もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2018年 2月 15日 第196国会 本会議

地方財源削減を批判 住民の暮らし守る自治体の施策に支援を!

2018年2月16日(金)しんぶん赤旗

衆院本会議 本村議員が質問

写真

(写真)質問する本村伸子議員=15日、衆院本会議

 日本共産党の本村伸子議員は15日、衆院本会議で地方財政計画と地方税法・地方交付税法の改定案について質問に立ちました。

 経済財政諮問会議で自治体の基金の増加を理由にした地方財源の削減議論がある問題で、本村氏は「同会議でも原因は『将来不安』だと指摘している。地方財源削減の理由にすることは許されない」と批判。地方交付税の法定率を引き上げ、財源調整機能と財源保障機能の強化を求めました。野田聖子総務相は「基金残高を理由に交付税等を削減することは妥当ではない」と答弁しました。

 本村氏は、国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県に移す制度改定の問題を取り上げ、一般会計から繰り入れを行い国保税の高騰を抑えてきた自治体の取り組みを支援し、繰り入れ削減の目標化の押し付けをやめるべきだと強調しました。

 2000社程度の「稼ぐ力」のある企業に支援を特化する「地域経済牽引(けんいん)事業」について本村氏は、愛知県では対象企業がゼロの自治体が半数以上で、特定の事業者に支援を特化して地域経済全体が発展するのかと指摘。中小企業全体を丸ごと底上げ、下支えすることで地域経済の内発的な発展を図ることを求めました。

 PFI事業について事業の運営、働く人々の賃金・雇用形態などの検証と公表を求めました。

 

議事録

○本村伸子君 私は、日本共産党を代表して、地方財政計画、地方税法、地方交付税法について関係大臣に質問いたします。(拍手)
 豪雪災害によって亡くなられた方々に心からの哀悼の意をささげます。被災されている皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
 災害救助法を積極的に適用し、災害の拡大を未然に防止することを始め、市町村道の除雪費補助に臨時の特例措置を適用するなど、直ちに必要な措置をとるべきです。答弁を求めます。
 地方財源の確保について質問いたします。
 経済財政諮問会議では、自治体基金が増加しているとして、地方財源の削減が議論をされています。しかし、同会議でも、基金増加の原因は将来不安であると指摘をしています。地方財源の削減の理由にすることは許されません。答弁を求めます。
 地方の財源不足は二十三年連続です。地方交付税法にのっとって、法定率を抜本的に引き上げ、財源保障機能と財源調整機能を発揮させるべきではありませんか。
 次に、国保制度の都道府県単位化の問題です。
 国民皆保険制度の基盤は市町村国保です。市町村は、一般会計から繰入れを行い、国保税の高騰を抑える努力をしてきました。こうした自治体の取組を支援するべきではありませんか。保険者努力支援制度によって繰入れ削減の目標化を押しつけることはやめるべきです。国民健康保険に対する国庫負担率の引上げこそ必要です。答弁を求めます。
 ましてや、自治体に国保税の収納を競わせ、住民の生存権を脅かす差押えを広げることなど絶対にあってはなりません。
 さらに、地域経済牽引企業支援制度についてです。
 安倍内閣は、稼ぐ力があるという二千事業者を特定し、地域経済牽引企業として、あらゆる支援策を特化するとしています。しかし、愛知県でも、特定企業がゼロの自治体が半数以上です。わずか二千事業者に支援を特化して、どうして地域経済全体が発展するのですか。
 全国には三百八十万もの中小事業者があり、雇用の七割を担っています。この中小企業全体を丸ごと底上げ、下支えすることで地域経済の内発的な発展を図ることこそ求められているのではありませんか。
 重大なことは、地域経済牽引企業が事業を推進するために、自治体の条例規定の緩和や撤廃も提案できるとしていることです。これでは、特定企業のみを地域の主役とすることになるのではありませんか。
 最後に、PFI事業です。
 民間資金の活用で公共事業を行うとしてPFI事業を導入してから二十年。PFI事業を推進してきた自治体では、事故の危険、経営破綻のリスクが住民と自治体にしわ寄せされる事例が次々と出ています。
 愛知県西尾市では、市の施設の解体、新設、維持管理、運営を丸ごと二百十七億円で一社に請け負わせるPFI事業が、情報公開や住民参加もなく、市外の大手企業が利益を吸い上げることへの批判が高まり、計画は頓挫いたしました。
 今やるべきことは、PFIの検証です。事業の運営、下請を含めた働く人々の賃金、雇用形態、地元経済との関係、情報公開や住民参加など、その実態を調査し、結果を公表するべきです。
 安倍内閣は、地方自治体が公共施設等にPFIを優先採用することを打ち出し、活用には社会資本整備総合交付金を増額するなどしています。誘導策や積極的推進はやめるべきです。
 以上、答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣野田聖子君登壇〕

