりくんでいきたい」とアメリカに忠誠を誓うことでした。経済・財政の問題でも、首相は、日本経団連の要求を受けて、「法人税率引き下げ」と一体に「消費税増税」の道をすすみはじめています。こうした道は、国民との矛盾を広げ、かならず破たんするでしょう。

 日本共産党は、“アメリカ・財界いいなり”政治に正面から立ち向かい、「国民が主人公」の新しい政治への転換を求めて、全力でたたかいぬきます。

国民生活と日本経済の危機をどう打開するか――大企業応援から国民応援への転換を

 菅首相は、「強い経済、強い財政、強い社会保障」といいます。問題は、誰にとって「強い」のかです。

大企業減税の穴埋めの消費税増税には絶対反対です

 民主党は、参院選公約で、「強い経済」の目玉として、「法人税率引き下げ」を明記しています。さらに、「強い財政」の目玉として、「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始」するとしています。菅首相は、「当面の消費税率は自民党が提案する10%を一つの参考にする」と大増税をすすめることを言明しました。大企業減税の穴埋めに消費税の増税をはかろうというのです。

 この動きはもともと財界からおこったものでした。日本経団連は4月に発表した「成長戦略2010」で、財政再建のために「消費税を一刻も早く引き上げ」るとしながら、「法人税の減税」を求めています。民主党の参院選公約はこうした財界の要求に従ったものにほかなりません。

 そもそも消費税は、消費者である国民と価格に転嫁できない中小企業には重い負担になりますが、価格に転嫁する力をもっている大企業は1円も負担しない税金です。消費税は何よりも所得の少ない人に重くのしかかる最悪の不公平税制です。財政再建をすべて国民に押しつけ、自分たちの負担は減らす、こんな身勝手な話はありません。こんな身勝手を「丸呑み」にする政治でいいでしょうか。

 財界は、「日本の法人税は高い」と、自分に都合のいい数字を使い、政府やメディアを巻き込んで「法人税減税キャンペーン」を展開しています。しかし、ここには二つの大きなごまかしがあります。一つは、「法人税の実効税率は40%で高すぎる」といいますが、研究開発減税、外国税額控除などの大企業優遇税制による減税分を意図的にのぞいていることです。日本のトップ企業が実際に負担している法人税負担率は、平均30%程度にすぎません。世界に名だたる多国籍企業のなかには法人税負担率が10%台から20%台となっている企業も少なくありません。もう一つは、日本では社会保険料の企業負担が欧州などにくらべて低いことです。税と社会保険料をあわせると、財務省が発表した数字でも、日本の大企業の負担はフランスの7割程度となっています。

 日本経団連や経済産業省は、法人税率を25~30%に引き下げることを要求しています。25%まで引き下げたら、消費税率にすると4%分に相当します。消費税を10%に増税しても、そのほとんどは、法人税減税で消えてしまうのです。

 実際、消費税が導入されて22年間で、消費税の税収は総額で224兆円になりますが、同時期の法人3税の減収は208兆円にのぼります。消費税は、「社会保障のため」といって導入・増税されましたが、実態は法人税の減収分の「穴埋め」になってしまったのです。

 財界の要求を「丸呑み」して、大企業減税の穴埋めに消費税を増税するという道は、財政再建にも、社会保障財源にも役立たず、国民の暮らしと景気を破壊し、日本経済の危機を深刻にするものとして、断固反対します。

社会保障と暮らしを支え、財政再建に道をひらく財源はこうしてつくります

 社会保障を支える財源をつくるためには、まず無駄遣いの徹底した一掃が必要です。年間5兆円にのぼる軍事費に抜本的な縮減のメスを入れます。とりわけ、年間3370億円という史上最高となっている米軍への「思いやり予算」や米軍再編費は撤廃します。「1メートル1億円」もかかる東京外環道計画を中止し、高速増殖炉「もんじゅ」への財政支出をやめ、政党助成金を撤廃します。

