2015年4月22日(水) しんぶん赤旗
体質踏み込む究明を 本村議員 公共交通の事故多発で
日本共産党の本村伸子衆院議員は21日の国土交通委員会で、JR山手線の支柱倒壊、青函トンネル内の特急列車発煙など公共交通機関のトラブル・事故が多発している問題をとりあげ、国交省の対応をただしました。
本村氏は冒頭、10年前のJR福知山線脱線事故の背景に、安全への投資を減らし、利益を優先する企業体質があったことを指摘。その上で、この間相次いだ事故について「企業体質にまで踏み込む徹底した原因究明と、それに基づく再発防止策をとるべきだ」と主張しました。
太田昭宏国交相は「重大な事態だ。安全確保は何よりも優先される」と述べ、原因究明に取り組むと答えました。
本村氏は、山手線支柱倒壊(12日)では、柱の傾きを認識しながら補修を先延ばししていたJR東日本を批判。また、JR東日本が報告するまで、国交省が事故発生のおそれがあるとする「インシデント」と判断できなかったことについて「それでは監督責任が果たせない。現場の調査含め、権限を強めるべきだ」と指摘しました。
本村氏はまた、青函トンネル内の発煙(3日)では、地上への避難のため乗客に大きな負担が強いられたことから、86%がトンネルになるリニア新幹線が建設された場合の避難マニュアルを作成・公表させるように求めました。
議事録
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。
JR西日本の福知山線の事故から、次の土曜日、四月二十五日でちょうど十年に当たります。大量輸送を担う公共交通の安全の確保という問題で、質問をさせていただきたいというふうに思います。
このJR西日本の福知山線脱線事故では、亡くなられた方々が百七名、負傷された方々が五百六十二名、未曽有の大惨事となりました。亡くなられたお一人お一人に謹んで哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆様に心からのお見舞い、お悔やみを申し上げたいというふうに思います。
御家族の方々、御遺族の皆様は、家族や友人がなぜ命を奪われなければならなかったのか、自動列車停止装置はなぜつけられていなかったのか、疑問は解消されていないということで、JR西日本の歴代社長を訴え、今でも会社の責任を問うておられます。あわせて、原因究明のために、会社との対話も続けておられます。
事故の背景には、ほかの会社との競争に勝つためということで、もうけが第一で安全は二の次と、安全投資を減らし、利益を優先するJR西日本の企業体質がありました。大量輸送を担う公共交通機関において、利益優先ではなく、安全の確保が大前提でなければならないというふうに思います。このことを徹底しなければならないというふうに思います。
福知山線の事故から十年が経過し、公共交通の安全の確保を大前提とするために、事故の教訓をどのように位置づけ、どのように対応をしていくのか、改めて大臣の決意をお願いしたいと思います。
○太田国務大臣 平成十七年四月のJR西日本福知山線の事故におきましては、百七名という大変多くの方が犠牲となられました。この事故の教訓としまして、一つは、安全を最優先とする企業風土の形骸化、二つ目には、経営と現場の意思疎通、情報共有が不十分であった、これらが挙げられると思います。
このため、国土交通省では、従来の安全規制及び事後監督では、このような企業の安全文化の問題を背景とする事故を防ぐには不十分と判断をいたしました。このため、法改正をいたしました。鉄道事業法、道路運送法、海上運送法、航空法等各モードの事業法の改正によりまして、安全を現場任せにせず、会社全体で安全管理体制を構築する、そのための必要な措置を講じたというのが法改正の趣旨でございます。
具体的には、法律では、運輸事業者に対して、安全確保のための運営方針、管理体制を含めた安全管理規程の作成、そしてもう一つ、及び経営の中での安全の責任者である安全統括管理者の選任、これらを義務づけているところでございます。
運用の改善という面におきましては、国土交通省の評価チームが訪問して確認し、さらに改善に向けての助言等を実施する制度、運輸安全マネジメント制度を創設いたしました。
これらの見直しは、平成十八年十月より実施をしているところでございます。
