2017年4月13日(木) しんぶん赤旗
家賃補助は恒久的に 住宅確保法改正案 「住まいの貧困」対策で 本村議員
日本共産党の本村伸子議員は7日の衆院国土交通委員会で、「住まいの貧困」に対応する住宅確保法改正案(同日、全会一致で可決)に関連して、法改正によってできる新制度および住宅政策の拡充について質問しました。
新制度は、空き家等を活用し、低所得者、高齢者、障害者、被災者など住宅困窮者の住まいの確保を支援するもの。本村氏は、日本共産党の法案修正案を元に、住まいの貧困対策をより充実させるには、入居者に直接給付する恒久的な家賃補助制度が不可欠だと主張しました。
本村氏は、新制度の対象のうち、被災者の定義に「発災から3年以内」の制限があるとして「年数で機械的に被災者を切り捨てるのは許されない」と強調。石井啓一国交相は「省令で、個別の災害に応じて丁寧に、きめ細かい対応をする予定だ」と答えました。本村氏は、若者の低所得者も対象となることを明確にし、住宅の質確保も重要だと指摘しました。
議事録
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
きょうは、お忙しい中、三人の先生方には、貴重なお話をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。
貴重な時間ですので、早速伺いたいというふうに思います。
住宅セーフティーネットの根幹として、先ほど来お話がありましたように、公営住宅がありますけれども、公営住宅の倍率もかなり高くなっていると。私の地元の愛知県名古屋市の方でも、百倍というお部屋もあるということで、なかなか入れないという現状がございます。やはり、国が、あるいは自治体が責任を持って公営住宅の確保をすることが大切だというふうに思います。これは前提の話としてお話をさせていただくわけですけれども。
公営住宅に本来入れる条件があるんだけれども民間の賃貸住宅にお住まいの方が七百二十七万世帯ということは坂庭先生も言われましたけれども、こうした七百二十七万世帯の方々への支援はどうあるべきかという点を一点目にお伺いしたいのと、また、稲葉参考人からもお話がありましたように、今回の家賃補助というのは三億円しかつけられていない、初年度で二千五百世帯分しかないということですけれども、七百二十七万世帯と考えますと、対象が〇・〇三%分しかないということで、私どももこれは全く不十分だというふうに思います。
やはり、本来、公営住宅に入ることができる世帯の方々に対する本格的な家賃補助制度が必要だというふうに思います。この制度設計も含めて、それぞれ三人の方々に家賃補助についての御意見をお伺いしたいというふうに思います。
○坂庭参考人 公営住宅入居階層が、お示ししたように七百二十七万世帯、本来、公営住宅に入居することが可能といいますか、対象になっているわけでありまして、高家賃負担はその中で二百四万世帯。日本は、特に大都市部において非常に高家賃、これは、国土交通省が発表したものでもそういうふうになっているわけですけれども、先進国の中で家賃補助がないというのは日本ぐらいなわけですね。G20とかG7とかありますけれども、軒並み、特にヨーロッパ諸国は手厚い家賃補助制度が行われているわけです。これは、基本的に、公営住宅を建設して供給した、その後に住宅の予算を家賃補助に振り向ける、こういうことがずっと行われているわけですね。
私たちはかねてから、公営住宅入居階層であって、公営住宅に応募しても入居できない人に対しては、直ちに家賃補助を行うべきだと。これは当然のことだと思うんですよね。なかなかそれが進まないというのは、やはり住宅関係予算に対して国全体が真摯に向き合っていないといいますか、本当の意味で住宅弱者に住宅を保障するために、この家賃補助というのは不可欠であるということは強調したいなと思うんですよね。
もう一つは、UR賃貸住宅の居住者に対しては、公営住宅入居階層の方々がいっぱいおられるわけですね。この世帯に対しては、これは居住者の方から要求されていると思うんですけれども、UR、都市再生機構法に基づく家賃減額措置を行うことが必要だというふうに思います。
○稲葉参考人 ありがとうございます。
私は、一九九〇年代の半ばから、ホームレスの方や住まいを失った生活困窮者の相談支援を三千件以上行ってきたんですけれども、そうした方々の生活再建ということをNPOの立場で一緒に考えていく際に、活用できる施策の中に住宅政策というのが選択肢として出てこないという問題があります。現実的に住まいを失った人たちが活用できる施策としては、生活保護であったり、あるいはホームレス自立支援法に基づく自立支援センターという、ほぼ二つぐらいしか選択肢がなくて、欧米では、ホームレス対策というのは、住宅政策、住宅支援という観点から行われているんですけれども、日本においては、例えば公営住宅というのが、住まいを失った人たちの支援としては全く機能していない。一旦生活保護を受けて民間の住宅に入って、そして何年も公営住宅を申し込んで、ようやく当たるという状況にありますので、公営住宅の拡充というのは本当に求められているというふうに考えております。