 あわせて、行き過ぎた大企業・大金持ち減税を抜本的に見直します。現在10%の証券優遇税制をただちにあらため、まず20%に戻し、さらに諸外国なみに富裕層は30%以上に引き上げます。下げすぎた所得税・相続税の最高税率を元に戻します。大企業への研究開発減税など優遇税制をあらためるとともに、下げすぎた大企業にたいする法人税率を段階的に元に戻します。アメリカのオバマ政権も、高額所得者と多国籍企業にむこう10年間で約100兆円の増税を求め、それを国民生活などにまわす税制改革をすすめようとしています。

 さらに、大企業が溜め込んでいる内部留保は229兆円にもおよびます。過剰な内部留保と利益を、雇用と中小企業など社会に還元し、家計・内需主導の健全な経済成長の軌道にのせることで、税収を確保します。

 当面の歳入と歳出の改革によって、7兆円~12兆円程度の財源がつくれます。さらに日本経済が家計・内需主導の健全な成長の軌道にのれば、安定的な税収増が見込めます。消費税に頼らなくても、安心できる社会保障の財源はつくれます。

雇用、中小企業、農林漁業、社会保障、環境――日本経済を元気にします

 この10年間、日本経済は、長期の低迷と後退から抜け出せずにいます。日本は、主要先進国でただ一つ、GDP(国内総生産)が伸びない「成長が止まった国」になり、ただ一つ、雇用者報酬が減った「国民が貧しくなった国」になっています。10年間に、大企業の利益は、年間15兆円から32兆円と2倍以上に増えたにもかかわらず、国民全体の雇用者報酬が26兆円も減りました。大企業の内部留保は142兆円から229兆円にふくれあがりました。“大企業をもっと強くする、そうすればその利益がいずれは国民の暮らしにもまわり、経済も成長する”――こうした自民党流の経済政策が破たんしたことは明らかです。いまこそ大企業応援から国民生活応援に経済政策を切り替えることが必要です。

 人間らしい雇用のルールをつくります……「使い捨て」雇用をなくし、正社員が当たり前の社会にすることは最優先の課題であり、その最大の焦点は、労働者派遣法の抜本改正です。民主党政権が国会に提出した派遣法「改正」案は、「製造業派遣、登録型派遣の原則禁止」を言いながら、「常用型派遣」とか「専門業務」などの名前をつければ「例外」にするという、「抜け穴」だらけの「ザル法」となっています。財界の圧力に屈した結果です。労働者派遣法は、「抜け穴」なしの抜本的改正を求めます。

 時給1000円以上への最低賃金の引き上げによる国民の所得の底上げ、「サービス残業」の根絶と長時間・過密労働の是正、非正規労働者と正社員との均等待遇、就職難の打開、失業者への生活援助、新規雇用創出などの雇用対策をすすめます。

 中小企業を日本経済の“根幹”にふさわしく支援します……中小企業は、企業数の99%、雇用の7割を支える日本経済の根幹です。下請単価の買いたたきや一方的な発注中止・変更などの無法をやめさせるために、下請二法、独占禁止法の改正・強化、大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくります。

 政府は、「中小企業憲章」を閣議決定しました。これは長年の中小企業団体などの運動による一歩前進です。これも足がかりとして、中小企業予算を1兆円に増額するなど本格的な支援に国があげてとりくみます。高い技術力をもつ「日本の宝」=町工場を守るために、家賃・リース料などの固定費補助の緊急支援などをすすめます。

 農林漁業の再生をすすめ食料自給率の向上をはかります……民主党政権は、食料自給率が41%まで低下しているのに、農産物の輸入自由化をさらにすすめようとしています。日米FTA、日豪EPA交渉を中止し、農林漁業を自動車や電機など大企業の輸出の犠牲にする政治を転換します。主要な農産物にたいして価格保障・所得補償を実施し、再生産費を保障し、安心して農業にはげめる農政をつくります。コメは価格保障・所得補償によって一俵1万8千円を保障します。口蹄疫の拡大阻止、被害への補償に万全をつくします。

