2015年4月19日(日) しんぶん赤旗
下水道職員を確保して 本村議員が国の責任ただす
日本共産党の本村伸子議員は17日の衆院国土交通委員会で、改築・修繕が必要な下水道が増加するなかで、自治体の下水道技術職員が減少している問題をとりあげ、人員確保に国が責任を果たすように求めました。
全国各地の自治体の下水道技術職員の役割について太田昭宏国交相は、東日本大震災からの復旧復興支援で「応急工事など、迅速な復旧にむけ重要な役割を果たしていただいている」と答弁しました。
その一方で、自治体職員は大幅に減少しているのが実情です。全国の下水道の老朽化が進んでいるにもかかわらず、水道管路施設を計画的に点検する自治体は2割にとどまっています。本村氏は、職員の大幅減少(10年前から2割減)が要因になっていると指摘。太田国交相は「維持管理のために、担い手確保は大事な課題だ」と答え、民間委託なども対策としてあげました。
本村氏は、安易な民間活用がすすめば、「監視・評価する自治体職員の技術力低下が問題となる」と指摘。非常時・緊急時に対応できる自治体職員の重要性をあげ、「知識・技術を研さんした人がいなければ、公の責任は果たせない」と強調しました。
議事録
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
下水道法の改正に関連して、お伺いをしたいというふうに思います。
東日本大震災で被災された自治体の皆さんへの支援について、ほかの地域の各自治体の職員の皆さんの応援が、下水道の復旧、被災地の皆さんの復旧復興に大いに役立ったというふうに皆さん方もお感じだというふうに思いますけれども、まず、水道の方のお話で少し確認をさせていただきたいというふうに思います。
二〇一二年三月二十二日、参議院の総務委員会の中で、東日本大震災の支援を行った水道事業の職員の皆さんについての日本共産党山下芳生参議院議員の質問に対して、藤田一枝大臣政務官はこのように答弁をされました。「職員数は年々減少しているという実態もございます。しっかりとこの応援体制が十分であったかということについては検証してまいりたい、そして今後の広域災害に対する応援体制の構築、ここに反映をさせてまいりたい、」という答弁をされました。
きょう、厚生労働省にも来ていただいておりますけれども、藤田大臣政務官の、東日本大震災の応援体制が十分であったか検証し、広域災害に対する応援体制の構築をしていくという答弁について、この検証結果と応援体制の構築がどうなったのかをまずお示しいただきたいと思います。
○福本政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省では、東日本大震災の水道被害への対応につきまして、水道関係者への調査などを行いまして、平成二十五年三月でございますけれども、東日本大震災水道施設被害状況調査最終報告書として取りまとめを行っております。
その報告書の中身についてかいつまんで申し上げますと、一つには、被災対応の応援状況でありますけれども、当時被災をしました九十三の水道事業者でありますが、そこに全国五百五十二の水道事業体から延べで四万六千人の人的支援を実施しております。
その報告書の中で、二つ目に、体制面から見た復旧状況についてでありますけれども、発災直後から初動体制や応援の受け入れ体制が確保できたような水道事業者においては、速やかな復旧により断水期間が短くなっているというような状況がある一方で、被害状況を確認する漏水調査の人員でありますとか、あるいは復旧の計画を策定する人員の不足をしたような水道事業者においては復旧がおくれる要因になったというふうに整理をいたしております。
三つ目には、今後の体制整備に関する課題として、広域的な応援体制の確立でありますとか、現場実務を効率的、効果的にする工夫などが必要だということで総括をいたしております。
これらの報告書の検証結果を受けました対応としては、水道事業者から成る団体でありますけれども、日本水道協会において広域的な災害対応のマニュアルの改定をいたしました。それとともに、各水道事業者において、広域連携の訓練の実施等によりまして職員の災害対応に対するスキルアップを図ってきておるところでありまして、今後とも災害対応の体制整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○本村(伸)委員 今、水道の事例でお伺いをいたしました。
下水道の分野でも、各自治体の職員の皆さんが応援に行って、下水道の被害について、先遣隊としても地震の翌日に現地に到着をしたり、一次調査や二次調査などなど、奮闘されていたわけでございます。被災地の下水道の復旧復興についても、ほかの地域の自治体の職員の皆さんが大変大きな役割を果たしているというふうに思いますけれども、太田大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○太田国務大臣 東日本大震災におきましては、下水道施設も大きな被害を受けました。その復旧復興につきましては、被災直後から現在まで、全国から、下水道につきまして、延べ七千人の地方公共団体職員が被災地に派遣をされました。現在も約七十人が派遣をされているという状況で、ほとんどが下水道に関しての技術者でございます。