同時に、公営住宅入居階層の人たちに対する家賃補助制度というのはやはり求めていきたいというふうに考えておりまして、今回の事業がその一歩になればというふうに考えております。
○浅見参考人 御質問どうもありがとうございます。
公営住宅といいますか、住宅に困窮する方々への施策のあり方ということなんですが、私は、ある制度だけに頼るのではなくて、いろいろな制度を用意すべきではないかというふうに考えます。
例えば、公営住宅においては、以前に高所得の方が入っていて結構問題になったことがございますけれども、そういった方々は出ていただくとしても、それ以外の方々で、明け渡し努力義務が課せられていてもなかなか出られないというのがございます。これは実は、次の段階が、先ほど冒頭に申し上げたんですけれども、民間の賃貸住宅になってしまうということで、非常に生活レベルが落ちてしまうので、なかなかそういったことに踏み切れないというのがあるわけですね。
そういった意味でいきますと、階段状にといいますか、いろいろな制度があって、そして自分の状況に合わせて適切に選択できるような仕組みがあるということが重要だと思います。
今回は、公営住宅とは異なる、だけれども民間の賃貸住宅とも異なる、そういった中間的な階段のステップが一つできたわけですけれども、こういったことをすることによって、例えば、公営住宅に現在お住まいなんだけれども、場合によっては、こういったところに移った方が全体として見たときに社会的に適切だという方々に移っていただいて、むしろ、もっと本当に困っている方々に公営住宅に入っていただく。こういったようなことをうまく進めていくことで、つまり、グラデーションを持った形の住宅政策、これが非常に重要ではないかというふうに思います。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。
稲葉先生と坂庭先生にお伺いしたいんですけれども、家賃債務保証業者による家賃等の不当な請求や追い出し行為の実情をお聞かせいただいて、どういう規制をするべきかという点、お伺いしたいというふうに思います。
○坂庭参考人 件数としては少なくなってきているとは思うんですが、依然として、追い出し行為というのは、鍵をかえ、それから、住宅内にある居住者の荷物を全部撤去するという事例が出てきているわけですね、継続をしているわけです。
これは、なくならないんですよね。といいますのは、家賃債務保証会社は、家賃を代替して家主に払うわけですけれども、そのかわり、家賃を取り立てるわけですね。これが、やはり家賃債務保証会社は株式会社ですから、利益を得なければならない、そういう仕組みになっているわけで、どうしても行き過ぎた取り立て行為を行わざるを得ないといいますか、そういう業界の仕組みになっているわけですね。
これを規制するには、先ほど申し上げましたように、規制法、特別な法律ですね、これがやはりどうしても必要だ。それがないと、今の追い出し行為というのはなくならない。業界の規範だけでは自浄作用が十分ではありませんので、ぜひともそういう規制法をつくっていただきたいなと思います。
○稲葉参考人 ありがとうございます。
私も、そもそもは、住宅確保要配慮者と言われる人たちに対する公的な保証制度というのが必要だというふうに考えております。しかし、実際には、そうした公的な保証制度が存在しないという状況の中、家賃債務保証会社が非常に活用されるようになっている。
家賃保証会社は、もともと、身寄りがない方、家族に保証人を頼めない方のニーズに応えるためにあらわれてきたわけでありますが、最近では、不動産屋さん、大家さんの方で、この物件はこの保証会社を使うのが条件ですよという形で、家族に保証人がいても家賃債務保証会社を使ってくださいという形で、かなり広がってきているという状況があります。
そうした中で、今、坂庭さんからもお話がありましたように、借地借家法を無視したような居住権の侵害というのが蔓延している状況がありまして、裁判になっているケースだけでも三十件以上が報告されておりますが、実際には、私自身も、ホームレスの方の相談に乗る中で、家賃債務保証会社に荷物を撤去されて追い出された、ただ、そのときは裁判をする余裕もなく泣き寝入りせざるを得なかったということで、潜在的にはかなり被害が広がっているというふうに考えておりますので、やはり追い出しは規制法が必要になっているというふうに考えます。
○本村(伸)委員 貴重な御意見、本当にありがとうございました。心から感謝を申し上げます。
ありがとうございました。
○本村(伸)委員 日本共産党、本村伸子でございます。
住宅セーフティーネット法について伺います。
まず、住宅確保要配慮者の定義についてお伺いをいたします。
災害被災者について、発災時から三年以内と限定した規定がございます。
東日本大震災では、発災から六年を超えても、ふるさとに戻りたくても戻れない、この四月から、避難をしていた住宅の支援が打ち切られ、苦しんでいる被災者の方々も多くいらっしゃいます。
大臣にお伺いします。
