もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2017年 3月 3日 第193国会 国土交通委員会

宅配便運送労働者 ブルーインパルス展示飛行

2017年3月5日(日) しんぶん赤旗

劣悪下請け 宅配労働に規制を 衆院国交委で本村議員

写真

(写真)質問する本村伸子議員=3日、衆院国交委

 宅配便激増によるトラック運転手の長時間労働が問題となるなか、日本共産党の本村伸子議員は3日の衆院国土交通委員会で、劣悪な下請け構造を告発し、法規制など抜本的対策を求めました。

 本村氏は、佐川急便名東店(名古屋市)の孫請け「個人事業主」が体を壊し救急搬送された例を紹介。同店の指示で連日朝7時から夜9~10時まで無休で働くなど、使用従属関係があり労働者だと指摘。「労働者ではないとして社会保険加入や労働時間管理、賃金、残業代などの労働法制から除外するのは脱法的な働かせ方だ」と批判しました。厚生労働省の土屋喜久審議官は、使用関係は契約ではなく実態で判断されると認め、「相談があれば必要な対応をとる」と述べました。

 本村氏は、車の維持管理費などを除くと手元に約13万円しか残らないのに、同社の1次下請けが「平均月収43万9000円」などと実態とかけ離れた求人広告を出していたと指摘。厚労省の鈴木英二郎派遣・有期労働対策部長は、請負契約を雇用契約のように見せかけ、労働条件を適正に明示しない募集広告は「職業安定法に抵触する」と述べました。

 本村氏は、インターネット販売の増大で宅配便取り扱い量が5年間で5億個も増えるなか、再配達費用を大手通販会社に求めることや、国交省が適正運賃を示し、ダンピング発注の温床である「送料無料」の表記を「運送料は当社負担」と正確に表示することを提案。石井啓一国交相は「再配達コスト負担を荷主に求めることはあり得る方策の一つ」と述べました。

 

議事録

○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。よろしくお願いを申し上げます。
 まず最初に、トラックドライバーの過労死をなくす、労働条件を向上させる立場から質問をいたします。
 資料を今お配りしておりますけれども、資料の一をごらんいただきたいんです。これは、厚生労働省、過労死等の労災補償状況ということの資料でございます。その中で、脳・心臓疾患、過労死が道路貨物輸送業、トラックドライバーが一番多いという実態がございます。
 石井大臣に、この現状をどういうふうに認識されておられるかという点、そして、働き方改革と言うのであれば、過労死が一番多いこの道路貨物輸送業、トラックドライバーの皆さんの働き方改革こそ必要だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

○石井国務大臣 業種別の脳・心臓疾患による死亡の労災認定件数について、トラック運送業が最も多いと承知をしてございます。
 脳・心臓疾患の労災認定基準においては、時間外労働が一定の時間を超過した場合に、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いと評価されているところでございます。こういったことを踏まえますと、トラック運転者の長時間労働の改善は重要であると認識をしております。

○本村(伸)委員 過労死が一番多いトラックドライバーの長時間労働を是正することは急務だというふうに思います。
 運輸業は、トラックドライバーの皆さんは、労働基準法の三十六条一項の時間外労働協定、三六協定の基準である大臣告示、年間残業が三百六十時間という基準ですけれども、これの適用除外になっております。なぜかというと、改善基準告示があるからだという理由でございます。しかし、そういう中で過労死が一番多いという現実を見なければならないというふうに思います。
 以前、改善基準告示違反のオンパレードの中で過労死に至ってしまった事件のことを私はこの委員会で質問いたしました。改善基準告示というのは、違反をしても罰則がないという問題がございます。しかも、休息時間八時間ということで、今の改善基準告示というのは、運転するのに睡眠時間を問わない中身になっております。ここも私は問題があるというふうに考えております。通勤で一時間かかって、往復で二時間かかって、食事やお風呂や身支度や、事実上、睡眠時間が四時間でも構わないというふうにこの告示はなっているわけでございます。これでは、運転上の安全も、そして命も守られないというふうに思います。
 私たちは、勤務と勤務の間、インターバルを十一時間とるということや、残業時間を年間三百六十時間にするなど、安全と命を守る規制が必要だというふうに考えております。
 この改善基準告示自身が持っている問題を改善するということ、そして、少なくとも改善基準告示違反は罰則つきで取り締まって、トラックドライバーの方々の長時間労働を規制するべきだというふうに思いますけれども、厚生労働省の認識を伺いたいと思います。

