2017年3月31日(金) しんぶん赤旗
売却土地は騒音区域 衆院委 森友問題で本村氏
日本共産党の本村伸子議員は29日、衆院国土交通委員会で、学校法人「森友学園」に売却された国有地が航空騒音・汚染土壌を抱えている問題をただしました。
本村氏は、文科省の「小学校施設整備指針」が小学校用地について「危険な埋設物や汚染のない土壌」「騒音、臭気等を発生する工場その他の施設が立地していない」こととしていると確認しました。
国交省の佐藤善信航空局長は、問題の土地が大阪空港への進入路直下にあたり、現在もLden(騒音レベル)62デシベル以上に該当する「第一種区域」に指定されていると説明しました。本村氏は、過去に空港騒音防止対策区域に小学校設置のために国有地を売却した事例があるかと質問。佐藤局長は例がないことを明らかにしました。
本村氏は、国有財産近畿地方審議会でも騒音・汚染について十分な説明がなかったとして、「学園側の言いなりに値下げをして土地を貸し出し、8億円も値引きして売却する国交省の姿勢も大問題だ。国交省も『小学校施設整備指針』に合っているか精査する必要があったのではないか」と批判。石井啓一国交相は「土地が小学校用地としてふさわしいかは購入するものが判断する」との答弁に終始しました。
議事録
193-衆-国土交通委員会-4号 2017年3月29日
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
冒頭、栃木県のスキー場で雪崩に巻き込まれ、お亡くなりになられた方々に、心からの哀悼の意を申し上げたいと思います。また、被害に遭われた方々に、心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
きょうは、森友学園の問題にかかわって、基本的なことについてお伺いをしたいというふうに思います。
まず最初に、文部科学省にお伺いをしますけれども、小学校施設整備指針では、子供たちの学習、生活の場として、良好な環境を確保し、安全性を備えた安心感のある施設環境を形成することが重要として、「校地計画」の「安全な環境」のところに、「建物、屋外運動施設等を安全に設定できる地質及び地盤であるとともに、危険な埋蔵物や汚染のない土壌であることが重要である。」と書かれ、「周辺環境」のところに、「安全な環境」として、「騒音、臭気等を発生する工場その他の施設が立地していないことが重要である。」と書かれてあります。間違いないでしょうか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
学校施設整備指針におきまして、ただいま委員御指摘のあった内容につき、記載がまさにございます。
○本村(伸)委員 小学校をつくるに当たっては、危険な埋蔵物や汚染のない土壌であることが重要であり、そして騒音、臭気等を発生する施設が立地していないということが重要と書かれております。
この小学校施設整備指針の中の「重要である。」という表現は、「学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために標準的に備えることが重要なもの」と、とりわけ書かれている部分でございます。
国土交通省にお伺いをします。
森友学園の小学校予定地の土地は、大阪国際空港への航空機の進入路直下の土地で、空港騒音防止対策が必要な第一種区域だと思いますけれども、そのことを確認したいと同時に、この第一種区域というのは、騒音の大きさ、レベルでどのくらいか、どのような防止の対策が必要なのかという点、お伺いをしたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。
本件土地は、伊丹空港の騒音対策の一環といたしまして、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に基づく第二種区域内の住民からの求めに応じて、大阪航空局が昭和五十年より順次買い入れを行ってきたものでございます。
一方で、航空機の低騒音化の進展によりまして、平成元年に第二種区域が縮小されまして、現在、当該土地は第一種区域に属してございます。
この第一種区域は、航空機の騒音評価指標であります時間帯補正等価騒音レベル、Ldenと申してございますけれども、この数値で六十二デシベル以上である場合に指定されるというものでございます。
当該区域内におきましては、先ほど申し上げました法律に基づきまして、伊丹空港の運営権者であります関西エアポート株式会社において、住宅の騒音防止工事の助成の措置が講じられているところでございます。
○本村(伸)委員 資料を皆さんにお配りしているところが区域指定の図でございます。
もう一つ国交省にお伺いをしますけれども、森友学園の小学校予定地は、豊中市が土壌汚染区域形質変更時要届出区域に指定したというのは事実でしょうか。そして、この指定というものはどういうものか、土壌汚染されている区域だということだったというふうに思いますけれども、その確認をしたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。
本件土地につきましては、大阪航空局が平成二十三年度に実施をいたしました調査により、本件土地の南部の二区画において、基準以上の砒素が確認されております。また、本件土地の北東部の三区画において、基準以上の鉛が確認されておりました。
このため、平成二十五年四月二十六日に、豊中市より、土壌汚染対策法に基づきまして、「特定有害物質によって汚染されており、当該土地の形質の変更をしようとするときの届出をしなければならない区域」であります形質変更時要届出区域に指定されました。
その後、森友学園におきましてこれらの土壌汚染が除去されたことを踏まえまして、平成二十七年十月二十六日に、豊中市において、地下水の水質分析結果等の確認などを行った上で、形質変更時要届出区域の解除がなされたと承知をしてございます。
○本村(伸)委員 もともとそういう汚染があったところだということでございます。
国交大臣にお伺いをしたいんですけれども、騒音、汚染のある国有地であったこの土地は、そもそも小学校用地としてふさわしい土地だというふうに思いますでしょうか。
○石井国務大臣 本件土地が小学校用地としてふさわしいか否かの判断につきましては、本件土地の購入を希望する者において、関係法令等を踏まえて判断されるものと承知をしております。