派遣された職員は、発災直後には、管渠、処理場などの緊急点検や調査、仮設配管などによる応急工事、あるいは、施設の本格的な復旧が始まってからは施設の設計及び工事に当たっての施工管理、これらを行うなど、迅速な復旧に向けまして重要な役割を果たしていただいている、このように認識をしております。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。
大臣も言われましたように、東日本大震災で、下水道の職員の方々が大変重要な役割を果たしておられるわけでございます。今後想定をされます南海トラフ巨大地震のことを考えましても、やはり下水道職員の皆さんの役割については決して軽視をされてはならないということを、このことからも痛感をしております。
次にお伺いをいたしますけれども、下水道の老朽化の実態、老朽化等によって起こる問題、そして、今後の改築更新コストの見通しについてお示しをいただきたいと思います。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
現在、全国の管渠延長は約四十六万キロメートル、下水処理場は約二千二百カ所に上っております。
このうち、標準的な耐用年数とされる五十年を経過した管渠は約一万キロメートルで、約二%になっております。
また、機械、電気設備の標準的な耐用年数でございます十五年を超えている下水処理場は約一千三百カ所で、約六〇%に上っております。
今後の老朽化の進展によりまして、管路の破損等による道路陥没や汚水の流出、それから処理施設の停止による公共用水域の水質悪化などが考えられます。
今後の改築費用につきましては、現在の技術水準を前提として計算いたしますと、十年後には約〇・八兆円、二十年後には約一兆円と推計しております。
○本村(伸)委員 改築更新コストというのはどんどんふえていくということが、今後予想されております。
次にお伺いをしたいんですけれども、管路施設の点検、調査を実施している自治体というのはわずか二から三割ということですけれども、なぜ点検、調査さえ行われていないのか、その原因についてお伺いをしたいと思います。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
下水道事業を実施している自治体のうち、下水道管渠の計画的な点検を実施している割合は現在約二割でございます。
一方、標準耐用年数である五十年を超えた管渠の延長は全国で約二%、それから、管理する自治体の数からいいますと約一割でございます。他のインフラと比べますと、老朽化施設の占める割合は低い状況にはございます。
また、これまで下水道管渠は、普及の観点からやはり建設事業が中心となっておりまして、維持管理への意識が十分ではなかったというふうに考えております。
これらのことから計画的な点検、調査が実施されてこなかったということで、今般法改正を提案しておりまして、その中で維持修繕等の基準を設置してまいりたいというふうに考えております。
○本村(伸)委員 点検、調査されていないという現状の中で、やはり人が足りないという点もあるというふうに思います。
もう一つお伺いをしたいんですけれども、自治体の下水道職員がどんどん減っているという実態とその原因、そして、下水道職員の皆さんが減っているということによる問題点についてお示しをいただきたいと思います。
○太田国務大臣 地方公共団体の下水道技術職員は、平成十四年度から二十四年度の十年間で約二割減少をしています。そのうち、建設職員は約三割、維持管理職員は約一割減ということでございます。
この原因は、地方公共団体における下水道の建設の方を中心にしてきたというこれまでの傾向がありましたものですから、下水道の建設事業量が減少したということ、そして財政状況の悪化に伴う行政改革等によるものであると考えています。
このような中でも、地方公共団体においては、民間企業への業務委託や新技術の導入等によりまして、最大限の業務効率化に努めていると認識をしています。
今後、施設の老朽化が進展していくので、より適切に維持管理、更新を行っていくためには、地方公共団体の執行体制の確保は重要である、このように認識をしております。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。
現場の方のお話ですと、下水道職員をふやすことをせずに、人がいないからということで安易に広域化しますと別の問題が出てくるんだ、広域化、遠隔化となると、現場に行く機会が減って関心が薄れ、技術もなくなっていくんだ、機器の現場操作もわからない職員となってしまって、非常時に対応できないんだ、地震で遠隔操作ができなくなれば現場操作は必ず必要なんだ、こういうことができなくなっていくんだというお話をお伺いいたしました。