○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
 自動車運転者の方を初めといたしまして、全ての働く方々が安心して働ける環境を確保するということは大変重要だというふうに考えております。
 このため、労働基準監督機関では、自動車の運転者の方の労働条件の確保や改善に向けて、地方運輸機関と合同で監督、監査を実施したり、監督等の結果を相互に通報する制度も実施をいたしまして、改善基準告示を初めとする法令の確保、履行の徹底を図っているところでございます。
 今後とも、まずは、改善基準告示について、関係労使団体を通じた周知徹底や的確な監督指導を行うことによりまして、あるいは国交省とも緊密な連携を図って、その遵守の徹底を図ってまいりたいと思います。

○本村(伸)委員 そういう対策では過労死がトップというのが少なくならないから、私は申し上げているわけでございます。
 そして、今、働き方改革実現推進室の時間外労働の上限規制についてという事務局案では、自動車運転業務については厚生労働大臣告示の適用除外となっていて、これらの扱いについて、実態を踏まえて対応のあり方を検討するというふうに書かれておりますけれども、過労死が一番多いという実態を踏まえたしっかりとした抜本的な対策をとっていただきたいというふうに思うんです。
 仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会というものをやっているわけですけれども、その論点整理の中に、「現行法の遵守の徹底を求めるとともに、同業他社等との競争が厳しい中、各企業の自主的な取組に任せるだけでは限界があることから、三六協定における時間外労働規制の在り方について、法改正を検討する必要がある。」ということが書かれております。
 各企業の自主的な取り組みに任せるだけでは限界がある、これは運輸業界でもはっきりとしているというふうに思います。だからこそ、改善基準告示に違反したら罰則があるんだというふうに法改正していただきたいというふうに思います。
 過労死が一番多いわけですけれども、トラックドライバーの方々は、体を壊し、働き続けることができないケースが多いわけです。そして、生活ができない賃金という実態もいろいろあるわけです。
 そこで、ちょっと厚生労働省に確認をしたいというふうに思いますけれども、労働者性についてお伺いをしたいと思います。
 労働基準法のコメンタールの中に、形式上は請負のような形をとっていても、その実態において使用従属関係が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は本条の労働者であることになるというふうに書かれております。報酬を誰が払うかどうかだけでは判断できないんだ、指揮監督下の労働かどうかというものが判断の大事な観点だというふうに思いますけれども、その点、厚生労働省に確認をしたいと思います。

○土屋政府参考人 労働基準法におきましては、「「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」とされております。
 この労働者であるかどうかは、契約の名称ではなくて、その実態により判断されるということで、具体的には幾つかの判断基準がございまして、仕事の諾否の自由の有無、業務遂行上の指揮監督の有無、勤務場所や勤務時間の拘束性の有無、労務提供の代替性の有無、報酬の労務対償性を基礎といたしまして、機械、器具の負担関係や報酬の額などを踏まえた事業者性の有無や、専属性の程度といったものも勘案しつつ、総合的かつ個別具体的に判断されるものでございます。