発災から三年を超えたからといって機械的に被災者を切り捨てるようなことは許されないと思いますけれども、御見解をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 今般の改正案におきましては、被災者については、発災から三年までの期間については住宅確保要配慮者としております。
この取り扱いにつきましては、公営住宅法及び被災市街地復興特別措置法のいずれにおきましても、通常の災害を念頭に、住宅不足が解消する発災後三年まで、公営住宅で被災者の住まいを確保するための特例が措置されていることと整合しております。
一方、大規模災害につきましては、三年が経過しても、住宅不足が解消せず、住宅に困窮する場合があり、例えば東日本大震災においては、東日本大震災復興特別区域法において、被災者に関する特例を最長十年間としております。
今回の改正案におきましても、省令において、個別の災害状況に応じて丁寧かつきめ細かい対応をしていく予定でございます。
○本村(伸)委員 省令で、発災から三年を超えた被災者も住宅確保要配慮者に加えるということでよろしいでしょうか。
○石井国務大臣 これは災害の規模ということでございまして、東日本大震災の場合は、被災者については、この省令において、復興特区法に規定する年限、すなわち平成三十三年三月十一日までに合わせて手当てをする予定でございます。
○本村(伸)委員 その被災者の方々の状況に応じてしっかりと支援をしていただきたいというふうに思います。
新たな住宅セーフティーネット制度全体について伺いたいんですけれども、住宅確保要配慮者の定義の中で、一号に当たりますけれども、「その収入が国土交通省令で定める金額を超えない者」とあります。この国土交通省令で定める金額というのは、収入分位の二五%、月収でいいますと十五万八千円を予定しているというふうに聞いておりますけれども、ここに当てはまります住宅確保要配慮者は何人いるのかという点、そのうちで公営住宅に入居していない民間賃貸住宅の居住者はどれくらいいるのかという点。
そして、もう一点お伺いをしたいんですけれども、先ほども参考人の方々から、若者の低所得世帯への支援をするべきということを明確にするべきだというお話もございました。新たな住宅セーフティネット検討小委員会の最終とりまとめでも、非正規雇用の増加等を背景として、若者層の収入はピーク時と比較して約一割減少していると分析をしておりますし、また、総務省の全国消費実態調査でも、三十歳未満の単身勤労世帯で平均消費支出に占める居住費の割合が、七〇年代には五%程度だったものが、二〇一四年には二五%以上にも、高負担になっているという実態も明らかになっております。
また、大学生の皆さんの二人に一人が奨学金を借りなければいけない現状がありまして、卒業時には三百万とか五百万とか奨学金の借金を背負いまして、その返済も大変という状況でございます。給付制の奨学金ができたとしても、非課税世帯の学生さんの一割しか捕捉していない、まだ不十分な制度だというふうに思っております。
若者への支援というのは、社会に出る最初の段階から貧困を防ぐという点でもとても大切だというふうに思います。そういう意味でも、この住宅確保要配慮者の中に、当然、若者の低所得の世帯の皆さんへの支援が入るということを確認させていただきたいと思います。
○由木政府参考人 お答えいたします。
まず、住宅要配慮者の定義における低額所得者でございます。これは、委員御指摘いただきましたように、収入分位二五%以下、すなわち公営住宅の入居階層を想定いたしております。これは世帯数の四分の一でございますので、全体で約千三百万世帯あるというふうに考えておりますが、そのうち、公営住宅を除く借家に居住するこの所得階層に該当いたします世帯は、約七百二十七万世帯あるというふうに推計をいたしているところでございます。
次に、若者の低額所得者についてでございます。
住宅確保要配慮者の定義には、今申し上げましたように、低額所得者という規定を置くことといたしておりまして、若者の低額所得者は、当然、この概念に該当するものというふうに考えております。
○本村(伸)委員 確認をさせていただきました。
公営住宅の問題なんですけれども、公営住宅というのは、住宅セーフティーネットの根幹だというふうに思います。先ほども参考人の方から、減少傾向にある、二〇〇五年度から二〇一四年度を比べてみますと二万七千四十三減少している、UR賃貸住宅も二万一千百四十九減っている、公社賃貸も二千八百五十九減っているという状況が示されました。
先ほども、住宅要配慮者の中でも困難を抱えている方々は公営住宅で支援をしていくというのが基本なんだというお話がありましたけれども、やはり政府が、借り上げ住宅、空き家を借り上げ公営にするなどの施策も含めて、公営住宅の供給の確保に責任を持つべきだというふうに思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を確保する住宅セーフティーネットの根幹をなすものであります。
地方公共団体においては、人口減少など地域の今後の人口動向や厳しい行財政事情を踏まえつつ、公営住宅のストックの状況等を勘案し、改修や建てかえを含めて適切に公営住宅の整備、管理を行っているものと考えております。