そして、もう一つ、人がいないからといって、またこれも安易に民間活用ですとか民営化をどんどん進めてしまうということになれば、下水道管理において最終責任を負わなければならない自治体がチェックできない、そういう行政になってしまうという問題も発生してまいります。
国土交通省の下水道政策研究委員会でも、そして社会資本整備審議会の分科会の資料でも、新下水道ビジョンなどの資料でも、監視、評価する自治体職員の技術力低下など課題があるんだというふうに指摘をされております。とりわけ、先ほども申し上げましたように、非常時の対応ということはいつも考えておかなければならない問題だというふうに思います。
民間委託、民間活用ということで安易に行えば、非常時の対応、大規模災害時の対応が本当に確保できるのかということが問われるというふうに思います。最終責任を負っている自治体職員であれば、やはり迅速な判断や対応ができることにもつながっていくというふうに思います。
非常時はグレーゾーンということが結構出てくるということで、結局、対応のおくれにつながって、責任が曖昧になってしまうということにもつながってまいります。やはり、必要なところに人材あるいは機器、予算を確保しておくべきだということを思います。
先ほども大臣がお話しされましたけれども、今、自治体リストラということで、職員の数を一律に減らしている現状があるわけですけれども、必要な人材まで削っては絶対にならないというふうに思うわけでございます。
技術、技能を失った自治体では、やはり技術、技能を持った職員を十分確保するように国としても責任を持ってやるべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 そういうメンテナンスを初めとして維持管理をしっかりしていかなくてはいけない、道路の陥没というようなこともある、気象状況も変わってきた、こういう中でどう対応するか、そこの担い手ということについては極めて大事な課題であるということを認識しておりますし、それゆえに、今回法案を出させていただいて、そこの執行体制の確保ということについて、担い手の確保ということも含めて体制をとらせていただきたいと思っているところです。
この執行体制の確保は重要な課題であるということは認識しておりますが、方策はいろいろ地方公共団体が判断をしていくということになります。
国交省としましては、下水道事業が適切に実施されるように、職員の技術力不足やマンパワー不足の対策として、さまざま支援措置を講ずることとしています。
具体的に、この法案で、対策の一つであります下水道事業の広域化、共同化を進めるために、協議会制度の創設を盛り込みました。
また、日本下水道事業団による地方公共団体への支援策を充実するということにしています。
国交省としては、地方公共団体が実情に応じた方策を選択できるよう支援をしてまいりたいと思っております。
○本村(伸)委員 入札、発注するにしても、それがよい技術なのか、安全性は大丈夫なのかということを見きわめる力が、自治体職員、行政の側に必要だというふうに思います。人がいない、現場を知らない人ばかりだ、長年、知識、技術などを研さんした人がいないということになれば、やはり公としての責任がとれないということにもつながりかねないというふうに思います。ぜひ、技術、技能を持った自治体職員の方を十分に確保していただくということを求めて、次の質問に移りたいというふうに思います。
次は、水防法の改正について御質問をさせていただきます。
今回の水防法の改正の一つに、洪水想定区域について、想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域に拡充をする、内水、高潮の区域も含めて拡充していくと。それは、避難の確保、災害の軽減という点で大事な内容だというふうに思っております。住民の皆さんの安全を確保するという点でとても大事だというふうに思います。
この洪水想定区域とまちづくりという観点からお伺いをしたいというふうに思います。
先ほどもお話がありましたけれども、私が住んでおります愛知県というのは何度も水害の被害に遭っております。
近年、大きな被害をもたらした災害では、二〇一一年九月の台風十五号の被害がございました。名古屋市守山区桔梗平では、庄内川につながる排水路の水門を閉めた後に排水路があふれて、新興住宅街が浸水をいたしました。その年の五月に入居したばかりという方で、水路を閉めることの広報がおくれ、一時自宅で取り残されたという方もみえました。広報については、岡崎市でも、広報がおくれ、亡くなった方もおみえになられました。
私どもも国土交通省に要請をさせていただき、庄内川の堤防のかさ上げの工事などは次の年の出水期までにはやっていただける、堤防の高さを確保するという工事を実施したわけですけれども、この二〇一一年九月の守山区の水害による被害に関連して国土交通省がとった措置について、まずお伺いをしたいと思います。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十三年九月の台風十五号による豪雨では、庄内川の堤防から越水するなどの事態となりまして、名古屋市や春日井市などにおきましては、浸水面積約百九十ヘクタール、浸水戸数約六百九十戸の被害が発生しております。