 社会保障を削減から充実へ抜本的に転換します……自公政権時代に、毎年2200億円もの社会保障予算を連続削減したことによる社会保障制度の弱体化、「傷跡」をすみやかに治す仕事にとりくみます。

 民主党政権は、後期高齢者医療制度の「すみやかな廃止」を公約にしながら、「4年先」まで先送りし、しかも廃止後につくる「新しい制度」は、「65歳以上の高齢者は、全員国保に加入させたうえで、64歳以下とは別勘定にする」というものを検討しています。これでは「姥捨て山」をもっと広げることになってしまいます。高齢者を差別する後期高齢者医療制度の即時廃止をもとめます。

 高すぎる国保料を国の責任で1万円引き下げ、保険証取り上げはやめさせます。高すぎる医療費の窓口負担の引き下げをめざし、まず高齢者と子どもの医療費の無料化を国の制度として実施します。診療報酬と介護報酬を引き上げます。介護保険への国庫負担を増やし、介護労働者の労働条件改善、特養ホームなどの施設整備など介護制度の充実と、利用料・保険料の負担軽減を国の責任でおこないます。

 障害者自立支援法をきっぱり廃止し、医療・福祉の無料化をすすめ、障害者総合福祉法を制定します。生活保護の拡充をすすめ、福岡高裁の判決を受け、老齢加算をすみやかに復活します。無年金・低年金問題の解決のために、年金受給資格を25年から10年に短縮するとともに、最低保障年金制度に踏み出します。

 認可保育所の抜本的増設など総合的な子育て支援をすすめます……国の責任で認可保育所を1年間で10万人分建設し、待機児問題を解決し、安心して預けられる保育制度をきずきます。子育てと仕事の両立、教育費の負担軽減など、総合的な子育て支援をすすめます。待機児童解消の名で、保育の「規制緩和」と子どもたちの「詰め込み」をおこなうことにはきびしく反対します。

 地球温暖化防止への国際的な責務をはたします……民主党政権は、温室効果ガスの中期削減目標(2020年までに90年比25%削減)を、途上国を含む主要国が大幅削減に同意するという前提条件をつけ、それがなければ目標の設定も施行もしないと言いだしました。これでは地球温暖化防止をリードするどころか、成り行きを見て目標を決めるラストランナーになってしまいます。

 中期削減目標を、2020年までに90年比30%削減とし、先進国の責任を自覚して、これを前提条件なしに実施します。そのために産業界との公的削減協定の締結、自然エネルギー(再生可能エネルギー)活用をすすめます。危険きわまる原発大増設路線をやめ、段階的に原発から撤退します。プルサーマル、高速増殖炉など、核燃料サイクル政策を中止します。

普天間基地問題――“アメリカいいなり”政治から、日本国民に顔をむけた政治に転換を

民主党政権が結んだ日米合意――自公政権時代よりもさらに悪い方針は許せない

 菅首相は、沖縄県名護市の辺野古に、美しいサンゴの海をつぶして巨大な米軍新基地を建設するという日米合意を「何としても実現しなければならない」と宣言しました。「沖縄の負担軽減に尽力する」と言いますが、巨大基地の建設を押しつけておいて、「負担軽減」と言ってもむなしいだけです。

 しかも、日米合意では、徳之島や本土に米軍訓練の「分散移転」をするとしていますが、これは沖縄の負担軽減にはけっしてつながりません。そのことは、2006年の日米合意で訓練の本土移転をするとされた嘉手納基地に、米本土やアラスカ、韓国などから米軍機が多数飛来するようになり、基地被害はかえって深刻になったことからも明らかです。

 徳之島への「分散移転」計画は、沖縄県民に「県内移設」を押し付けるための口実とされただけです。こうしたやり方は、沖縄県民とともに、島ぐるみで反対の声をあげている徳之島の住民を愚弄する許しがたいものです。