○本村(伸)委員 具体的にお伺いをしたいというふうに思います。
 愛知県の名古屋市の佐川急便株式会社名東店にかかわるお話ですけれども、そこには佐川急便の荷物がたくさんあるわけですけれども、そのもとで働く方々の問題です。
 佐川急便名東店では、宅配便の荷物は、佐川急便が受けて、それを一次下請の有限会社A社に委託をして、A社が配達するわけではなく、そこから丸投げをして、形の上では個人事業主とされているBさんたちが黒ナンバーの軽自動車で佐川急便の荷物を配達しているという現状がございます。
 Bさんの働き方なんですけれども、朝七時ごろ佐川急便名東店に出勤をして、佐川急便からPDTというコンピューター端末を受け取って、そして持ち出しの荷物の事前入力や積み込みなどの作業を行って出発をいたします。
 皆さんにお配りをしている資料の三枚目、三というものを見ていただきたいんですけれども、これは手書きの、Bさんがどういうふうに働いていたか、幾つぐらい荷物を配達していたかということがわかるものです。
 一番上の六月二十一日の欄を見ていただきたいんですけれども、Bさんは、佐川急便名東店から八十三個の荷物を持ち出して、七十個配達が終わったということが書かれてあります。そのときの帰りの時間は二十二時一分と書いてあります。Bさんは、こんにちは、佐川急便ですと言って配達をするわけです。配達済みの入力や、持ち戻りで配達できない荷物の入力、あるいは一日の集計報告、佐川急便に営業報告をBさんが行うわけです。
 佐川急便名東店に戻って退社をする時間は、先ほども言った二十二時一分だったわけでございます。これを計算しますと、十五時間も拘束をされている。この労働時間の退社の欄を見ていただきたいんですけれども、二十二時とか二十一時とか、毎日毎日七時からそれぐらい働いているわけです。Bさんは本当に休憩もほとんどとれないような状況で、公園でおにぎりを食べていたら、佐川急便から、ちょっと、とまっているけれども何をやっているんだという連絡が来るというお話でございました。
 休憩もほとんどとれない状況で、仮にその残業時間を計算しますと、過労死ラインの月百時間以上は優に超える労働実態があるわけです。仕事を休むとペナルティー、罰金を払わなくちゃいけないということで、断れない現状もございました。休憩も一時間もとることができずに、毎日毎日七時に出勤して、そして夜九時、十時まで働き続けていくという中で、Bさんは、こういう勤務が続く中で、吐血をして救急車で運ばれました。
 朝七時から夜九時、十時まで毎日働いても、本当に手取りは少ないんです。
 資料の二に戻っていただきたいんです。
 これはBさんの明細書なんですけれども、これを見ていただきますと、六十日後にやっとこの月の支払いがあったわけですけれども、差し引き合計のところを見ていただきますと、十七万七千六百九十円というふうに書かれております。これを丸々もらえるわけではなくて、そこからガソリン代や任意保険費用など、月々四万四千円ぐらいの車などの維持管理費が必要になります。そうしますと、Bさんの手取りというのは十三万三千六百九十円ぐらいになっているという現状でございます。
 佐川急便から、配達している途中に、荷物が届いたからとりに来いという指示や、あるいは、先ほども言ったように、少し動いていないと、佐川急便から、動いていないけれどもどうしたんだという質問が来て、まさに佐川急便の指示、監督のもとに、佐川急便の労働者として実態としては働いているわけです。形式上の契約がどうあれ、まさに、先ほどの労働基準法のコメンタールの、実態において使用従属関係にあるというふうに言わざるを得ないというふうに思うんです。労働者じゃないということで、社会保険の加入や労働時間の管理や、賃金、残業代なども労働法制から除外をされて、脱法的な働かせ方だというふうに思うんです。
 厚生労働省にお願いをしたいんですけれども、この佐川急便名東店に行って、Bさんたちの労働者性について調査をして、労働者として保護をしていただきたいと思いますけれども、厚生労働省、お願いしたいと思います。

○土屋政府参考人 お尋ねの件につきましては、個別の事業場にかかわることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げれば、先ほど申し上げましたとおり、労働基準法上の労働者に該当するかどうかにつきましては、契約の形態にかかわらず、指揮命令のもとでの労働であるかどうか、あるいは報酬が時間を基礎として支払われているかどうか等の実態を勘案いたしまして、総合的に判断をされるものでございます。
 その上で、労働基準法上の労働者に該当する場合には労働基準関係法令が適用されまして、その関係法令の違反があった場合には、労働基準監督署や労働局において是正勧告等を行っているところでございます。

○本村(伸)委員 申告をすれば調査をしていただけるということでよろしいでしょうか。厚生労働省、お願いいたします。

○土屋政府参考人 先ほども申し上げましたように、個別の事業場にかかわることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般的には、御相談等があれば、それを踏まえて必要な対応をしていくということでございます。