その後、平成二十四年四月の、三年前です、関越道における高速ツアーバス事故の発生を踏まえまして、運輸安全マネジメント制度の適用対象を全ての貸し切りバス事業者等に拡大するなど、充実強化を図っております。
今後とも、こうした取り組み等を通じて、運輸の安全の一層の確保に努めてまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。
この四月も、一歩間違えれば大惨事になりかねなかった事故やトラブルが相次いでいるというふうに思います。
航空の分野では、四月十四日、広島空港でのアシアナ航空着陸の失敗の事故、そして、四月五日には、徳島空港で、滑走路上に作業車両を発見して日航機が着陸をやり直したというトラブルがありました。これは外国の例ですけれども、三月二十四日には、百五十人の方が犠牲となりましたドイツのLCCの墜落事故もございました。
鉄道の分野では、四月十二日に、JR山手線の神田―秋葉原間の支柱が倒壊するという事故がありました。そして、四月三日には、青函トンネル内で特急列車が発煙をし、乗客百二十四名の方が避難をするトラブルがあるということなど、一歩間違えれば大惨事となるような事故がこの四月でも相次いでおります。
そこで、まず、この四月以降に発生しました広島空港、徳島空港、青函トンネル、山手線の事故、トラブルの概要と国土交通省の対応について、それぞれお伺いしたいというふうに思います。
○田村政府参考人 お尋ねの件で航空関係でございますけれども、まず広島空港でのアシアナ航空機事故でございます。
今月十四日二十時ごろに、広島空港におきまして、アシアナ航空一六二便が着陸時、滑走路から逸脱する航空事故が発生をいたしまして、乗員乗客合わせて八十一名のうち、乗員二名それから乗客二十五名の方々が負傷されたところでございます。
また、滑走路の端から東側三百二十五メートルにあります、計器着陸装置の一部を構成いたしますローカライザーのアンテナや進入灯が損傷をしております。
当該事故に関しましては、十五日より運輸安全委員会が五名の調査官を派遣し、事故原因の究明を進めております。
航空局におきましては、事故発生後すぐに、アシアナ航空に対しまして、事故調査に協力するとともに、自社においても原因究明を行い、再発防止策を策定の上、報告するよう指示しております。さらに、韓国の航空当局に対しましても、アシアナ航空の安全運航について適切な監督を要請しているところでございます。
広島空港につきましては、事故に伴いまして閉鎖が続いておりましたけれども、十七日の朝から暫定的に運用を再開いたしました。今後の本格的な復旧に向け、全力を挙げているところでございます。
それからもう一つ、徳島空港での重大インシデントでございますが、四月五日十一時ごろ、海上自衛隊が航空管制業務を行っております徳島空港で、管制官が、作業車両に対し滑走路上での作業指示を許可していたことを失念し、日本航空四五五便に対して着陸許可を発出いたしました。その際、日本航空便が滑走路上に車両を確認したため、着陸をやり直すという重大インシデントが発生いたしました。
当該重大インシデントに関しましては、六日より運輸安全委員会が二名の調査官を派遣し、原因の究明を進めております。
航空局としましては、運輸安全委員会の調査や海上自衛隊からの報告を踏まえ、今後とも同空港における管制業務の適切な運営を確認してまいります。
○藤田政府参考人 鉄道関係の事案について御説明いたします。
まず、青函トンネルの事象でございますけれども、四月三日金曜日十七時七分ごろ、青函トンネル内を走行中のJR北海道の特急列車から発煙があり、乗客百二十四名が避難されたという事象でございます。
原因は現在JR北海道が調査中でございますけれども、JR北海道では緊急対策として、四日の時点で、当該形式の車両三十一両につきまして、モーターの絶縁測定それから通電試験を実施し、問題がないことを確認したという報告を受けております。それから、あわせて、同型車両において運転席モニターに異常を認めた場合、点検を行うために必ず停止することとしたとの報告を受けております。
国土交通省では、この事象の発生直後から関係運輸局職員を派遣し、状況調査等に立ち会っておりますほか、徹底した原因究明、再発防止を指導しているところでございます。