 民主党政権がむすんだ日米合意は、沖縄に新基地を建設したうえに、米軍訓練の被害を徳之島や本土に広げるという、自公政権時代に戻ったというだけでなく、より悪い方針になったといわなければなりません。こんな日米合意はとうてい認められません。

日米合意の白紙撤回、無条件撤去を求めて本腰の対米交渉を

 こんな方針が沖縄県民の合意を得られるでしょうか。4月25日、9万人の沖縄県民大会には、県知事と県内41市町村長(代理を含む)のすべてが参加し、「普天間基地の撤去・閉鎖、県内移設反対」という沖縄県民の総意はゆるがぬものとなりました。沖縄での世論調査でも、辺野古移設に反対が84%で、普天間基地は「無条件撤去」が38%とトップになり、「国外」を合わせると74%にのぼります(琉球新報、毎日新聞共同調査)。

 沖縄のこの怒りは、けっして一過性のものではありません。凄惨な地上戦を経験し、占領下で民有地を無法に強奪され、戦後65年にわたる基地の重圧、繰り返されてきた痛ましい事故や事件などが、忍耐の限界を超えている、歴史の累積があります。それがいま抑えようもなく噴き出しているのです。

 県内移設の方針は、県民の総意に背き、県民の合意が得られることは絶対にありえない方針です。普天間問題の解決の道は、日米合意を白紙撤回し、移設条件なしの撤去――無条件撤去を求めてアメリカと本腰を入れて交渉を始めることしかありません。わが党は、そのことを日本政府に強く要求するものです。

「海兵隊=抑止力」をふりかざした基地おしつけ勢力に審判を

 民主党政権は、「海兵隊は平和を守る抑止力だ」として、日米合意の押し付けを迫っています。しかし、海兵隊は、米軍の戦争で、先陣を切る「殴り込み」の任務をもつ部隊です。いま沖縄の海兵隊が展開しているのは、イラクやアフガニスタンであり、普天間基地の海兵隊は、1年のうち、半分はいません。海兵隊は日本を守る「抑止力」ではなく、米国の戦争のための「侵略力」にほかなりません。こんな軍隊の基地を「抑止力」の名で押し付けようとしても、沖縄県民のだれにも説得力がないのは当然です。

 だいたい菅首相自身が、かつては、「海兵隊は(日本を)守る部隊ではありません。地球の裏側まで飛んでいって、攻める部隊なのです」「沖縄に海兵隊がいるかいないかは、日本にとっての抑止力とはあまり関係がない」と、「海兵隊=抑止力」を否定していました。そして、「海兵隊は即座に米国内に戻ってもらっていい。民主党が政権を取れば、しっかりと米国に提示することを約束する」と明言していました。

 ところが国会で、この事実を指摘されても、“過去にいろいろ言ったが、変わるのは政治家として当然だ”と開き直り、なぜ「海兵隊=抑止力」論に変わったのか、まともに説明しようという姿勢すらありません。アメリカ言いなりに、自らの言明を投げ捨て、沖縄県民への約束を反故にして恥じない。こんな政治が許されるでしょうか。

 “アメリカいいなり”政治をやめ、沖縄県民と日本国民に顔をむけた政治への転換が必要です。参議院選挙では、基地押しつけ勢力に厳しい審判を下そうではありませんか。

比例定数削減に断固として反対し、民意が反映した民主的選挙制度への改革を求めます

 民主党は今回の参院選マニフェストに、衆院の比例定数を80、参院定数を40、それぞれ削減する方針を明記しました。民主党などが持ち出している比例代表の定数削減は、「2大政党」だけで国会の議席を独占しようというものです。