○本村(伸)委員 佐川急便の荷物を運ぶのに、こういう過労死しそうな働かせ方を強いられて、しかも、このA社から報酬のピンはねまでされているわけでございます。Bさんのように、佐川急便で働く人たちの手元に残るお金がない、だから、暮らしていくためにはたくさんの荷物を運ばなければいけなくて、結局、長時間労働になってしまうという悪循環になっているわけです。
 Bさんのような働かせ方というのは業界に蔓延していて、愛知の労働組合の方に相談がかかっているケースでも、佐川急便さんのほかにも、日本郵便さん、あるいは西濃運輸さん、あるいは福山通運さん、ヤマト運輸さんでも行われているというふうにお聞きをしております。
 Bさんは、仕事をする前に古い軽自動車を最初に買うようにさせられて、その借金を八十四万円抱えさせられた。営業ナンバー申請書類作成費用、あるいは業者登録費用、業者識別章、あるいは消費税で十九万四千四百円もA社に支払わなければいけないということも強いられております。
 そういうふうに借金とか負担もあるわけですけれども、資料の四を次に見ていただきたいんですけれども、資料の四、これがA社の求人広告でございます。
 先ほど、朝七時から夜九時、十時まで働いて、手元に残るのは十三万円ちょっと、しかも借金もあるんだというふうに実態を申し上げましたけれども、このA社は、月額四十三万円稼げるかのように求人情報紙に書いて人を集めて、結局、借金などを負わせて、休憩、仕事を休むとペナルティーがついたり、自由度もなく奴隷的に働かされていたわけでございます。
 厚生労働省に伺いたいというふうに思いますけれども、実態とかけ離れたこういう広告、求人情報折り込み広告、求人紙の、委託契約を装った労働者の募集、誇大広告をやめさせるよう指導していただきたいと思いますけれども、お願いいたします。

○鈴木政府参考人 募集広告に関しましてお答え申し上げます。
 実際には請負契約であるにもかかわらず、雇用契約を締結するかのように見せかけた募集広告を出した広告主、あるいは、労働者の募集に当たりまして労働条件が適正に明示されていない募集広告を出した広告主につきましては、職業安定法に抵触することになると考えてございます。
 このような広告を把握した場合には、都道府県労働局におきまして、広告主に対しまして必要な指導等を行い、是正を図ることといたしております。

○本村(伸)委員 ありがとうございます。
 今、佐川急便の荷物を運ぶBさんの例で悲惨な物流の現場の実態をお話ししましたけれども、先日は、ヤマト運輸の労働組合の方が宅配便の総量抑制を求める、そういう報道もございました。
 近年、本当に宅配便の個数の拡大はすさまじいというふうに思いますけれども、その実態について、国土交通省、お願いしたいと思います。

○藤井(直)政府参考人 お答えいたします。
 ネット通販など電子商取引市場の規模の拡大に伴い、多頻度小口化が進み、宅配便の取扱件数はこの五年間で約五・三億個増加し、平成二十七年度の宅配便の取扱実績は合計約三十七・五億個となっているところでございます。

○本村(伸)委員 個数が急速に伸びているという実態をお示しいただいたんですけれども、荷物を運ぶ人があってこそ、消費者の方々や先に届くわけでございます。現場は荷物がふえているのに人手が追いつかないという現状がございます。そういう中で、Bさんのように、長時間、低賃金の実態で、吐血して救急車という現状があるわけです。これでどうやって若い人が魅力ある仕事だと思ってくれるのかというふうに思います。
 こういう労働条件をよくするために必要な対策について、ぜひ大臣にやっていただきたいということで、提案をさせていただきたいというふうに思います。
 今、再配達の問題が大変議論になっておりますけれども、国土交通省は、環境省の予算ですけれども、宅配ボックスの設置を進めるということで、来年度、環境省の予算で五億円の補助がついている。一カ所平均二百万円で、半分、百万円を出して、五百カ所だという話でございます。これは必要なことかもしれませんけれども、しかし、これでは追いつかないというのは明らかだというふうに思います。最も根本的な対策が必要だというふうに思います。
 運賃というのは、再配達すれば、当然、その分の運賃がかかるわけです。大量に荷物を発注している大手通販会社などは定価からかなり値引きをされているというふうに思いますけれども、そうした大量に荷物を発注している大手通販会社などに対して再配達のコストを負担させるべきだと思いますけれども、大臣、御見解をお願いしたいと思います。