それから、山手線の事象でございますけれども、十二日日曜日朝の六時十分ごろ、京浜東北線北行きの列車の運転士が、架線を支える支柱、電化柱が倒れていることを発見し、山手線、京浜東北線が十五時三十分ころまで運転を見合わせたという事象でございます。
本件につきましては、十日の深夜、厳密には十一日の午前二時ごろでございますけれども、その時点では工事担当社員が電化柱の傾きを発見しておりましたけれども、十三日に改修工事をすることとしたといった事実が明らかになっております。
それから、JR東日本は、調査の中で、今回倒壊した電化柱について、はりを撤去したわけでありますけれども、その際、強度計算を実施していないことが判明しましたので、その旨を十七日に公表したところでございます。
国土交通省としましては、十二日に文書で、工事の施工方法や施工管理など背後要因を含めて原因を究明し、再発防止のための措置を講ずるように指示したところでございます。また、関東運輸局職員二名を現地調査に派遣しております。
さらに、運輸安全委員会におきましても、十四日から重大インシデントとして調査を開始しております。
これらの事案につきまして、引き続き、監査等を通じまして状況を把握しながら、再発防止等を指導してまいりたいと思っております。
○本村(伸)委員 運輸安全委員会の事故調査などが始められておりますけれども、事故の発生の背景にある利益優先、安全軽視などの企業体質や組織の体質にまで踏み込んだ徹底した原因究明と、それに基づく再発防止策をとるように強く要請をしておきたいというふうに思います。
四月以降に起こったこれらの事故は、一歩間違えれば大惨事ということになった事故でございます。事故が連続して大変な事態だというふうに思いますけれども、この航空機事故、鉄道事故に対する国民の皆さんの不安もあるのではないかというふうに思います。
今局長にお答えをいただいた事故について、大臣も、今、どれもが重大な事故、トラブルであったというふうに認識していると思いますけれども、これらの事故について大臣の認識をまずお伺いしたいと思います。
○太田国務大臣 いずれも、これらの事案が発生しましたことは大変残念であり、非常に重大な事態であると認識しております。
公共輸送機関の安全確保は何にも増して優先されるべきものだと考えています。事故防止に向けまして、事業者、そして国交省を初め関係者は緊張感を持って対応に万全を期しているところです。
広島空港の事案、徳島空港の事案、山手線の事案、青函トンネルの事案と四つについて御指摘があったところでありますが、それぞれの事案の態様及び、調査中でありますけれども、原因も異なっていると思います。
それぞれにつきまして原因究明をしっかりした上で、再発防止に万全を期すとともに、日々の公共輸送機関の安全輸送の確保に全力を挙げてまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 一つずつ、もう少し具体的なお話をしたいというふうに思います。
きょうは防衛省にも来ていただいておりますけれども、徳島空港の着陸やり直しのトラブルは、管制は海上自衛隊が担当しているというふうに聞いております。管制業務を一人で担当していて、滑走路上に作業車両がいたということを忘れて、着陸の許可を出したためだというふうに聞いております。
国土交通省の管制も複数でやっておられるというふうに聞いておりますけれども、なぜ徳島空港では一人の管制でやっておられたのか。その要因と、このトラブルを受けて防衛省としてどのように対応したのか、お伺いをしたいというふうに思います。
もう一つですけれども、私の地元にも、自衛隊が管制を行っております県営名古屋空港がございます。徳島空港以外の自衛隊と民間が共用している空港で、管制の体制はどうなっているかということ、複数の体制などとられていたかということをお伺いしたいというふうに思います。
〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
徳島飛行場の御指摘になりました事案、当時の飛行場管制業務でありますが、この管制系は通常四名で行うところでございますけれども、本件事案発生時には一名で行っていたということを聞いております。このような業務体制については問題があったものと認識しております。背景の一つとして、海上自衛隊において管制業務の人数を定めた具体的規則はなく、この点についても問題があったものと認識しております。