この被害を契機といたしまして、国土交通省は、平成二十三年十月に庄内川において緊急的な治水対策に着手しております。
具体的には、名古屋市守山区におきまして、二・四キロにわたる堤防のかさ上げ、それから七百メーターにわたる河道掘削などを実施し、これらの対策を平成二十四年五月に完了しております。
これらの対策を行った区間では、平成二十三年九月の洪水に対しても、堤防からの越水は生じないようにすることはできると考えております。
○本村(伸)委員 この守山区の新興住宅街は、そもそも名古屋市のハザードマップで三メートルから四メートルの浸水する地域となっておりました。しかし、住宅が建設をされ、開発をされ、結局、浸水をしてしまったわけでございます。住宅を買った皆さんが災害リスクを認識するような説明も受けていなかったし、建築基準法の安全上の必要な措置も事実上講じられていなかった。名古屋市が災害危険区域として指定をしておらず、法律上の建築物の建築の禁止、その他建築物の建築に関する制限もありませんでした。
家を買うというのはやはり人生最大の買い物だ。床上浸水しない安全なところに建てて安全が確保されるというのは、私は最低限確保されるべきだというふうに思います。
もともと浸水して大きな被害が出るということがわかっている地域に住宅などができて被災をするという事例は、愛知県内でも多々あるわけでございます。
今回の改正では、ハザードマップも想定し得る最大規模の降雨を前提としたものになるわけですけれども、そのハザードマップで深刻な水害に遭うということがわかっている地域については、住宅建設などの開発行為を事前に規制し、災害を予防することが必要だというふうに思います。少なくとも、床上浸水しないようなしっかりとした対策をとらなければ建設してはならないというふうに国としてもやるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 日本全国を回ってみますと、ここに座っていらっしゃる人の地域で、床上浸水の可能性があるところを全部規制してしまって、そこには家を建てないというようなところまではこの水防法の改正では考えておりません。
土砂災害防止法においては、ここは、建築物に損壊が生じて住民等の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域として、これを特別警戒区域としまして、特別警戒区域において建築物の構造規制等を設けているという状況にございます。
この水防法改正では、洪水のほか、内水、高潮につきまして浸水想定区域を指定することとしておりますが、これは土砂災害とは異なりまして、建物自体が壊れるという危険性が小さく、二階等にも避難することによって命を失うというような被災を回避できるケースが多いということ、避難のためのリードタイムを確保できること、そうしたことで、どうこれを回避するかという、ハードだけでなくて、ソフト面ということも考えての今回の法の構成になっています。人命を守るためには、的確に避難をするということも極めて重要なことだと考えているわけです。
このため、水防法では、土砂災害防止法における特別警戒区域に相当する制度は設けず、的確な避難を促すためのソフト対策ということについて、ハザードマップを初めとして対応しているというのが法の構成になっているところでございます。
○本村(伸)委員 これからのまちづくりの観点でお話を伺っているわけですけれども、ことし一月に国土交通省から出されました「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」という文書の中でも、災害の発生の危険性が高い区域にはできるだけ人が住まないようにすることが重要だということが指摘をされております。そのこともよく認識をしていただければというふうに思います。
先ほども申し上げましたけれども、名古屋市守山区の水害の例では、名古屋市が災害危険区域として指定をせず、建築にかかわる規制がかからなかったということが問題であったということも思いますけれども、二度とこうしたことがないようにということも強く要望したいというふうに思います。
先ほどもお話をいたしました「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」という文書の中には、次のような指摘もございます。「住民の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれのあるような非常に危険な区域においては、新たな住宅の建築を抑制したり、既に居住している住宅を安全な構造のものへと改修することや移転すること等を促すため、建築基準法に基づく災害危険区域や土砂災害防止法に基づく特別警戒区域等の指定の促進を図る必要がある。」というふうに書かれております。