 定数削減が強行された場合を09年総選挙の結果にあてはめると、民主党と自民党の「2大政党」を中心とした勢力は95%前後の議席を独占することになります。これは、消費税増税反対、普天間基地の「県内移設」反対、憲法9条を守れなど、国民多数の声を国会から締め出し、暮らしや平和を壊す政治を思いのままに推進しようというものにほかなりません。民主党は、国会議員定数の削減について「消費税増税の前提としての象徴」(政調会長)などとさえいっています。

 「政治家が身を切る」といいますが、切られるのは国民の民意にほかなりません。この反民主主義的なくわだてには断固として反対します。議会制民主主義を守り、国民の声を正確に反映する国会にするために、小選挙区制を廃止し、民意を最も正確に反映する比例代表制中心の制度への改革をはかります。

 「政治家が身を切る」というのなら、年間320億円もの政党助成金の廃止こそ第一にとりくむべき課題です。「政官財癒着」の最大の温床である企業・団体献金の即時禁止のための立法措置を強く求めるとともに、各党にたいして法律の制定を待たずに自ら受け取りを拒否することを求めます。

アメリカにも、財界にも、国民の立場でモノが言える日本共産党を伸ばしてください

日本経団連と直接交渉、米国政府に沖縄の声を伝える――こうした活動を発展させます
 
 日本共産党は、アメリカに対しても、財界に対しても、国民の立場に立ち、事実を道理をもって、働きかけてきた政党です。

 一昨年秋のリーマン・ショックを契機とした「派遣切り」という事態にさいして、わが党は、日本経団連、トヨタ、いすゞなどと直接交渉をおこない、雇用に対する社会的責任を果たすことを求める活動にとりくみました。こうした活動にたいして、経済界からも「こういう話は、与党にやってほしかった」という声もあがりました。

 また、日本共産党は、今年4月末から5月上旬に、米国訪問をおこない、「基地のない沖縄」「対等・平等・友好の日米関係」を願う、沖縄県民の声、日本国民の声を、直接、米国政府と議会に伝える活動にとりくみました。

 米国政府との会談で、基地問題については厳しい意見の対立がありましたが、先方から、「見解は違っても、こういう意見交換は有益であり、民主主義の基本です。これからも続けましょう」との言明があり、今後も意見交換を続けることで合意しました。立場は違っても、意見交換をしていく、対話のルートが開かれたことは、今後にとってきわめて重要なことです。

 沖縄県嘉手納町の宮城町長は、「沖縄県民に立派すぎることを言う国会議員がずらっといるが、アメリカには何も言いません。私は共産党の訪米が一番いいと思います。アメリカにきちっと、非常に苦い話を率直に語られた。ものすごく意味がある」との評価を寄せてくれています。

 さらに、わが党は、訪米のさいのもう一つの仕事として、ニューヨークの国連本部で開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議(2010年5月3日~28日)に参加し、「核兵器のない世界」に向けて会議が成功をおさめるよう積極的活動にとりくみました。NPT再検討会議は、「核兵器のない世界」にむけて重要な一歩前進の成果をおさめましたが、日本の原水爆禁止運動と協力してのわが党の活動は、その成功への貢献となりました。NPT再検討会議のカバクチュラン議長からは、「日本共産党の努力が、この会議のプロセスにきわめて大きな貢献となり、NPT再検討会議の大きな成功に役立ったことは確実です」という書簡も寄せられました。

 日本共産党は、国民の利益にたって、国際社会、米国政府や議会、日本経団連など財界にたいする働きかけ、意見交換を、今後もおおいに発展させます。

「国民が主人公」の新しい日本へ――これが私たちの日本改革の方針です

 日本共産党が、アメリカにも、財界にも、国民の立場でモノがいえるのは、日本の新しい進路に、明確な目標と展望を持つ党だからです。

 わが党は、日本社会が必要とする民主的改革の内容として、つぎの三つの点を明らかにしています。

 第一は、異常な“アメリカいいなり”政治の大本にある日米軍事同盟=安保条約を廃棄し、対等・平等の日米友好関係を築く改革です。

 今年は、日米安保改定から50年ですが、この半世紀に、世界は軍事同盟を解消する方向に大きく変化し、軍事同盟に所属する国の人口は、世界人口の67%から16%に激減するなど、多くの国々が軍事同盟から抜け出しています。