現在、国土交通省からお答えがありましたとおり、運輸安全委員会が経緯や原因について調査をされておりますが、防衛省・自衛隊としても必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
具体的に、また、我々といたしましても、この調査と並行いたしまして、四月五日から四月十日までの間、徳島教育航空群、管制を行っていた親部隊でございますが、この部隊に対し、臨時安全調査を実施いたしました。また、四月十四日から四月二十一日の間に、海上自衛隊が航空管制業務を実施する全十一航空基地隊に対し、臨時合同部隊監察を実施いたしておるところでございます。
こうした調査、監察の結果を受けまして、海上幕僚監部において、管制業務の人数の規定等を含む航空管制関連の諸規則の改正等の再発防止策を検討したいと思っております。
なお、そうした規則の制定を待つまでもなく、既に、海上幕僚監部から、徳島飛行場を含めた全十一の航空基地隊、これは海上自衛隊が管制を行っている基地ですが、複数の管制官による管制業務の実施、基本手順の確実な実施等の対策の指示をいたしたところでございます。
また、お尋ねのありました県営名古屋飛行場についてでございますけれども、自衛隊が管制業務を実施して、かつ自衛隊と民航機が共用している空港は全部で八カ所ございまして、今回事案が発生した徳島飛行場を除く七カ所は、陸上自衛隊が一カ所、航空自衛隊が六カ所を担当しています。名古屋も航空自衛隊が担当しています。
陸上自衛隊と航空自衛隊におきましては、飛行場管制業務は二名以上で実施するように内部規則が定められております。そういう状況ではございますけれども、今回の事案の重大性に鑑みまして、海上自衛隊だけではなく、陸上、航空自衛隊に対しましても、航空交通管制業務実施の体制、管制要領等について再確認をして、飛行安全確認に万全を期すように既に指示をいたしたところでございます。
今後このような事案が発生しないよう、再発防止対策、安全対策を講じたいと思っております。
以上でございます。
○本村(伸)委員 自衛隊に関しましては、航空自衛隊が管制を行っておりました新千歳空港でも、四月十九日に、直前に着陸した別の航空機が滑走路から誘導路に移動し切っていないということで、着陸のやり直しというトラブルもございました。自衛隊も含めて、事故、トラブルの再発防止ということを徹底していただきたいというふうに思います。
次に、JR東日本の山手線の支柱倒壊の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
マスコミの報道でも、次のように書かれております。想像するだけで恐ろしい、発生が前後に数分ずれていれば電車が衝突、脱線し、大惨事となる可能性もあった、JR東日本は、柱が傾いているのを二日前に認識しながら、補修を先延ばししていた、甘い判断だった、人命にかかわらない事故でよかったでは済まされない、多くの乗客が利用する山手線での事故の重大性をJR東日本は認識してもらいたい、こう書かれております。
この事故に関して、まず大臣の所見を伺いたいと思います。
○藤田政府参考人 本件につきましては、現在、背後要因等を含めまして、原因究明、再発防止をJR東日本に指導しているところでございますけれども、これまで明らかになった事実からいたしまして、一つは、事前に対応する機会があったということ、そこの時点で対応がとられていなかったということ、ここはやはり問題があったと言わざるを得ないと思っております。それから、強度計算を行っていなかったということ、これについても、やはり初歩的な誤りだったというふうに思っております。
そういったことを含めて、しっかり検証をしてまいりたいと考えております。
〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
○太田国務大臣 今鉄道局長が話したことと同時に、これは危ないと思った人がいる、それを身近なところに連絡をしただけでとどまっている、それが、まさに決定権のある、そして修理をやるなら修理をするという責任者のところに一気に情報が上がって、そして、そこでばっと協議がされて、こうするという方針が出される。会社の中の決定するということと、そして危ないといったことを認識したことの、このルールといいますか、その危機管理で一番大事な点が今回は欠けていたということを加えたいと思います。