○石井国務大臣 最近の報道でも取り上げられておりますように、ネット通販など電子商取引市場規模の拡大に伴いまして、宅配が多頻度小口化しております。宅配の現場に大きな負担がかかっているというふうに思っております。
 再配達のコスト負担を荷主に求めることは、人手不足への対処のためにあり得る方策の一つではあると考えますが、再配達料金のあり方については、トラック運送事業者がそれぞれの経営戦略を踏まえて決定すべきものと考えてございます。
 国土交通省としては、今委員御紹介いただいたように、再配達の削減が重要なテーマと考えておりまして、そのために、駅やコンビニ等の公共スペースやオフィス、マンション等に、特定の宅配事業者でなくても利用できる共同利用のオープン型の宅配ボックスの導入を促進するなどの対策を進めてまいりたいと存じます。

○本村(伸)委員 ぜひ実効ある対策をとっていただきたいというふうに思うんですね。
 次に指摘をしたいのが、資料二にもう一度戻っていただきたいんですけれども、Bさんの明細書なんですけれども、そこに単価が書かれております。一般宅配は一個当たり百三十五円、千趣会のSは四十円、アマゾンは百二十円というふうに書かれております。実際に配達している方々にほとんど行かないわけでございます。
 低賃金、長時間労働が常態化している背景には、ネット通販などの荷主の運賃のダンピング発注ですとか低価格発注があるというふうに思います。これを正して適正な運賃にする必要があるというふうに思うわけでございます。
 荷主に対して、ドライバー不足などになれば荷物が運べないんだ、物流の現状が深刻な危機に直面しているんだということを認識していただいて、適正運賃で荷物を発注するよう国としても指導していただきたいというふうに思いますし、バスなど旅客運送と同様に、適正運賃を国土交通大臣が示していただきたいと思います。
 そういうふうに改めるべきだと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

○石井国務大臣 トラック運送事業者が安全コストや人件費を含む必要なコストを適切に負担できる環境を整備することは非常に重要でございます。
 適正運賃収受のためには、運送委託者が、荷主ですね、一方的に低い運賃で運送委託等を行うことを防止する必要があることから、国土交通省といたしましては、関係省庁と連携をいたしまして、トラック運送事業者及び運送委託者の双方に対し、そのような形で契約を行わないように啓発、要請を行っているところでございます。
 さらに、トラック輸送における取引環境等の改善方策について検討する協議会のもとに、昨年の夏に学識経験者等から構成をされますトラック運送業の適正運賃・料金検討会を設置し、議論を行っているところでございます。
 引き続き、適正な運賃・料金の収受のための方策について検討を進めてまいりたいと存じます。

○本村(伸)委員 ぜひ、過労死をなくすためにも適正運賃を示すべきでございます。強く求めておきたいというふうに思います。
 また、働く方々から、ネット通販で送料無料というのは、自分たちの働きが低く見られているようで本当につらいというお話をお伺いしました。実際は社会にとって本当に必要な働きをしている方々がしっかりと評価をされ、誇りが持てるようにするべきだというふうに思います。
 そういう意味でも、送料無料というのは本来あり得ないことですから、送料無料ではなく、運送料は当社負担など、正しい表示にしていただくという対策もぜひ国交大臣にお願いしたいと思います。
 時間がないので次のテーマに移りたいと思いますけれども、過労死の多いトラックドライバーの長時間労働、低賃金の実態を改善するためにも、今言ったような抜本的な対策をぜひとっていただきたいというふうに思います。
 次に、小牧基地のブルーインパルスの問題について質問をしたいと思います。
 ことし二月二十四日、航空自衛隊小牧基地司令から国交省の大阪航空局に、ブルーインパルスの展示飛行にかかわる申請が出されました。予算委員会の分科会でも指摘をしましたけれども、ブルーインパルスの展示飛行について、春日井市長も反対を表明し、そして、小牧市、豊山町も二市一町で共同歩調を合わせると表明をしております。そして、議会と行政と市民の皆さんが入った春日井市飛行場周辺対策市民協議会も明確に反対をしております。地元の理解などありません。小牧基地のブルーインパルスの展示飛行は中止するべきだということを強く求めておきたいというふうに思います。
 国交省と防衛省、両方からいただいた資料なんですけれども、六を見ていただきたいんですが、これは、昨年、ブルーインパルスの展示飛行について、防衛省小牧基地司令が昨年二月二十三日に国土交通省の大阪航空局に提出した申請書でございます。そこに、騒音について、飛行場周辺住民、自治体から同意を得ていると書かれていて、私は本当に驚きました。
 防衛省に伺いますけれども、地元の自治体はブルーインパルスの展示飛行に反対しているのに、なぜ同意と虚偽のことを書いて申請したのか、伺いたいと思います。