 米上院外交委員会の公聴会で、ジョージ・パッカード米日財団理事長は、日米安保条約が世界に類例のない異常な従属的特質をもっていることを具体的に指摘し、「この条約が無期限に未来まで続くことはできない」とのべています。独立国のなかに、巨大な外国軍基地があり、多くの人々の命や安全を脅かし、治外法権となっている状態が、未来永劫続くことは決してありえません。また続かせてはなりません。

 わが党の立場は、けっして反米主義ではありません。アメリカとはほんとうの友情と友好を心から願っています。しかし、ほんとうの友好関係は、支配・従属でなく対等・平等であってこそつくれます。そのために従属関係の根源にある日米安保条約を廃棄して、それに代えて日米友好条約を締結することが、わが党の目標です。安保条約の廃棄は、条約第十条の手続き(アメリカ政府への通告)でおこないますが、日米友好条約へと日米関係を発展させるために、アメリカ政府との対話と交渉の努力をはかります。

 もちろん、これは一朝一夕ではできません。そのためには国民多数の合意が必要です。そうした合意は、東アジアの平和的環境をつくりあげる外交努力と結んでこそ、達成されると考えています。すでに東南アジアでは軍事同盟は解体され、かわりにASEAN(東南アジア諸国連合)という外部に敵を持たない開かれた地域の平和共同体が形成されています。これを北東アジアに広げるために力をつくします。北朝鮮問題の解決のためには、困難はあっても「6カ国協議」の枠組みを復活させ、これを通じて核・拉致・ミサイル・歴史問題など諸懸案の包括的解決をはかるとともに、これを北東アジア地域の平和と安定の枠組みに発展させることが重要です。

 第二は、財界・大企業中心の異常な政治から抜け出し、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」を築くという改革です。

 日本経済には、同じ発達した資本主義国でも、ヨーロッパなどには類をみない「ルールなき資本主義」ともいうべき異常な特質があります。労働者は、過労死さえもたらす長時間・過密労働や、派遣労働に象徴される著しく差別的な不安定雇用に苦しみ、多くの企業で「サービス残業」が横行しています。雇用保障でも、ヨーロッパのような解雇規制の立法が存在せず、一方的な解雇・雇い止めが猛威をふるっています。日本経済の根幹として位置づけられるべき中小企業は、大企業との不公正な取引に苦しみ、つねに倒産・廃業の不安にさらされています。

 日本共産党の立場は、大企業の役割を否定したり、ましてや敵視するものではありません。大企業の力にふさわしい社会的な責任と負担を求めているのです。国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」をつくる、そのために大企業にたいする民主的な規制をおこない横暴な経済支配をおさえることが、日本共産党の経済改革の目標です。そうしてこそ、日本経済の健全な発展が保障され、中長期的にみれば大企業の健全な発展にもつながるということが私たちの展望です。

 第三は、日本国憲法を守るとともに、憲法を生かして平和と民主主義の国づくりをすすめることです。 

 日本共産党は、現行憲法の前文を含む全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざします。わけても日本国憲法第9条は、恒久平和主義を極限まですすめた、世界でも先駆的な条項であり、この条項をあくまで守りぬくとともに、9条を生かした平和外交をすすめます。

 また、日本国憲法は、国民の基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と高らかにうたい、世界でも先駆的で豊かな人権条項をもっており、それを生かした政治が必要です。貧困と格差の拡大が深刻な問題になっているいまこそ、憲法25条が明記した生存権を保障する政治をきずくために力をつくします。