○本村(伸)委員 大臣のおっしゃるとおりだというふうに思います。このJR東日本の安全軽視という対応は、本当に許しがたいものがあるというふうに思います。原因の徹底解明ですとか企業体質の改善を含めて、指導監督の徹底をお願いしたいというふうに思います。
先週の金曜日には、JR東日本が社内マニュアルに違反することまでやっていたということが明らかになっております。先月の三月二十五日に今回倒れた支柱から鉄製のはりを撤去する際に、撤去後の支柱の強度を事前に計算しないまま、先ほどもお話がありましたように、工事を行っていたということがわかりました。これは、社内規定違反にも当たり、強度計算をしていれば倒壊を防ぐ措置がとられた可能性がございます。
この強度計算が必要だとはわかっていながら怠っていたということなわけですけれども、国交省は、強度計算を行っていなかったというこの事実をいつの時点でつかんだのでしょうか。
○藤田政府参考人 はり撤去後の強度計算を行っていなかったということにつきましては、今月十七日金曜日の午前中に、JR東日本の安全統括管理者から鉄道局に直接報告がございました。その時点で把握をしたということでございます。
○本村(伸)委員 いずれにしても、このことを見ても、安全が軽視をされていたということが明らかだというふうに思います。
山手線の事故の発生当初ですけれども、国土交通省の鉄道局は、電車の運行が長時間とまった輸送障害で、重大インシデントには該当しないという見解を示しておられました。最初は、国交省は、重大インシデント、危うく大惨事になるところだったという重大インシデントだったとは認識していなかったということだと思います。
しかし、JR東日本から詳細な報告を受けて、四月十三日の深夜に、重大インシデントだと判断をして運輸安全委員会に通報がされた。運輸安全委員会が十四日の早朝に調査開始を決めたというふうに思います。
これだけ重大、重要な事故であったにもかかわらず、運輸安全委員会の事故調査がないというのはおかしいなというふうに、調査が当然だというふうに思っておりましたら、国土交通省の判断が変わったわけでございます。
国土交通省として、重大インシデントには該当しないと判断していたのを変えて、調査が必要だと判断したのはいつで、なぜ変えたのか、お示しいただきたいというふうに思いますし、本来であれば国交省が真っ先にみずから調査を実施することが必要だったのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○藤田政府参考人 今回の事案につきましては、山手線、京浜東北線という非常に利用者の多い路線であったことなどから、発生当初、直後の対応といたしましては、まずは輸送障害の早期収拾、旅客の利便性確保、これが大変大事な課題だと認識しておりました。JR東日本におきましても、そういった点への取り組みを行い、かつ、同種構造の電化柱の点検などに全力で取り組んでいたというふうに承知しております。私どもも、そういう観点からの情報収集を行ってまいりました。
こういった対応がおおむね終了した後に、インシデントの判断に必要な情報の収集、検討を開始し、十三日には、今般の事案の安全性に関する検証を行うために、JR東日本に対してインシデントに該当するのではないかという注意喚起を行うと同時に、詳細な資料の提出を求めたところでございます。
こうした経過を経まして、JR東日本から十三日夜にその資料の提出があり、あわせてインシデントであるという報告があった、こういう経過でございます。
○本村(伸)委員 最初は重大インシデントではなかったというふうに判断したわけですけれども、やはりこれでは監視、監督する責任が果たせないのではないかというふうに思います。現場の調査を含め、責任が果たせる権限を強めるべきだというふうに思います。
次に、青函トンネルについてもお伺いをしたいというふうに思います。
これについても、新聞でもこう書かれております。全員が地上に避難するまで緊急停車してから五時間以上かかった、乗客は体力面でも精神面でも大きな負担を強いられた、暗闇の車内で待つ、手探りでトンネル内を歩く、旧海底駅で待機する、逃げ場のない海底トンネルの中とあっては、通常の立ち往生以上に恐怖と不安にさいなまれる、実際に二人が体調不良を訴えて緊急搬送されたことを軽視してはならないというふうに書かれております。