国といたしましても、地方公共団体が地域の実情を踏まえて必要な公営住宅を整備できるよう、引き続き、社会資本整備総合交付金等により支援を行ってまいりたいと存じます。
○本村(伸)委員 しっかりと国も責任を果たしていただきたいというふうに思うんですね。
時間がないので家賃補助制度についてに移りたいと思いますけれども、住宅セーフティーネットとして家賃補助を始める意義は大きいというふうに思います。
この間、家賃補助が月四万円というふうに報道されてきましたので、大変期待が大きかったわけです。しかし、法案には含まれていない。新たな住宅セーフティーネットで中心になる制度にもかかわらず、予算措置だけで、これでは、入居者の方々が、この予算措置がいつか終わってしまうのではないかと不安に思いながら生活しなければいけないということになってしまうと思います。これでは、居住の安定ということは実現しないわけでございます。
やはり恒久的な制度としてこの家賃補助制度を続けるべきだと思いますけれども、大臣、恒久的な制度として確保していただきたいと思います。
○石井国務大臣 新たな住宅セーフティーネット制度につきましては、増加している民間の空き家、空き室を活用し、一定の要件に該当するものを広く登録していただく枠組みとしております。
公営住宅のように、地方公共団体が供給し、家賃低廉化を行う公的関与の度合いが強い制度においては、補助制度を法定補助として設けておりますが、サービスつき高齢者向け住宅や今回の登録住宅のように民間事業者が広く登録する住宅の場合には、必要に応じ、柔軟かつ機動的な支援を行う観点から、予算補助として制度化してきております。
本制度における家賃低廉化等につきましては、継続的な支援を行い、住宅確保要配慮者の居住の安定を図る必要があります。
今後とも、地方公共団体における取り組み状況等を踏まえながら、必要な予算の確保に努めてまいりたいと存じます。
○本村(伸)委員 先ほど来、同僚議員の皆さん方もおっしゃっていたように、ぜひ、法定化して、しっかりとした制度にしていただきたいということも要望させていただきたいと思います。
それで、今あるセーフティーネットがなくなってしまうのではないかという不安もございます。
今、例えば地域優良賃貸住宅という中で、高齢者型というものがありますけれども、これは家賃補助も国の支援で出ている制度でございます。
全国で四万一千百三十五戸の中で二万二千八十一戸が、UR住宅がその役割を担っているというふうに認識をしているわけですけれども、お話をお伺いしますと、順次この家賃補助制度がなくなっていくんだ、二〇二〇年から順次なくなっていくということで、高齢者の方々が大変不安な思いをしているというお話でございました。
今、高齢者の方々のセーフティーネットとして機能しているこの家賃補助をやめてしまったら、その高齢者の方々の暮らしは確実に苦しくなりますし、住み続けることもできなくなってしまうかもしれません。こういう今あるセーフティーネットは、なくしてはいけないというふうに思います。
UR住宅も含めて、地域優良賃貸住宅の家賃補助を継続して拡充するべきだと思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、平成三十二年、二〇二〇年の二月から、管理期間が二十年を迎える住戸が生じ始めます。
URの高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、お住まいの方が安心して住み続けられること、平成三十年度に向けて、ストック再生・再編方針の見直しを行い、経営の効率化を図りつつ、住宅セーフティーネットの機能を果たしていくことといった観点を踏まえ、検討を進めてまいりたいと存じます。
○本村(伸)委員 ぜひ、高齢者の方も安心して住み続けられるように、家賃の減免措置も含めてやっていただきたいというふうに思っております。
今回の家賃補助というのは、大家さん、家主に対する給付なんですけれども、これでは、登録住宅に住めない住宅確保要配慮者の多くの方が高い家賃で苦しまなければならないということになってしまいます。
国交省は、登録住宅は二〇二〇年までに十七・五万戸を目標とする、年間五万戸ふやすんだというふうに言っておりますけれども、目標が本当に少な過ぎるというふうに思います。登録住宅だけでは、住宅困窮者の救済が狭い範囲に終わりかねないということになってしまうというふうに思います。
家賃補助というのは、家主に対する給付ではなく、入居者に対する給付にするべきだというふうに思います。そうすれば、登録住宅以外の賃貸住宅に住む住宅確保要配慮者の方々も救済できるわけです。ぜひ入居者の方々に対する給付についてやっていただきたいと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○石井国務大臣 住宅確保要配慮者の居住の安定を図るためには、適切な規模や構造等を有する住宅が供給されること、賃貸人から拒否されることなく安心して入居できることが重要であります。登録住宅に限らず、賃貸住宅の入居者に対して広く家賃補助を行うことでは、こうした目的の達成にはつながらないと考えております。