○豊田政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年二月、航空自衛隊小牧基地司令が国土交通省大阪航空局中部空港事務所長に対しまして、制限速度を超える飛行許可申請を行ったという点につきましては、御指摘のとおりでございます。その際、「その他参考となる事項」という欄に、「当該飛行に伴う飛行場周辺住民に対する騒音対策としての周辺自治体の同意を得ている。」旨が記述されておるところでございます。
 この御指摘の記述につきましては、当該申請に該当する飛行経路に係る全ての自治体から特段反対の意見がなかったことから、周辺自治体の同意という表現を使用したものと報告を受けておるところでございます。
 ただし、こうしたブルーインパルスの展示飛行については、飛行経路には直接かからないものの、小牧基地に近接する春日井市長から反対の御意見をいただいていることにつきまして、二月二十三日の衆議院予算委員会第一分科会における委員からの御質問に対して、当方も承知している旨、お答えしているところでございます。
 なお、この点につきましては、誤解を招くおそれがあることから、本年二月に航空自衛隊小牧基地司令から国土交通省大阪航空局中部空港事務所長に対して行った本年分の申請においては、第三者から見ても誤解が生じないよう留意し、適切な表現に変更したものと報告を受けておるところでございます。
 いずれにいたしましても、防衛省・航空自衛隊としては、愛知県及び近隣県の皆様や小牧基地周辺住民の皆様にブルーインパルスの展示飛行をごらんいただくことは、防衛省・自衛隊に対する認識と理解を深めていただく重要な機会と考えておりまして、今後とも、地元自治体等関係者の皆様から御理解を賜ることに努めつつ、また航空機の安全な運航に十分配慮しながら、ブルーインパルスの展示飛行を実施したいと考えております。

○本村(伸)委員 防衛省が同意と書いたのは、やはり虚偽、うそだというふうに思います。国交省は空の安全を守ることが役割で、その観点から、人や家屋が密集している地域でのブルーインパルスの展示飛行は控えるべきだというのが当然の判断だというふうに思います。
 大臣に最後にお伺いしたいんですけれども、昨年の虚偽の申請書を認めてはいけないというふうに思います。ちょっと書きかえたからと、しゃんしゃんと許可をしてはいけないというふうに思います。ブルーインパルスの展示飛行、許可しないでいただきたいと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

○石井国務大臣 先ほど防衛省から御説明がありましたとおり、昨年の申請において、許可申請の対象となる飛行経路に関係する周辺自治体から特段反対の意見はなかったとのことであり、当時の許可申請書に虚偽の内容が含まれていたわけではないと考えております。

○西銘委員長 質疑時間が終了しております。

○本村(伸)委員 済みません。
 ここには本当に言葉のごまかしがあるんです。飛行経路と周辺住民、自治体と書いていたのに、飛行経路というふうに書かれております。それは春日井市を除くために考えた防衛省のすりかえだというふうに思います。こういうことにも強く抗議をして、ブルーインパルスの展示飛行の中止を強く求め……

○西銘委員長 時間です。

○本村(伸)委員 質問を終わらせていただきます。

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参考資料

https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2017/06/7c4e05ebc5f467d8faf3317bf80f3f44.pdf

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