この指定の促進というのは、少なくとも早急に行うべきだというふうに思います。国としてどのようにこの指定の促進というものを図っていくのか、災害危険区域、土砂災害の特別警戒区域、それぞれお答えいただきたいと思います。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省におきましては、災害危険区域について、水害あるいは土砂災害等さまざまな災害に対応して、建築基準法に基づく災害危険区域の指定を行うよう強く地方公共団体に今までも促してきたところでございます。
さらに、先ほど御指摘をいただきました「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」の公表に合わせまして、土砂災害等によって特に大きな被害が生じる可能性がある箇所については、災害危険区域の指定による住居の建築禁止なども有効である旨を改めて通知いたしました。
今後の方策といたしましては、例えば、既に災害危険区域の指定を行っている地方公共団体を参考に、区域指定を行う際の考え方、あるいは用途ごとにどのような建築制限をかけているかなどの実態を把握した上で、担当課長会議などのさまざまな機会を通じて、水害に対応した指定のあり方について具体的な事例を示し、災害危険区域の指定がさらに促進されるよう努めてまいります。
○池内政府参考人 続いて、土砂災害についてお答えいたします。
昨年八月の広島での土砂災害を受けまして土砂災害防止法が改正され、本年一月に施行されております。
法に基づく基本指針では、今御指摘ございました特別警戒区域等の指定を促進するために、おおむね五年程度で、区域指定の前提となります危険箇所の基礎調査を完了させることを目標といたしました。
これを受けまして、各都道府県において基礎調査完了予定年を検討していただきました結果、全ての都道府県におきまして、今後五年以内、すなわち平成三十一年度末までに基礎調査を完了させる目標が設定されたところでございます。
国土交通省といたしましては、基礎調査及び区域指定の促進のために、財政面、技術面での支援が重要というふうに考えております。
財政面では、平成二十七年度予算におきまして、防災・安全交付金を優先的に配分するための制度創設を行いまして、基礎調査を行う都道府県に対して積極的に支援を行っているところでございます。
また、技術面では、地方ブロックごとに会議を開催いたしまして、国が所有しております地形データの提供、それから先進県での効果的な取り組み事例の提供などを行っております。
さらに、都道府県が基礎調査の実施マニュアルを作成する際に、地方整備局の職員を派遣して助言を行っているところでございます。
このように、国土交通省では、財政面、技術面で各都道府県をしっかり支援し、区域指定の促進を図ってまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 最後に、水防法第十五条二にかかわって、八六%が地下であるリニア事業の事業主体であるJR東海は、利用者の避難の確保及び浸水の防止のための措置に関する計画をつくることになりますねということを確認したいというふうに思います。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
現在のリニア中央新幹線の計画では、幾つかの駅が地下に建設される予定と聞いております。
一方、現行の水防法では既設の地下街等を対象としていましたが、本法案におきましては、建設中、それから建設予定のものも対象とすることとしております。
このため、これらの駅が浸水想定区域内にあり、市町村地域防災計画に位置づけられた場合には、本法に基づく避難確保・浸水防止計画の作成が義務づけられることになります。
○本村(伸)委員 国土交通省の水災害に関する防災・減災対策本部の地下街・地下鉄等ワーキンググループの中間取りまとめの中でも、やはり地下空間というのは、閉鎖的であり、地上に比べて浸水スピードが速いんだ、また、ある程度水深を超えると水圧により扉があかなくなることや、機械電気設備の機能停止による停電で視界不良となり、利用者は位置関係や周囲状況が把握できず避難困難となること等の危険もあるため、地下空間への浸水開始後、避難に係る時間の猶予はないということも指摘をされております。
ぜひこのリニアの問題でも、避難という点では必ず安全性を確保していただきたいということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○今村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○今村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、水防法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○今村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。