 一人一人の人間が大切にされ、人権が守られるようがんばってきた政党として、女性への差別をなくし、男女平等を社会に徹底するために力をつくします。

 過度の競争教育の是正、教育の自由と自主性を保障し、すべての子どもの豊かな成長を支える教育をめざします。

国民のみなさんとの共同をひろげ、「国民が主人公」の民主的政権をめざします

 日本共産党は、こうした日本の民主的改革を、この改革に賛同するすべての政党・団体・個人と共同した統一戦線の力ですすめます。

 この間、日本共産党は、農業、林業、医療、平和と基地、核兵器などの各分野で、幅広い方たちとの対話と共同を広げてきました。自民党政権が崩壊したもとで、これまでの強固な自民党支持基盤とされてきた諸団体が「全方位」、すべての政党と対話し交流するという動きも広がり、特定政党の支持締め付けをやめ、政党支持の自由という民主的な方向への変化が起きています。

 この参議院選挙で日本共産党を躍進させ、要求を実現する国民的な共同をいっそう前進させるとともに、「国民が主人公」の民主的政権――民主連合政府への展望を切り開く、大きな一歩としようではありませんか。

日本共産党――この党名は私たちの理想、私たちの歴史と結びついた名前です

 日本共産党という党名は、私たちの理想と結びついた名前です。いま世界を覆っている過剰生産恐慌、貧困と格差、地球環境問題などは、「利潤第一主義」を原理とする資本主義の枠組みのなかでは、根本的には解決ができない問題となっています。人類がこれらの矛盾を解決するには、資本主義をのりこえた未来社会――社会主義・共産主義へとすすむことが求められてくる。これが私たちの展望です。

 私たちのめざす社会主義・共産主義とは、民主主義と自由の成果をはじめ、資本主義時代の価値ある成果のすべてが、受け継がれ、いっそう発展させられる社会です。私たちは、まず資本主義の枠内で、「国民が主人公」の民主主義日本への改革をおこない、そのうえで国民多数の合意を得て、社会主義への道に踏み出すことを展望しています。

 日本共産党は、旧ソ連がおこなっていたような、他国を侵略したり、自国民を抑圧したりする、覇権主義や専制主義は、社会主義とは無縁ときびしく批判してきた政党です。旧ソ連をはじめ、相手がどんな大国でも、日本国民の運動への干渉は許さないという自主独立の立場をつらぬいてきた政党です。

 21世紀の世界を見渡すとどうでしょうか。未来社会への動きが、さまざまな形であらわれているではありませんか。社会主義をめざす国々は、政治上・経済上の未解決の問題を残しながら、世界政治、世界経済に占める比重を、年をおうごとに高めつつあります。アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国のなかから、資本主義とは別個の発展の道を探求しようとする動きも起こっています。21世紀の世界が、資本主義という枠組みを乗り越えて、社会主義に前進することは、大局的には歴史の法則的な発展方向だということが、私たちの確信です。

 日本共産党という党名は、いまから88年前の1922年に党を結成していらいの、私たちの歴史とも固く結びついた名前です。日本の軍国主義が、国民の人権も自由も民主主義も乱暴に奪って中国侵略戦争、太平洋戦争につきすすんだもとでも、私たちの先輩は、「国民主権」「反戦平和」の旗を命がけで守り抜きました。私たちの党は過酷な弾圧をうけ、小林多喜二をはじめ多くの先輩党員が拷問で命を落としました。しかし、私たちの党が命をかけて主張した「国民主権」「反戦平和」の原則は、いまの日本国憲法にしっかりと刻み込まれています。

 結党いらいの日本共産党の存在意義は、そのときどきの国民の苦難を軽減し、平和のために奮闘することです。あなたの身近なところに、日本共産党の党員がいて、党支部があります。「困ったときは共産党」といつでも、問題解決のために力を尽くし、明日をひらく活動をしています。全国の草の根で頑張る2万2千の党支部、40万人余の党員、3000人の地方議員がいる、そういう人間集団が日本共産党です。

 どうか、この参議院選挙で、日本共産党を大きく躍進させてください。国民のみなさんのご支援を心からお願いします。

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