○国務大臣(野田聖子君) 本村議員にお答えいたします。
 まず、地方の基金の増加についてお尋ねがありました。
 地方団体は、行革や経費節減に努めながら、さまざまな将来への備えのために基金を積み立てており、基金残高を理由として地方交付税等を削減することは妥当でないと考えています。
 平成三十年度地方財政対策においては、基金残高の増加を理由として地方交付税等を削減するといったことは行っていません。その上で、前年度を上回る一般財源総額六十二・一兆円を確保したところです。
 今後とも、地方団体が安定的に財政運営を行うことができるよう、地方交付税を始めとした一般財源総額の確保に努めてまいります。
 次に、法定率の引上げについてお尋ねがありました。
 地方財政は、平成三十年度においても六・二兆円の財源不足が生じており、地方財政の健全な運営のためには、本来的には、法定率の引上げにより地方交付税を安定的に確保することが望ましいと考えています。
 しかしながら、国、地方とも厳しい財政状況にあることなどから、法定率の引上げは容易ではありませんが、今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保について粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいります。
 最後に、PPP、PFIについてお尋ねがありました。
 PPP、PFIは、公共施設等の整備、運営に当たり、民間の資金や創意工夫を活用することにより、公的負担の抑制を図りつつ、効率的かつ効果的な公共サービスの実現を目指すものです。
 公共施設等総合管理計画の策定指針においても、公共施設等の更新などに際しては、民間技術、ノウハウ、資金等を活用することが有効な場合もあることから、PPP、PFIの積極的な活用を検討するよう助言しているところです。
 PPP、PFIの導入は、各地方公共団体において、地域の実情等を踏まえて判断するものですが、その推進に当たっては、リスクの管理や行政によるモニタリングの徹底が重要であることから、ガイドラインの公表を行っている内閣府と連携して周知に努めてまいります。(拍手)
    〔国務大臣小此木八郎君登壇〕

○国務大臣(小此木八郎君) 本村議員より、今回の大雪について御質問いただきました。
 今回の大雪によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた方々に改めてお見舞い申し上げます。
 今回の大雪に関しましては、福井県が七市二町に、新潟県が四市一町に災害救助法を適用したところであります。
 内閣府としては、災害救助法の適用については、被災県からの相談に適宜応じるとともに、要望に応じて現地説明会を開催するなど、関係自治体に対する支援を実施しております。
 政府としては、災害の拡大を防止するため、関係省庁災害警戒会議を開催し、政府一丸となりまして、道路の除雪などの必要な対応をとっているところであります。(拍手)
    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

○国務大臣(加藤勝信君) 本村伸子議員より、国民健康保険制度についてのお尋ねがございました。
 御指摘の市町村国保は、他の公的医療保険に加入しない方が加入する、国民皆保険のとりでとして重要な制度であります。
 この制度において市町村が行っている一般会計からの法定外繰入れについては、国保の健全な財政運営のため、従来より、その計画的な削減をお願いしてきたところであります。保険者努力支援制度においても、このような趣旨から、市町村ごとの削減計画を作成している場合に評価を行うこととしております。
 また、今回の国保改革においては、毎年約三千四百億円の追加的な財政支援を行うとともに、総額二千億円規模の財政安定化基金を設置することとしており、これらにより国保の財政基盤が強化されるものと考えております。
 また、国保税を滞納した方であっても、差押えによって生活が極めて困難になることがないよう、各市町村の判断により差押えの対象としないことができることとなっており、そうした点も含めて、制度が適切に運用されるよう、今後とも各市町村に対し周知を図ってまいります。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

○国務大臣(世耕弘成君) 地域経済牽引企業や中小企業の支援についてお尋ねがありました。
 地域経済活性化のためには、全国津々浦々で、地域経済を牽引し、大きな波及効果をもたらす事業を数多く創出していくことが不可欠です。
 このため、昨年七月末に施行した地域未来投資促進法において、予算、税制、金融、規制緩和などの政策手段を総動員して、地域経済への波及効果が大きな事業を重点的に支援していくこととしています。
 また、地域経済への波及効果がわかるビッグデータの活用や自治体からの推薦などにより、地域未来牽引企業二千百四十八社を選定し、昨年十二月二十二日に公表いたしました。これらの企業が、地域経済を牽引し、波及効果をもたらす事業に積極的に取り組んでいただけることを期待しています。
 加えて、地域経済の発展のためには、全国三百八十万者を超え、三千三百万人を超える従業員を雇用する中小企業、小規模事業者の生産性の向上が必要不可欠です。その実現に向け、固定資産税をゼロにする新しい制度や、ものづくり補助金、持続化補助金などを活用しながら、生産性の向上を後押ししてまいります。
 また、地域未来投資促進法における事業環境整備に関する事業者からの提案制度は、事業者と地方自治体がコミュニケーションを図りながら、地域経済に対する波及効果を持つ事業を幅広く促進するためのものです。したがって、地方自治体は、他の事業者や住民に対する裨益も含め、地域経済に対する波及効果等を踏まえて、事業者からの提案に係る措置の実施について判断することになります。(拍手)
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