なお、賃借人への家賃補助につきましては、これまでも国会等において議論されてきたところでありまして、財政負担が際限なく増大するのではないか、市場家賃の上昇を招く懸念はないか、適正な運営のための大規模な事務処理体制が必要ではないかなどの課題がありまして、慎重に検討すべきものと考えております。
○本村(伸)委員 ぜひやっていただきたいというふうに思いますけれども、住宅は、家賃の低廉化ということと同時に、質の確保がとても大事だというふうに思います。大震災があっても、低所得者の方々が家が潰れて亡くなってしまうということがないように、耐震化の確保、質の確保もしっかりとやっていただいて、憲法二十五条に基づく住宅政策を進めていただきますことを心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
修正案
○西銘委員長 この際、本案に対し、本村伸子君外一名から、日本共産党提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。清水忠史君。
―――――――――――――
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○清水委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び概要を説明申し上げます。
年金生活者や低所得者の労働者、一人親世帯等が増大するもとで、生活に困窮し、高い家賃負担などにより、住宅に困窮する方がふえています。
ふえ続ける空き家、空き室を民間賃貸住宅として活用することにより、住宅困窮者の入居を促進する住宅セーフティーネット制度を充実させることは必要です。
安心して住むことのできる住居の確保のために、憲法二十五条の生存権の趣旨にのっとり、公営住宅の供給を政府等が責任を持って実施するべきであり、民間賃貸住宅を活用するに当たっては、家賃負担が大きいことから、その低廉化など、経済的負担の軽減が求められています。
そのため、入居者に直接給付する家賃補助制度の導入などの家賃低廉化を初め、住宅困窮者の救済をより実効性のあるものにしなくてはなりません。
具体的な修正案は、第一に、入居者本人に対し直接給付する家賃補助を定めます。居住支援の推進を図るとともに、被災者の要件としている発災からの期限を設けないなど、住宅確保要配慮者の定義を明確にします。
第二に、公的賃貸住宅の十分な供給が確保されることは居住の安定の前提であることから、国及び地方公共団体は、責任を持ち必要な措置を講ずるものとします。
第三に、家賃債務保証業者の登録を義務づけ、不当な取り立てを禁止するなど、必要な法制上の措置を講ずることとします。
以上が、修正案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○西銘委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、本村伸子君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西銘委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西銘委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○西銘委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、西村明宏君外四名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。本村賢太郎君。
○本村(賢)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 本法による住宅セーフティネット機能の強化とあわせ、公営住宅をはじめとする公的賃貸住宅政策についても、引き続き着実な推進に努めること。
二 低額所得者の入居負担軽減を図るため、政府は必要な支援措置を講ずること。
三 高齢者、低額所得者、ホームレス、子育て世帯等の住宅確保要配慮者について、入居が拒まれている理由など各々の特性に十分配慮した対策を講ずること。
四 住宅確保要配慮者が違法な取立て行為や追い出し行為等にあわないよう、政府は適正な家賃債務保証業者の利用に向けた措置を速やかに講ずること。
五 住宅セーフティネット機能の強化のためには、地方公共団体の住宅部局及び福祉部局の取組と連携の強化が不可欠であることから、政府はそのために必要な支援措置を講ずること。
六 災害が発生した日から起算して三年を経過した被災者についても、必要が認められるときには、住宅確保要配慮者として支援措置を講ずること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西銘委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。