なお、大阪航空局が平成二十三年度に実施した調査により、本件土地には土壌汚染が確認をされておりますが、この土壌汚染については、森友学園が、小学校建設工事に先立ち、平成二十七年八月から九月にかけて除去工事を行っております。
また、法律上、航空機による騒音の影響の大きさによって小学校の立地が制限されるものではございません。現在、伊丹空港周辺における第一種区域内には、六つの小学校が立地をしておるところでございます。
○本村(伸)委員 この指針が出る前につくられた小学校のことをおっしゃっているというふうに思いますけれども、そういう状況なわけでございます。
国交大臣は、学校をつくる設置者の側の責任なんだというふうにおっしゃるんですけれども、それは私は無責任だというふうに思っております。国有財産法では、各省各庁の長が、その所管に属する国有財産について、用途、目的に応じた適正な方法による処分を行わなければならないというふうに書かれておりまして、国交大臣としても責任があるということをぜひ認識していただきたいというふうに思います。
国交省にもう一点お伺いをしますけれども、航空機騒音防止区域に、小学校施設のために売却をした事例があるのかどうか、確認をしたいというふうに思います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
航空機騒音障害防止法に基づき、第二種区域内の住民からの求めに応じまして地方航空局が買い入れた土地について、航空機の低騒音化により第二種区域が縮小または解除された場合におきましては、行政財産から普通財産に組みかえ、地方財務局に依頼をして売り払いを行っております。
このうち、本件土地のように、第二種区域が縮小または解除されたものの、第一種区域に引き続き属している土地につきまして、過去十年の間において、小学校用地として売却した事例はございません。特別養護老人ホームの用地として売却した事例があるということだそうでございます。
○本村(伸)委員 小学校としては売却をしたことはなかったということでございます。森友学園はこの点でも異例のことだったということでございます。
今度は財務省にお伺いをしますけれども、森友学園の小学校用地については、国有財産近畿地方審議会に、航空機騒音防止区域のことや汚染地域のことなど、事実を委員の方々に説明したり、あるいはしっかりとその点審議をされているのでしょうか、確認をしたいと思います。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
百二十三回の国有財産近畿地方審議会で、この森友学園の土地についての審議をお願いいたしました。
個々のケースによると思いますが、一般的に地方審議会におきましては、土地の沿革のようなことは御紹介することとしてございますので、本件につきましては、かつて、大阪国際空港における航空機騒音対策の一環として、大阪航空局が建物等を移転補償し買収した土地として管理していたが、その後、航空機騒音防止法の改正により騒音対策区域が縮小されたことから、普通財産として処分することとなった旨、事務方から説明してございます。
一方、委員御指摘の土壌汚染の方でございますが、そこにつきましては、もちろん、相手方には事前にこういう売却のケースのときは通知しておりますけれども、土地の価格等に反映されるお話でございまして、処分の相手とか、定期借地みたいな処分の方法を決める審議会でございますし、さらに、本件土地を小学校の敷地とすることにつきましては、国有審の前に大阪府の私学審議会において検討が行われた後に我々は付議してございますので、その件については報告してございません。
○本村(伸)委員 小学校を建てるということに当たって、騒音とか汚染とか、やはり真剣にこの問題について審議をするべきだというふうに思うわけですけれども、していなかったということでございます。
騒音、汚染のある土地に小学校を建てようとしたこと自体がそもそもおかしいというふうに思いますけれども、その土地が問題を抱えているということもチェックをせずに、チェックをしたかもしれませんけれども、森友学園側の言いなりにプライスダウンをして土地を貸し出し、そして八億円の見積もりを出し、そして廃棄物除去も確認することなく、八億円も値引きをして国有地を売却する国土交通省の姿勢も大問題だというふうに言わざるを得ないと思います。
大臣にお伺いをしたいんですけれども、国土交通省所管の国有地の売却について、その土地の利用に、この小学校ならそれにふさわしいかどうか、小学校であれば、小学校施設整備指針に合っているかどうか、その使用目的についてしっかりと基準を持って精査、制限する必要があったのではないかというふうに思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 大阪航空局は、当該土地が普通財産になったということから、近畿財務局に対しまして本件土地の売却を依頼したところでございますが、その際、売却後の土地利用の方法や購入者等については、特段条件等を設定してございません。
また、先ほど申し上げましたとおり、この土地が小学校用地としてふさわしいか否かの判断については、この土地の購入を希望する者において関係法令等を踏まえて判断されたものと承知をしておりますし、この土地の確認されておりました土壌汚染については、森友学園側が小学校建設工事に先立って除去工事を行っております。
また、法律上、航空機による騒音影響の大きさによって小学校の立地が制限されるものではないと承知をしてございます。
○本村(伸)委員 しかし、いろいろおっしゃいますけれども、小学校施設整備指針に抵触するような状況があったわけです。この森友学園の問題では、本当に子供たちの最善の利益を一番に考えたのかという点がさまざま指摘もされているわけでございます。
この委員会にしっかりと資料を出していただくこと、そして集中審議を求めて、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
参考資料
https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2017/06/6f09ccecbee6475223029e76e6e994fa.pdf