多くの皆さんが避難に五時間以上かかったことや、手探りで海底のトンネル内を歩かされていることに問題はなかったのか、お年寄りや障害者の方などがいた場合に、あるいは定員が七百人以上となる新幹線の場合では対応できるのかということで、多くの皆さんが心配の声を上げておられます。
青函トンネルの地上避難というのは、一九八八年開業以来初めてのことだということでございます。この避難誘導について、JR北海道は想定どおり、手順どおりだったというふうに言っているようですけれども、乗客、利用者、国民の皆さんの声を聞いて、より不安のないものにするべきではないかというふうに思うわけでございます。
それには、まず、JR北海道の避難マニュアルを公開させるべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○藤田政府参考人 今回の避難の経過でございますけれども、列車が停止した後に、乗客が乗務員の誘導により降車を始め、そこから定点と呼ばれるトンネル内の一定の場所まで徒歩で避難し、さらにそこからケーブルカーの乗車場所まで徒歩で移動した後に、ケーブルカーで地上に移動した、こういう経過をたどっております。ケーブルカーでの地上への移動時間、これは十分でございますけれども、最大二十名しか乗車できないために九往復したということで、そのために、最後の乗客が地上に移動したのは二十二時五十九分ごろでございまして、約五時間半かかった、こういうことでございます。
今回の避難誘導、JR北海道からは、同社の取り扱いマニュアルに定めた手順に沿ったものであるという報告を受けておりますけれども、国土交通省としましては、詳細な状況の確認も含めまして検証を行っているところでございます。
それから、避難誘導マニュアルにつきましては、非常に想定される事態もさまざまでございますし、利用者に正確に御理解いただけるのかといった問題もございますので、それをそのまま公表することが適切かどうかということについては慎重な判断が必要だと思いますけれども、他方で、異常時の対応としまして、まず乗務員の指示に従っていただくことが大前提でございますが、あらかじめ乗客の皆さんに一定の予備知識を持っていただくということが円滑な避難に有効な場合があろうかと思います。
こういった観点から、今後、どういうふうな情報提供が必要なのかといったことは検討していく必要があるものと考えております。
○本村(伸)委員 JR北海道が、ことしの三月三十一日に、「事業改善命令・監督命令による措置を講ずるための計画」というものの昨年度の第四・四半期の実施状況報告というものを出しております。この中でも、「お客様にご迷惑をおかけした事象が発生した場合は、積極的かつ速やかに情報を開示する」というふうになっております。ぜひ情報開示をお願いしたいというふうに思います。
この青函トンネルの事故を受けて、私どもの地元では、トンネルが八六%のリニアでは本当に大丈夫なのかと。地元の中日新聞でも、火災がリニアで起きたらという記事を書いております。
リニアについても、今の時点で避難マニュアルを作成、公表させ、それで説明をさせるということを指導するべきではないかと思いますけれども、最後にお伺いしたいと思います。
○藤田政府参考人 リニア中央新幹線につきましても、長大な山岳トンネルあるいは大深度のトンネルがございます。こういったところにおけます、例えば火災発生時の基本的な考え方、これは既に公表されておるところでございます。
ただ、具体的な異常時の避難誘導等につきましては、これは平成三十九年度の開業を目指しておりますので、その開業までに、それまでの知見等を踏まえまして、ハード、ソフト両面を含めてJR東海で検討されるべきものだと考えております。
そういった意味で、今の段階で具体的な内容を定める、あるいは、それを公表するといったことではないものと思っております。
○本村(伸)委員 そういう点でも安全性をしっかりと国民の皆さんに明らかにしていただきたいということをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。